歯の矯正をしながらクラを吹くのだ!の巻


はじめに

私は歯並びがとても悪いのです。昔はそれほどでもなかったように思いますが、クラリネットを10年近く吹いてきたため、前歯の歯並びがかなり悪くなってしまいました。具体的には上の前歯L2が非常に内側に引っ込んでいるため、クラリネットを吹くときに、マウスピースのティップレールの端っこに、その引っ込んだ歯をぶつけてしまうことが多くて、下手をするとマウスピースを破損してしまうため、非常に困っていました。また、その引っ込んだ歯があるために、自由に楽器を構えられなかったり、歯並びの関係で、マウスピースを歯一本で支えなくてはならず、長時間吹くと歯が痛くなったりする問題もありました。また、私は比較的きちんと歯を磨いている(つもり?)のにも関わらず、虫歯になりやすい状態であるようです。
また、私としては、年をとってもクラリネットを演奏したいので、そのためには入れ歯にならないように、きちんと歯を残していかなければいけないとも思っていました。

そんなわけで、高校生の頃から、矯正をしようと考えていたのですが、当時の常識?として、歯の矯正をするとその間は楽器は吹けなくなるということになっていましたし、実際に、矯正器具をつけてから、上手く演奏ができなくなった人を知っていたたので、躊躇して、思い切って矯正に踏み切ることができませんでした。

その後、大学生になってから、インターネットで情報収集したり、クラリネットの先生と話をしたりしているうちに、どうやら、上手く工夫をすれば、楽器演奏にそれほど支障が出ずに矯正ができるのではないかということがわかってきました。

そこで、「管楽器奏者の歯のためのページ」http://www2s.biglobe.ne.jp/~ohara/というWebsiteを公開されている、矯正歯科医の大原先生のところに相談に行って、いろいろと調べていただき、歯の矯正をすることに決めて、今年の夏から矯正を始めています。もちろん楽器も練習しながらです。

そこで、せっかく矯正をしながら、楽器を吹き続けていることだし、ホームページのネタにも困っていたし・・・・ということで、私の歯の矯正をレポートすることにしました。もちろん、私は医学的な知識はありませんから、あくまで、私の主観的なイメージや感覚をお伝えしていくことになると思います。

クラリネットを吹くために矯正器具の選択にかんして注意したこと

クラリネットの場合は、下唇を巻き込んで演奏し、また、楽器の角度がサクソフォンなどとくらべて垂直に近いので、下の歯に装置がつくことによって、違和感があったり、唇が痛くて吹けなくなることが考えられます。私がいままで聞いた、矯正をして楽器が上手く吹けなくなった例(2例)はどちらもこれが原因だったようです。ですから、唇を巻き込んだときに、装置が歯にあたらないようにした方が、クラリネットを吹く上では有利であると考えられます。

そこで、私の場合は、下の歯はリンガルブラケットという歯の裏側につけるタイプ(つまりニッと笑っても装置が見えない)にしてもらいました。これだと下唇を巻き込んでも全く装置が邪魔をしないので、長時間の演奏にも耐えられそうですし、微妙なコントロールもできそうです。リンガルブラケットは値段が高くなりますが、外見も気にならない点も良いです。ただし、装置が口の内側に付くので、慣れるまでは結構違和感があります。私は、当初は上下両方ともリンガルブラケットにしたのですが、発音が非常にしづらく(特にT,D)、さらに悪いことに舌の先に口内炎ができてしまって、慣れるまで待てませんでした。また、マウスピースをくわえてタンギングをしたときに、若干舌が引っかかる感じがあって、少し不自由を感じたので、上の歯の装置は通常のタイプに変更してもらいました。

楽器を吹いたときの感覚

現時点では、すでに歯が動き始めていますが、とりあえずは楽器の演奏は問題なくできています。違和感がないといったら嘘になりますが、大きな問題ではなく、慣れで解決できる範囲だと思います。私は最近忙しくて毎日楽器をふくなどとても無理なので、まだ、若干違和感がありますが、徐々に慣れていけそうな感じがします。

現時点で、私が感じる違和感をあげてみます。一つは上の歯の装置が歯の表側についているため、アンブシュアの感じが若干今までと違います。そのためなんとなく吹いていて変な感じがします。ただ音質はほとんど変化はなく、タンギングも全く問題なくできます。もうひとつは、歯が動き始めたため、マウスピースに対する歯の当たり方が変わったために、楽器が安定しにくくなった点があります。私は前述の通り、歯並びが悪く上の歯は1本でマウスピースを支えていたため、非常に不安定で、それを解消するためにのようにマウスピースパッチを切って張り付けて、高さを調節して、2本の歯で支えられるようにしていました。歯がきちんと並び始めたために、いままでの高さ調節がかえって邪魔になってしまって、マウスピースが斜めに歯にあたるようになってきたのが違和感を感じる原因です。これに関しては、調整用のマウスピースパッチ片を薄いものに替えて、より通常の状態に近づけることで解決ができそうです。ただ、口の中の感覚だけに、自分の気に入るように調整するのは結構面倒です。以前は0.8ミリのパッチと+0.5ミリのパッチを重ねて、高さを増やしていましたが、歯並びが若干良くなったため、現在は0.8ミリのパッチを小さく切り取って高さを調節しています。これもじょじょに慣れてきましたので、そろそろ違和感を感じなくなるでしょう。
 というわけで、アマチュアとして楽器を吹くぶんには大丈夫であろうと思われます。プロの方が求めるようなクオリティを追求するには若干問題があるかもしれません。ただ、今後ともいろいろと変化があるでしょうから随時レポートをしてきたいと思います。

状況報告

2000年10月2日現在(矯正を始めてから14日)


 ←あまり美しくないものをお見せしてしまって済みません(^^;

ここのところ忙しくて週に1,2回しか楽器が吹けないので、なかなか、装置に慣れるのが難しいです。昨日は私の所属するオーケストラの練習がありました。装置をつけてから、初めての練習参加でした。練習に遅刻していったため、すぐに合奏になってしまい、何日も楽器を吹いてないのに、ほとんどウォーミングアップなしで吹く羽目になりました。曲はラヴェルのラ・ヴァルス(1st)。非常に吹きにくい曲でかつ代吹きで、初見に毛が生えた程度しか吹けない状態。そんなわけで、さんざんな結果に。その後休憩が入って、音だしやリード選びができたので、その後の合奏で吹いたシベリウス:交響曲第1番(2nd こちらは正乗り)では、なんとかまともに吹くことができました。今までは、すぐに曲を吹いてもそれほど問題がありませんでしたが、ウォーミングアップはしっかりやらないとまずそうです。それにしても、1,2週間でもう自分でわかるくらいに歯が動き始めているのにはびっくりです。ちょっと吹かなかっただけなのに、マウスピースをくわえてみると、もう感覚がおかしいのですから。これからはなるべく毎日少しずつでも楽器を吹いて、変化についていけるようにしたいと思います。
 ちなみに緑の線が歯の中心。赤で示したのは裏側に重なっている前歯。楽器の入るスペースはすれすれです。

2000年10月22日現在(約1ヶ月経過)

先日2回目の針金締め付けに行って来ました。前回初めて装置をつけて締め付けたときには、1週間ほどものをかむと痛かったのですが、今回はすでに歯が動き出していることもあって、それほど痛くはなりませんでした。が、ここ数日で結構歯が動いたのか楽器を吹くと結構感覚がおかしくて、ちょっと苦労しました。また、マウスピースパッチの調整を変更しなければいけなそうです。しかし、写真を見ると結構歯が動いているのですね。毎日ほんの少しずつ移動しているのでしょうね。

11月23日


2月20日

いやはや、びっくりなのですが、こんなにも動いているのですね。12月に、凹んだ歯を引っぱり出し始めました。ちなみに、最近ついに何もしなくても2本の歯で楽器を支えられるようになりました。(2月20日)。もう、針金の調整をしてもほとんど痛くなることはないです。それと、なんと言っても嬉しいのは、楽器を吹いているときに楽器をぶんぶん振り回しても、マウスピースが凹んだ歯に当てて、損傷することは完全になくなったことですね。最近はそれほど調子も悪くなく、結構楽に吹けています。

2001.09.03
現在、矯正は進行中です。上記写真よりもう少々歯並びが良くなっていますが、前から見るとさほど変わっていないので、写真を撮っていなかったりします。現在、上の前歯〜犬歯を後ろに引っ張って下げています。

2002.07.29
ほぼ歯並びは良い状態になりました。あとは小さな調整を残すのみでもうじき終わりになります。楽器を長時間吹くときもダメージが非常に小さくなり、なかなか快適です。


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