上の写真は今年の夏(99年8月)、瀬棚町で撮影したものです。この隣の島牧村に父親の実家があるため、小さい頃からこの街には遊びにきていたのですが、平成9年8月25日の第2白糸トンネルの崩落事故により、行き来が出来なくなりご無沙汰してましたが、白糸トンネルは平成11年4月8日より通行できるようになったため、久しぶりに訪れました。
瀬棚町はアイヌ語で「セタルペシュナイ」(犬の川)が略されて「セタナイ」(犬の沢)となり、それが転化して「セタナ」になったそうです。
この街には、医師免許を取得した日本で最初の女性、荻野吟子(はぎの ぎんこ)氏の伝説があります。明治27年、東京での開業医の生活を捨て、理想郷建設の夢を追って14才年下の夫とともに、瀬棚の地を訪れたそうです。やがて、夫を若くして先立たれ、北辺の地にただ1人残されたあとも彼女はこの町で医師として、教育者として、また女性の地位向上のための活動家として止むことなく活動を続けたそうです。伝えられる彼女の人なりは、気丈さと知性の備えた美貌のロマンチストであったといいます。
この辺りの海岸線は変化に富んだ奇岩、絶壁が多く、狩場茂津多道立自然公園に指定されています。写真の三本杉岩は、高さ30メートル前後で海面にそびえ立つ暗灰色の安山岩で、上層部には岩松や寒冷地特有の植物が生えています。紺碧の海にあたかも老杉が波間にそびえたつようにも見え、うち1本が少し離れているところから、先人はこれを三角関係の悲恋に見立て
「主は三本杉よ、2本離れて妾しゃ独り」の民話を生み、追分節の哀調にのって内地に渡り、愛唱されたそうです。三本杉岩は、1992年より夜間のライトアップが行われてます。
この他にも、島牧村と瀬棚町の間には、義経とアイヌの娘との悲恋の伝説を秘めた女朗子岩やカブト岩、立岩、熊岩、船隠しなどの名称が付けられた岩を見ることができます。
島牧村には茂津多海岸温泉(この温泉の2つ隣が祖父の家でした。)や本家を差し置いて日本なぎさ百選に選ばれた江の島海岸の海水浴場など、マリンスポーツが楽しめます。 |