伊勢神宮とおはらい町

1999年8月






 
 江戸時代に多くの庶民は、一生に一度でいいからお伊勢参りに行きたいと願っていました。しかし旅費に莫大な費用がかかるため、そう簡単にお参りに行ける訳ではありませんでした。

 そんな、かつての庶民のあこがれ伊勢神宮は、近鉄伊勢市駅から歩いて10分ほどの所に在る外宮と、同じく伊勢市駅からバスに乗り20分ほどの所に在る内宮のふたつがあって、外宮~内宮の順序でふたつともお参りするのが正式だそうですが、今回は時間の都合で内宮だけをお参りし、その門前町であるおはらい町を歩いてみました。





宇治橋
 宇治橋

 五十鈴川に架かる長さ102mの橋は宇治橋と言い、ここまでが私たちの住む俗界で、五十鈴川を渡った先が聖界という事になります。そして、宇治橋のすぐ先の大鳥居をくぐり、砂利の敷き詰められた参道を10分ほど歩いて行くと、越えて来たばかりの五十鈴川が、再び目の前に現れました。





五十鈴川
 御手洗場

 ここは御手洗場(みたらしば)と呼ばれ、むかし正殿を参拝する前に、川の水で身を清める場所だった所です。五十鈴川の静かな川面は澄みわたっていて、沢山の大きな鯉たちがゆうゆうと泳いでいるのを見る事ができます。この川岸に腰を下ろし何も考えずにボーッとしていると、東京からの旅の疲れもどこかに吹っ飛んでしまうほど。

 そして、ここから更に参道を15分ほど進んだ所に、天照大神が祀られた正殿が在ります。正殿をお参りした後は、歩いてきた参道を宇治橋の袂の広場まで戻って来ると、その先およそ800m位に門前町が続きます。





おはらい町
 おはらい町の町並み

 おはらい町と言われるこの門前町には、昔ながらの食事処や土産物店が並んでいて、あちこち歩いて見て廻るうち、あっと言う間に時間が過ぎてしまいます。ちょうど昼時になったのでその内の一軒に入り食事をする事にしました。ここで注文したのは、以前から伊勢に行ったら必ず食べようと思っていた、名物伊勢うどん





伊勢うどん
 伊勢うどん

 少し太めで柔らかいがこしの有るうどんに、だしが利いてこくの有る、あつあつのたまり醤油の汁をかけて、薬味のネギをのせただけと言う至ってシンプルなこの伊勢うどんは、伊勢周辺でしか食べられない貴重なメニューで、値段はどの店も400~500円といった所です。

 シンプルに見える割りには手間ひまを掛けるらしく、注文を受けてから出来上がる迄、時間がかかる旨の案内書きが店内に掲げられていて、待つこと20分で出てきた生まれて初めて食べる伊勢うどんの味は格別でした。





赤福
 赤福本店

 伊勢名物の食べ物にはもう一つお奨めが有ります。それは赤福。おはらい町のちょうど中程に店を構える赤福本店の創業は古く、1707年。舌ざわりが良く歯ごたえの有る赤福餅にあまりしつこくない餡子を絡ませた、屋号と同じ名の赤福は絶品です。

 メニューはこの赤福(3個で230円)と、宇治かき氷に赤福が入っている夏季限定、茶付赤福氷(400円)の二つのみなのですが、店内は多くのお客さんで超満員です。

 ところで、この赤福本店の周辺は、特におかげ横丁と呼ばれていて、平成5年に赤福が造った街で、門前町と言うより、いわば計画的に形成された商業の集積です。そこには山口誓子俳句館や、松坂木綿の反物を売る店、伊勢肉料理屋、ローソク屋、洋食屋など、様々な店が建ち並んでいて、そのテーマ館とも言うべきおかげ座を中心に賑わいを見せています。

 入場料600円を支払いおかげ座に入ると、100体の人形や町のミニチュア、36台の映像プロジェクターを駆使して、江戸時代の伊勢神宮周辺が再現されます。そして、こういったビジュアルと共に、案内スタッフの説明によって、昔の伊勢参りの事情が手に取るように分かります。









★交通 近畿日本鉄道 伊勢市駅下車
三重交通バス 内宮行き



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