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サンタの夜

「おい、マジかよー。おめーホントにサンタがいるって信じてんのかー?」
「信じてるってわけじゃありませんよぉ。ただ、本当にいたらいいなって」
クリスマスも近い日の曜日。鋼の守護聖ゼフェルと女王候補アンジェリークは庭園で楽しく仲良くお喋りをしていた。
「ほんっと子どもだなー、おめーはよ。・・・でも、そーゆーとこが可愛いいんだけどな・・・」
「えっ?何かおっしゃいました?」
「なっ、何でもねーよ!」
アンジェリークを部屋まで送り届けたゼフェルはある決心をした。善は急げ、だ。すぐ行動に移す。
そこがゼフェルのいいところ。

「ピンポーン」
「ゼフェル? 珍しいですね。あなたが私のところへいらっしゃるなんて」
「よっ! あのさ、リュミエール、頼みがあんだけど、聞いてもらえっかな?」
「頼み? 私にですか? いいですよ。私に出来ることでしたら」
「っしゃー! 実はよ・・・」

「それは楽しそうですね。わかりました。23日までですね」
「おー。あんたが受けてくれて助かった。詳しい寸法なんかは後で連絡すっからよ。じゃ、頼んだぜー」
その足でオリヴィエのところへ行き、頼み事をこれも快く聞き入れてもらうと、足取り軽く帰途についた。
「さぁてと、こいつの音を何とかしねーとな・・・」
独り言を言いつつゼフェルは地下室へ消えていった。


「ゼフェル? いますか?」
「リュミエールかぁ? おし! いいタイミングだぜ。こっちも終わったとこだ」
油まみれの手を拭きながらゼフェルが現れた。
「わりーな。おっ! さすがだな。へへ、いい出来じゃねーか。ありがとな」
「ふふ。そう言っていただけるとうれしいですよ」
「ゼフェル、いるぅ?」
「よっ、オリヴィエ、どーだ? あったか?」
「もう、誰に言ってるのさ。私に不可能なんてあるわけないじゃん。でもさ、ちょっとサイズが不安なんだ。・・・。
うーん、ま、大丈夫そうかな? 中に何か着るんでしょ?」
「ああ。恩にきるぜ。じゃ、あとは仕上げだな。なんか上手くいきそーだ。助かったぜ、ふたりとも」
「キャハハ。ナニあらたまってるのさ。イイよ。そのかわり家にも来てよね。
あんたの晴れ姿ちゃんと拝ましてもらうからね」
「そうですね。私の屋敷にも来てください。楽しみにしていますよ」

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『明日はクリスマスかぁ。今日のゼフェル様ったらなんか変だったなぁ。
せっかくのイブなのにさっさと帰っちゃうし、寝る前に絶対外を見ろ、なんて変なこと言うし・・・・。??』
『えっ? あれって?・・・・! サンタさん?!』
トナカイに引かれた橇が空を飛んでいる。乗っているのは赤い服に白い髭のおじいさん・・・。
『まさか! うそ』
シャンシャンシャン。鈴の音を響かせて橇が中空を滑る。白髭のおじいさんが何か言ってる。
「メリークリスマス! HO! HO!」
『えっ? あ、この声って・・・。もう、やだ』
アンジェリークは頬を染めて遠ざかる橇を見つめ、つぶやいた。
「メリークリスマス。・・・ありがとう、ゼフェル様」

fin




とらまるさんの「鋼企画第二弾 -クリスマス-」参加作品です。
この頃からキャラが動いてくれるようになってきました。
アンジェのために一生懸命なゼフェルは可愛いです♪
素敵な動く素材はとらまるさんが作られたものです。


☆とらまるさんに付けていただいたコメント☆

思い立ったが吉日ゼフェル様v
まゆさん!暖かくてキュ−トなお話をありがとう!
大切にしてもらってアンジェの幸せ者〜っ
なんだかんだと・・・最後には声をだしてしまう
そんなゼフェルが大好きですっ!

ところで・・・・個人的にリュミ様が描いたトナカイ見てみたいです・・・・
やっぱり実物大?

2000.10.07(掲載)
2004.12.18(再掲載)


・・・・・と、とらまるさんや他の方に言ってもらったので、調子に乗って描いたのが これです。
色鉛筆画をスキャンして、ペイントブラシで修正していました。今回のは修正前の縮小版です。

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