楽器の調整について


 皆さんはどれくらいの頻度で楽器をリペアにだしているでしょうか。ここ1年くらい出してないなあという方、赤信号ですよ。楽器は使う頻度が高ければ1ヶ月くらいでも、かなりバランスが狂ってきます。ですから特に問題がなくても、せめて3ヶ月に1度くらいは調整に出したいものです。そのほうが、1回1回の修理代も安く、総合的に見ても結局は安上がりになります。私の考えでは楽器は壊れてから修理に出すものではなくて、壊れる前に調整するものだと思います。人間、恐ろしいもので、楽器のバランスがちょっとずつ狂っていくと、それに気づかずに、楽器はこんなもんだと慣れてしまいます。でも慣れてしまうといっても、それは、無理な吹き方で吹いたり、キーを強く押したりすることで、無理矢理適応しようとしてしまうことによってそうなるのです。かくいう私も、なんか最近鳴りがおかしいなあなどと思っていると、実は結構バランスが狂っていたということがよくあります。

 私の感覚では、「なんとなく」吹きにくくなってきたな、と思ったら、調整に出すようにしています。息漏れチェック(穴を全部ふさいで息を吹き込んでいき漏れがないか確認する)をしてもわからない範囲で、微妙に狂っていることがあり、それが吹きにくさにつながることもあるようです。

 ですから、リペアマンの側だけがそれに気づくのではなくて、私たち奏者も楽器について繊細な神経を持つことも大切だと思います。もっとも、神経質になりすぎているのは問題ですが・・・。

 チェックポイントとしては、レジスターキー以外の穴を全てふさいだH(記譜音)が、キーが軽く押さえられている状態でppできれいに鳴るか、鳴らないかが重要だと思います。ちょっとでもキーバランスが狂うとこの音は出にくくなります。結構いい加減なアンブシュアでも鳴るようでないと問題があります。鳴らないと思って、息を絞り込んで、狙って当てていたら、けっこうまずいかもしれません。

 私は、楽器修理は九段下のサト・テクノ・ミュージックでお世話になっていますが、調整が終わって試しぶきすると、いつも鳴りの良さにびっくりします。ああ、いままでこんなに狂っていたんだといつも思い知らされます。


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