石老山
1999年10月
神奈川県の北の端、東京都と山梨県との県境近くにある相模湖は、相模発電所と共につくられた人造湖で、昭和15年に起工され、途中戦争をはさみ、7年の歳月を費やして昭和22年に完工しました。そしてこの湖の底には、昔からそこにあったいくつかの村が埋没しています。
そんな相模湖に面してそびえている山のひとつに、石老山と言う山があります。この山の中腹には平安時代の建立と言われる顕鏡寺と言う寺があり、又この山は数々の奇岩、巨岩に富んでいて、そのひとつひとつに伝説があって、相模湖と併せてとても神秘的な山です。そして石老山には約7km程のハイキングコースが整備されていて、標高695mの山頂や隣の大明神山を経て、廻ってくることが出来る様になっています。 |
|
相模湖より石老山を望む 左手奥の山が石老山 |
JR相模湖駅前から、三ケ木行きの神奈川中央交通バスに乗ること15分で、「石老山入り口」の停留所に着きます。停留所近くには大きな案内板があって、石老山ハイキングコースの全体がひと目で分かる様になているし、所々に指導標が立っているので道に迷うこともありません。
バスを降りて15分ほど舗装された坂道を上って行くと、相模湖病院が見えて来ます。指導標に従いこの角を右に入ると、ここからいよいよ山道になり、程なく奇岩が目の前に次々と現れます。 |
|
屏風岩 |
名前の通り屏風に似た岩で、中央から左右に割れて並び、その間が通路になっている事から、切り通しとも呼ばれています。 |
|
力試岩 |
その昔、力持ちが力試しをしたと言い伝えられていて、大きい岩は男岩、直立した岩は女岩と呼ばれています。 |
|
岩窟 |
石老山山中の寺顕鏡寺の境内にあって、寺を建立したと言われる道志法師と源海法師が住んでいたと伝えられています。 |
|
試岩 |
腕の立つ武士が、刀でこの岩を試し切りしたために、岩が真っ二つに割れてしまったのだとか。 |
|
擁護岩 |
石老山では一番の巨岩で、神社を抱えて守っている様に見えるのでこの名前が付いたと言われています。 |
|
八方岩 |
この岩に登ると八方が見渡せると言われているのですが、実際に見えるのは東南方面の眺望だけ。
とまあ、知ったふうに解説しましたが、これらの事はみんな岩のそばに立ててある案内板の受け売りです。案内板は全ての奇岩にあって、とても丁寧に解説してくれます。そしてこの他にもまだまだ奇岩巨岩が控えていて、これら奇岩群のちょうど中程に顕鏡寺があります。
やがて、八方岩を最後に奇岩が見えなくなると、その後はひたすら山頂を目指して山道を登って行く事になります。そして、「石老山入り口」のバス停を出発してから2時間程で、石老山山頂に到着です。 |
|
石老山山頂から富士山を望む |
山頂からは丹沢の山々や、天気が良ければ富士山も眺めることが出来ます。ここには椅子やテーブルがいくつかあるので、お弁当を食べるのにはちょうど良い。
山頂を後にして更に先へと進むと、いくつかのアップダウンを繰り返した後、およそ30分程で隣の大明神山にある大明神展望台に到着します。ここからの眺めは石老山山頂よりも素晴らしく、360度のパノラマが開け、特に相模湖周辺の眺めは格別です。只ここには、丸太で造った簡単なベンチがひとつ有るだけですので、お弁当を食べたりするには不便かも。
素晴らしい眺めを堪能した後は、コースのゴールに向かってひたすら山を降りて行きます。30分程下って来たところでキャンプ場が現れ、すぐその先の箕石橋辺りから舗装路に変わります。この道を道なりに更に20分程下って行けば、石老山ハイキングコースのゴール地となる「ピクニックランド前」停留所に辿り着きます。
しかし私としては、是非ともお薦めしたい寄り道があります。それは、相模湖を渡し船に乗って(片道600円)向こう岸まで渡るのです。箕石橋を過ぎたその先を更に進んで行くと、やがて「渡し船乗船場」への案内看板が見えて来ます。看板に従い左に折れ、更に随所にある看板に従い、相模湖畔まで下って行くと、渡し船の乗船場が見えて来ます。 |
|
乗船場に置かれたドラム缶 |
乗船場とはいえ、平日などの乗船客が少ない時は、船もなければ関係者さえ誰もいません。そう言う時は、乗船場に置いてあるドラム缶をこん棒でたたきます。すると近くにある湖畔のキャンプ場から、船頭さんが船に乗って現れます。 |
|
相模湖の渡し船 |
ちょっとしたボートに船外機が付いただけのこの渡し船に乗ること10分で、向こう岸にある相模湖公園に到着。ハイキングの全行程は約4時間でした。
尚、JR相模湖駅は、相模湖公園から更に歩いて10分程です。 |
★交通 |
JR中央本線相模湖駅前より、神奈川中央交通バス 三ケ木行きで約15分、石老山入り口下車。 |
周辺地図
|