教育要領・保育指針
 

 保育指針 

第一章 総則


 保育所は、児童福祉法に基づき保育に欠ける乳幼児を保育することを目的とする児童福祉施設である。
 したがって、保育所における保育は、ここに入所する乳幼児の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしいものでなければならない。
 保育所は、乳幼児が、生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごすところである。保育所における保育の基本は、家庭や地域社会と連携を図り、保護者の協力の下に家庭養育の補完を行い、子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意し、自己を十分に発揮しながら活動できるようにすることにより、健全な心身の発達を図るところにある。
 そのために、養護と教育が一体となって、豊かな人間性を持った子どもを育成するところに保育所における保育の特性がある。
 また、子どもを取り巻く環境の変化に対応して、保育所には地域における子育て支援のために、乳幼児などの保育に関する相談に応じ、助言するなどの社会的役割も必要となってきている。
 このような理念や状況に基づき、保育を展開するに当たって必要な基本的事項をあげれば次のとおりである。


1 保育の原理

 (1) 保育の目標
   子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。その子どもが、現在を最もよく生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うことが保育の目標である。
   このため、保育は次の諸事項を目指して行う。
  ア 十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を適切に満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること。
  イ 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと。
  ウ 人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。
  エ 自然や社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の基礎を培うこと。
  オ 生活の中で、言葉への興味や関心を育て、喜んで話したり、聞いたりする態度や豊かな言葉を養うこと。
  カ 様々な体験を通して、豊かな感性を育て、創造性の芽生えを培うこと。

 (2) 保育の方法
   保育においては、保育士の言動が子どもに大きな影響を与える。したがって、保育士は常に研修などを通して、自ら、人間性と専門性の向上に努める必要がある。また、倫理観に裏付けられた知性と技術を備え、豊かな感性と愛情を持って、一人一人の子どもに関わらなければならない。
   このため、保育は、次の諸事項に留意し、第三章から第一〇章に示すねらいが達成されるようにする。
  ア 一人一人の子どもの置かれている状態及び家庭、地域社会における生活の実態を把握するとともに、子どもを温かく受容し、適切な保護、世話を行い、子どもが安定感と信頼感を持って活動できるようにすること。
  イ 子どもの発達について理解し、子ども一人一人の特性に応じ、生きる喜びと困難な状況への対処する力を育てることを基本とし、発達の課題に配慮して保育すること。
  ウ 子どもの生活のリズムを大切にし、自己活動を重視しながら、生活の流れを安定し、かつ、調和のとれたものにすること。特に、入所時の保育に当たっては、できるだけ個別的な対応を行うことによって子どもが安定感を得られるように努め、次第に主体的に集団に適応できるように配慮するとともに、既に入所している子どもに不安や動揺を与えないように配慮すること。
  エ 子どもが自発的、意欲的に関われるような環境の構成と、そこにおける子どもの主体的な活動を大切にし、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように遊びを通して総合的に保育を行うこと。
  オ 一人一人の子どもの活動を大切にしながら、子ども相互の関係づくりや集団活動を効果あるものにするように援助すること。
  カ 子どもの人権に十分配慮するとともに、文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるようにすること。
  キ 子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別による固定的な役割分業意識を植え付けることのないように配慮すること。
  ク 子どもに、身体的苦痛を与え、人格を辱めることなどがないようにすること。
  ケ 保育に当たり知り得た子どもなどに関する秘密は、正当な理由なく漏らすこ
   とがないようにすること。

 (3) 保育の環境
   保育の環境には、保育士や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、さらには、自然や社会の事象などがある。そして、人、物、場が相互に関連し合って、子どもに一つの環境状況をつくり出す。
   こうした環境により、子どもの生活が安定し、活動が豊かなものとなるように、計画的に環境を構成し、工夫して保育することが大切である。
   保育所の施設、屋外遊戯場は、子どもの活動が豊かに展開されるためにふさわしい広さを持ち、遊具・用具その他の素材などを整え、それらが十分に活用されるように配慮する。施設では、採光、換気、保温、清潔など環境保健の向上に努め、特に、危険の防止と災害時における安全の確保について十分に配慮する。また、午睡・休息が必要に応じて行えるようにする。保育室は、子どもにとって家庭的な親しみとくつろぎの場となるとともに、いきいきと活動ができる場となるように配慮する。
   さらに、自然や社会の事象への関心を高めるように、それらを取り入れた環境をつくることに配慮する。


2 保育の内容構成の基本方針

 (1) ねらい及び内容
   保育の内容は、「ねらい」及び「内容」から構成される。
   「ねらい」は、保育の目標をより具体化したものである。これは、子どもが保育所において安定した生活と充実した活動ができるようにするために、「保育士が行わなければならない事項」及び子どもの自発的、主体的な活動を保育士が援助することにより、「子どもが身につけることが望まれる心情、意欲、態度などを示した事項」である。
   「内容」は、これらのねらいを達成するために、子どもの状況に応じて保育士が適切に行うべき基礎的な事項及び保育士が援助する事項を子どもの発達の側面から示したものである。
   内容のうち、子どもが保育所で安定した生活を送るために必要な基礎的な事項、すなわち、生命の保持及び情緒の安定に関わる事項は全年齢について示してあるが、特に、三歳以上児の各年齢の内容においては、これらを「基礎的事項」としてまとめて示してある。また、保育士が援助して子どもが身に付けることが望まれる事項について発達の側面から以下の領域が設けられている。心身の健康に関する領域である「健康」、人との関わりに関する領域である「人間関係」、身近な環境との関わりに関する領域である「環境」、言葉の獲得に関する領域である「言葉」及び感性と表現に関する領域である「表現」の五領域を設定して示してあるが、この五領域は、三歳未満児については、その発達の特性からみて各領域を明確に区分することが困難な面が多いので、五領域に配慮しながら、基礎的な事項とともに一括して示してある。なお、保育は、具体的には子どもの活動を通して展開されるものであるので、その活動は一つの領域だけに限られるものではなく、領域の間で相互に関連を持ちながら総合的に展開していくものである。
   保育の内容の発達過程区分については、六か月未満児、六か月から一歳三か月未満児、一歳三か月から二歳未満児、さらに二歳児から六歳児までは一年ごとに設定し、それぞれのねらいと内容を第三章から第一〇章に示してある。
   なお、発達過程の区分による保育内容は組やグループ全員の均一的な発達の基準としてみるのではなく、一人一人の乳幼児の発達過程として理解することが大切である。

 (2) 保育の計画
   保育の計画は、全体的な計画と具体的な計画について作成する必要があり、その作成に当たっては柔軟で発展的なものとなるように留意することが重要である。
   全体的な計画は、「保育計画」とし、入所している子ども及び家庭の状況や保護者の意向、地域の実態を考慮し、それぞれの保育所に適したものとなるように作成するものとする。
   また、保育計画は、保育の目標とそれを具体化した各年齢ごとのねらいと内容で構成され、さらに、それらが各年齢を通じて一貫性のあるものとする必要がある。
   また、保育計画に基づいて保育を展開するために、具体的な計画として、「指導計画」を作成するものとする。
   さらに、家庭や地域社会の変化に伴って生じる多様な保育需要に対しては、地域や保育所の特性を考慮して柔軟な保育の計画を作成し、適切に対応することが必要である。保育の計画を踏まえて保育が適切に進められているかどうかを把握し、次の保育の資料とするため、保育の経過や結果を記録し、自己の保育を評価し反省することに努めることが必要である。








新教育要領 年少 年中 年長

ねらい及び内容
(各年に応じた5つの領域を主体とした学校教育)



保育指針
第1章 総則
第2章 子どもの発達
第3章 6か月未満児の保育の内容
第4章 6か月から1歳3か月未満児の保育の内容
第5章 1歳3か月から2歳未満児の保育の内容
第6章 2歳児の保育の内容
第7章 3歳児の保育の内容
第8章 4歳児の保育の内容
第9章 5歳児の保育の内容
第10章 6歳児の保育の内容
第11章 保育の計画作成上の留意事項
第12章 健康・安全に関する留意事項