初めて診断された頃(疾患についての質問)

先天性眼瞼下垂症って言われた。これって何?

眼瞼下垂というのは 瞼(まぶた)を持ち上げる筋肉(=眼瞼挙筋)の働きが弱かったり 時には全く機能しない状態で、見た目では腫れぼったく見えたり 眠たそうに見えたりします。
普通に目を開けていても 黒目の中心(瞳孔=ひとみ)が隠れたり、一部分しか見えなかったりという状況になります

眼瞼下垂には 先天性と後天性があります。
さらに 先天性の場合 両眼とも眼瞼下垂でうまれるケースと 片眼のみ、の場合とがあり、割り合いとしては片眼のみの方が多いようです。
 後天性では 老化によって眼瞼挙筋の働きが弱まるケースや物理的刺激によるものなどがあるようですが 先天性はその名の通り、生まれつき これらの症状が起きるものです。 

なぜ起きるの?
先天性眼瞼下垂の一部は 常染色体優性遺伝によって起きると言われています。このため、家族に眼瞼下垂症のひとがいる場合、生まれてくる子に眼瞼下垂が生じる確率は 一般よりも多いと言えます。
しかしながら、家族に眼瞼下垂がいなくても 先天性眼瞼下垂児は うまれてくることがあります。(その割合の方が大きいとも思います)

自然に治る?
自然に治るものか?ということにつきましては 残念ながら 治ることはありません。(機能低下している眼瞼挙筋が成長とともに発達することは ないのです)ただし、お子さんの成長とともに 他の筋肉を使ってまぶたを上げようとするようになるため、 見た目の下垂の程度が 軽くなったようにみえることがあります。

妊娠中の母親の不注意や 出産の時のトラブルが原因ですか?

生まれてきた子が先天性眼瞼下垂とわかった時、ときに母親は 自分のせいではないかと思い悩みます。周囲のひとから「母親の○○が原因だ」と言われて悲しいおもいをするケースもあります。

筆者は 出産時においては もう障害は出来上がっているものと考えます。なので、仮に難産だったからといって、子供に眼瞼下垂が生じるものではない と言えます。
では、先天性眼瞼下垂はどの時点でスタートするかという話になりますが、 遺伝子レベルの話になると思うのです。つまり受精時には もう先天性眼瞼下垂が決まっている、と 認識しています。
妊娠継続中に 強いストレスに母体がさらされたとしても だから眼瞼下垂になるとは 思いません。

遺伝子診断・遺伝相談のこと
先天性眼瞼下垂の原因のひとつに『常染色体優性遺伝』が知られています。
このため家族に先天性眼瞼下垂の方がいる場合は、次の子をつくるにあたり その発生の可能性について 調べることができるようです。
あくまでも 診断ですので お腹にいる子が眼瞼下垂かもしれないとわかっても それをうまれる前になんらかの方法で治療しましょうというものではないようです。(将来的には可能になるのでしょうか?)
先天性眼瞼下垂は 生命に関わる疾患ではありませんし、治療によって見た目も視力も改善が見込めるものなので 仮に 発生のリスクが高くても 授かった命は恐れずに育てていただきたいというのが 筆者の気持ちです。  

このままだと 弱視になるって言われた。どういうこと?

先天性眼瞼下垂で「見た目の問題」とともに重要なことは、その子の視力の形成に影響があることです。下垂している方の黒目を見た時、黒目の真ん中(ひとみ)がまぶたで隠れている場合は、その隠れ方にもよりますが ものを見ることができていないのです。

子供は生まれた時から見えている訳ではなく 成長と共に視力が発達するのです。一般には6才くらいまでに 発達が完了するとも言われます。

この時期にものを見る力をつけないと 将来にわたって視力を出すことができない(弱視=眼鏡などで矯正しても 適正な視力が出ない)のです。

もっとも、すべての眼瞼下垂児が視力低下している訳ではなく まぶたが下がっていても本人の工夫でなんとか見ることができているケースも多いのです。 

生後一ヶ月ですぐ手術をすると言われたが 必要なのか?

筆者の見解としては、生後一ヶ月での手術は ありえません。

この時期、もともと赤ちゃんの視力は 0.05くらいしかないと言われています。一刻を争うものでは全くないのです。生まれたばかりの赤ちゃんに、危険を冒してまで行なうべき治療ではないと思います。
またこの時期に手術をしても、学童期前までに再手術の必要も出てくる可能性があり、最初の手術は その子に対してあまり効果はなかった、という結果にもなりかねません。

しかし、手術を勧める他の理由が存在する場合もありますので、それをよく確認し、場合によってはセカンドオピニオン(=今、診察してもらっている以外の医療機関の意見を求めること)が必要になるでしょう。 

関連のサイト
〜このページを書くにあたり、以下のサイトを参考にしました。

まぶたの解剖コンタクトレンズのメダリストのサイトにあったものですが、わかりやすく図説されています。

遺伝子診断の理解のために 国立病院四国がんセンターの家族性腫瘍相談室が『遺伝子診断の理解のために』(原典『Understanding Gene Testing』 米国国立研究所制作)の日本語訳を米国国立研究所の承認を得て作製致しました

小児の眼疾患Q&A  藤田眼科(徳島市)のホームページ内のコーナーです。詳しく 分かりやすく 見易いです。

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