コンサートレビュー(ベルティーニ/東京都交響楽団)


マーラー/交響曲第6番「悲劇的」

 私はあまりマーラーが好きではなかったのですが、最近になって、CDや実演で聴く機会があり、その良さがようやくわかるようになりました。そんなわけで、マーラー演奏のスペシャリスト、ベルティーニ指揮の6番を聴いてみようと突然思い立って、前日に学生券を購入してしまいました。

 マーラーの6番は唯一短調で終わる文字通り悲劇的で重い内容の曲という一般的な見方がありますが、私の中では、何故かは知りませんが、一番聴きやすい感じがします。おそらく、それは私が、この曲の持つ悲劇的な面に惹かれるのではなく、曲のファンタジーにあふれた内容や、夏のヨーロッパの夜や自然を連想させるような曲想に惹かれるからだと思います。

 ベルティーニのマーラーも闇雲に悲劇性を追求せず、全身全霊を込めて旋律を歌うという方法でなく、もっと合理的にオーケストラを整えて、曲の内容をあからさまにするアプローチをとっていたので、とても好感が持てました。と同時に、日本のオーケストラがこれだけ鮮やかにマーラーを演奏できるという事実に非常に驚きました。都響は私のお気に入りのオーケストラなのですが、特に金管楽器の安定性には目を見張るものがあります。そういった期待を裏切らないばかりか、それをはるかに越えた演奏をしてくれました。


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