9.パウリの排他原理,フェルミ粒子とボーズ粒子
1.パウリの排他原理
電子は、量子数n,l,mとスピンsの4つの指標で表される1つの状態に1個しか入れない。
1)フェルミ粒子(電子,クォークなど)→同原理が働く。
2)ボーズ粒子(光子,中間子など)→同原理が働かない(ボーズ凝縮が起こる)。
2.フェルミ粒子とボーズ粒子
(1)フェルミ粒子(フェルミオン)
物質を構成する粒子。
(2)ボーズ粒子(ボゾン)
4つの力(重力・電磁力・弱い力・強い力)を媒介する粒子。
→2つのフェルミ粒子間を行き来して力を伝える。
・光子(フォトン)=質量ゼロ→媒介する電磁力は無限遠まで到達。
・重力と重力子(グラビトン・未発見)についても同様と考えられる。
(3)粒子系の量子状態
・フェルミ粒子・ボーズ粒子→同種の粒子は本質的に区別がつかない。∵不確定性原理
・パウリの排他原理が働くか否かによって、次の統計に従う。
1)フェルミ粒子→フェルミ-ディラック統計
2)ボーズ粒子→ボーズ-アインシュタイン統計
(4)移動と制御
1)電子=電場・磁場の影響を受けやすい。→遠方移動困難。
・電子デバイスによる制御可能。
2)光子=電場・磁場の影響を受けにくい。→遠方移動容易。
・非線形光学結晶(電場により屈折率が変化)による制御可能。…カー効果,ポッケルス効果
※エレクトロニクスと量子力学
・高電子移動度トランジスタ,半導体レーザー
・スピントロ二クス,量子コンピューティングの研究