5.不確定性原理
(1)ハイゼルベルグが提唱
可換な演算子に対応する2つの物理量は同時に正確に測定できるが、
可換でない演算子に対応する2つの物理量は同時に正確に測定できない。
→位置と運動量、時間とエネルギーは同時に正確に測定できない。
(2)演算子の可換性
1)2つの演算子A^,B^に対して、
[A^,B^]Ψ≡(A^B^−B^A^)Ψ=0 →可換
[A^,B^]Ψ≡(A^B^−B^A^)Ψ≠0 →可換でない
2)演算子A^,B^に対応する物理量A,Bの分散をそれぞれ(凾`)2,(凾a)2とすると、
(凾`)2・(凾a)2≧(1/4)|<Ψ|[A^,B^]|Ψ>|2 …M
が成り立つ。
3)例
A^=x
B^=(h/2πi)∂/∂x (運動量演算子)
とすると、
Φ=A・exp(-ikx)に対して、
[A^,B^]Φ=i(h/2π)Φ が成り立つ。
∴[A^,B^]=i(h/2π)
よって、
凾・凾x≧(1/2)・(h/2π) →位置と運動量は同時に正確に測定できない。
(3)波束の概念による理解(ボーア)
パルスとスペクトルの関係(フーリエ変換):
足し合わせる波の振動数の幅刄ヒが広いほど、パルスの時間の幅凾狽ェ短くなる。
刄ヒ×凾煤…onst.
両辺にhを掛ければ、@より、
僞×凾煤…onst.(=h/2π) →エネルギーと時間の不確定性
(4)定常状態の電子の波(定常波)
1)エネルギーの量子化
電子のエネルギーはとびとびの値をとる。
・エネルギー準位=量子化されたエネルギーのひとつひとつ
・基底準位=エネルギー準位のうち、最も低いもの
・量子数=エネルギー準位の番号となるもの
2)パウリの排他原理
電子の場合、1つの準位には1個の電子しか入れない(スピンを考えると2個)。
3)波動関数の直交性
異なる準位の波動関数について、次の関係が成り立つ。
∫0LΨ*nΨmdx=0 (n≠m) →波動関数の直交性