「ゲーデルの不完全性定理」って、要するに何だ?
〜子供たちに贈る<学びのロマン>ネタ整理〜

「数学の中の無限」への扉へもどる


「ゲーデルの不完全性定理」の構造
【1】
(1)自然数論公理系の中の式は、記号の有限列(形式主義)。
(2)有限の立場におけるメタ数学の中の論理文は、記号の有限列で表記可能。
  論理文「X(xはxだ)は証明できない」は、論理式(記号の有限列)で表記可能。

  
有限の立場:有限個の記号列を対象に、有限回の操作によって実行可能な事実のみを基礎とする立場
(3)記号の有限列は自然数(ゲーデル数)と一対一対応が可能。
横軸:対象(要素),縦軸:概念(集合)の座標平面における対角線論法
【2】
1)メタ数学的表記:
 G(gはgだ)=「Gは証明できない」なる式Gが存在
 
↓↑翻訳
2)自然数論公理系的表記:
 G=¬Pr(G)なる式Gが存在
【3】
有限の立場のメタ数学においては、排中律が成り立つ。

◆第一不完全性定理
a)Gが真の場合
 ⇒Gは証明できない…不完全
 ⇒
証明できない真命題が自然数公理系の中に存在
b)Gが偽の場合
 ⇒¬Gが成立⇔Gは証明できる⇔Gが成立…矛盾
 ⇒
矛盾する命題が自然数公理系の中に存在

◆第二不完全性定理

 自然数論公理系の無矛盾性が証明できると仮定
 ⇒b)の否定であるところのa)すなわちGが証明できる
 ⇒「Gは証明できない」が証明できる
 ⇒Gは証明できない
 …矛盾
 ∴
有限の立場のメタ数学では、自然数論公理系の無矛盾性は証明できない

式Gは自然数論公理系の中では、メタ数学上の意味を持っておらず、
 また、そのゲーデル数は途轍もなく大きいこと、
 式Gと同値の式も限りなく存在することから、
 自然数論公理系の中から、
 完全性・無矛盾性を毀損する命題を特定・排除することは不可能、
 ということだろうと考える。
【参考文献】
・野矢茂樹著『無限論の教室』
・吉永良正著『ゲーデル・不完全性定理』
2015.1.19作成