アンダンテ・フェスティーヴォ(祝祭アンダンテ)


シベリウスにとってのFestivo

 普通、Festivoというとお祭り騒ぎ、祝典的な気分を意味して、曲にこのタイトルが使われれば、当然にぎやかな内容になります。しかしながらシベリウスが想い描いたしたFestivoはそれとは一線を画すものでしょう。幻想の世界の祭典、精神の祝祭とでも言えばいいでしょうか。どこまでも静かで、限りない優しさと高貴さに満ちあふれています。
 この曲を聴くのに理屈は全く必要ないでしょう。ただ、静かに耳を傾けてさえいればいいと思います。

シベリウス自身この曲はお気に入りだったようで、しばしばプログラムやアンコールに取り上げたようです。

(シベリウス自作自演の件について)
<<<うれしいことにこの曲は作曲者自身による録音が残されています。私はまだ聴いたことがないのですが、非常に感動的な名演だそうです。今度是非聴いてみようと思います。>>>
→これについて、レコード芸術4月号にショッキングな記事が。いままで自作自演とされてきた録音が別の指揮者のものと判明したようです。なお放送局から別の自作自演も見つかったらしいですが曲目等は不明です。オンディーヌから発売予定とのことです。

→発売されました。Sibelius Favorites ONDINE ODE992-2
↓ジャケット写真

従来自作自演といわれていたものに比べるとテンポは速めですが、それでも普通の演奏に比べると遅めのテンポで、拍節感をいくぶん強調した、素朴でありながら、力強さと優しさを兼ね備えているようなそんな演奏でした。1939年の放送録音からの音源。1939年というと冬戦争が始まった年。この演奏は当時のフィンランドの人たちにラジオで放送されたと思いますが、彼らにはこの曲はどのように響いたのでしょうか。そんなこともふと頭をよぎりますし、演奏にもそうした雰囲気が若干反映されているようにも思えますがいかがでしょうか?


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