●栃木の郷土料理に挑む

 栃木県に「しもつかれ」というおいしい郷土料理があるらしい.そんな話を院生のKくんから教えてもらった.旅人たるもの,行く先々にておいしい料理を味わわねばならぬ,となぜか気合の入るつくばびと.と,ちょうど栃木県に行く用事ができ,「しもつかれ」なるものを味わいに出かけることにした.

 この「しもつかれ」,聞くところによると,栃木県で初午の季節に食べられる郷土料理で,鮭の頭(いわゆる氷頭)とダイコンとにんじんと大豆をすりつぶし,酒粕で味をつけたものらしい.材料からすると三平汁の汁ナシ(←なんだそりゃ)みたいなものか?よくわからないけど面白そう,と興味津々のつくばびと.さっそく栃木県内のスーパーマーケットで「しもつかれ」を入手することに成功した(しかも総菜コーナー)!

 ビニルのチューブに入った「しもつかれ」.いったいどんな味がするのだろう,とさっそく開けてみる.匂いはそれほど強くない.でも,この見た目はなんなのだ!まるで吐瀉物ではないか(栃木の皆さんごめんなさい)!急激に気合が失われていく・・・.だが,この見た目にダマされてたまるか,と思い切って食べてみることに.・・・・・,うん?あんまり味がしない.そして,あんまりうまくない.食欲が湧かないなあ.いったいこれは,おかずなのかつまみなのか?う〜む.

 結局「しもつかれ」の魅力も食べ方も語源も何一つわからないまま,「しもつかれ」は大地へと帰っていった(笑).ただ1つわかったことは,Kくんの舌は信用できないということだ(笑)!!ちなみに彼は茨城県西部の出身である.(2002/1/30)

左:こんな感じで売られている「しもつかれ」

右:食欲を減退させる「しもつかれ」.ダイエットに最適(笑)!?

 

【しもつかれ】…シモツカリ・シミツカリ・スミツカレなどと地域によって呼び方は異なるが,二月の初午にはなくてはならない行事食.栃木県を中心に,茨城・埼玉・千葉の一部で食されている.材料は,年越しのマメを余分にとっておき,正月に食べたシオビキの頭,ダイコン,ニンジン,酒粕,アブラゲなどが使われており,残り物をうまく利用してしかも栄養素が高いという先人の知恵が生きている栃木県の郷土料理.なお,栃木県には「七軒のしもつかれを食べると中気(卒中)にならない」という俗諺が伝えられているという.(『藤岡町史・別巻民俗』より)

 

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