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夕もやの中に 三部合唱の美しい 歌声は消えて行く
(楽苦我記)
一日の労働を終え、さあー帰ろうかと支度をしている6月の一時、夕暮れ迫る広場を5,6人
の工場労働者(殆どがマダム)が家路に付きながら、一人が声高らかに歌の一小節を唄い始め
ると、いつの間にかソプラノ、アルトと音調の取れたコーラスになり、その歌声の響きは美し
く釣り込まれ、暫し足も止まり聞き惚れていた。
女性コーラスはいつの間にか誰と誰がソプラノ、アルト、テノール等と決められたものではな
く自然にハモられ調和が取れていた。
夕日の中に人影が消えて行き歌声のみが微かに余韻を残す風景は浮虜としてシベリアにある事
を瞬時ではあるが忘れさせて呉れた。
シベリアで3年近く苦難を乗り切り食糧も規定量が確保されたとは云え、腹は減るが心身共に
楽になったかして、歌声を静かに聞く余裕も出て来たのではなかろう。
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