シベリウス指揮者


パーヴォ・ベルグルント(フィンランド)
ご存じ、現代におけるシベリウス演奏の第一人者。とはいうもののご本人は特にシベリウスのエキスパートということにはこだわっていないらしい(交響曲第4,6番/COEのCDブックレットのインタビュー記事による。)。シベリウスの演奏においては弦楽器のビブラートを控えめにすることによって、響きをクリアーにし、曲の構造(texture)を明確に提示する。どちらかといえば硬派の演奏であり、いわゆる「雰囲気」は若干乏しいが、地味な曲想をそのまま描き出すことによって、シベリウスの音楽のもつ地味な美しさをもっともうまく表現できる指揮者。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(オーストリア)
知らぬ人はいない20世紀の偉大な「巨匠指揮者」の一人。万能指揮者であるがゆえに、カラヤンのシベリウスなんて・・・・・と思われる方もいると思うが、シベリウス自身が、自己作品の演奏における最高の解釈者の一人と述べているように、シベリウスの演奏においてもエキスパートだった。おそらくドイツ・オーストリア系の指揮者で最初にシベリウスを本格的に指揮した人といえる。ベルリンフィルのようなコテコテのドイツオケからも、銀色のシベリウストーンを導き出したところが凄い。

コリン・デイヴィス(イギリス)
ベルリオーズと並んでシベリウスの解釈には定評がある。過去にボストン響、ロンドン響と交響曲全集を作っている。

アレクサンダー・ギブソン(スコットランド)
スコットランドのオーケストラ界をリードした指揮者。シベリウスの解釈に関しては、大自然の雄大さや厳しさを感じさせるような男性的な表現をとる。手兵ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO.と交響曲全集、交響詩全集の録音がある。

レイフ・セーゲルスタム(フィンランド)
読響などでもおなじみの指揮者。現ヘルシンキフィル首席指揮者。デンマーク放送響と交響曲全集を録音した。ベルグルントの音楽と方向性は近いが、こちらの方が若干暖かい。

ユッカ・ペッカ・サラステ(フィンランド)
フィンランドの若手指揮者。トロント響、フィンランド放送響首席指揮者。後者と交響曲全集を録音(2回)。若々しくスタイリッシュな音楽を作る。1999年6月来日。交響曲第2番では熱演を聴かせてくれた。

オスモ・ヴァンスカ(フィンランド)
地方都市の一オーケストラだったラハティ響のレベルを短期間で高めた注目の指揮者。オリジナル稿の録音などを含め、シベリウスの解釈に新風を吹き込んだ。10月に来日。すみだトリフォニーホールで交響曲全曲を演奏予定。

ジョン・バルビローリ(イギリス)
イギリスにおけるシベリウス演奏の第一人者だった。技術レベルという意味では完璧とはいえなかった手兵ハレ管からとても暖かい音楽を引き出した。

サイモン・ラトル(イギリス)
この人をいわゆる「シベリウス指揮者」と呼んでいいのかはわからないが、かつての手兵バーミンガム市響と全集を録音しているように、シベリウスは得意としているようである。ベルリンフィルのシェフに久々にシベリウスを振れる指揮者が登場するという意味も込めて掲載した。

ロベルト・カヤヌス(フィンランド)1856〜1933
シベリウスの友人であり、彼の音楽を広めるのに大きく貢献した。録音も残されており、当時の演奏様式をうかがい知ることができる。

ネーメ・ヤルヴィ(エストニア)
BISに多くの作品を録音。すべての指揮者の中でシベリウスの作品の録音数は最多であると思われる。バランスのよい解釈には定評がある。

パーヴォ・ヤルヴィ
ネーメの息子。近年クレルヴォ交響曲を英ヴァージンレーベルに録音した。これからが期待される。ちなみにファーストネームはベルグルントにちなんでつけられたらしい。

渡邉暁雄(日本)
フィンランド人の血を引く日本におけるシベリウス解釈の権威であった。デジタル録音による世界初の交響曲全集を日本フィルと録音した。

ユージン・オーマンディ(ハンガリー→アメリカ)
えっ、と思われるかもしれないがオーマンディもシベリウス指揮者の一人であり、作曲者の友人であり理解者だった。どちらかといえば初期の有名な作品の録音が多くそちらがお好みのようである。

ヴラディミル・アシュケナージ(ロシア)
ご存じ著名なピアニストであり指揮者。ロシア音楽のみならず、シベリウスも得意としているようである。DECCAに交響曲全集&管弦楽曲を録音した。

ユッシ・ヤラス(フィンランド)
クレルヴォ交響曲を66年ぶりに蘇演した。シベリウスの娘婿に当たる。

ペトリ・サカリ(フィンランド)
管理人期待の指揮者。手兵アイスランド国立響を率いて、CHANDOSレーベルにシベリウスの作品をいくつか録音。ナクソスレーベルでシベリウスの交響曲全集に着手した。

アンソニー・コリンズ(イギリス)
イギリスの作曲家にして指揮者。1950年頃まではおもにハリウッドで映画音楽の作曲と演奏に携わっていたが、イギリスのオーケストラにも客演し、1953年からイギリスで活動を始め、ロンドン交響楽団と共にシベリウスの交響曲全曲を録音(英デッカ)した。そのみずみずしく勇壮な演奏は、エールリンクの世界初の全集の後発ながらも、共に、シベリウス音楽の普及に一役買った。
(「不良こうむいん」様より情報提供いただきました。Special Thanks!!!)

レナード・バーンスタイン(アメリカ)1918−90
 アメリカが生んだ最高の音楽家。指揮者、作曲家、ピアニスト、音楽啓蒙家。60年代にニューヨーク・フィルと交響曲全集を完成させ、荒削りな演奏ながら、アメリカにおけるシベリウスの全貌紹介に役割を果たした。活動の拠点をヨーロッパに移した後にウィーン・フィルと録音した1番、2番、5番、7番は、晩年の特徴である濃厚かつ陰陽のはっきりした大作りな演奏で、北欧的イメージと異なる「バーンスタインのシベリウス」として彼のファンの間で評判がよい。
(モト様より指揮者紹介文をいただきました。ありがとうございます。)

ロリン・マゼル(アメリカ)
 バトン・テクニックでオケとレコード会社を渡り歩く一匹狼。その生き方は北欧の抒情とはほど遠いが、意外にも2度にわたり全集を完成している。必ずしも録音レパートリーの多くないマゼルにとって、シベリウスは自家籠中の作曲家と言える。60年代のウィーン・フィルとの全集も評判がよいが、90年代前半のピッツバーグ響との全集は、ベルリン・フィルを袖にされた傷心のマゼルが、アメリカの斜陽都市のオケから技巧的な音を引き出した異色作である。
(モト様より指揮者紹介文をいただきました。ありがとうございます。)


トップページに戻る