Sexual Sensate Design System

  オーガズム徹底トーク

<Caccoオーガズム研究室>と<SSD System 研究室>、この、妙なことにこだわり続ける2つの研究室が、オーガズムについて徹底トークをします。何が飛び出すかは全く予測が付きませんが、どうか、ご期待ください。尚、このトークに参加なさりたい方、ご希望のテーマがある方は、下記 E-mail までご連絡ください。
★ご質問等があった場合、随時追加しますので、<更新>してご覧ください。

                <Caccoオーガズム研究室>へもどうぞお越しください

                        

オーガズム徹底トーク 2

オーガズムとフェイク

Cacco→前回では、女の「PC筋の収縮の弱さ」が話題になったのでしたよね。そして、その背景についてssdさんは「廃用萎縮の結果ではないか」と考え、私は「もともと女にはオーガズムはなかった」と考えたのでしたよね。

SSDそうです。

Cacco→では私から述べさせていただきます。女にはオーガズムは「もともとなかった」可能性があります。私が動物の性行動の文献から調べた結果は拙著の4章で触れていますが、その線から考えると、「もともとないところにフェイクが加わって、個人的色彩の強い銘々のオーガズムを創造した」と考えたくなるのです。

SSD→もともとなかったのなら、フェイクする必要はない、というより、フェイクなんてできないと考えたいですね。あったものが消えたから問題なんじゃないですか?

Cacco→「もともとなかったのなら、フェイクする必要はない」とお考えになるのはどういう理由でしょうか、教えてください。

SSD→ないものだったら、その価値は判断できるはずはありません。従って、フェイクしなければならない理由自体も発生しないと思います。

Cacco→あと、「というより、フェイクなんてできない」と考えたい理由も教えてください。

SSD→サンプルがなければ、マネすることなんかできないんじゃないですか。動物がどうこうといっても、人間にオーガズムがあるということが分かって、では、動物はどうなのだろうということになったんじゃないですか?

Cacco→ちょっと待ってください。「人間にオーガズムがあるということが分かって、では、動物はどうなのだろうということになった」のは私caccoです。「サンプルをマネしてオーガズムをフェイクした」のは、たぶん200万年前ぐらいのヒトオンナです。ssdさんは混同なさっている可能性があります。
それと「あったものが消えた」と考える理由も教えてください。私が調べた範囲では、ヒトになる直前の霊長類たちのメスの性行動(これは廃用萎縮していないと思われます)を調べていくと、「チンパンジーのメスにも、ヒト女にも、もともとオーガズムはなかった」と考えざるをえないのです。どうもオスは繰り返しやりたがるがメスはやりたがらないのです。この「繰り返しやりたがるかどうか」という視点は、快感(報酬、正の強化)があるかどうかを窺い知るためのポイントなのです。   
結局、私の考えはこうです。……オトコが一足早くオーガズムを得て、オンナの目標(あるいはサンプル)となったということです。

SSD→caccoさんの記述にあったかどうか、ちょっと定かではないんですが、霊長類でいうとアカゲザルの例がありますよね。メスの子宮収縮が始まると、それが刺激となってオスが射精するって例です(大島清)。これなんか、とても理屈にかなっているような気がしたんですよね。種によって辿った道は、それぞれ違うから、人間がどうだったのかと推測するのは難しいかもしれませんけど。

Cacco→その研究のことはよく知りませんが、Slob AKらも同じような観察をしています。アカゲザルと同じマカク属のベニガオザルの体内に測定装置と発信機を取りつけ、離れたところからオス・メスの交尾中の生理的変化を記録するとともに、行動を実況中継したものです。その結果、メスの子宮の収縮反射の直後にオスは射精しています。
ただ、この子宮収縮の時にメスが快感を体験しているかどうかは疑問なのです。メスのオーガズムの指標として、<クライマックス様表情>、<オスを振り返る行動>、<オスを引っかく行動>が観察・記録されたのですが、これは子宮の収縮と無関係に起きているように見えたといいます。また、子宮の収縮は毎回見られたが、クライマックス様表情は見られないこともあったようです。

[Slob AK, Groeneveld WH, van der Werff ten Bosch JJ Physiological changes during copulation in male and female stumptail macaques (Macaca arctoides). Physiol Behav 1986;38(6):891-5]

1回目のトークの中で触れたと思いますが、生理的オーガズム反応と主観的オーガズム体験の乖離が、サルにも見られるのです。 

SSD→オーガズムという言葉が具現化したこと自体20世紀に入ってからのことでしょう。フェイクするサンプルはちゃんとあったということだと思います。何故フェイクが必要になったかという話でしたら、検証する意味はあると思いますが。オーガズムという概念、言葉が生じたこと自体、人間の観察によるものだと思います。

Cacco→いや、べつに「オーガズム」という概念や言葉でなくても良いのです。「快感!!」とか「きもちいい!!」といったセックス時のオトコ側の反応が、オンナ側に伝われば立派なサンプルになりえるのです。
ただし、オーガズムであれ快感であれ、これらは「あいつだけがバナナを持っている」といった状況とは違って、目に見えない「体験」ですから、相手ばかりがそれを得ていることに気づくためには「言葉」が必要でしょう。その言葉は

オトコ「◎◎◎◎◎!!!」
オンナ「◎◎◎◎◎???」「△△△……」
オトコ「△△△???」
といった会話だったかも知れません。

チンパンジーとヒトが同じ祖先から別れて同じ500万年を過ごしてきたというのに、メスチンパンジーにはオーガズムがないように見え、ヒトオンナにはあるように見える…この間の違いは、ヒトが言葉を獲得したことと大いに関連していると考えています。(言葉だけではないかもしれませんが……。)  

SSD→生物学的考察は非常に重要なことだと、自分も思っています。その際、見落としてはならないのは、人間の進化の過程で獲得した前頭葉の強大な作用です。その作用が身体にどういう影響を与えるかを考えなくてはなりません。そこから発生する理性・感情のマイナスのストレスが、自律神経にどう働きかけるかの問題です。闘争本能を主体として行動している他の生物と、比較にならない作用があるはずです。そこから、「人間はどうなったのか」、を考えて行きたいのです。              

Cacco→ssdさんは女性のオーガズムに関して、廃用萎縮によって「あったものがなくなった」との立場にたっておられる。私はもともと「なかったものがあるようになった」(廃用萎縮についてはまだよくわからない)との立場にたっています。逆なのですね。
実はθ波とか鬱血に関しても、ssdさんと違う考えを持っています。(読者の皆様、今後のトークにご期待ください。)
しかし、「提言」の段になると、不思議と私たちは共通するのです。性充足が必要であることとか、盲目的な男女平等に疑問を感じているとか、一夫一妻で添い遂げるのが本来の姿ではないかと考えていることとか、性教育への疑問とか、とにかく提言に関しては共通点が圧倒的に多い。

SSD→ちゃんとした接点があるのだから、それを大切にしながら、言うべきことは、遠慮しないって方向でいいんじゃないでしょうか。対立の構図よりも、いろいろ言いながら、我々自身も、確認していける、そんなトークが続けられればいいと思っています。

Cacco→楽しくやっていきましょう。
ところで、今回大いに語らせていただいた「女のオーガズムの由来(?)」については、著名な人類学者がそれぞれ別のことを主張しているというのが現状です。だから、ローカルなところで我々の意見が食い違ってたとしても、実はありふれたことなのです。
一応紹介しておきましょうか。

 「裸のサル」デズモンド・モリス(男!)…もともとなかった(という主旨)
 「女の由来」エレン・モーガン(女)…もともとあった(という主旨)
 「愛はなぜ終わるのか」エレン・フィッシャー(女)…もともとあった(という主旨)

何か、それぞれ自分自身の性の肩を持ちたがっているように見受けられるのも、おもしろいというか、非常に共感できることです。
もちろん、そう言う私も同類です。だからこそ、「オトコばかり気持ちよさそうだ!」と気づいたときの200万年前のオンナは、当然男に嫉妬しただろうという仮説を展開しているのだし、2001年現在、「女の方が男の何倍も気持ちよくなっている」という風説をゼロから問いただすといった作業を続けているのです。

SSD→もともとあったものが消えたと考えなくては、廃用萎縮論が成り立ちませんからね。 「フェイク」という現象は、ほんのごく最近、ハウツー・セックスやオーガズムとは何かが取りざたされ、それを追求してはみたものの、上手く行かない、そんな状況の中から生まれた概念だと思っています。せいぜい50年の歴史と考えています。

Cacco→ちょっと待ってください。「廃用萎縮論」だけは何としても成り立たせなければならない……といった書き方のように感じますが……。(いっそ「廃用萎縮論は杞憂だった…」という結論になった方が、人類としては望ましいのではないですか。)

SSD→そうですね。確かに、廃用萎縮など発生していないという結論が出れば、人類としては嬉しいことでしょうね。でも、諸般の現象をみると、そうは言っていられないって感じなんですよね。

Cacco→しかし、「もともとあった」とssdさんが考える積極的根拠は何でしたっけ? (たしか未だうかがっていなかったと思います。すでにうかがっていたならすみません。)

SSD→現存するんだから、もともとあったってことは否定できないんじゃないかと思ってますけど。それから、条件さへ揃えば、確実にオーガズムは発生させることができるって事を考えれば、何が問題なのかはかなりはっきり見えてくる筈です。そこから、廃用萎縮の進行は否定できないという結論が出てしまうんですね。

Cacco→ところでssdさんは、「男のオーガズムは、女のオーガズムの10%程度のもの」といったことを平気で書いておられますが、羨ましいとか悔しいとか妬ましいとか憎たらしいとか絶望的だといった感情は経験されませんでしたか? 私のサイトの最初の問題提起はこの部分なのですが。
このようなマイナス感情に気づかぬまま女をいかせようとしてきたとしたら、これはEDだのセックスレスだの不倫だの性犯罪だのといった、広い意味での廃用萎縮現象の遠因となりかねないと思っているからです。

SSD→最初に出合ったのがヴァン・デ・ヴェルデの「完全なる結婚」だったものですから、あのオーガズム曲線の男女差が疑いもせずに吸収されてしまった、というところでしょうか。女性とはそういうものなのだと。小学生頃だったから、素直なものです。悔しいとか妬ましいとかいう感情は起きたことはありません。それに、これは後で読み直して分かったことですが、「オーガズムのない性行為は、女性の身体に対する重大な侵害である」という提言は嬉しかったですね。自分は間違ってなかった、という感じでしょうか。
それと、こんなこというと怒られるかも知れませんが、ギリシャ神話のエピソード、とてもいいところを突いているように思いました。女性は、男性の9倍の喜びを得ることができる、しかし、全能の神ゼウスですら、その喜びを与えることができなかった、即ち、廃用萎縮は数千年前から開始していたということを物語っているのです。
女性が男性の9〜10倍の喜びを得られるということに対する説明は簡単です。子宮の体積は前立腺の約3倍、オーガズム時は更に3倍に膨張する。単純計算で9倍になるのです。奇しくもギリシャ神話と一致するんですね。屁理屈かもしれませんけど。それだけの大きさの器官が反応する訳ですから、9倍の影響を与えると考えることは、無理はないと思います。それから、100倍だとか108倍だとかいう考えは、通常の男性が10秒位だと考えて、女性のオーガズムが17分継続すれば、100倍となります。体積による強度差を考慮に入れれば、2分継続すればいいことになります。これは、通常あり得ることです。ですから、この考えも間違っている訳ではないのです。
マイナスの感情の件ですが、性行為にマイナスの感情を持ち込むことのデメリットは、当然考えなくてはいけないことです。自分のテーマとしても、重要なもののひとつです。それと同時に考えなくてはいけないことは、女をイカせるための方法論を知らずにいたづらにいイカせようとしてきたことです。これは、マルチ・オーガズムの是非論にも関係してくると思いますが。

Cacco→些細なことで恐縮ですが、件の神話でヘラが預言者を怒った理由は、「男の方が気持ちいい」方に賭けた自分(ヘラ)が賭けに負けたからであって、夫ゼウスにいかせてもらっていないからではありません。だから、当時から男は、廃用萎縮によって女をいかせる能力を失いつつあった……ことの傍証にはならないと思います。

SSD→賭けに負けたということは、自分はそれほどいい思いはさせてもらっていないということですから、本来9〜10倍の反応があるとすれば、ヘラの能力も、ゼウスの能力も低下し始めていたと考えるのが自然だと思います。ただ、9〜10倍の反応力が実証されての話しですけどね。

Cacco→あと、「女性が男性の9〜10倍の喜びを得られるということに対する説明は簡単です。」以降の記述については、ssdさんらしくない、科学的根拠に欠けた記述ではないかと思います。ちなみに私は同じ疑問に対して、300冊以上の文献を読み、13万文字の記述を書かなければ説明ができなかったほど、それほど難しいテーマだと痛感しましたから。

SSD→理論は単純なほど真実に近いって言われますよね。だから、自分の理論は、徹底的に単純化させています。それと、9倍の体積を持つ器官が反応する衝撃は大きいと考えるのは、それほど非科学的ではないと思います。その器官を収縮させる筋肉の強度も、比較にならない大きさだと思いますし。だから、女性は、失神するんだと思います。

Cacco→また新しいテーマができたようですね、オーガズムと失神。

SSD→そうですね、そのうち別枠でやってみましょうか。では、次回はどうします?

Cacco→ここまでお話してきて分かったのですが、お互いの考え方の違いが見えてきているように思います。そういう意味では「方法論」など面白いかもしれませんね。たとえば先行文献の裏付けをどの程度重視すべきかといった話題です。あるいは自分の論理(理論?)の中から矛盾を一掃することがどの程度重要なことか……といった話題です。

SSD→難しいテーマかもしれませんけど、お互いの立場の違い、考え方の違いの問題、発想の差、方法の差によって、導かれる結論は変わってくることがある、ということを、読者の方々に分かっておいていただくということは、必要なことでしょうね。では、それでGOしましょう。


今回の整理

Cacco→・フェイクという現象は、オーガズムを知らないという焦りから大脳化とともに発生した
     もの。200万年の歴史がある。

SSD→ ・フェイクという現象は、オーガズム情報を現実と比較して処理できなくなった焦りから
     発生したもの。せいぜい30〜50年の歴史。


   オーガズム徹底トーク

   1 オーガズムとPC筋 01.8.22 
   2 オーガズムとフェイク 01.10.3 
   3 オーガズム理論の構築法 01.10.3 
   4 マルチ・オーガズムを斬る 01.10.6 
   5 オーガズムとθ波 02.10.30 
   6 オーガズムと廃用萎縮(基礎資料) 01.12.9 
   7 オーガズムの定義 

  

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