(2001年)
Sorry,Japanese Only



普通酒考(8月15日)
 吟醸酒でも純米酒でも本醸造酒でもない酒だから、普通酒なのか?と素朴な疑問を抱きながら、とにかく普通酒のしみじみとした良さを考えるために、何種類か飲んでみました。
 日本酒を醸すという立場上、良い酒を提供することが、蔵元の使命だと感じている杜氏さんは数多いと思います。このようなプライドを抱いている人達が幾多の苦労を重ねて造りだす酒(たとえば大吟醸など)は、飲む側もぞんざいに扱うわけにはいかないので、真剣に味わうことに集中せざるをえません。でも、あまり細かいことにこだわりすぎると、味わう楽しみを忘れて、つい味を「分析」してしまいがちになってしまいます。
 また、たしかに吟醸クラスの酒は、上質で洗練されており、日本酒が芸術品であることを認識させられることが多いのですが、かなりざっくばらんに考えると、値段が高くて、毎日の晩酌に、というわけにはいきません。
 それらのことを考えると、なによりも「気軽に飲めること」を大前提として造られるのが「普通酒」なのでは?と考えたりもします。今回飲んだ酒は、造り手が精魂は込めながらも、吟醸クラスを醸すような特別な緊張感ではなく、どうぞ普通に気軽に楽しんで下さい、と笑顔で醸しているような雰囲気が伝わってきました。
 今回は、「米鶴」「澤乃泉」「三春駒」を味わってみましたが、精米歩合や醸造アルコール添加の割合等、普通酒ならではの特徴はいくつかあるものの、味に関して言えば、いずれもすっきりとして飲みやすいといった印象をもちました。中には、古酒をブレンドしている?ような味わいのものもあり、楽しめました。値段が手頃なためか、つい飲みすぎてしまう妙な共通点もあって、不思議な魅力をそなえている酒だなぁ〜と思いました。
 今後も、色々と飲んでみたいと思います。



 先日(5月中旬)、福島県須賀川市にある国指定名勝の牡丹園に行ってきました。花の盛りは少し過ぎていたものの、大輪の花の美しさには、独特なものがありました。
 園に隣接して、物産品の特売所があり、その中の酒のコーナーで、「三立(さんりつ)」という地酒の古酒を見つけたので買ってきました。
 一般的に古酒というと、値段が張るので、買おうかどうかと逡巡するものなのですが、この酒は12年古酒でありながら、とても手頃な値段だったので迷わず買いました。飲んでみると、いかにも古酒といった色合いと、まるでライトな紹興酒といった感じのすっきりとした味わいがあり、気持良く飲めました。油っこい料理にも合う味で、なかなか面白かったです。
 この酒に限らず、全国的に流通することはない酒でも、偶然にめぐり会って、味わいを楽しむといった、いわば一期一会的な酒との出会いは、大切にしたいものです。




みねがとおります