異国旅人記

 
ゆらゆらと立ち昇る蜃気楼をかき消して
息苦しい白日のカーテンをめくれば
脇を通りすぎる無表情な客たちを乗せたバス
振り返って それを見送っている自分を
風が心地よく笑って追い越していく
旅人の衣を着ていることを忘れて
心の中をさらけ出せるまでに
さほどの時間を必要としない
突然のはずのスコールですら 待ち遠しく
車のクラクションが心地よく感じる

熱にうなされた一日を癒すサンセット・ビーチ

どんな音楽も無力化させる波の音と潮の香り
ファインダーに収まり切らない光景
やがて 静かに漆黒の中へ溶けていく