ウグイスはもういない。
ちいさな風がやってきては、桜を揺らした。 またきっと会える、そんな気がした。
人形が泣くとき使う袖袂
路肩より崩れて春の五体あり
左足庇うと夜が傾いた
説得をされるきれいな歯の人に
車で葬儀場へと急ぐ。 葬儀の間は大雨、終わる頃には小雨になった。 帰路はずっと霧の中、無口のままだった。
「会いたい人には会えるようになっています」
あの日、ホームの方がおっしゃった言葉が胸に沁みる。 私たちはこれから、幾度となくこの言葉を思い返すことだろう。 あの日、私を呼んだのは誰だったのだろうか。
雨は上がったが、霧が晴れることはなく潤んだ山々は美しかった。
久し振りの新幹線は、三月とあって混雑していた。
どこ行くの銀の鱗を張り付けて
麺棒を縦に持つのはよくないわ
急場を凌ぐ白布の5メートル
見ましたか青い桜が咲いたのを
2024 冬 2023 秋 2023 夏 ▲