pause HEAVY GAUGE special

 

GLAYとの出会い・・・おそらく、'93年6月pause創刊以来6年・通巻77号の中で、'94年〜'95年の彼らとの出会いは最も衝撃的な出来事の一つだったのは間違いありません。「灰とダイヤモンド」という1枚のインディ盤で、彼らが奏でるメロディにノックアウトされた私は、間もなくリリースされたメジャーデビュー盤「SPEED POP」('95.3.1Release)で完全な虜になり、pause'95年1月号から3月号まで連続掲載でバックアップ体制に入りました。「SPEED POP」購入対象に僅か200名様を抽選ご招待した「東京荻窪・新星堂本社ホール/GLAYアコースティック・ライヴ」も実施。今では伝説と言ってもいいかもしれません。
本社にキテクレタ4人は気負うことも気取ることもない、とにかく「ナイス」な奴らで、正直言って「こいつらの為ならいくら頑張ってもいい」って思いました。TAKUROのズバ抜けたPOPセンスはこの頃から目を見張るものがあり、何度聴いても凄いの一言でしたが、残念ながら当時は思ったほどのセールスは挙げられませんでした。TAKUROとはこの頃「いつか必ず「彼女のModern・・・」を百万人に聴かせよう」って何度も何度も熱く語り合いました。続く「BEAT out!」('96.2.1Release)の取材はTAKURO1人でしたが、当時彼らの所属事務所があった代官山の喫茶店で2時間くらい熱く語ってくれたのを記憶しています。その時の別れ際の合い言葉も「いつか必ず「彼女のModern・・・」を百万人に聴かせよう」でした。その後もTERU、HISASHI、JIROの成長も素晴らしく、後は説明するまでもなく彼らは大きな成功を収めていきます。「BELOVED」の時はTERUが、「REVIEW」の時はもう一度4人全員がインタビューに応えてくれました。
さてさて前置きが非常に長くなってしまって申し訳ございませんが、いよいよGLAY pause最新インタビューの始まりです。今回は私、編集長・早川と川崎アゼリア店の源店長が、TAKUROとJIROにインタビューをしてまいりました。
この日のGLAYは朝からハードに数本の取材と撮影をこなし、ほとんどヘトヘト状態。





マネージャー氏:生ビールを全員分とつまみを適当に・・・
TAKURO:俺は・・・イカの空揚げとポテト。
JIRO:キンピラ。

-----つまみのオーダー内容が渋いねぇ(笑)。日頃はちゃんと食べてるの?

TAKURO:食生活は貧しいですよぉー。日頃はカップラーメンかコンビニ弁当をチンして食べるか、出前。
JIRO:TAKUROくんちに遊びに行って台所に行って横を振り向くと、カップラーメンの空が山積みになってて、なんかすごい可哀相だなぁってしみじみ思ったことある。(一同爆笑)

-----自炊しないの?

TAKURO:全くしない。掃除も洗濯も大キライ。人に言われるとなんとかするけど、ほっとくとスラム街になるな(一同笑)。何かに夢中になるともうダメですね。とりあえず何か食っときたいナって気付きはするんですけどね。食べ物とかはホント適当。
JIRO:でもツアーとか行って夕飯食べると、大抵どこ行っても刺し身出してくれたりするんだけど、TAKUROくんは「焼いたのか煮たのが食べたい」とかわがまま言うじゃん。
TAKURO:イベンターさんとかが気を使って美味しいお刺し身出してくれるのは分かるんだけど、いくらなんでも毎日生魚じゃ身体に悪いよぉ。卵と納豆と味噌汁出してくれたら、むしろそっちのほうが嬉しい(一同笑)。このお店は北海道時代の友達がやっててよく来るんですよ。この広い東京で偶然ばったりと出会って驚いたんだけど、「今、東京でお店やってる」なんて言ってそれ以来かな。でもたまに知り合いにバッタリってあるんですよね。そんなにおおっぴらに街中出歩けないじゃないですか。それでも外歩いた時に声かけられる。鼻でバレるのかな(笑)。ファンとかにもすぐバレちゃう。

-----ハハハ!背が高いからだよ。

JIRO:TAKUROはデカいし帽子とか被ってると「変装してます」感が漂ってるもん。
TAKURO:そっか、デカいやつ見かけたら「デカい知り合い」っていう条件で頭の中で検索すればグッっと絞られるから、結構瞬間的に「TAKUROかも」って気付くのかなぁ・・・。

-----ヒゲとかつければバレないかもよ。

TAKURO:レコーディング中はヒゲ伸ばしっぱなしだったりしたこともあるけど、ダメダメ。近所歩いてるとバレてる感じするもん。もう少しバレても全然気にしない性格とかだったら楽なのになぁ。
JIRO:街中で女子高生とかとスレ違って「あっヤベェー、今バレたっぽいなぁ」とか思ってそーっと振り返ると、向こうも驚いた顔して振り返ってて、携帯で誰かに報告してんの。(一同爆笑)


〜全てに生音勝負というスタンス〜

-----ではアルバム曲ごとをテーマに伺っていきます。頭から2曲毎に切り分けて伺っていくヨ。・・・アルバム・タイトルでもあり、オープニング・ナンバーでもある1曲目「HEAVY GAUGE」は「pure soul」の収録曲「ビリビリクラッシュメン」の詞の中で”♪街に潜むアイツラに踊るヘビーゲージなニュース”というくだりがあ?ったじゃない?関連性は・・・

TAKURO:もちろんありましたよ。でもアルバム・タイトルは他にも「ヘビーゲート」や「ヘビーデイズ」とか直接的な表現も考えた。幕張の後、ある種の目標を達成してしまった後のGLAYにのしかかる重い十字架、そしてどうしようもなく付きまとってくる巨大なイメージを称して「HEAVY GAUGE」としたの。一つのイマジネーションを起こさせてくれるキーワードとして、一番いい言葉だと思った。

-----ギターの弦の種類名としても使われてるよね。

TAKURO:うん、余計なシンセサイザーの音とかは出来るだけ排除して、生音=ギターのサウンドで勝負するアルバムにもしたくて、そういう意味も込めていますね。可能な範囲でコーラス、ストリングス、リズム・・・全てに生音勝負というスタンスはとった。

-----NAGAIさんのドラムも凄いよね。

JIRO:凄い、ホントに凄い。間奏の所のドラムとかホント凄いからじっくり堪能して欲しい。この人とやってて良かったと思える恐ろしいほとにカッコいいフレーズを叩いてくれています。NAGAIさんのドラムはGLAYにとって、もうホントに重要。必要不可欠・・・なのに最近「トシ坊」からさらに「坊」とか呼んじゃって、ホントごめんなさい。(一同笑)

-----NAGAIさんの2nd.ソロ・アルバム(「D.O.S Drum」¥¥¥)がリリースされて、GLAYのメンバーは全員参加してるじゃない。もっと売れて欲しいよね。

JIRO:NAGAIさんの人柄がにじみ出たアルバムだよね。繊細にきっちり作られたアルバムですね。

-----2曲目は「FATSOUNDS」。冒頭の2曲はノイジーな部分も多分にあるけど、「pure soul」収録の「COME ON!!」の様なナンバーとは根本的に質が違う。

TAKURO:なるほど。きっと「COME ON!!」のような”シャレ”の部分は無いかもしんない。そういう意味では”真摯な態度”で挑んだアルバムとも言えるね。GLAYの将来までも見据えた作品だから、今回はシャレは無しだったかもしれない。後から”ナンチャッて”って言わないような感じ。俺、幕張は大きな夢だったから、終わった後にもの凄い脱力感に襲われて、その後全然スタジオ行く気力も湧かないような状況だったんだけど、その間、HISASHIが頑張ってギターの大方の枠組みを進めててくれて、お陰で俺はその後に自分がどこをギターにしてピアノにするとかとかを考えるだけで済んで凄く助かった。

-----「HEAVY GAUGE」で生オーケストラと被さって、もの凄いカッコいいギターが聴こえるけどHISASHIのテイク?

TAKURO:もちろんHISASHI。ちなみにカッコいいギターは全部HISASHIと思って間違い無いっス(笑)。俺が家で詞を書いてたらバックトラックを録音したテープが届けられて、最初聴いた時は「HISASHIのギター、スゲェなぁ・・・こいつ頭おかしいかも・・・」とか思ったんだけど(一同笑)、何度も聴くとこれっきゃないんだっておもえてきた・・・っていうか聴き慣れた(一同再笑)。HISASHIが言ってたけど、今までは「曲が生きるように」っていうプレイを心がけてきたけど、自分的にはそれが一つ完成形をみたので、今回は曲から一歩引いて客観的なプレイを目指したって言ってて、あっるほどなって思った。

-----「FATSOUNDS」はいきなり「ひゃ------→」っていう叫びから始まるね。

TAKURO:俺もビックリした。ヴォーカル録りの時、俺、ウッカリ寝ちゃって、起きたらイントロに「ひゃ-----→」ってメタルのような叫びが入ってるからビックリした(笑)。でも面白いからOKみたいな。

-----TERUのメタル魂が炸裂したわけだね(笑)。

TAKURO:そうそう(笑)。「SURVIVAL」の終わり際にも最初は叫びが入ってたんだよね。
JIRO:「SURVIVAL」の曲の終わりのアウトロの所にTERUの叫びが入ってたんだけど、TERUが寝てる間にミキサーのマイケル(・ツェマリング)に俺はこの部分は絶対に嫌いだって言って消してもらった(一同笑
)。寝てた奴が悪い

-----ハハハ。ちなみに「FATSOUNDS」の歌詞カードの中に、TERUコロスケが紛れてるね(笑)。

TAKURO:VIDEO「無限のdeja vu」でも出てきた、俺が書いたTERUの似顔絵です(笑)。後で大きく書いてあげましょうか?

-----ハハハ、頼むよ(笑)。詞中に「♪2枚でどーだ?」ってあるのは「いか天(いかすバンド天国・一世を風靡した深夜のTVバンド・オーディション番組)」で有名になった曲のタイトルを連想するけど?

TAKURO:そうそう、数少ないシャレの箇所です。一応同じ「イカ天」世代にアピールしようと思って(笑)。

-----函館で観てたんだろうけど、あの番組出たかった?

TAKURO:うーん・・・実は出たかった(笑)。←(ぷ:・・・・・・・>_<;黙。)


〜「ここではない、どこかへ」でアルバムは大きく前進した〜

-----3・4曲目は「SURVIVAL」「ここではない、どこかへ」の連発は豪華だね。

TAKURO:「SURVIVAL」はVIDEOシングルだったりしたからどうかと思ったけど、アルバム収録に際して録り直したから違和感なく収録できた。VIDEOシングルの時は作詞者と歌い手の意志の疎通の悪さもあって、詞の「♪放れんだ!」を「はなれんだ!」と歌われてしまいましたが、今回はちゃんと「♪ほうれんだ!」にマイナーチェンジしていただきました(一同笑)。それと何といっても、ツアーをずっとこなしてきたのもあって、TERUの早口言葉が凄いグルーヴ感を生んでることに気がついていただけるのではないかと思っています。
JIRO:確かに今回の「SURVIVAL」のTERUの声は、一番いい形で出てる気がするな。

-----なんであそこは早口言葉にしたの?詞を優先した結果?

TAKURO:何でだっけな?・・・うん、詞を優先したのかな?
JIRO:今頃になってH Jungle・・・聴いて影響受けたんだよ。(一同爆笑)
TAKURO:そっか!俺は遅咲きのヒーローだからな。(一同再爆笑)

-----「SURVIVAL」は、今年の春から夏にかけて全力疾走したGLAYのテーマソングだった気がするよ。詞も曲もサウンドも斬新だし、VIDEOシングルのみのリリースっていうリリース・アプローチも全て含め、突き抜け感がハンパじゃないシングルだったし。

TAKURO:そう言ってくれると嬉しいなぁ。でも当初は「シングルとしては弱いんじゃないか」ってレコード会社からも言われて、まぁそれで少し不安に思ってVIDEOシングル・バージョンは、やけに派手なシンセサイザーの音に頼ったりしてるんだよね。それが後から考えると心残りで、今回はそういったものは全部外して佐久間(正英)さんのピアノだけ重ねたの。
JIRO:佐久間さんってプロデューサーの時は威厳があるんだけど、プレイする時は只のミュージシャンになっちゃうというか、腰が低くなっちゃうんだよね。「これでいいですかねぇ〜」なんて(笑)。幕張にもキーボードで参加していただいたんですが、ライヴのリハの時も「ここの音何でしたっけ?」って感じで、ホント腰低くなっちゃう(笑)。
TAKURO:ちなみに佐久間さん、俺に「今回のJIROのベースプレイは文句無しに凄いよ。驚異的な成長を遂げている」って言ってたよ、ホントに。
JIRO:(嬉笑)・・・全然練習して無いっスけどね。申し訳ないけど(笑)。

-----またぁ、密かにやってんでしょ?

TAKURO:神社とかでやってんじゃねぇーか?
JIRO:階段上り下りとか?(一同爆笑)

-----「SURVIVAL」より「ここではない、どこかへ」の方が少し地味な印象を抱いてたんだけど、ビデオ・クリップを観た時に曲のイメージが鮮やかになったよ。すばらしい色使いの映像だね。

JIRO:今まで組んでない新しい浅井さんという監督さんにお願いしたんです。the brilliant greenとかもやってらっしゃる方で、ヨーロッパ的で独特な色使いだよね。そうそう、あのビデオで曲のイメージがどんどんふくらんだ。
TAKURO:特に青が綺麗で、L.A.の空とは明らかに違う空の青、鮮やかな青。凄く気に入ってる映像に仕上げていただきました。そして「ここではない、どこかへ」という、この1行のセリフにより「HEAVY GAUGE」というアルバムは大きく前進したと思う。だって「ここではない、どこかへ」というセリフが全て言い当てている気がするんだよ。ここではない、どこかへ・・・行くんだかもしれないし、行かなければいけないのかもしれない。とにかく現状維持ではダメなんですよ。

-----なるほど。未知への決意・・・そしてもしかしたら不安感なんかも内包した言葉なのかもしれないね。

TAKURO:居たくても居たくなくても、図らずもどこかへ行かなければならない感じっていうか。
JIRO:「SURVIVAL」と「ここではない・・・」はシングルとして続いているからここでつながっているのは違和感が無いかもしれないけど、1〜3曲の激しい曲が続いてこの4曲目に「ここではない・・・」を聴く心地良さは感じていただけるんじゃないかな。それはこの曲をシングル単体で聴くより遥かに心地良くおもえるハズだね。

 

〜詞は俺の実話中の実話〜

-----さて続いて、「HAPPINESS」と「summer FM」。「HAPPINESS」は珍しいロック・ゴスペルだね。

TAKURO:自信作2曲です。「HAPPINESS」はアメリカン・ロック・バラードって感じです。コーラスはロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイアットの皆さん。blurのアルバムなんかにも参加している方々ですね。この曲と「Will Be King」に参加していただきました。「HAPPINESS」は曲が出来た瞬間頭の中でガンガンにゴスペルが鳴っていたんだよね。TERUに相談して裏声で仮に歌ってもらってイメージを固めて、もうどうしてもロンドンに行って録音しれこなきゃなって思った。実際成功した。音が少ない分、TERUのヴォーカルとゴスペル隊の声がグッと前に出てます。ギター・ソロも凄くいい。HISASHIいい仕事してますね(笑)。

-----ピアノ・ソロは?

TAKURO:あれは僕ですよ。

-----あっそうなんだ!TAKUROもいい仕事してるじゃない(笑)?

TAKURO:頑張りましたよ。まだ黒鍵使えないですけど(一同笑)。

-----「summer FM」は幕張でもホント気持ち良かったよ。

TAKURO:この曲は最初アルバムに入れる気全然無かったの。でも最後の最後までどうしても頭の中で鳴ってて、「あっ、これはアルバムがこの曲を欲しがっているんだ」って思って入れることにした。あとカップリングで終わらせたくなかったのもあるし、アルバムがヘビーになり過ぎるのを避けたかったっていうのもあった。大好きな曲なんだよね。

-----俺もFM大好き世代だから嬉しいよ。元々はbay fm(千葉エリア)・TERUのパーソナリティ番組「TERU ME NIGHT GLAY」のテーマ・ソングみたいな感じなんだよね?詞中の「マリブ」は稲毛のbay fmの「スタジオ・マリブ」から来てるんでしょ?

TAKURO:そうそう。パーソナリティって、JIROも俺もリタイヤしたんだけど、TERUはもう5年もあの番組続けてるんだよね。それでbay fmで1日中GLAYの特集組んでくれた時に、ふと思い付いて作った曲です。詞は俺の実話中の実話なの。
JIRO:GLAYの曲でここまで季節とか場所とか、設定がハッキリしている曲も珍しいよね。最後の最後でTAKUROクンがこの曲を入れるって言い出した時、なんかみんなホッとした気がしたね。マイナー系の曲で幕を開けたこのアルバムの中盤に、こういうPOPな曲が入ると、「やっぱり俺らはPOPな曲好きなんだ」って確認できたというか。

 

 

〜「BE WITH YOU」は「pure soul」と今策の「過程」〜

-----次は「LEVEL DEVIL」と「BE WITH YOU」。

JIRO:「LEVEL DEVIL」はロンドンでエンジニアのマイケルが借りてきた機材の名前なんだよね。「LEVEL DEVIL」っていうコンプレッサーのブースターの名前。コレを通して音を出すと音が少し太くなる機材なんですが、「LEVEL DEVIL」っていうネーミングのカッコ良さにもひかれましたね。TAKUROクンは最初、仮タイトルのつもりで付けてたんだけど、俺が何かに「LEVEL DEVIL」って書いてあるの見て、『この曲のタイトル「LEVEL DEVIL」で決定したんだ、カッコいいね』って言ったら『ホントそう思う?じゃそれでいいや』って言ってついたんだよね。

-----「summer FM」のエンディングと「LEVEL DEVIL」のイントロはクロスフェードでつながってるね。

TAKURO:多少コンサートの流れとかも考えてそうしましたね。「summer FM」のエンディングのピアノは、俺が俺の部屋のピアノで録ってて、窓を開けて外で鳴いてる蝉の声まで録って、今年の夏を強烈に印象付けたかったの。そしてそこからHISASHIが作った「LEVEL DEVIL」のSEに重ねてクロスフェードしていくという演出にしたかったからこうなった。

-----「LEVEL DEVIL」のイントロSEは女性の声が聞こえるけど・・・?

TAKURO:HISASHIの中にはアジアの匂いが頭の中にはあったらしくて、そういう声をサンプリングしているみたいです。

-----詞で『 ○×△□蝶 』の伏字の箇所があるけど・・・。

TAKURO:そこはスバリ『ビビリンチョ』です。
JIRO:誰が聴いてもそう聴こえるって(笑)。今回のアルバム・ジャケットって暗闇で光るんですよ。通称『ピカリンコ・ジャケット』。

-----あっ、光るんだ。写真では見てたけど。「LEVEL DEVIL」は途中でリズムがハーフになるところのノイジーな演奏がスゴイね。

JIRO:実はあそこは最初のデモ・テープでは、TERUのRAPが入ってたんですよ。Dragon Ashばりの(笑)。・・・ウソ。でもなんかあんまりカッコ良くなくてボツになって、結局、俺のベース・ソロみたいになっちゃって。

-----「BE WITH YOU」出したのは去年だっけ?

TAKURO:去年の11月だったからね。この曲ではピアノを弾いています。
JIRO:この曲も録り直すかどうか悩んだよね。
TAKURO:シングルとしてもアルバムの曲としても、位置が中途半端な気がしたんだよね。

-----歌詞は最上級のラヴソングだったと思うけど?

TAKURO:うれしいな。歌詞的には自分の中でも5本の指に入る曲だとは思ってる。今までのアルバムには完成度と正直度っていう基準が俺の中にはあって、完成度という点においては「BELOVED」や「pure soul」の方が上だと思うんだけど、「BEAT out!」や今回のアルバムは正直度が高いから、その分、時代には迎合しないけど自分の心の中には大きく残るだろうなっていう予感がしてて、「BE WITH YOU」はその中の1曲ではあるんだけど・・・ちょっと言葉の選び方が甘ったるかったかな?っていうか、まだまだ理想を掲げた詞だなって思えて、今回の収録はためらっていたんですよ。

-----どうしても「pure soul」の制作直後であり、今作の最初だったっていう・・・。

JIRO:うん、そうだよね。「BE WITH YOU」は「pure soul」寄りの作品かもしれない。今回の「BE WITH YOU」のマスタリング中に、TAKUROクンが『♪あなたに会えた事・・・って凄げぇ歌い出しだよね』ってつぶやいてた(笑)
TAKURO:『HEAVY GAUGE』を前にした今思うと、「I'm in Love」もこの曲も理想を追いすぎている気がしないでもない。
JIRO:それくらい「pure soul」と『HEAVY GAUGE』は質感が違うんだよ。
TAKURO:そう。だからその『過程』として「BE WITH YOU」は収録すべきだと思った。でないと前作と今作が突飛なものになってしまうのも嫌だったし。

-----ドラマ主題歌に使われるのってどう?

TAKURO:曲が本当に強いものなのかどうかってだけ。俺らには関係ないと思う。ただ編集して切り刻まれるのはちょっと辛いかな。言いたい事が増えると必然的に曲は長くなるから、歌番組に出演して演奏したときもショート・ヴァージョンにする必要が生じたりね・・・そういうのも正直言うと辛い。でもライヴとは違うんだって割り切れてるつもりなんですけどね。

 

 

〜「Winter,again」にはアルバムに通じる『重さ』がある〜

-----9曲目は「Winter,again」、10曲目は「Will Be King」。「Winter,again」は当然だけど、北国出身のアーティストでなかえれば絶対に生み出せなかった曲だと思うよ。荘厳な冬の『白さ』とそこに生きる人達の強さとかが見事に描かれてる。

TAKURO:当時はそんなPOPな作品だとは思ってなかったんだけど、今聴くとPOPでした(笑)。HISASHIのギターとかもそうだけど、『HEAVY GAUGE』に通じる『重さ』はあるな、とは思う。

-----「Will Be King」が違う2曲を一緒にしたようなナンバーだね。

TAKURO:ほぼ同じ日に作った違う2曲で、作っているうちに『この2曲を一緒にしたらスゲェーな・・・』って思い付いてやってみたの。

-----『♪俺がここで すべて壊せたら』とは?

TAKURO:今ある人間関係とか、今守ってるものとか、築いてきたもの・・・それらを捨てる勇気があるか?って感じかな。

-----サビのメロディには、カウンター・メロディ的な英語詞のメロディが歌われているけど、歌詞にはその英語の部分は表記されていないね。

TAKURO:一応、英語の言葉は決め手TERうに歌ってもらってるんだけど、俺自身、まだ本当はどの言葉がベストなのか判断できていないんだよね。だから歌詞カードには記載しなかったの。

-----最後は11曲目「生きがい」と12曲目「Savile Row 〜ザヴィル・ロウ 3番地〜」。

TAKURO:「生きがい」はイントロのギターが好き。

-----人生を語った感じの詞だね。

TAKURO:そう・・・かな?友達のことだったりって感じ。

-----飲んだ時にTAKUROが人生を語るとこんな感じ?

TAKURO:俺はこんな風に語らないよ。飲むと明るいもん(笑)。
JIRO:TAKUROクンは語らないねぇ。・・・語るのはTERUだよ(一同爆笑)。HISASHIも語らない・・・ニヤニヤしてる(笑)。あっ、でもTAKUROクンはいつも何かに悩んでないとダメな人だから(一同笑)。
TAKURO:
あっ、そうそう。悩むのが仕事みたいなもんだから(一同爆笑)。
JIRO:
昔から今の状況に常に満足しない人だったから、そんな事に悩まなくてもいいんじゃない?って事まで昔から悩んでるよね。でもそれを曲に書ける人だから。「Savile Row・・・」の詞の中の迷いは、この曲を知る数日前にTAKUROクンから聞かされていた悩みのネタだったりした。でも難しい言葉に逃げないで、誰もが使う言葉で素直に悩みを表現してて、俺は好きだけどな。

-----
「Savile Row・・・」は珍しい曲調だね。

TAKURO:
サイモン&ガーファンクルみたいの「ボクサー」みたいなツー・フィンガーをやりたかったの。前からこう曲調は好きだけど、アルバムには合わないとかで陽の目を見なかったり・・・。
JIRO:デモ・テープとかではこういう曲昔からあったよね。ブルースっぽい曲だってあったけど、聴いた瞬間『それは無いよ』ってみんなに即効却下されたりね(笑)。
TAKURO:聴かせた俺が『俺もそう思う』とか言っちゃってる時あるもん(一同笑)。

-----なぜ『サヴィル ロウ3番地』?

TAKURO:シチュエーションはもちろんロンドンの街。
JIRO:サヴィル ロウって背広の名前の発祥の地らしいですよ。リージェント・ストリートの一つ向こうの通り。ちなみにリージェントはリーゼントの発祥の地だって話です(笑)。
TAKURO:ビートルズが屋上ライヴをやったアップルがあるのもザヴィル ロウ。そこを歩いてて思い付いた曲・・・って感じで。メロディだけで詞が無かった段階で、メンバーに『この曲の収録位置を決めて』って頼んだら、ラストだろうって言うから、アルバムの最後を飾るにふさわしいものにしようって思って書いた詞です。

-----OK!TAKURO、JIRO、終了です。お疲れ様!夜中まで本当に有難う!!

TAKURO:ふぁ〜、最後まで行って良かった。最後の方、ちょっと眠くなっちゃった(笑)。取り敢えずもう1杯飲もう(一同笑)。

 


■ 9月28日 都内・某飲み屋にて

・・・ラスト、編集長からのコメントが残ってます・・・。××
まだ実はインタビューがあるらしい・・・・・・・。



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