教育要領・保育指針
 

 保育指針 

第四章 六か月から一歳三か月未満児の保育の内容


1 発達の主な特徴

  子どもは、この時期、前期に引き続き急速な発育・発達が見られる。六か月を過ぎると、身近な人の顔が分かり、あやしてもらうと非常に喜ぶようになる。視野の中にある新しい刺激、変化に富む刺激、より複雑な刺激を次第に求める積極性や選択性は、初期から認められる。
  しかし、六か月頃より、母体から得た免疫は次第に弱まり、感染症にかかりやすくなる。この時期の座る、はう、立つといった運動や姿勢の発達は、子どもの遊びや生活を変化させ、生活空間を大きく変え、直立歩行へと発展し、さらに、手の運動なども発達して、次第に手を用いるようになる。さらに、言葉が分かるようになり、離乳食から幼児食へと変化することによって、乳児期から幼児期への移行を迎える。
  本来、子どもは生理的に未熟であり、体外の豊かで変化に富んだ応答的環境の中で生活することによって、人間として生まれながらに持っている能力を社会的な環境に適応させながらうまく発現していく必要があることから、この時期は、極めて大切である。
  七か月頃から一人で座れるようになり、座った姿勢でも両手が自由に使えるようになる。
  また、この時期には人見知りが激しくなるが、一方では、見慣れた人にはその身振りをまねて「ニギニギ」をしたり「ハイハイ」などをして積極的に関わりを持とうとする。この気持ちを大切に受け入れ応答することが情緒の安定にとって重要である。こうした大人との関係の中で喃語は変化に富み、ますます盛んになる。
  九か月頃までには、はうことや両手に物を持って打ちつけたり、たたき合わせたりすることができるようになる。身近な大人との強い信頼関係に基づく情緒の安定を基盤にして、探索活動が活発になってくる。また、情緒の表現、特に表情もはっきりしてきて、身近な人や欲しいものに興味を示し、自分から近づいていこうとするようになる。
  さらに、簡単な言葉が理解できるようになり、自分の意思や欲求を身振りなどで伝えようとするようになる。
  一歳前後には、つかまり立ち、伝い歩きもできるようになり、外への関心も高まり、手押し車を押したりすることを好むようになる。また、喃語も、会話らしい抑揚がつくようになり、次第にいくつかの身近な単語を話すようになる。


2 保育士の姿勢と関わりの視点

  身近な人を区別し、安定して関われる大人を求めるなど、特定の保育士との関わりを基盤に、歩行や言葉の獲得に向けて著しく発達するので、一人一人の欲求に応え、愛情をこめて、応答的に関わるようにする。家庭との連携を密にし、一日二四時間を視野に入れた保育を心がけ、生活が安定するようにする。


3 ねらい

 (1) 保健的で安全な環境をつくり、体の状態を細かく観察し、疾病や異常の発見に努め、快適に生活できるようにする。
 (2) 一人一人の子どもの生活のリズムを重視して、食欲、睡眠、排泄などの生理的欲求を満たし、生命の保持と生活の安定を図る。
 (3) 一人一人の子どもの甘えなどの依存欲求を満たし、情緒の安定を図る。
 (4) 離乳を進め、様々な食品に慣れさせながら幼児食への移行を図る。
 (5) 姿勢を変えたり、移動したり様々な身体活動を十分に行えるように、安全で活動しやすい環境を整える。
 (6) 優しく語りかけたり、発声や喃語に応答したりして、発語の意欲を育てる。
 (7) 聞く、見る、触るなどの経験を通して、感覚や手や指の機能を働かそうとする。
 (8) 絵本や玩具、身近な生活用具が用意された中で、身の回りのものに対する興味や好奇心が芽生える。


4 内容

 (1) 一人一人の子どもの健康状態を把握し、異常のある場合は適切に対応する。
 (2) 一人一人の子どもの心身の発育や発達の状態を的確に把握する。
 (3) 体、衣服、身の回りにあるものを、常に清潔な状態にしておく。
 (4) 一人一人の子どもの生理的欲求を十分に満たし、保育士の愛情豊かな受容により気持ちのよい生活ができるようにする。
 (5) 楽しい雰囲気の中で、喜んで食事ができるようにし、嘱託医などと相談して離乳を進めながら、次第に幼児食に移行させる。
 (6) 一人一人の子どもの生活のリズムを大切にしながら、眠いときは安心して十分に眠ることができるようにする。
 (7) 一人一人の子どもの排尿間隔を把握しながら、おむつが汚れたら、優しく言葉をかけながらこまめに取り替え、きれいになった心地よさを感じることができるようにする。
 (8) 一人一人の子どもの状態に応じて、嘱託医などと相談して、積極的に健康増進を図る。
 (9) 室内外の温度、湿度に留意し、子どもの健康状態に合わせて衣服の調節をする。
 (10) 食事の前後や汚れたときは、顔や手を拭いて、清潔になることの快さを喜ぶようにする。
 (11) 寝返り、はいはい、お座り、伝い歩き、立つ、歩くなどそれぞれの状態に合った活動を十分に行う。
 (12) つまむ、たたく、ひっぱるなど手や指を使って遊ぶ。
 (13) 喃語や片言を優しく受け止めてもらい、発語や保育士とのやりとりを楽しむ。
 (14) 生活や遊びの中での保育士のすることに興味を持ったり、模倣したりすることを楽しむ。
 (15) 保育士の歌を楽しんで聞いたり、歌やリズムに合わせて手足や体を動かして楽しむ。
 (16) 保育士と一緒にきれいな色彩のものや身近なものの絵本を見る。
 (17) 保育士に見守られて、玩具や身の回りのもので一人遊びを十分に楽しむ。


5 配慮事項

 (1) 感染症にかかりやすいので、発熱など体の状態、機嫌、元気さなど日常の状態の観察を十分に行い、変化が見られたときには適切に対応する。
 (2) 一人一人の子どもの発育・発達状態を適切に把握し、家庭と連携をとりながら、個人差に応じて保育する。
 (3) 特定の保育士との温かいふれあい、保育士の優しい語りかけが、子どもの情緒を安定させ、順調な発育・発達を支えることを認識して子どもに接するように心掛ける。
 (4) 授乳、離乳は一人一人の子どもの健康状態や食欲に応じて行うとともに、発育・発達状態に応じて食品や調理形態に変化を持たせるなどして離乳を進め、適切な時期に離乳を完了し、幼児食に移行する。
 (5) 食事においては、咀嚼〈そしゃく〉や嚥下〈えんげ〉の発達を適切に促せるように、食品や調理形態に配慮し、子どもが自分から食べようとする意欲や行動を大切にしながら適切な援助を行う。
 (6) 季節や一人一人の子どもの健康状態や活動状況に応じて睡眠できるように配慮し、また、睡眠中の状態の観察を怠ることなく、室温、衣服、寝具に配慮するとともに、起床後の健康状態や転落その他の事故がないように十分に注意する。
 (7) 食事、排泄などへの対応は、一人一人の子どもの発育・発達状態に応じて、急がせることなく無理のないように行い、上手にできたときにはほめるなどの配慮をする。
 (8) 健康増進を図るための活動は、一人一人の子どもの発育・発達状態、健康状態や気候などに配慮して行い、活動後は子どもの状態を十分に観察する。
 (9) 楽しい雰囲気の中での保育士との関わり合いを大切にし、ゆっくりと優しく話しかけるなど積極的に相手になって、言葉のやりとりを楽しむことができるように配慮する。
 (10) 発達が進み、新しい行動が可能となると行動範囲が広がるので、身の回りのものなどについてはいつも十分な点検を行い、安全を確認した上で探索意欲を満たして自由に遊べるようにする。この時期には伝い歩きが始まるが、はうことも十分に経験できるようにする。
 (11) 行動が活発になるので、十分な休息がとれるように配慮する。
 (12) 抱かれたり、一人歩きなどで、身近な自然の素材、生き物、乗り物などに接して楽しむ機会を持ち、子どもの外界への関心を広げるように配慮する。
 (13) 遊びにおいては、個人差の大きい時期なので、一人一人の子どもの発育・発達状態をよく把握し、子どもが興味を持ち、自分からしてみようとする意欲を大切にし、温かく見守る。
 (14) 保育士の優しい歌声や、快い音楽を聴く機会を豊富にし、また、好きな歌や音楽は繰り返すようにして、満足感を味わえるようにする。さらに、大人の動作を見て模倣をする喜びを味わえるようにする。








新教育要領 年少 年中 年長

ねらい及び内容
(各年に応じた5つの領域を主体とした学校教育)



保育指針
第1章 総則
第2章 子どもの発達
第3章 6か月未満児の保育の内容
第4章 6か月から1歳3か月未満児の保育の内容
第5章 1歳3か月から2歳未満児の保育の内容
第6章 2歳児の保育の内容
第7章 3歳児の保育の内容
第8章 4歳児の保育の内容
第9章 5歳児の保育の内容
第10章 6歳児の保育の内容
第11章 保育の計画作成上の留意事項
第12章 健康・安全に関する留意事項