パーヴォ・ベルグルント/ヨーロッパ室内管 交響曲第5番、第7番

収録曲:交響曲第5番、第7番


レーベル&番号:FINLANDIA 0630-17278-2


演奏者:ベルグルント/ヨーロッパ室内管

シベリウス録音の一つの頂点

 パーヴォ・ベルグルント3回目の全集の中の一枚です。オーケストラは近年非常に注目度の高いヨーロッパ室内管です。ヨーロッパ室内管は文字通りヨーロッパの有能な若手奏者によって構成される有能なオケで、高い技術力と、柔軟な音楽性、そして音楽への情熱をもった団体です。シベリウスのスペシャリスト、ベルグルントと、この優秀なオケの組み合わせは、期待を裏切らない素晴らしいものでした。
 このディスクを初めて聴かれる方は、解釈のクリアさに驚くかもしれません。また、ひょっとすると当惑さえするかもしれません。普通、シベリウス、特に後期の交響曲というと暗い静かな音で演奏されるのが普通ですが、オーケストラの音は明るくどこまでも透明でクリアです。私たちのイメージにあるシベリウスらしさとはかけ離れた音ともいえるでしょう。
 しかしながら、なぜあえてベルグルントがこの楽団を選び、こうした解釈をとったかは聴いているうちにすぐに理解できます。ベルグルントは交響曲のテクスチャを明快に描き出すことによって、交響曲が持つ有機的な構成を生かし、それによって作曲者が聴き手に伝えようとしたメッセージを私たちにダイレクトに伝えてくれるのです。
 シベリウスは交響曲というジャンルでは、かつてベートーヴェンが成し遂げたような有機的で、凝縮された作品を生み出していきました。それらは、単にフィンランド人の音楽という枠組みを超えて、普遍的な力をもった傑作となっています。ベルグルントは、普遍的な音楽としてシベリウスの交響曲を構築し、聴き手に訴えかけようとしたのではないでしょうか。そして、まさにベルグルントによって作り出された音楽は見事に私たちの心をとらえます。そういう意味で、この演奏は、シベリウスの音楽の最高のかたちのひとつであるといえるでしょう。


シベリウスのCDへ戻る

トップへ戻る