音詩「エン・サガ(ある伝説)」作品9 En Saga Op.9
作曲年1892 1901改訂
編成:Fl2,Ob2,Cl2,Fg2,Hn4,Tp3,Tuba,大太鼓,Triangle,Cym,弦5部
出版:ブライトコップ ウント ヘルテル
クレルヴォ交響曲で、フィンランド音楽界に衝撃的なデビューを果たしたシベリウスに、フィンランドの名指揮者、ロベルト・カヤヌスが作曲依頼を持ちかけたことにより、シベリウスは作曲に取りかかりました。当初、カヤヌスは、アンコールピース用としての小規模な作品を想定していたようですが、完成したのは20分もかかる大規模な交響詩でした。
曲は、カレワラや北欧神話の世界のイメージを抱かせてくれるような内容で、やはりシベリウス独自のサウンドに溢れています。
曲は、冒頭の動機を元にした主題群と、他の2,3の主題によって形作られ、展開されていきますが、それぞれの主題の雰囲気は非常に似通っており、対比されるものというよりは、それぞれが連動して機能するような性格を持っているように思われます。しかしながら、それ故にやや曲の雰囲気の変化が少なく、モノクロームな印象に偏りがちなのが、この曲の弱点ではあります。しかしながらそれを補ってあまりある、エネルギーと力強さを持った作品であると言えるでしょう。
なお、この作品は1901年に改訂されていますが、改訂前のスコアによる演奏も、ヴァンスカ/ラハティ響の録音で聴くことができます。