ギブソン/交響詩全集

収録曲:エン・サガ、ルオノンタール、フィンランディア、春の歌、吟遊詩人、木の精(Op.45-1)、ポヒヨラの娘、夜の騎行と日の出、大洋の女神、タピオラ
レーベル&番号:CHANDOS CHAN 8395/6
演奏者:アレクサンダー・ギブソン/スコティッシュ・ナショナルO.

アレクサンダー・ギブソンはスコットランドの音楽界をリードした指揮者です。彼によるシベリウスの録音はどれも粒ぞろいで優れたものばかりです。ギブソンの演奏は、まさにフィンランド、あるいはスコットランドの大自然を感じさせるような雄大なものであり、しかし、それでいて繊細さにも欠けることはありません。
 シベリウスの若い頃の作品ではスコアに書かれたあふれんばかりのエネルギーを効果的に音にし、私たちにわかりやすく演奏してくれます。その印象はヒロイックで勇ましいもの・・といった感じでしょうか。また、演奏時間が長い作品であっても、我々を飽きさせません。長い曲を聴くと、意外と退屈になってしまう演奏が多いなか、この演奏はそんなことを微塵も感じさせません。
 一方で、後期の作品も前期の作品と違ったアプローチをとっており、名演揃いです。吟遊詩人など内省的な作品では、非常に静かで、透明な音世界を作り出しています。夜の騎行と日の出では、引き締まったリズムで孤独で長い夜の騎行を描き、やがて訪れる夜明けを感動的に再現してくれます。タピオラはオーソドックスな演奏でありながら、森の静けさ、暗さ、深さ、そして森の神といったシベリウスが描こうとしたものが手に取るように分かります。


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