Sexual Sensate Design System 

 やぶにらみ

バイブレーター

 

「白蝋病って知ってる?」

「白蝋病?あ、あのダダダッて言ういう、何ていうの、道路で」

「何て言ったっけ、ディガーっていうのかな、道路掘る機械。何年か前、労災の認定で話題になったことがあるんだけど。掘削機の振動で指の毛細血管が破壊して、蝋のように真っ白なってしまって、神経も寸断されて触覚がなくなってしまった、あれと同じことがバイブレーターでも起こる可能性があると思うんだけど。女性雑誌の相談でもそういうのがあったね、たしか。彼に勧められてバイブレーターを使い始めた。初めの内はよかったんだけど、その内に、いくらやっても感じなくなってしまった、どうしたらいいいでしょう。っていうの」

「どうしたらいいでしょうって、どうしたらいいの?」

「さあ、バラバラになった神経と毛細血管を繋ぎ合わせるしかないんじゃないかな」

「そんな手術できるの?」 

「さあ、どうだろう、無理だろうね」 

「随分無責任ね」

「無責任じゃないよ。そういうものを使わせた奴が悪いんだから。もちろん、作る方も売る方もいいとは言えないけど。少なくとも、使用上の注意はしっかり書いておくべきだね。『神経を破壊する恐れがあります。使い過ぎには十分注意しましょう』ぐらいのことはね。セックス・セラピーのバイブル、カプラン理論では、バイブレーターを推奨してるけど、それで神経破壊が起こったらどうするつもりなんだろう」

「PL法上では、そういう事故は訴訟対象になるのかしら」

「まだ、あまり話題になったのは、聞いたことないけど、第一、そんな訴訟、恥ずかしくて誰もしないんじゃないかな」

「それもそうね」

「それより、そんなものを使わなきゃならないこと自体が問題なんだと思うよ」

「この間、<トゥナイト2>でもやってたわよね、商品開発に女性がどんどん発言するようになったって」

「それを、いいことにして、テレビ番組で取り掲げること自体が問題だと思うよ。オーガズムを得られない女性達が、どんどんそういうものに群がって行くってことは、結果として、神経障害を起こして、感じなくなってしまった女性を増加させることになるわけだもの。第2弾をやろうなんて、得意になっていたけど、冗談じゃない。廃用萎縮なら、まだ改善できる可能性があるけど、神経麻痺となると、これは、かなり難しい問題となってしまう」

「秋葉原でも、そういう店がどんどん増えているって話もあるわよね」

「いかに、快感を求める人が増えているかってことだよね。でも、その結果、どんどん不感症が増えてしまっては、何もならない。バイブレーターを使っている人達が注意しなくてはならないのは、だんだん強い刺激を求めるようになって来た時が危ないってことだと思う。恐らく、大抵は、刺激に慣れてしまったから、より強い刺激でなくては、と思ってしまうのではないか。慣れたのではなくて、神経が破壊されたから、感じなくなったのだと早く気が付かなければね」

「開発している女性は、自分で人体実験すべきなのよね」

「神経障害が起こる可能性があるってことを、医療機関や行政がはっきり調査して警鐘を鳴らすべきだと思うんだけど」

 

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