教育要領・保育指針
 

 保育指針 

第一〇章 六歳児の保育の内容


1 発達の主な特徴

  子どもは、この時期、細かい手や指の動きは一段と進み、他の部分との協応もうまくできるようになってくる。また、全身運動もよりなめらかになり、快活に跳び回るようになる。心身ともに力に満ちあふれ、あれもしたい、これもしたいという自分の欲求がどんどん膨らんでくる。これは、今までの自分たちの体験を通じて、自分あるいは自分たちはこんなことができるという自信と、今度はこうやればもっとおもしろいにちがいないという予想や見通しをたてる能力が育っているからである。
  この頃になると、大人のいいつけに従うよりも自分や仲間の意思を大切にし、それを通そうとするようになる。仲間同士で秘密の探検ごっこなどを嬉々としてする。このような活動の中でも、皆が同じような行動をするのではなくて、それぞれの役割の分担が生じて、自分の好みや個性に応じた立場で行動していることがしばしば見られる。このように集団遊びとして組織だった共同遊びが多くなり、長く続くようになってくる。特に、ごっこ遊びなどには、手の込んだ一連の流れがあり、様々な異なる役割が分化しているものを好み、少々難しくても自分たちの満足のいくまでやろうとする。したがって、各々の発案や実際の過程の観察、様々なところからの知識を生かして、創意工夫を重ねて、遊びが発展していくこともある。
  このような体験から大人っぽくなったという実感が湧き、自分でも大きな子のように振る舞おうと努力するようになる。その結果、文字を書いたり、本を読んだりすることにも大いに関心を示し、何でも知ろうとして、一層知識欲が増す。また、言葉が達者になり、口げんかが多くなる。そして、その批判力は大人にも向けられることもある。しかし、人前で泣くことは子どもっぽいこととして恥ずかしく思って、我慢をしたりするようにもなるが、時々保育士に甘えてきて、次にがんばるためのエネルギーを補給していることもある。


2 保育士の姿勢と関わりの視点

  様々な遊びが大きく発展するときで、特に一人一人がアイデアを盛り込んで創意工夫をこらす。また、思考力や認識力よりも豊かに身につくときである。したがって、保育材料をはじめ様々な環境の設定に留意する必要がある。


3 ねらい

 (1) 保健的で安全な環境をつくり、快適に生活できるようにする。
 (2) 一人一人の子どもの欲求を十分に満たし、生命の保持と情緒の安定を図る。
 (3) できるだけ多くの種類の食べ物をとり、楽しんで食事や間食をとるようにする。
 (4) 午睡など適切な休息をとらせ、心身の疲れを癒し、集団生活による緊張を緩和する。
 (5) 体や病気について関心を持ち、健康な生活に必要な基本的な習慣や態度を身につける。
 (6) 安全に必要な基本的な習慣や態度を身につけ、そのわけを理解して行動する。
 (7) 様々な遊具や用具を使い、複雑な運動や集団的な遊びを通して体を動かすことを楽しむ。
 (8) 進んで身近な人と関わり、信頼感や愛情を持って生活する。
 (9) 身近な人との関わりの中で、人の立場を理解して行動し、進んで集団での活動に参加する。
 (10) 進んで異年齢の子どもたちと関わり、生活や遊びなどで役割を分担する楽しさを味わう。
 (11) 身近な社会や自然の環境に自ら関わり、それらと自分たちの生活との関係に気づき、生活や遊びに取り入れる。
 (12) 身近な事物や事象に積極的に関わり、見たり扱ったりする中で、その性質や数、量、形への関心を深める。
 (13) 自分の経験したこと、考えたことなどを適切な言葉で表現し、相手と伝え合う楽しさを味わう。
 (14) 人と話し合うことや、身近な文字に関心を深め、読んだりすることの楽しさを味わう。
 (15) 絵本や童話、視聴覚教材などを見たり、聞いたりして様々なイメージを広げるとともに、想像することの楽しさを味わう。
 (16) 身近な社会や自然事象への関心を深め、美しさ、やさしさ、尊さなどに対する感覚を豊かにする。
 (17) 感じたことや思ったこと、想像したことなどを、様々な方法で工夫して自由に表現する。


4 内容

 〔基礎的事項〕
 (1) 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育・発達状態を把握し、異常を感じる場合は速やかに適切な対応をする。また、子どもが自分から体の異常を保育士に訴えることができるようにする。
 (2) 施設内の環境保健に十分に留意し、快適に生活できるようにする。
 (3) 一人一人の子どもの気持ちや考えを理解して受容し、保育士との信頼関係の中で自分の気持ちや考えを安心して表すことができるなど、情緒の安定した生活ができるようにする。
 (4) 食事、排泄、睡眠、休息など生理的欲求が適切に満たされ、快適な生活や遊びができるようにする。

 「健康」
 (1) 体と食物との関係について関心を持つ。
 (2) 自分の排泄の後始末だけでなく、人に迷惑をかけないように便所の使い方が上手になる。
 (3) 休息するわけが分かり、運動や食事の後は静かに休む。
 (4) 自分で衣服を着脱し、必要に応じて調節する。
 (5) 清潔にしておくことが、病気の予防と関係があることが分かり、体や衣服、持ち物などを清潔にする。
 (6) 自分や友達の体の異常について、保育士に知らせる。
 (7) 生活の中で、危険を招く事態が分かり、気をつけて行動する。
 (8) 積極的に外で様々な運動をする。
 (9) 様々な運動器具や遊具を使い、友達と一緒に工夫して、遊びを発展させる。
 (10) 自分の目標に向かって努力し、積極的に様々な運動をする。

 「人間関係」
 (1) 保育士や友達などとの安定した関係の中で、意欲的に生活や遊びを楽しむ。
 (2) 集団遊びの楽しさが分かり、きまりを作ったり、それを守ったりして遊ぶ。
 (3) 進んで自分の希望や意見、立場を主張したり、一方で相手の意見を受け入れたりする。
 (4) 友達との生活や遊びの中できまりがあることの大切さに気づく。
 (5) 自分で目標を決め、それに向かって友達と協力してやり遂げようとする。
 (6) 友達との関わりの中でよいことや悪いことがあることが分かり、判断して行動する。
 (7) 共同の遊具や用具を大切にし、譲り合って使う。
 (8) 自分より年齢の低い子どもに、自ら進んで声かけをして誘い、いたわって遊ぶ。
 (9) 外国の人など自分とは異なる文化をもった様々な人に関心を持ち、知ろうとするようになる。

 「環境」
 (1) 身近な動植物に親しみ、いたわったり、進んで世話をしたりする。
 (2) 自然事象の性質や変化、大きさ、美しさ、不思議さなどに関心を深める。
 (3) 身近な公共施設などの役割に興味や関心を持つ。
 (4) 保育所や地域でみんなが使うものを大切にする。
 (5) 大人が仕事をすることの意味が分かり、工夫して手伝いなどをするようになる。
 (6) 季節により人間の生活に変化のあることに気づく。
 (7) 季節により自然に変化があることが分かり、それについて理解する。
 (8) 自然や身近な事物・事象に関心を持ち、それらを取り入れて遊ぶ。
 (9) 日常生活に必要な用具、器具などに興味や関心を持ち、安全に扱う。
 (10) 身近にある事物の働きや仕組み、性質に興味や関心を持ち、考えたり、試したり、工夫したりして使おうとする。
 (11) 身近なものを整頓する。
 (12) 日常生活の中で簡単な数を数えたり、順番を理解する。
 (13) 日常生活の中で数や量の多少は、形に関わりがないことを理解する。
 (14) 身近にある標識や文字、記号などに関心を示す。
 (15) 身の回りの物には形や位置などがあることに関心を持つ。
 (16) 生活や遊びの中で時刻、時間などに関心を持つ。
 (17) 保育所内外の行事に進んで参加し、自分なりの役割を果たす。
 (18) 祝祭日などに関心を持ち生活に取り入れて遊ぶ。

 「言葉」
 (1) 日常のあいさつ、伝言、質問、応答、報告が上手になる。
 (2) 身近な事物や事象について話したり、日常生活に必要な言葉を適切に使う。
 (3) みんなで共通の話題について話し合うことを楽しむ。
 (4) 話し相手や場面の違いにより、使う言葉や話し方が違うことに気づく。
 (5) 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
 (6) 童話や詩などの中の言葉の面白さ、美しさに気づき、自ら使って楽しむ。
 (7) 絵本や物語などに親しみ、内容に興味を持ち、様々に想像して楽しむ。
 (8) 身近にある文字や記号などに興味や関心を持ち、それを使おうとする。

 「表現」
 (1) 様々な音、形、色、手ざわり、動きなどに気づき、感動したこと、発見したことなどを創造的に表現する。
 (2) 音楽に親しみ、みんなと一緒に聴いたり、歌ったり、踊ったり、楽器を弾いたりして、音色やリズムの楽しさを味わう。
 (3) 様々な素材や用具を適切に使い、経験したり、想像したことを、創造的に描いたり、作ったりする。
 (4) 身近な生活に使う簡単や物や、遊びに使う物を工夫して作って楽しむ。
 (5) 協力し合って、友達と一緒に描いたり、作ったりすることを楽しむ。
 (6) 感じたこと、想像したことを、言葉や体、音楽、造形などで自由な方法で、様々な表現を楽しむ。
 (7) 自分や友達の表現したものを互いに聞かせ合ったり、見せ合ったりして楽しむ。
 (8) 身近にある美しいものを見て、身の回りを美しくしようとする気持ちを持つ。


5 配慮事項

 〔基礎的事項〕
 (1) 一人一人の子どもの平常の状態を把握し、異常に気づいたら優しく問いかけをして、子どもがその状態を話すことができるように配慮するとともに、必要に応じて、適切な対処をする。
 (2) 施設内の採光、換気、保温、清潔など環境保健に配慮する。
 (3) 子どもの気持ちを温かく受容し、保育所生活を十分に楽しめるよう、子どもが安定し、かつ自己を十分に発揮して活動できるように配慮する。

 「健康」
 (1) 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を身につけることの大切さを理解し、適切な行動を選択することができるように配慮する。
 (2) 様々な運動に取り組み、成就の喜びや自身を持つことができるように配慮する。
 (3) 子どもの生活や経験と遊離した特定の運動や無理な技能の修得に偏らないように配慮する。

 「人間関係」
 (1) 様々な人の存在に気づき、人に役立つことの喜びを感じることができるように配慮する。
 (2) 身近に住んでいる様々な人と交流し、共感し合う体験を通して人と関わることの楽しさや大切さを味わうことができるように配慮する。
 (3) 周りにいる人たちがすべてかけがえのない存在であり、一人一人を尊重しなければならないことに気づくように配慮する。

 「環境」
 (1) 動植物との触れ合いや飼育・栽培などを通して、自分たちの生活との関わりに気づき、感謝の気持ちや生命を尊重する心が育つようにする。
 (2) 大人の仕事の意味が分かり、手伝いなどを積極的に保育に組み入れるように配慮する。
 (3) 社会や自然の事象を直接的に体験できるようにし、必要に応じて視聴覚教材などを活用して、身近な事象をより確かに理解できるように配慮する。
 (4) 飼育・栽培を通して、生命を育む自然の摂理の偉大さに畏敬の念を持つように配慮する。
 (5) 生活や遊びの中で、様々な事物と具体的な体験を通して、数、量、形、位置、時間などについての感覚が、無理なく養われるように配慮する。

 「言葉」
 (1) 生活や遊びの中で、言葉の充実を図り、言葉を使って思考することや自分の考えを伝え合う喜びを味わえるようにし、言葉に対する関心が高まるように配慮する。
 (2) 本を見ることや身近な様々な文字を読む喜びを大切にし、言葉の感覚が豊かになるように配慮する。
 (3) 子どもが、自分の伝えたいことがしっかり相手に伝わる喜びを味わうため、人前で話す機会や場面をできるだけ多く用意する。

 「表現」
 (1) 表現しようと思うもののイメージが豊かに湧くような雰囲気をつくり、様々な材料や用具を適切に使えるようにしながら、表現する喜びを味わえるように配慮する。
 (2) 子ども同士が一緒に活動する場合は、お互いに相手の立場を認め合いながら、協力し合って表現することの喜びを感じることができるように配慮する。
 (3) 表現しようとする気持ちを大切にし、生活や経験、能力と遊離した特定の技能の修得に偏らないように配慮する。








新教育要領 年少 年中 年長

ねらい及び内容
(各年に応じた5つの領域を主体とした学校教育)



保育指針
第1章 総則
第2章 子どもの発達
第3章 6か月未満児の保育の内容
第4章 6か月から1歳3か月未満児の保育の内容
第5章 1歳3か月から2歳未満児の保育の内容
第6章 2歳児の保育の内容
第7章 3歳児の保育の内容
第8章 4歳児の保育の内容
第9章 5歳児の保育の内容
第10章 6歳児の保育の内容
第11章 保育の計画作成上の留意事項
第12章 健康・安全に関する留意事項