交響詩「タピオラ」作品112 Tapiola Op.112
作曲者最後の大作です。タピオとは森の神の意味でタピオラとは神々のすむところという意味です。この作品に現れた計り知れないような深さを表現するすべはありません。この作品が本当に人の手によって作り出されたのかわからなくなってしまうほどです。私はフィンランドに行ったことがないのでフィンランドの森がどんなものであるかはわかりませんが、こうした作品が生まれることから察するに、非常に神秘的な存在なのでしょう。そして暗く深い森がフィンランド人の文化の源泉になっているということがよくわかります。
この曲は交響詩であり、一つのストーリー性を持っています。スコアの表紙裏には民族叙事詩『カレワラ』に基づく4行の詩が書かれています。「そこに北国の暗い森が広がる。原始的な夢の中に太古の神秘を秘めて、そこには大いなる森の神がすむ。森の精が暗がりの中にうごめく」(音楽の友社:作曲者別名曲解説ライブラリ『北欧の巨匠』より引用)。
曲は冒頭のVn.による「森の主題」とそこから発展した「タピオの主題」によって交響的に非常に精緻に作られています。交響詩とはいえ、その凝縮度は最後2つの交響曲に勝るとも劣らないものがあります。
December.12.1999. by Johansen
(Johansen製作の別サイトから転載、一部加筆。)