Milladoiro

第1回:国境のないインターネットでまかり通る日本ローカルルール(2001年7月21日)


当たり前のことだが、インターネットには国境がない。隣近所に住む友達にメールを打つのも、地球の真裏に住んでいる親戚にメールを送るのも全く同じような感覚で行うことができる。サイトを見るのもしかりであり、日本国内の新聞のサイトも、ヨーロッパや南米やアフリカの新聞のサイトも同様の感覚で読むことができる(もちろん現地語を知っているという条件はつくが)。そんなインターネットである以上、ネチケットは世界共通かと思えるのだが、日本ローカルルール(私は日本語以外のアジア系言語がわからないので詳細は知らないが、少なくても欧米言語圏では存在しないルール)がいくつかあるので、今回はそれらを取り上げたい。

(1)「無断リンクはご遠慮ください」あるいは「リンクの際は当方まで連絡していただくようお願いします」などという注意書き

日本国外で作成されたコンテンツの場合、日本でいうところのリンクフリーが当たり前である。そもそもインターネット上に情報を出すということはその時点で世界のどこからでもそのサイトを訪れる可能性がある(理論上は全世界の人が自分のサイトを閲覧できることになる)わけであり、そんな状態に自分の提供する情報をさらすことがわかっているなら、リンクされたり閲覧されても困らないような情報だけを提示すればいいだけの話である。

上記の注意書きはおそらく、自分のページを誤解して紹介されたくない、あるいはリンクしてもらった場合その旨を通知してほしいという気持ちの現れであろうが、著作権法に違反するような行為(たとえば剽窃)を行うならともかく、リンクをどう行うかについては基本的に著者が制限する権限を持つものではない。これはたとえば、自分が出した本について書かれた書評に対して口出しできないのと同じである。もちろん事実を明らかに曲解して紹介している場合は別だが、基本的に自分の出した本について少々辛口のコメントが述べられていたにせよ、そのコメントの公開を差し止めたり、内容の改変を要求したりする権利など誰にもないのである。リンクをする場合に事前連絡を義務付けるのは検閲と同じであり、これは表現の自由に反するのではないか。ましてやリンク許可を求める行為をマナー化するというのは論外ではないだろうか。

それに比べれば、後者の「リンクの際は当方まで連絡していただくようお願いします」の問題は深刻ではない。ただ、丁寧口調ではあるもののリンク時の連絡を義務化している点にはかわりなく、相変わらず表現の自由という点では問題があるように思える。あくまでもページの作者が取るべき態度は、他人が行う自分のサイトへのリンクの管理ではなく、どうしてもリンクされたことを知りたいのであれば「リンクを行った場合、当方まで連絡していただければ幸いです」のように、義務感を感じさせない表現で頼むのが筋ではないか。

(2)「リンクはトップページにお願いします」という記載

これもやはり、インターネットの特性を考えればどうかと思う。リンクとはそもそも、必要とする情報に直接ジャンプするためにあるものであり、その情報がトップページから5クリックも10クリックも要するような奥深いところにある場合は、そこまで直接リンクするほうがサイトの閲覧者にとってはありがたい。また、ロボット型サーチエンジンの場合トップページのURLを示すことなくその奥深いところのURLだけをヒットさせる傾向にあり、サイト構築がまずい場合、最悪トップページがどこにあるかさえわからなくなることも考えられる。

サイトの運営者の中には、他人の家屋を訪問するときは正門から入るように、他人のサイトを訪問するときはトップページから入るべきだと考えている人がいる。しかしこれは、リンクのそもそもの目的を考えるならば正しいとはいえない。インターネットはいわば世界最大の百科事典であり、当該項目へのリンクはできる限り直接的なものにして利用者の便宜を図ることがコンテンツ作者として利用者に提供すべきサービスではないか。

バナー広告をトップページにたくさん掲載しているサイトの場合、このトップページから入ってもらうことで広告収入を増加させたいという気持ちがあることはわかるが、さまざまな理由で直リンクを必要とするコンテンツ制作者の事情も理解すべきではないか。

(3)メールの書き出しで名乗る習慣

日本人とメールのやり取りをすると、必ず「佐藤です。」などという書き出しで始まる。しかしメールの送信者として既に自分の使命を名乗っているわけであるから、初めての相手にメールを書くときでない限りこの記述は必要ないように思われる。とはいえ、欧米圏でもメールの最後に自分の名前(多くの場合はファーストネームだけだが)を入れる人が多いことを考えると、この習慣は何も日本に限ったことではないともいえるが…。


(mig@lime.plala.or.jp)