コンサートレビュー(インマゼール/アニマ・エテルナ)


10月19日(火)すみだトリフォニーホールで行われたコンサートです。

 インマゼール率いるアニマ・エテルナというオーケストラをご存じでしょうか。インマゼール(マゼールではありませんよ)はベルギーの指揮者、アニマ・エテルナは作品が作曲された当時の楽器(オリジナル楽器、ピリオド・インストゥルメント、古楽器などと呼ばれます)で演奏する団体です。この手の団体としてはブリュッヘン率いる18世紀オーケストラなんかも有名です。プログラムはシューベルトのロザムンデ、未完成、ベートーヴェンの田園でした。
 古楽器と時代奏法によって作られる音楽は従来のオーケストラが作る音楽とは若干ですが趣を異にしています。当時の楽器は大きな音や柔らかい音はあまりでませんが、その分繊細で優雅な表現に長けていて、現在のオーケストラが失ってしまった独特の良さがあります。また、当時の楽器は鳴りにくいという欠点も持っていますが、その鳴りにくさがある種の緊迫感や迫力を作るのにも役立っています。
 ベートーヴェン、シューベルトともに快演でした。本番前にレコーディングもあったようで、楽員には疲れもあったようで、小さなミスはありましたが、作曲者が意図した音楽はなるほど、こういうものだったのか、と思わせるすばらしい演奏でした。しかも、その演奏は、単に昔の演奏の再現にとどまらず、現代的な感覚を併せ持った現代の演奏だった点がすばらしかったと思います。明快で弾力性のあるリズム、クリアな響きなどはまさに現代に適したものといえるでしょう。


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