走り続ける人へ



どこまでも、どこまでも
走り続けようとする人よ
その目には何が映っているのか
現実と名付けられた雑踏は
見えていないのか

大多数の人間は
他人の目を気にして
他人と同じように生きようとするけれど
それを軽蔑するかのように
前だけを見て
走り続ける

だがその背中に
脆さが見える
いつか断崖が目の前に現れたとき
それでも真っ直ぐ走ろうとするだろう
目に見えない橋があるかのように
スピードを緩めることもせず
敢えて空中に足を踏み出すだろう

後ろ姿を見守っている
祈ることしかできない人間の存在を
知っているか否か
ただ走り続ける人がいる




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