教育要領・保育指針
 

 保育指針 

第七章 三歳児の保育の内容


1 発達の主な特徴

  子どもは、この時期までに、基礎的な運動能力は一応育ち、話し言葉の基礎もでき、食事・排泄などもかなりの程度自立できるようになってくる。
  これまでは、何かにつけ保育士に頼り、保育士との関係を中心に行動していた子どもも、一人の独立した存在として行動しようとし、自我がよりはっきりしてくる。
  そして、他の子どもとの関係が子どもの生活、特に遊びにとって重要なものとなってくる。他の子どもとの触れ合いの中で、少しずつ友達と分け合ったり、順番を守って遊んだりできるようになる。この段階では、子ども自身は友達と遊んだつもりになっていても、実際にはまだ平行遊びが多い。しかし、この時期に仲間と一緒にいて、その行動を観察し模倣することの喜びを十分に味わうことは、社会性の発達を促し、ひいてはより豊かな人間理解へとつながっていく大切な基礎固めになる。
  注意力や観察力はますます伸びて、身の回りの大人の行動や日常経験していることなどを取り入れたりしてごっこ遊びの中に再現するので、これまでのごっこ遊びより組織的になって、遊びの内容にも象徴機能や創造力を発揮した発展性が見られるようになり、遊びがかなりの時間持続する。
  この頃、「なぜ」「どうして」などの質問が盛んになり、ものの名称やその機能などを理解しようとする知識欲が強くなり、言葉はますます豊かになってくる。そして、自分の行動や体験を通した現実的で具体的な範囲であれば、「こうするとこうなる」など、あらかじめ、結果について予想をすることができるようになってきて、自分のしようとすることにも段々と意図と期待を持って行動できるようになる。また、簡単な話の筋も分かるようになり、話の先を予想したり、自分と同化して考えたりできるようになる。
  さらに、この時期には、きまりを守って自分から「・・・をしよう」という気持ちも現われてきて「・・・するつもり」という思いを抱くようになる。また、進んで保育士の手伝いを行ったりするようになり、人の役に立つことに誇りや喜びを抱
 くようになる。


2 保育士の姿勢と関わりの視点

  心身ともに、めざましい発育・発達を示すときであり、それだけにていねいな対応が求められる。自我がはっきりしてくるものの、それをうまく表現や行動に表すことができないところもあり、一人一人の発達に注目しながら、優しく受け止める配慮を欠かしてはならない。


3 ねらい

 (1) 保健的で安全な環境をつくり、快適に生活できるようにする。
 (2) 一人一人の子どもの欲求を十分に満たし、生命の保持と情緒の安定を図る。
 (3) 楽しんで食事や間食をとることができるようにする。
 (4) 午睡など適切な休息をとらせ、心身の疲れを癒し、集団生活による緊張を緩和する。
 (5) 食事、排泄、睡眠、衣服の着脱などの生活に必要な基本的な習慣が身につくようにする。
 (6) 外遊びを十分にするなど、遊びの中で体を動かす楽しさを味わう。
 (7) 身近な人と関わり、友達と遊ぶことを楽しむ。
 (8) 身近な動植物や自然事象に親しみ、自然に触れ十分に遊ぶことを楽しむ。
 (9) 身近な社会事象に親しみ、模倣したりして遊ぶことを楽しむ。
 (10) 身近な環境に興味を持ち、自分から関わり、生活を広げていく。
 (11) 生活に必要な言葉がある程度分かり、したいこと、して欲しいことを言葉で表す。
 (12) 絵本、童話、視聴覚教材などを見たり聞いたりして、その内容や面白さを楽しむ。
 (13) 様々なものを見たり触れたりして、面白さ・美しさなどに気づく。
 (14) 感じたことや思ったことを描いたり、歌ったり、体を動かしたりして、自由に表現しようとする。


4 内容

 〔基礎的事項〕
 (1) 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育・発達状態を把握し、異常を感じる場合は速やかに適切に対応する。また、子どもが自分から体の異常を訴えることができるようにする。
 (2) 施設内の環境保健に十分に留意し、快適に生活できるようにする。
 (3) 一人一人の子どもの気持ちや考えを理解して受容し、保育士との信頼関係の中で、自分の気持ちや考えを安心して表すことができるなど情緒の安定した生活ができるようにする。
 (4) 食事、排泄、睡眠、休息など生理的欲求が適切に満たされ、快適な生活や遊びができるようにする。

 「健康」
 (1) 楽しい雰囲気の中で、様々な食べ物を進んで食べようとする。
 (2) 便所には適宜一人で行き、排尿、排便を自分でする。
 (3) 保育士に寄り添ってもらいながら、午睡などの休息を十分にとる。
 (4) 保育士の手助けを受けながら、衣服を自分で着脱する。
 (5) 保育士の手助けにより、自分で手洗いや鼻をかむなどして清潔を保つ。
 (6) 体の異常を、少しは自分から訴える。
 (7) 危ない場所に近づくことが少なくなり、危険な遊びに気づく。
 (8) 外で十分に体を動かしたり、様々な遊具や用具などを使った運動や遊びを楽しむ。

 「人間関係」
 (1) 保育士に様々な欲求を受け止めてもらい、保育士に親しみを持ち安心感を持って生活する。
 (2) 友達とごっこ遊びなどを楽しむ。
 (3) 遊具や用具などを貸したり借りたり、順番を待ったり交代したりする。
 (4) 簡単なきまりを守る。
 (5) 保育士の手伝いをすることを喜ぶ。
 (6) 遊んだ後の片づけをするようになる。
 (7) 年上の友達と遊んでもらったり、模倣して遊んだりする。
 (8) 地域の人と触れ合うことを喜ぶ。

 「環境」
 (1) 身近な動植物をはじめ自然事象をよく見たり、触れたりなどして驚き、親しみを持つ。
 (2) 身近な人々の生活を取り入れたごっこ遊びを楽しむ。
 (3) 自分のものと人のものとの区別を知り、共同のものとの区別にも気づく。
 (4) 身近な事物に関心を持ち、触れたり、集めたり、並べたりして遊ぶ。
 (5) 様々な用具、材料に触れ、それを使って遊びを楽しむ。
 (6) 生活や遊びの中で、身の回りの物の色、数、量、形などに興味を持ち、違いに気づく。
 (7) 保育所の行事に参加して、喜んだり楽しんだりする。

 「言葉」
 (1) あいさつや返事など生活や遊びに必要な言葉を使う。
 (2) 自分の思ったことや感じたことを言葉に表し、保育士や友達と言葉のやりとりを楽しむ。
 (3) 保育士にして欲しいこと、困ったことを言葉で訴える。
 (4) 保育士に、いろいろな場面で、なぜ、どうして、などの質問をする。
 (5) 興味を持った言葉を、面白がって聞いたり言ったりする。
 (6) 絵本や童話などの内容が分かり、イメージを持って楽しんで聞く。
 (7) ごっこ遊びの中で、日常生活での言葉を楽しんで使う。

 「表現」
 (1) 身の回りの様々なものの音、色、形、手ざわり、動きなどに気づく。
 (2) 音楽に親しみ、聞いたり、歌ったり、体を動かしたり、簡単なリズム楽器を鳴らしたりして楽しむ。
 (3) 様々な素材や用具を使って、好きなように描いたり、扱ったり、形を作ったりして遊ぶ。
 (4) 動物や乗り物などの動きを模倣して、体で表現する。
 (5) 絵本や童話などに親しみ、興味を持ったことを保育士と一緒に言ったり、歌ったりなど様々に表現して遊ぶ。


5 配慮事項

 〔基礎的事項〕
 (1) 一人一人の子どもの平常の健康状態をよく観察し、異常を早く発見できるように注意する。異常を少しでも感じたら速やかに適切な対応をする。
 (2) その時の気候や子どもの状態をよく把握し、気持ちよく活動できるように環境を整える。特に、施設内の採光、換気、保温、清潔など環境保健に配慮する。
 (3) 子どもの気持ちを温かく受容し、やさしく応答し、保育士と一緒にいることで安心できるような関係をつくるように配慮する。

 「健康」
 (1) 身の回りのことは一応自分でできるようになるが、自分でしようとする気持ちを大切にしながら、適切な援助をするように配慮する。
 (2) 食事は、摂取量に個人差が生じたり、偏食が出やすいので、一人一人の心身の状態を把握し、楽しい雰囲気の中でとれるように配慮する。
 (3) 用具、遊具などを扱う場合は、特に安全に配慮する。

 「人間関係」
 (1) 友達との関係については、保育士や遊具その他のものを仲立ちとして、その関係が持てるように配慮する。
 (2) 初めて集団生活する子どもには、特に心身の疲労を緩和するように配慮し、個別に対応しながら、次第に集団生活に適応できるように他の子どもとの触れ合いの機会を多くするなど配慮する。

 「環境」
 (1) 身近の様々なものに興味を持つので、その興味、探索意欲などを十分に満足させるように環境を整え、保健、安全面に留意して意欲的に関われるようにする。
 (2) 身の回りの出来事や住んでいる地域の人々の生活が自分の生活と関わりがあることに気づくように配慮する。

 「言葉」
 (1) 子どもが保育士に話したいことの意味をくみ取るように努め、話したいという気持ちを十分に満たすことができるように配慮する。
 (2) 絵本や童話、紙芝居などの面白さが分かるように配慮するとともに、生活の中でできるだけ言葉と行動や出来事が結びつくように配慮する。
 (3) 言葉は、聞いて覚えるものであることに着目し、保育士は自らの言葉遣いに配慮する。

 「表現」
 (1) 身近なものに直接触れたり扱ったりして、新しいものに驚いたり不思議に思うなど感動する経験が広がるように配慮する。
 (2) 一人一人の子どもの興味や自発性を大切にし、自分から表現しようとする気持ちが育つように配慮する。








新教育要領 年少 年中 年長

ねらい及び内容
(各年に応じた5つの領域を主体とした学校教育)



保育指針
第1章 総則
第2章 子どもの発達
第3章 6か月未満児の保育の内容
第4章 6か月から1歳3か月未満児の保育の内容
第5章 1歳3か月から2歳未満児の保育の内容
第6章 2歳児の保育の内容
第7章 3歳児の保育の内容
第8章 4歳児の保育の内容
第9章 5歳児の保育の内容
第10章 6歳児の保育の内容
第11章 保育の計画作成上の留意事項
第12章 健康・安全に関する留意事項