クラリネットの歴史


クラリネットは音響構造や、楽器構造などから考えると、クラリネットと同じ構造(単一リードで円筒形の管体を持つ)をもつ、アラブ地方の民族楽器(「ズマーラ」などと呼ばれる楽器など)にその起源があるようです。オーケストラで使われるような楽器というのは、いかにもヨーロッパを起源とする「育ちの良い?」イメージがありますが、起源がヨーロッパ以外にあるものも多く、クラリネットもその例外ではありません。

楽器は時代の変遷とともに、各地に伝わり、ときに改良が行われて姿を変えますが、ヨーロッパでは、中世以降、「シャリュモー」とよばれる民族楽器として発展し、演奏されてきたようです。

※「シャリュモー」は、ショーム、シャルマイ、チャルメラ!といったものと言語的/楽器構造的に共通なダブルリード(リードを2枚束ねてその隙間から息を入れて音を出すリード。オーボエやチャルメラなどはこの種の楽器です)の楽器のことを本来指すものであったようですが、クラリネットの祖先であるシングルリードの楽器もこう呼ばれ、しばしば混同されて呼称されてきたようです。

しかし、「シャリュモー」はまだクラリネットではありません。当時のシャリュモーは、かなり素朴で荒っぽく甲高い音だったようで、宮廷音楽などで使用されることはなく、もっぱら民族楽器としての利用でした。また、シャリュモーはその音域が基音のみで、非常に狭い音域しかありませんでした。

18世紀になると、このような楽器では「芸術音楽」には使えないから、改良してまともな音のする楽器にしようと考える人が出てきます。一般的には、J.デンナーが、シャリュモーの改良過程で、音域拡大を試み楽器上部にキイで開閉するトーンホールを設置し、そのキーの利用により倍音(3倍音)の利用を可能とし、一気に利用可能な音域を広げたことが「クラリネットの発明」であるとされています。ただ、これに関しては異論もあるようです。いずれにせよ同時代の楽器制作者の誰かによって行われた改良によってつくられた楽器であることにはかわりはないでしょう。

ちなみにこの楽器の名前の由来は、当時の高音金管楽器である「クラリーノ」によっています。この楽器に音がにていた(ということは初期のクラリネットはまだ音が相当甲高かったと思われる)ことから、小さなクラリーノと言う意味で「クラリネット」という名がつけられたようです。

(以下、執筆中)


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