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交通事故の民事責任について考えよう |
交通事故を起こすと、どんな責任が生じるか知っていますか? 責任は、大きく分けて3つあります。 刑事処分 (罰金や懲役といったもの) 目的 「加害者の反省を促し、二度と同じことをくり返さないようにしたり、 あらかじめ刑罰を設定し、警告しておくことにより、交通違反を未然に防止する。」 行政処分 (免許の停止や取消しなど) 目的 「危険な運転者を道路から締め出して、交通事故を防ぐ」 民事責任 (損害賠償など) 目的 「被害者の経済的・精神的保護」 このなかで、民事責任について考えてみたいと思います。 |
損害賠償の損害は、大きく3種類の物で構成されています。 「積極損害」「消極損害」「慰謝料」 これを、「物損(車の修理費など)」と「人身」の場合に分けて考えてみます。 「物損」の場合 「積極損害」 車の修理費(上限・車の時価額)・代車・レッカー費・建造物の修理費など 「消極損害」 車が使えなかったことによる営業損害(タクシーやトラックなどの営業車に限る) 「慰謝料」 物損には、慰謝料は存在しません 「人身」の場合 「積極損害」 治療代・入院雑費・通院交通費・葬儀代・後遺障害が残った場合の家屋改造費など 「消極損害」 休業損害・後遺症の遺失利益など 「慰謝料」 入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料 この中に聞きなれない言葉として、人身の消極損害に「後遺症の遺失利益」というものがあります。 これは、後遺症により、従来と同じだけの能力で仕事をすることが出来なくなるため、当然のように、 収入が減少したり、出世が遅くなったりします。そこで、その分の保障をする趣旨のものです。 これは、精神的な苦痛に対する慰謝料と別に存在します。 また、交通事故の損害額を算出する上で、「過失割合」という言葉が重要になってきます。 これは、どちらがどれくらい悪いかを表す数字で、「8:2」とか「80:20」とか表します。 この「過失割合」というのがくせもので、明らかに相手が悪い事故でも、車同士の場合は、被害者にも 過失(責任)があるとするのが通常となっています。 少ない文章で、以上の事を詳しく説明するのは困難なので、興味がある人に、参考文献を挙げときます。 「損害賠償額算定基準(通称・赤い本)」東京三弁護士会交通事故処理委員会他 編 「交通事故損害額算定基準(通称・青い本)」日弁連交通事故相談センター 編 これらの本は、一般には市販されておらず、弁護士に配布されているものです。 しかし、一般の人でも、弁護士会館などで1冊2500円(2000年現在)で購入することが出来ます。 直接出向けない人でも、郵送で購入できます。(詳しくは弁護士会などに問い合わせてください。) 本の内容は、さすがに弁護士向けとあって、実際の損害額算出方法や、交通事故の形態別過失割合、 過去の裁判例などが沢山記載してあり、実務(示談交渉)に、とても役に立ちます。 交通事故を起こした事がない人でも、1度読んでみる事をオススメします。 実際に事故を起こした時に役立つだけでなく、交通事故予防にも役に立ちます。 なぜなら、加害者になった時の賠償責任の重さや、逆に被害者になった時でも、 満足の行く金額の保障が受けられない事がわかるからです。 交通事故は、加害者・被害者のどちらも得をする事はありません。 普段から民事責任の事を頭の片隅に入れておけば、無謀な運転をすることがなくなるでしょう。 「私は、世の中から交通事故がなくなる日を夢見ています。」 |
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