塾の提供する商品とは何か

                                                                                     (2007/07/05)       

大工さんは安全で快適な住まいを提供する。床屋さんは綺麗な髪型を提供する。作曲家は心に染み入る音楽を提供する。…

では、塾講師の仕事は何を提供することなのでしょうか。

教育関係の仕事はサービスを提供する仕事の中でも比較的認識しにくいものを提供するので、
そのことを明確にしておかないと何をやっているのかわからなくなってしまいます。
また、塾を利用する側にとっても一体どんな“商品”を手に入れたいのかを十分に認識しておくことは最重要事項です。

 当道場は自分の仕事、商品を次のように考えております。
@思いつき頼みの行き当たりばったりの思考習慣を解消し、
 
理に適った学習方法・思考技術を、各学習者の状況を踏まえながらご指導することによって、
 
発展性のある安定した学力主体的にものを考える思考力を身に付けていただくこと。

A文科省主導の学校教育からは抜け落ちてしまっている学びの“旨み部分”を書籍等から発掘して学習者にご提示し、
 
学習の動機付けを健全な形で推し進めること。

B上記@Aの学習指導により歪みのない健全な学力・精神を育成した上で、受験等の現実問題に対して適切な指導を行い、
 “試練”を乗り越えていただくお手伝いをすること。

■教材のこと
 演習を進める中で、教科書や一般の参考書等の説明では十分に理解させるのが難しいと判断したときに、
その学習者にとって
わかりやすいと思われる説明をその場で紙に書いて提示したり、
予め作成したオリジナルの説明資料があればそれをお渡ししたりしておりますが、
演習全般を通して使用するオリジナル教材というようなものは用意しておりません。それは、次の理由からです。


@当方が提供すべき“商品”は「教材」そのものではなく、
 その背後にある本質を各学習者に会得していただくことを目的としてその都度考案し、実施する「
仕掛け」であること。

 その「仕掛け」とは具体的には、
 答案・計算用紙上から
学習者の思考過程を読み取り、
 そこから学習者が自力で正答へ辿り着けるよう
絶妙なコメントを答案に書き込むこと、
 学習者が十分に考え抜いていないことに気付いていないとき、
 そのことを自覚させるために口頭で
問い掛けを行い、考えた内容を自らの言葉で表現させること
 などです。


A教材は学習者のその場の状況に応じて適宜使い分ける必要があり、
 オリジナル教材とはいえ、固定したものに沿って指導することは柔軟性を失い、適切ではないこと。


B昨今は多種多様な出版物が市場に出ており、安価で優れた市販教材・塾用教材も多いこと。

C単なる知識ではなく、学びに必要な知恵を提供するという当方の理念からすれば、
 この
ホームページこそが漸次進化し続けるオリジナル教材としての役割を果たしていること。

■受験指導のこと
 学びは自己を見つめるための鏡。真剣に学びと対峙すれば、必ず自分の行くべき道が見えてくると思います。
そして、その道をしっかり見据えた上で、
他の誰でもない、
自分自身こそが真に有意義な学生生活を送ることのできる第一志望校を選んでいただきたいのです。
 当道場はその第一志望校に合格できるよう、最大限のお手伝いをさせていただくだけです。

 入試なんて不合理だらけのものですが、生きるということは現実と向かい合うということですから、
自分を高める
試練と受け止めて逃げずにぶつかっていくことは、
まやかしでない充実した人生を生き抜く姿勢としてとても大事なことです。

 しかし、そんなものに魂まで奪われてはいけません
人間のこの不可思議で奥の深い知性というものが偏差値などという一本の物差しの上に並べられるはずがないのです。

 ―そんな不遜きわまりない錯覚は入試が終わると同時にさらりと捨てて、
              
思い上がりも卑下もしない澄み切った穏やかな心で、また学びと真剣に対峙していく。―
 
 当道場はそういう学びの場を目指しています。


 ときに、いわゆる難関校の合格実績ばかりを根掘り葉掘り聞いてくるような人がいますが、
 それが学習指導の優劣を判断するものだと本気で考えているとすれば、実に愚かと言わざるを得ません。


 あんな数字は目先しか見えていない人たちを扇動するための単なる数字のマジックにすぎず、
それに血眼になっている学校や塾・予備校がこれまでにどれだけの子供たちをスポイルしてきたかという事実を
知らないのですから…。
塾という教育現場にいると、マスコミにはほとんど報道されないこのような事実が本当によく見えるのです。


 ですから、当道場はそんなものを追い求めるような愚かなことは致しません。
ひとりひとりの第一志望校の合格をただひたすら後押しするのみです。 

 

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