■■■ 音楽と人 1995.6月号 ■■■TAKURO + TERU
[ 売れた「童」達 ]
----何故毎回TAKUROをホストに呼び、順繰りに1人ずつ登場して貰ってるかというと、「函館の夢見る地方出身者ロック」GLAYのメンパー各人の、素朴かつ純粋である事をアピールする事によって、このパンドの紙一重さを解明するという(笑)。 TAKURO「そんな事するのほ市川さんだけです!」 ----おお。憧憬の塊TAKURO、渋谷系JIRO、可愛いぞHISASHIと回ってきて、ようやく最後(笑)にフロントマン登場という。 TERU「覚悟して来ましたよ(笑)」 ----この二人の付き合いばいつ頃からですかね。 TERU「小学校の6年からずっと一緒です」 TAKURO「俺はですね、桔梗小学校に一一あ、花の桔梗と書くんですけど」 ----どこなんだ、そりやあ(笑)。 TAKURO「いや、函館の桔梗小学校でございます。そこに転校して来たんです」 TERU「そう、やけに背の高い奴が入って来て」 TAKURO「桔梗って市川さんも知らないように、田舎だったんですよ。だから函館の中でも中央の街に居た俺としてば、もう一一」 ----仲間内で優越感に浸って楽しいか? TAKURO「聞きなさい聞きなさい。そこで赤=女、青=男ってイメージから俺は脱却したわけですよ、これはGLAYの音楽性にも関わるんですけど。男が赤着てもいいじやないかっていう、ヒジョーに革新的な考えを持って桔梗小学校に転校したわけなんですけど、したら皆一斉に『オカマだ』と」 TERU「『な一にアイツ女くせえ。赤ジャージなんて着て!』って」 TAKURO「俺の中にそういう概念はないいわけですよ、『これはイカンな』と」 ----全然よくわかんないけども。それで友達になったわけですかね。 TAKURO「実家自体が近かったんですよ。歩いて5分くらいのところで」 TERU「俺、TAKUROが音楽好きで、ビートルズが凄い好きだって気づいたの中学校2年ぐらいなんですよ。その時にTAKUROの家に遊びに行ったら、ギターがあってビートルズのテーブがずらっと並んでて一一俺に勧めるんですよね、『ビートルズって凄いいいよ一』とか『俺、全部コピーしてさ』とかなんとか自慢して」 TAKURO「『出来るか?』って(笑)」 TERU「そう(笑)。俺わかんないから『おおっ!』って一応(笑)。それが結構印象に残ってて」 ----おまえ性格全っ然変わってないな。 TAKURO「何がっスかあ!」 ----その押しつけがましいどころ(笑)。TERUはそんなにロック自体に興味は一一。 TERU「俺は本当に高校に入るまで全然ロックに目醒めなくて一一却って嫌いな方だったかな」 ----つうと、音楽とか全然無縁の、田舎のやたら元気のいい運動得意な事だけが取り柄の少年? TAKURO「まさに!」 TERU「はははは。当たり!音楽聴くんだったら、野球する方がいいや!ってそういうタイブ」 ---- 一方TAKUROはきっと、そういう開放的な方向には全然向かえない、陰々減々と自分の特殊性をひけらかすタイプだな。 TERU「当たり!凄いっスねえ(笑)」 ----そんな正反対の二人がよく仲良くなれるね。 TERU「契機あるんですよ一一まだ凄い純枠な心を持ってた俺に彼が一一」 TAKURO「要するに、新しい機種を欲しくなった俺が古いファミコンを騙して売ったんですよ(笑)。俺から言っちやう、もう!しかも超マイナーなどうでもいいソフト付けて7千円で(笑)」 ----おまえは本当に狡猾な奴だなあ。 TAKURO「どんどん悪者に(笑)」 ----パンドを一緒に演るようになった経緯は。 TERU「高校に入ってから多少音楽に典味が出て、やっぱりモテたいって気持ちでバンド始めたんですけど。それで部活の先筆がですね、聖飢魔のコビーバンド組むけどドラムが居ないからって事で、俺がドラムとして入って。その噂をTAKUROが間いて、自分のオリジナルを演っていくバンドを作りたいって」 TAKURO「もうその時の話が凄いんスよ!」 ----またかい、その芝居がかった喋り(笑)。 TAKURO「逢って数時間でおわかりのように、ほら、彼は非常に純枠でですね、裕福な家庭に汚れなく育ったわけですよ。俺がね『もうコビーなんか駄目だ!自分の言葉とメロディでなければ!自分のこの燃えたぎる熟い想いを伝えられねえ!! よおしオリジナル・バンドを作るんだあ! メンバーも一から組み直す! 今のパンドも解散する! ドラム演ってるんだって? しかも聖飢魔、さぞかし手練だろう』と」 ----君は昔から一人で田舎芝居してるのか。 TERU「はははは」 TAKURO「電話! 『もしもし俺さ・・・・・・』この間沈黙30秒! 『オリジナル・バンド演ってプロ目指す為にドラム演ってくれないか! オリジナルだよ? オリジナルって事は曲を作るんだよ? コピーじゃないんだよ?』。それで入れちやったわけです」 ----野球少年じやなかったっけ? TERU「今思えば、TAKUROに俺の人生目茶苦茶にされたんだと思うんですけど一一本来ならば今、プロ野球でばかばか稼いでるはずなのに」 ----君も妄想を抱いていないか? TERU「あははは。いやあ、そういう夢を持ってたんですよ、やっぱり」 ----野球に自信あったんですかね。 TERU「野球、自信ありましたよ、やっばり」 TAKURO「嘘だあぁぁぁぁぁ」 ----何だよ、「嘘だあぁぁぁぁぁ」ってのは。 TAKURO「俺逢った時、前髪チェッカーズみたいで、短ランでボンタンで(笑)」 TERU「うはははは」 ----どこの高校球児なんだよ、それは。 TERU「うはははは。函館のまあ、弱小野球部(笑)。俺サッカー部入りたかった。当時サッカー流行ってたんですよ。それで野球は野球でやってたんだけれども、高校はサッカーやって、サッカ一のプロになれたらいいなあっていう」 ----おまえさっきと全然違うぞ言ってる事が。 TERU「今頃Jリーグで活躍してます(笑)」 TAKURO「JリーグのJの字もなかったよ、その頃なんて(笑)」 ----でもサッカー部ってヤンキーの温床だよなあ。 TERU「楽だしい(笑)、髪切らなくてもいいしい、っていう、そういう(笑)」 ---という事はヤンキー出身ですかね。 TERU「いや、ヤンキーじやないっスよ。普通の高校生」 ----どこの普通の高校生が短ラン着てるんだ。 TERU「はははは。ただ授業サボってタバコ吸って、酒呑んで、徹マンやりなから、授業中寝てるっていう、それぐらいで」 ----お約束だらけだな、君(笑)。 2人「ははははは」 ----で、TAKUROの場合、わけのわかんない野望を持ってたわけじやないですか。オリジナルがどうとか、函館セクシヤル・レコードがどうとか(笑)。そうした誇大妄想的「野望」に付き合って。 TERU「はい。TAKUROのそのイメージに触発されて、プロになりたいとか思ったと思うんですけど、HISASHIも実はそうじやないかな。TAKUROがリーダー格の人間だったから、GLAYやってこれたと思うんですよ。一人もそういう奴が居なかったら、きっと高校時代で終わってたと思うし。実際TAKUROはそういう夢を抱き続けて、それに触発された俺達もその夢を一一TAKUROの夢を一緒に持ったっていう感じで」 ---おお、パンドしてるというかTAKUROを調子づかせるような事を(笑)。 TERU「いや、実際そうなんですけどね」 TAKURO「(黙って死ぬほど額き続ける)」 ----(無視)で唄に転身して。 TERU「入って3カ月ぐらいで」 TAKURO「ベースとドラムとギターは居たから曲作って一一そのカラオケテープをTERUん家に忘れてったんですよ。その日の夜に電話がかかってきて、『さっきのテープにね、唄入れたっさあ』とか言ってね(笑)。『あ、そう。じや聴きに行くよ』って行ったら一一俺のイメージはその頃から一緒なんですけど一一良かったんですよ。所謂カラオケとかとは違う歌らしい歌だったっていうところで、『ああ、こいつはヴォーカルとしてたぶん成長するだろうな』と確信して。で、『これだったらTERUをヴォーカルにして、ドラムを探した方が上手くいく』と思ったんです」 ----そういう冷静さは偉いんだよな、君って。 TERU「これ『音楽と人』だけに・・・・・・その当時柔田住祐大好きだったんですけど、TAKUROの曲唄ったら『桑田住祐じやないんだから!』って一言(笑)。俺傷つきましたよ、マジで(笑)。『俺は一所懸命唄ったんだけど』って」 TAKURO「『何だよコレ。物真似じやないんだよお! GLAYはなあ! 東京ドーム立つんだよ! ビッグエッグ!』とか言って(笑)」 TERU「はははははは」 ----作んなよ、話を。 TAKURO「いやいや。その曲が後の“RAIN”です」 ----(笑)“RAIN”には実はサザン・ヴァージョンがあったと。 TAKURO「あるんですよ。高校時代に俺が持ってた曲で、いつものようにヴォーカル無しのバンドのテーブを作って、『じや唄入れておいてくれ』と。それで次の目聴いたら、なんと住祐。ケイスケクワタ(笑)。あれはまいった」 TERU「いや、でもTAKUROは結構見る日があって、『TERUはヴォーカルの方がいい』って人を持ち上げながら?(笑)、それはありますね」 ----もっと言えば、GLAYにとってTERUっていうのは凄い拾いもんだったと思うねえ。話訊いてると。 TAKURO「それはそうですね。だから他のヴォーカリストとか見ても一一負ける気がしないのは彼が居るからっていう」 TERU「(小声で)待ち上げてます」 ----(笑)将来的に大化けして新しいスタイルも作れそうだしね。 TERU「そうですね。今一番自分に合ったスタイルを探してる最中ですね。もしそれが見つかったら、俺、ロック界を背負って立つようなヴォーカリストになりますよ。と自分では思ってます」 TAKURO「やめろ! 鼻を析られるぞ!(笑)」 ----にしても最近商楽的にも好調だよなあ。ちなみにTAKURO君、何故売れてるのかその優秀な妄想力で白己分析してくれたまえ。 TAKURO「俺も全然わかんないっス(笑)」
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