1月27日

 新宿にてお茶。
 でかけられて良かった。

 帰宅後、それは唐突に起きた。
 頭蓋骨いっぱいに粗目が降ってくる。ざらざらざらざらいっぱいになる。脳みそが、それをまぐまぐと貪っていく。おいしい!甘い!すっごくおいしいよー!こんなにおいしいと感じる感覚、どのぐらいぶりだろう。実際に舌で味わい美味さを満喫している心地だ。忘れていたよ。おいしい。
 光景がひろがる。昨年みたきりみることがなくなってしまっていた光景だ。たったひとつのシーンがくりかえされるだけだけれど。”僕”の、なんにもないからっぽな心まで流れてくる。それが映像と共にそのまま文章となって流れていく。
 書きたい書きたい書きたい。
 ひさしぶりに用紙をひろげる。鉛筆を持つ。すさまじい眠気に襲われる。書きたい。眠くてたまらない。眠くて眠くてたまらない。倒れそう。眠い。書きだす。違う。こうでなく。みた光景はそうなのだけど流れた文章はこれじゃない。違う。どうしてそのまま書けないのか。崩れていく。単語ひろう。眠い。ああどうしよう。
 また世界が閉じてしまう。書きたいのに。つかまえたいのに。
 泣きたい。ああ。ああ。
 怖い。大丈夫、まだ自分はできるはず。だめじゃないはず。大丈夫。怖い。失ったらどうしよう。死にたくない。殺さないで。私を殺さないで。
 …大丈夫。平気。こんなことはなんでもない。平気。私は大丈夫。少しずつ立ち直ってきているのだから。いま、ちょっと、不安定なだけ。書ける。きっと。
 大丈夫。大丈夫だから。落ちつこう。
 平気。平気。
 つかまえてみせる。あの光景。”僕”の、あのからっぽの心。もういちど、書く。きっと書く。書かなければ。大丈夫。私、きっと書く。

1月28〜30日

 眠い眠い眠い。ずっといねむり。ひきこもり。動くことままならず。暗くなっても電気なかなかつけられず。ようやく行動。トイレに立つのも負担。よろよろ。外にでられない。でたくない。
 どうなっている?自分。

 1月に入ってから。

 昨年12月のひどい状態からもちなおしてきたところ。だが、心身共に不安定。体の疲れ蓄積したままとれず。精神的に不安定。悪い方向にとらえがち。会話、要注意状態続いている。時々、わからないけれど泣きたくなる、叫びたくなる、誰かに喚きちらしたくなる。本当は嫌われているのではないか、不安になる。自分をコントロールする日々続く。

1月31日

 オペラ「ラ・ジョコンダ」 藤原歌劇団創立75周年記念公演
  ジョコンダ:エリザベート・マトス
  エンツォ:チョン・イグン
  バルナバ:堀内康雄
  ラウラ:エレナ・カッシアン
  アルヴィーゼ:彭康亮
  チェーカ:鳥木弥生
  スターダンサーズ・バレエ団
  東京フィルハーモニー交響楽団
  指揮:菊池彦典

 ぎりぎりまで、でかけようか迷う。心身共にかなり良くない。
 行く途中、鼓動少々速まり、呼吸やや辛い。観るのをあきらめ、ひきかえそうかと何度も思う。
 体調の良くない状態で観た感想。

 一幕。
 合唱、雑音の印象。必死に演じよう歌おうとしているのが空回りしている感じ。観客席までとどかず、舞台上にそれらが上がりそこでくるくるまわっている感じ。うわすべりの印象。裏打ちがなく、うわべだけの印象。ことにとても残念なのは、夕暮れの祈りのシーン、ここだけはきっちり決めてほしかった。こちらの気持ちをとらえるワンシーン、祈りであってほしかった。
 バルナバ、声が良い。が、ややうわすべりの印象。
 ジョコンダと母の二重唱。内容とは反対に、はりあっている印象。
 二幕。
 エンツォとバルナバの二重唱、良かった。
 エンツォとラウラの二重唱。歌に愛し合っている雰囲気くみとれず。技術の高さと声の良さで歌い魅せた印象。
 ジョコンダとラウラの二重唱。すばらしかった。女同士のぶつかりあい、みごと。
 三幕。
 バレエ、良かった。傾斜のある床で踊るのは、大変だっただろうと思う。
 合唱、バレエ前のシーン、一幕より少々良くなった。
 バレエ後、ソリスト揃い踏みとのシーンは、格段に良くなった。ここに練習の重点をそうとうおいたのか、ソリストたちの力量にひきあげられたのか、とても良かった。
 ソリスト、それぞれとても良かった。
 バルナバも、ぐっと役に入り込んでいた印象。
 惜しかったのはアルヴィーゼ、もう一歩。名誉の為に死を迫る独白シーン、こちらを説得させて欲しかった。
 四幕。
 とても良かった。
 ことに、ジョコンダの”自殺”、みごと。「なにもかも失ってしまった」に気持ちを持っていかれてしまい、泣いてしまった。
 エンツォとのやりとりの最中のジョコンダにもぐっとくる。ことに「惨めだわ」、心に響く。葛藤がせつない。
 三幕、四幕は、満足。無理を押して来た甲斐あったと思う。

 とても疲れた。疲れた。疲れた。
 嫌だ。何もかもが嫌。全部放棄したい。
 皆に嫌われている気がする。ああ、どうかしている。わかっている。自分が不安定なだけだ。そんなことはない。わかってはいるが、皆に嫌われている、そんな気持ちに追いたてられてきつい。それを自制するのがきつい。
 誰かにSOSだしたい。できない。TELすることもできない。その気力がない。だしたいのに、電話を手にすることができない。その行為がとても負担。