硝酸性窒素について
もうひとつやっかいな問題として、水道水には硝酸性窒素が混入しているという事実があります。長年の窒素肥料の使用により、自然界では処理できない窒素化合物が土壌に残ってしまい、その結果地下水にまで硝酸性窒素が含まれるようになってきたためです。
硝酸性窒素というのは窒素酸化物の一種で人体に大きなダメージを与えます。体内で血液中のヘモグロビンと結合して酸素欠乏を起こします。「メトヘモグロビン血症」とも呼ばれています。硝酸性窒素は体内にはいると亜硝酸になりますが、この亜硝酸とヘモグロビンが結合すると、ヘモグロビンは酸素と結合できず、酸素運搬の役割を果たす事ができなくなってしまいます。そうすると、細胞は酸素を供給されなくなるので窒息してしまいます。特に胃酸の少ない乳幼児は、硝酸性窒素が亜硝酸に変わりやすく、メトヘモグロビンが多量に生成されると死に到る場合もあります。大人の場合、そこまでいかなくても体がなんとなくだるい、元気がでないというような半病人状態(未病)になってしまうこともあります。
もう一つの問題は、体内で硝酸性窒素は亜硝酸に変化し、この亜硝酸と二級アミンが反応して「ニトロソアミン」という最強の発ガン物質ができることです。最強の発癌物質ニトロソアミンは身の回りにも存在していますが、重要な問題は体内でも生成されるということです。ニトロソアミンの材料となる硝酸性窒素は、野菜をはじめ多くの食品に含まれています。それら食品に含まれる硝酸が口の中に住む細菌によって還元されて亜硝酸になります。その量は食物から摂る量よりも多いといわれています。
もう一方の材料、二級アミンも食物の中にたくさんあります。特に魚の肉や卵に多く含まれています。この二つの物質が反応するとニトロソアミンが出来ますが、この反応は酵素を必要とせず、pH(ペーハー)3程度の酸性という条件さえあれば足ります。都合の悪い事には、胃酸のpH(ペーハー)はニトロソアミンを作るのちょうどよい条件になっています。
しかし、自然界は実にうまくできていて、この2つの物質の反応を止めてしまうものがあります。それはビタミンCです。ビタミンCがあるところではニトロソアミンは生成されません。亜硝酸も二級アミンも個々には発癌性はなく、二つが反応しない限り発癌の心配はありません。食後のデザートとして果物を摂るという習慣は、ビタミンCの補給をすることになるので、良い習慣だといえそうです。
硝酸性窒素は、このように危険な物質であるため水道水質基準では10ppm以下とされています。しかし、現実的には硝酸性窒素の除去については、一部の自治体を除いてなんら対策が講じられていないというのが現状のようです。また、数字的なデーターは示されていませんが、硝酸性窒素の除去に有効といわれる逆浸透膜を利用している浄水施設であっても、とっくにその浄化機能が失われている設備も多いということです。自治体の水道事業は水の悪化に対応できていないというのが現状のようです。