9月2日

 生涯学習講座「仏教の戒律に学ぶ」第二回

9月6日、7日

 二日かけて、ひさしぶりに新刊を読む。

9月8日

 本日、ひさしぶりにキーを打っている。6月から今日までの日記を、メモ等を手に作成。ひさしぶりにパソコンにむかえた。メールチェックが精一杯、という状態が続いていたので、なんだかキーを打つ手元がのろい。文字打ちミス多し。

9月上旬のこと

 あいかわらずの唐突の睡魔。
 食事コントロール、きかず。恐ろしい。恐怖。
 甘いもの欲しくてたまらない。
 かなりしばらくぶりに一時間半食べ続けたときは、頭は満足したが、気持ち的にはひいた。怖かった。食べても食べても欲しくてたまらない。おなかが張りこれ以上は入らないと思っても満足しない、満腹感がない。頭が満足しなければ、とまらない。
 とある日。体重計に乗り数字をみながら、これが二〇数キロだったらどんなにいいだろうとうっとりする。もっと痩せなければ、ぜい肉をおとさなければ、と思う。現実の自分は太っていて醜い、脂肪だらけで醜いと痛感する。それと同時に、自身が脂肪が余分なのはともかく適正体重なのを理解している。また、痩せなければと思う自分はおかしい、問題がある状態であることも理解している。理解できていなければ、危険な方向にいくのだろう。
 現状、精神的にあまり良い状態ではないことを理解。

 文庫版「容疑者Xの献身」を購入しようと思ったのだが、できなかった。残念。手にはしたが、レジまで持っていくことができなかった。購入する気があっても、どうしても買うことができない。持っていく段階で、買うという気持ちはあるのに行動にブレーキがかかってしまうのだ。本を購入する気になったのはひさしぶり。ましてやずっと某ジャンルしか長いあいだ手にとることができなかった。
 …しかたがない。できないのだから。その気になっただけでも良しとしよう。

 たとえばイメージボードのような…。そんな映像が断片的に日常のなかでよぎっていく。けれど映像は断片的なままで、内容も同じ。それ以上進展することはない。タイトルはひとつ目の映像でするりと心に入ってきてしまっている。書きたい。つかみたい。つかめるだろうか。たとえば、そのみえる断片的な映像のなかで、彼が触れられる皮膚の感覚を感じる。まだはっきりと名前のつかない感情をぼんやりと感じる。とらわれて、よくわからないまま泣きたい気持ちになる。ゆさぶられる。
 ただしこれは、8月にお茶したときに話していた断片的な映像とは違うストーリー。どちらが先に形になっていくのだろう。なって欲しい。

9月9日

 ひさしぶりに月をみる。神々しく、真白な月。美しい月の光。体にしみいるような。つらぬかれていく。

9月11日

 ずっと食コントロール厳しい。甘いものも毎日続いている。自分の体にぐちぐちと肉がついてきているような感覚に不快。つきまとう不安。本当についてきているのか、太る恐怖からくる錯覚なのかわからない。脂肪をつまんでは自分はこんなに太っているこんなにふとっていると思う自分。
 路を歩くたび、細い脚に目がすいよせられ、世のなか皆あんなに細いのに何故自分はこんなに脂肪だらけの体で、その思いに悩まされ続けなければならないのかと思う。細い脚が視界から消えるまでじっとみつめ続ける自分がいる。うらやましくてしかたがない。うらやましくてうらやましくてうらやましくて、何故自分はこんなに肉があるのかとうらめしくなる。どうすればなくなるのか、その思いでいっぱいになりながら、食欲を抑えられないのだ。この悪循環。どうすればいい。
 頭のなかが”自分は太っている、肉をなくしたい”その思いでいっぱい。この状態は、自分が疲れている、ストレス下にあるということだ。リセット必要。どうすれば? 何がトリガーになった?
 ああ、ギスギスに痩せてしまいたい。痩せたくて痩せたくてしかたない。脚蹴りをくらわせたらバキリと折れるような細い脚が欲しい。1ミリもつまめる箇所のない腹部。欲しくてたまらない。

9月15日

 下等生物の日。
 あいかわらず食欲おかしい。とまらない。味覚、鈍くなっている。そして甘味欲しくてならない。摂っても摂ってもおさまらない。

9月17日

 良い感じの月。良い感じの空。まるで現世と常世の境界が溶け曖昧に雑じりあうような妖しげな気配の満ちた夜。
 体の内側から、もうひとつ普段見え隠れしている何か別の自身を引き摺りだされそうな不可思議な空と月。
 妖しげ。実に妖しげな空と月。いいな。とてもいい。
 夕刻、食料の買いだしに歩いていると、低血糖を起こしそうな予感。スーパーまではもつが、帰りは少々危ないかもしれないと感じる。スーパーで食料の他、チロルチョコを2個購入し、店をでてから口に放り込む。これでOK。普段は間食をしないので本心はとりたくはないのだが…。しかたがない。

9月18日

 最悪だ。
 夕食の買いだし。食材をみていたら、すいっと目の前に女性が入った。
 似た髪の長さ。似た背丈。似た細さ。似た服装。ある女が頭のなかに閃光のように浮かび上がる。唐突に吐き気に襲われる。呼吸がわずかに乱れ、浅い息をくりかえす。体が硬直する。血の気が引いていく。吐き気をこらえながら、しばらく動けなかった。
 家路を歩みながら、足元がどこか頼りなく、ふらついているのがわかる。頭のなかも心のなかもぐしゃぐしゃだ。目だけが泣きたくて泣きたくてしかたがないのに、感情がついていかない。バラバラだ。目だけが必死で泣きたいのをこらえている。心はぐしゃぐしゃで自分がどういう感情に支配されているのか把握できない。
 歩きながら思う。ただ解るのはこれだけだ。自分はまだこんなにも捕らわれている。蝕まれている。日常もう平気なつもりでいても、まだ自分はこんなにも蝕まれているのだ。それに気付かされる。必死になってここまできた、生きてきた、この2年間はいったいなんだったのか。身にふりかかったあの出来事あの日々を仮に地獄と呼ぶならば、たったこの一瞬であの地獄の日々の私、心持ちに、心が引きずり戻されてしまったのだ。
 痛い痛い痛い。心が痛い。ひきしぼられる。痛い。書きながら、何故目からぼろぼろぼろぼろこぼれていく。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。

9月20日

 O氏にTEL。つきあってくださって感謝。

9月21日

 一日中だるい。
 9月19日、TEL一本あり。ずっと連絡がないということでおかしな勘ぐりをしたためた手紙がきたのだと云う。慌ててTELしてきたのだ。要は、私に手紙を書いてやって欲しいということだ。調子思わしくないことは人づてに伝えておいたのだがダメらしい。
 下書きを試みる。酷いものだ。みせられたものじゃない。気力をふりしぼっても限界。この程度。
 その直後過呼吸を起こしかける。休む。
 腕を動かすのさえおっくうになる。
 落ちついた頃、突然胸が痛みに襲われる。チリチリと焼けるような痛みだ。呼吸が辛くなる。体の循環がうまくいっていないらしい。スポーツドリンクを飲んで休息。
 夕食の買いだし時間になっても動けない。とにかくおっくう。重い。だるい。心も体も動くこと拒否。
 夕食は、とにかく食べたいのはお菓子。原がちぎれるほど食べたい。それを抑えて、なんとか豆腐ときのこのスープと、昨日の煮物を食す。そのあとはもう制御できず。ひたすら菓子類。もっとお菓子食べたい。食べたくて食べたくてしかたがない。1時間半食べ続ける。それでも満足せず。一日中動かないまま摂ったカロリー総数、恐ろしい。わからないが、もう何もかもがどうでもいい。そんな気持ちにさえなる。
 食べ終え、すぐに明日の食事を考えている。食べたい。

9月25日

 NHK教育、花舞台、長唄「連獅子」。終盤を抜粋、なにげなくチャンネルをまわしたら小鼓の望月朴清の芸ということでやっていた。耳に入ったとたん、ガーッといっきに体温が上昇し、背筋がざわざわとざわめきそのざわめいた粟粒のようなものがざわめきながら這い上がっていく。はぁ…。
 こういう感覚、生の舞台で体験したい。ここしばらくお目にかかれず残念。
 今日はとにかく落ちついていられない。脚が重い。体だるい。だが、座っていられないのだ。部屋のなかをうろつき、時々立ちどまり、しゃがみこむ。ずっとこうだ。休みたいのに休んでいられない。しんどい。かといって、何かができるわけではない。いい天気だ。布団干したい。気持ちはあるが体がしたくないと嫌がる。ダスキンかけたい。体が嫌がる。
 少しのストレッチもしたくない。これは無理して少しトライ。夕食のしたくも拒否。いつもスープをつくるだけなのに、それも今日は拒否だ。なのに、買いだしは、アイスクリームを手あたりしだいカゴにつっこむ。ぞっとする。おかしい。

9月26日

 近代能楽集「綾の鼓 弱法師」
 綾の鼓 岩吉:綿引勝彦
     華子:十朱幸代
     マダム:多岐川裕美
     藤間春之輔:国広富之
 弱法師 俊徳:木村了
     櫻間級子:十朱幸代
     高安夫人:一柳みる
     高安:国広富之
     川島夫人:多岐川裕美
     川島:鶴田忍
     演出:深津篤史
 十朱幸代さん、とてもすばらしかった。 ことに、弱法師の櫻間級子役。俊徳の長科白のあいだの彼女。まるで能の前シテのよう。静のなかの静。動のなかの動。それを観ているようだった。
 俊徳の長科白の演技は、悪くは無かったけれど(がんばっていたが)、もっと心が抉られるような彼の内面にひきずりこまれるようなものができれば観たかった。狂気にあぶられ狂気を吐きだす彼、ないしは狂気をつきぬけた静の狂気の彼。その両極のきょうきのどちらかをできれば観たいととても思った。
 その他、どのキャストもよかった。ことに高安夫人役。ひきつけられた。
 今日の舞台は、ひさしぶりに役者、舞台内容、すべて満足のいくもの。観ることができてとても良かった。感謝。

9月30日
 嫌な手紙だな。しんどい。が、内容下書き以上は望めず、あきらめこの内容で出すことにする。気持ちが落ちつかない。心臓がピクピク痙攣をくりかえしているような心持ちだ。これでまた不安定になったらたまらない。食欲の乱れ、とまらず。