かけら
小説の中の
とあるフレーズ
列車の窓から見える
ふとした風景
耳元で聞こえていたはずの
あのメロディ
そんなわずかなものを
寄せ集めて
思いを紡ごうとする
ひとつひとつを
そっと手のひらに集めて
確かめようとするけれど
あまりにも柔らかく
薄いかけらは
音もなく崩れ
こぼれ去ってしまう
そんな気配のようなもの
日に日に薄れていくもの
でも、思いのある限り
私はかけらを
拾い続ける
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