10月4日

 ソフィア国立歌劇場 オペラ「トゥーランドット」
  トゥーランドット:マリアナ・ツヴェトコヴァ
  カラフ:カメン・チャネフ
  リュー:ツヴェテリーナ・ヴァレシレヴァ
  演出:プラーメン・カルターロフ
 産毛がさあっと立ち、熱がいっきに駆けあがった。とても楽しめた。
 トゥーランドット姫、すばらしいソプラノ。
 合唱が、彼女のアリアの前と後とで変化した。アリアが入ったとたん、微妙な緩みがきりりと締まりよい緊張感と物語性がもたらされた。
 合唱、フォルテ良く、ピアノは少々苦手のよう。
 カラフ王子、良いけれど、トゥーランドット姫に負けている感。バランス的にどうか。本調子だったのだろうか。艶、のび、いまひとつの気がした。
 もっともすばらしく、印象が残ったのは、リューの第三幕アリア。すばらしい!みごと!
 トゥーランドット姫の第一幕アリアにもうるっときたが、リューのアリアには泣いてしまった。ああ、本当にすばらしかった。迫るものがある。
 ラストシーン、とても印象的。この演出良かった。ただ姫と王子が結ばれたのではなく、リューが入ってこその物語。ドラマティックで深みのある終わり方。
 観ることのできた喜び、聴くことのできた喜び、誰かに伝えたくて伝えたくてたまらない。この幸福感。

10月8日

 ウクライナ国立歌劇場 「椿姫」
  ヴィオレッタ:アッラ・ロジーナ
  アルフレート:ドミトロ・クジミン
  ジョルジュ:ペトロ・プリイマク
  指揮:オレクサンドル・バルヴィンスキー
 完成度高し。上等なお手本の印象。
 オケ、すばらしかった。合唱の技術すごい。ブレがまったくないのだ。スキなし。
 たとえば、”C”という音に1センチの幅があるとする。この1センチの幅の間なら、どこをとっても”C”という音に聴こえる。だから、”C”音をだしていても人それぞれ微妙に違った”C”で、それを集め合唱の”C”恩をつくりだしている。
 この”C”の幅が、この合唱団の場合、とても狭い。まさに、一糸の”C”音に聴こえる。すごい。そしてさらにすごいのは、この一糸の状態が、どんなに高低音強弱を歌い動いてもブレないのだ。本当にすごい。
 キエフオペラでもうひとつ感じたこと。
 ソリストの重唱が、ぶつかりあわない、お互いに張りあいすぎず、自身の聴かせどころ相手の聴かせどころのバランスがとてもとれている。そしてそれは、合唱が入っても同じ。合唱各ソリストの調和がとれている。歌声のみごとなバランス。一体化。
 空席が思いの他多く、とてももったいなく感じた。もっと大勢の人に観てもらいたかった。

10月9日

 TVドラマ「相棒 蟷螂たちの幸福」を観る。
 もう何回か観ているが、この回ラストはいつも泣いてしまう。
 事件の真相が明かされ、荻野目さん演じるミステリー作家に杉下・亀山両刑事がかける言葉がある。私は彼らの言葉に共感しない。私はどうしても、ミステリー作家夫妻の方に共感してしまう。荻野目さんの演技にひきこまれるのか、ミステリー作家という職業設定のせいなのか。どうしてもこちらに共感共鳴し泣かずにはいられない。
 とても気に入っている回だ。

10月19日

 うまく云えないが。
 ”何故彼は僕にこんなことをさせるんだろう”
 歩きながら、私の思考はこれひとつ。これひとつにずっととらわれ続けた。
 これは、私自身の思考であって、私自身の思考ではない。映像はなにひとつつかめないのに、これだけがずっと頭のなかをめぐる。主人公の思考だ。
 ”何故彼は僕にこんなことをさせるんだろう”ある日突然そう感じ、そう思いながら日常の取り決め事を黙々とこなしている僕がいる。

10月22日

 舞台「サド公爵夫人」
  ルネ:篠井英介
  シミアーヌ男爵夫人:石井正則
  アンヌ:小林高鹿
  シャルロット:山本芳樹
  サン・フォン伯爵夫人:天宮良
  ルネの母:加納幸和
 ここしばらく観た演劇のなかで一番! おもしろかった。
 休憩込みでおよそ三時間。まったく退屈せず。ひきこまれ、魅せられた。三島の世界。その高々と天にむかってそそりたつ伽藍をつくりあげるために組み編み上げられていく、あまたの言葉の螺旋。螺旋たち。
 うっとり。
 シンプルな美術、舞台上。BGMなし。とても良い。
 玉三郎さんでルネを観てみたい。貞淑ながら、身の内に潜みひきずりだされていく何かをもっとみせてくれるのではないか期待。
 篠井さん、予想通りの演技。彼で、ルネの母親を観てみたい。
 石井さんの歩き方、気になった。男性だなぁ。
 天宮さん、良かった。
 ドレスの配色良かった。
 嫌だったこと。隣の席の女性、一幕中私の肩に寄りかかって眠る。気持ち悪い。目が覚めてもひと言の謝罪もなし。休憩時間中口に入れる前に床に落したキャンディを、拾わずに、終了後そのまま立ち去る。このことが、今回唯一残念。
 心身共ぎりぎりで観ている為、不調にならなかったこと、幸い。
 空席もったいない。
 グローブ座、あまり好みではない。客席、場所によってはシートにもたれた状態では鑑賞できないつくり。舞台がみえないのだ。上演前、前のめりにならないようスタッフから事前注意があるが、これは会場のつくりに問題があるが故の弊害だと思う。
 余談。新しめのホールでよく感じることだが、ホールや廊下等にゆとりがない。くつろげないのだ。こういうところへの気配りの無さを感じる。好みではない設計。

10月23日

 ひさしぶりに合唱団の練習にでる。
 今日からちょうど新しい曲の練習が始まるとのこと。
 ブラームス「ドイツレクイエム」。初見で歌う。と云っても、体が思うようにきかない。実はこれほど体力が落ちていることに気付いていなかった。声をだしてはじめてそのことに気付き驚く。
 前半の練習の途中から動悸がしついていけなくなる。指揮者からストップがかかるたび、意識してゆっくり深く呼吸をしととのえる。後半練習は、腹部下半身をまったく締められなくなる。歌う体制にもっていけないのだ。年末までに改善できるか?

10月25日

 ふと気付く。御飯をうけつけなくなってしばらくたつが、そういえば今週パンも食べていない。主食、おせんべいだけになっている。このところ過食気味が続いていたのが落ちついていたので気付かなかったのか?
 そういえば…先日、お惣菜売り場でとんかつを目にしたら、食べたいなと思った。購入。夕食に食したのだが…。お肉って、いつぶりだったか?

10月26日

 第75回NHK全国学校音楽コンクール・ハイライトを部分的にテレビで観る。
 中学校の部課題曲「手紙」。聴くなり、涙ぼろぼろ。とまらない。声をあげて泣く。

10月のこと

 外出はしているが、心身共状態良いわけではない。難しい状態。