8月上旬の日々

 7月の状態から少々浮上。脱出できるか。

8月9日〜12日

 夏コミの無料配布本製作する。初体験だ。
 友人のMさんから、知人のスペースによかったら置かないかと以前話がきていて、できることなら書き下ろしたいと考えていたのだが、7月の状態が芳しくなく、プロットのみで作業が止まっていた。O氏より、今回は作品をつくるのではなく本をつくることを楽しみましょうとアドバスを受け、装丁を考え、「百物語」のコピー本をつくる。
 原稿を入稿したばかりのO氏をはじめ、忙しいなか様々な方々からの助力を得、初体験尽くしの同人誌製作。ご助力下さった皆様に心から感謝。


8月13日

 コミケ当日。
 知り合いのサークルにご挨拶。忙しいなか、皆快く応じて下さる。皆様に心から感謝。
 同人誌を置かせて頂いたサークル、「なごみ屋」さんに心から感謝。
 用意した冊数無事無くなる。持って行って下さった皆様に心から感謝。拙い作品ですが、気に入ってくだされば尚嬉しい。


8月下旬の日々

 ──新しいフラグ立つか?
 おこがましいかもしれないが、私という車には、”MYエンジン”の他に”創作専用の”創作エンジン”がある。もっと上手い表現があればよいのだが、言語能力が乏しい私には精一杯の表現だ。
 この創作エンジンがぶっ壊れて久しい。衝撃、茫然自失、あせり、苛立ちの日々。もう自分は駄目なのではないか、あるいは”創作エンジン”自体が自分の妄想なのではないかと不安で仕方なかった。
 7月に入って、エンジンをなんとかかけれれそうな感覚を、ふっと持った。撃沈。ひさしぶりにふわりとつかめたプロットはかろうじて霧散せずに、脳内キャビネットにしまわれた。
 8月下旬、再び別プロットが浮かぶ。靄状だったものが次第に綿菓子のようにまとまってきて、ふっと上手く捕らえることができた。O氏に内容を話したところ、構成はかなり難しそうだがおもしろそうとの感想に、さらに感覚が良い方向に向く。プロットが頭のなかでふいに映像になり流れだす。…ああ、”降りてくる”。この感覚。ひさしぶりにあじわうこの感覚。捉えたものが…世界が”降りてくる”。思わず笑みがこぼれてしまう。もう、失ってしまったかと思っていた。この感覚。再び手にしてる。五感で感じる。身も心も蕩けてしまう。生きていると思える瞬間がやってくる。たまらない。世界と、世界の中の彼らと、シンクロしていく。登場人物が動きだす。
 かろうじてかかったエンジン音は、非常に危ういものだ。がたついてもいる。それでもひさしぶりに、紙とピグマが用意できた。用意できただけでなく、書いている。…書けた。しんじられない。私が捉えた世界、私を捉えた世界を、書きたくて書きたくて流れていく映像を必死で書き付けていく。ポンコツエンジンだから、映像から紙面への言語変換が上手くいかない。シンクロ率もそれほど良いわけではないから、セリフはかろうじて書きとめられても、そのあいだあいだにあるもの、気持ちまでは書きとめられない。まるで日本語覚えたて並のひどい文章だ。いや、文章にさえなっていない。書きながら自分でもわらってしまう。それでもいい。祈る。どうか最後までエンジンが止まりませんように。最後まで書けますように。今はそれだけでいい。