![]()
このページでは、最近新聞や雑誌で取り上げられる機会が増えてきた地域通貨について簡単に説明します。なお、私の2度のアルゼンチン訪問を通じて知り得た、日本の地域通貨に活かせるノウハウをまとめてみました。こちらでどうぞ。
簡単にいうと、日本円や米ドル、ユーロ(こういうお金を「法定通貨」という)などとは違うお金です。どう違うかというと、
という点です。この原則どおりにはいっていない地域通貨もありますが、基本はこんなところだと思ってください。
日本ではまだまだ始まったばかり(詳しくはこちらをクリック)ですが、世界では既に多くの国で使われています。たとえばイギリスやオーストラリアなどのLETS、アメリカのイサカアワー、カナダのトロントダラー、フランスのSEL、アルゼンチンの交換クラブ、ドイツの交換リングなどです。似たような動きとして、スイスのWIR銀行や北欧のJAK銀行(デンマーク/スウェーデン)、あるいはバングラデシュのグラミン銀行を含むことができるでしょう。
「地域通貨って何?」でも書きましたが、、日本円や米ドル、ユーロ(こういうお金を「法定通貨」という)などとは違うお金です。どう違うかについて、さっきのポイントを一つずつ解説しながらお答えしましょう。
たとえばイサカアワーは、ポール・グローヴァーという普通の市民が作り出したもので、今ではイサカ市の多くの市民や商店で使える立派なお金として市内では流通しています。私たち一般市民が勝手に千円札を刷ることはできませんが、地域通貨なら自分たちが必要だと思ったときにを作ることはできるのです。しかし、なぜわざわざそこまでする必要があるのでしょうか?
今のお金のシステムでは、お金持ちほどトクをするシステムになっています。そして、日本では多くの会社の本社が東京にあるため、どうしてもお金が東京に集まりがちで、これといった産業がない地方にはお金がなかなか回らなくなります。そして、あくまでも交換手段であるお金がないために、地域内での取引もスムーズにできなくなってしまうのです。カナダでLETS(Local
Exchange Trading System)という地域通貨のシステムを考えたマイケル・リントンは、LETSマニュアルでこれを、「インチが足りないために仕事のできない大工さんを想像できますか?(Imagine
a carpenter not working because he has run out of inches!)」と表現していますが、地域で流通するお金が足りなくなったときに、地域で通用するお金を回すことで、地域経済をある程度国の経済から自立させることができるわけです。
これは一見デメリットのように見えます。しかし、あとで説明するように、これは実はメリットなのです。もちろん地域通貨の中には全国で使える種類のものもあります(例:「WAT清算システム」)が、基本的には市町村、県などといった地域でしか使えないものと思ってください(もちろんこの地域は、行政区域と重なる必要はありません。たとえば、小田急沿線の経済的結びつきを強めようと思う場合は、その地域を小田急沿線としてもかまわないわけです)。
普通私たちがお金を借りたら、利子をつけて返さないといけません。しかし、地域通貨には利子がつかないので、自転車操業に陥る心配がなくなるのです。これは事業者にとっては大きなメリットですよね。
これも詳しくはこちらで説明しますが、利子がないことによって社会が安定するのです。
これこそが最大のメリットです。たとえば船橋市でだけ通用する地域通貨があった場合、この通貨を手に入れた人は当然ながら船橋市内の店でこの通貨を使ってしまおうとします。つまりそれだけ船橋市内にお金が残るわけで、例えば同じ本を買うにしても、八重洲や新宿ではなく船橋市内で買うようになれば、それだけ船橋の商業が栄えるわけです。今はどこでも商店街は大きな郊外型のショッピングモールや都心部の店に押されて経営が苦しくなっていますが、そのような商店街を助けるのにも一役買うのです。
他にも、このような効果が生まれます。
地域通貨をさまざまな人間が使うことで、主婦と老人、高校生と商店主など、普通は関係を持つことのないような人たちの間で新たな人間関係ができ、現代社会で失われている共同体を新たな形で作ることができます。
地域通貨によってさまざまな取引が行われますが、その中で自分の能力について考え直し、それを伸ばす可能性が生まれます。たとえば、地域に子どもの世話をするのが好きなおばあちゃんがいたとしましょう。隣に共働きしている若夫婦が住んでいます。奥さんも働いているのですが、仕事が忙しく、毎日残業をこなさなければならないところですが、保育園が夜間は子どもの面倒を見てくれないので困っています。こういうときに地域通貨を導入することで、この忙しいお母さんはおばあちゃんに自分の子どもの面倒を見てもらうことができます。おばあちゃんにとって子どもの面倒を見ることは何でもないことかもしれませんが、実はそういうサービスを必要としている人は世の中にいるわけで、こういう見えないサービスやモノの需要や供給を地域通貨はうまく結び付けられるのです。
今の円経済ではうまく活用されていない能力というものがあります。たとえば、子育て経験豊富な老人の知恵や、パソコンを使える若い人の知識などがあります。地域通貨を使うと、これがうまい形で社会の中で活かされるのです。
絶対的な決まりはありません。小さい単位としては、家族の中で使ってもかまいませんし、大きい単位となれば、それこそ全世界を「地域」にしてもいいのです。ですが、とりあえず実際に行うとしたら、小学校の校区や市町村、広くても都道府県や地方(九州地方、東海地方など)といった単位が妥当な範囲でしょう。この地域については、その地域通貨の目的に合わせて決めることができます。たとえばPTA活動を活発にするためだったら小学校の校区が一番いいでしょうし、都市圏内で異業種の人たちの交流を行うのであれば広域圏(例:岡山市、倉敷市とその周辺の区域)単位で行うのがベストでしょうし、県内の都市部と農村部との交流を目的とするんだったら県内を対象にするとよいでしょう。あくまでも目的によって、地域の範囲は決まるわけです。
なぜ地域限定かというのについては、こちらをご覧ください。
とりあえず、大きく分けて4種類あります。
まず、最初の紙幣発行型ですが、「イサカアワー」や「おうみ」のように、お札を実際に刷って流通させるものです。今までの日本円と同じように使えるので便利ですが、今の日本の法律では、こういったものが合法なのか非合法なのかはっきりしておらず、将来的には問題になる可能性があります。そのため、「ピーナッツ」は大福帳という通帳方式を採用したぐらいですから、この方法を取る場合は、多少法的な問題にも気を配ったほうがいいでしょう。
次に、通帳記入型ですが、これはLETSやピーナッツ、それにレインボーリングなどが採用している方式で、会員が通帳を持って、その通帳に残高を記入してゆくというものです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ピーナッツでの説明、あるいは以下のマンガ(北海道苫小牧市の「ガル」で作成)だとわかりやすいでしょう。
3番目に、小切手型というものがあります。これはメキシコのトラロックが採用している方式で、一見紙幣発行型なのですが、裏面に持ち主が次々にサインをしてゆく、というものです。これによって、小切手の信用が増します。
最後のタイムダラー型ですが、これは愛媛県関前町の「だんだん」が代表的な例です。この「だんだん」とは、この地方の方言で「ありがとう」という意味で、30分の仕事に対して「だんだん」と呼ばれるおはじきを1枚渡し合う、というものです。サービスの交換だけを目的とするなら、このタイムダラー型が一番いいでしょう。
紙幣発行式の場合、それこそ今まで日本円を使っていた要領で使えばいいだけです。通帳式の場合多少面倒な手続きが必要になりますが、それについても北海道苫小牧市の「ガル」のほうで描かれているマンガにわかりやすく説明されていますので、こちらをどうぞ。
この質問に答えるためには、まず利子とは何かという疑問を解決しなければなりません。幸いにもわかりやすいマンガ「ロビンソン物語」が公開されていますので、こちらをご覧ください。利子というものはこのような性格を基本的に持っているため、このような問題が起こらないようなお金のシステムにする必要がある、というわけです。
前も書きましたが、これは実に微妙な問題です。というのは、日本政府がこの地域通貨について、はっきりとした姿勢をまだ打ち出していないからです(ちなみに、米国では合法だという憲法判断が下されており、イギリスに至ってはブレア首相自らがLETSを推進しているぐらいです)。今のところ私のほうで責任を持って言えることは、以下の点です。
エコマネーは地域通貨の一種と考えてください。このエコマネーは、通産省の加藤敏春さんという方がイギリスのLETSを参考にして1998年に本として発表したものですが、最近の動向を見ていると、どうやらサービスの交換だけに限定しているということで、タイムダラーに毛の生えた程度と考えるのがよいでしょう。現在このエコマネーとして行っているのは北海道の栗山町で、他にも準備中の動きはありますが、他の地域通貨と違う点は「エコマネー・ネットワーク」が提案する「正しいエコマネー」の実践が強調されているところです。その点やはり、霞ヶ関的だともいえます。
いますいます、たくさんいます。しかもどんどん増えています。最新の情報を私のほうでもこちらのほうで公開していますが、もし他にも地域通貨運動がありましたら、教えていただけると幸いです。
面白そうだから地域通貨をやってみたいと思うんだけど、どうしたらいい?
泉留維さんのご好意で、私のページ内で参考文献をご紹介できるようになりました。こちらでどうぞ。
また、参考書ではないのですが、地域通貨や「エンデの遺言」で取り上げられた経済学者ゲゼルの思想などについての情報を交換しているゲゼルML、それに地域通貨の運営について情報交換する地域通貨運営MLがあります。こちらもぜひどうぞ。