| 「好色なトルコ人」作者不詳 明石苑訳(ロマン文庫) |
・エロ小説でしゅ。 ・一回、作者不詳ってな、古典を読んでみたかったんだ。 ・時代は19世紀初頭、アルジェリアの王サマが、海賊とか使ってあちこちで処女をかっさらって、それを「召し上がる」話ですね。 ・文章はすべて往復書簡になっており、一応、主人公といえるのは、イギリスの令嬢。インドに行く途中に海賊に遭い、拉致されて、王サマのもとへ。いわゆるハーレムの一員になるんですね。それを恋人の妹にせつせつと綴ってるってカタチ。 ・で、肝心の「召し上がり」描写は激ヌル。これがエロなら村上春樹の小説はハードコアってなもんでね。まあ、この王サマってのがマメなオトコでね、いろいろとあの手この手で攻め落とすのよ。通算6人ばかりの処女が手ごめにされるのだけどもね、イタリア人、ギリシャ人、イギリス人(主人公)とけっこうバリエーションがちがうんだわ。たとえば、イギリス人は安心してくれ、部屋を用意した、ここなら誰も入れない。カギもついてる。とかいって安心させておいて、隠し扉がコンニチワとか。 ・おもしろいのは、この手紙を送っていた恋人の妹ってのが、侮蔑の返事を出すのね、「なんて汚らわしい!」とかいって。したら、その妹まで捕まりやんの。で手ごめよ。しかも、その手順がめちゃくちゃ凝ってるんだ。 ・その女のためだけのウソの人身売買市場を毎日開催して、毎日売れ残るように仕向ける。そして、医者に化けた、王サマが彼女を買い取り、王宮の一室に医者用の家を作る。わざわざ隠し部屋まで用意する。 ・で、その人身売買の頭領が「やっぱり王サマが気が変わったのでおまえを引き取りに来た」と演技させる。それを隠し部屋で王サマが化けた医者と2人で聴く。そして、医者(王サマ)が「こうなったら、わたしと結婚するしかない。結婚すれば王サマとて手出しができない」と強引に結婚し、「結婚したんだからいいだろ?」とメデタク手ごめ完了よ。って、こんなテマかける必要があるのか?ヒマだな王サマと思いました。 ・どうせ、探すの至難のワザだし、オチまで書いてしまうけど、驚くことにラストはハッピーエンドなんだよ。彼女らは元のところに帰るんだ。新しく入れたギリシャ人の女に、王サマったらチンポ切られちゃうんだ。「で、用ナシだから帰れ」って返すの。しかも、おみやげにチンポのホルマリン漬け(を女の数分輪切りにしたもの)を持たせるんだ。ワケわかんねー。 ・と、解説に訳者が史実に則った王宮の紹介もしていて、これ1冊でちょっとしたハーレム博士になれるよ! ・あれだね、こう、昔の女性ってのは恥らうのですよ。非常に貞操観念が高いというかねえ。そういうところがちょっと萌えましたかね。その後の落差も含めて。だから、処女ってのはこの時代価値があるわけですね。そんかわり、いつまでも恥らっているワケだから、あのシーンのバリエーションがないと、まあ、そういうことになっているのですよ。 ・なるほど。こういう古典を中心に読み進めるってのは、なかなか穴場(サイト的に)かもしれないなあと思いました。ただ、ねえんだよな。(2002/09/20・16:39:53) |
| 「ドン・キホーテのペディキュア」鴻上尚史(扶桑社) |
・「ドン・キホーテのピアス」に続く「週刊SPA!」連載のエッセイ集。1995年から1997年に連載されていたものだから、かなり古いでございますね。 ・おれが鴻上氏を知ったのは、「オールナイトニッポン」のパーソナリティとしてで、劇団第三舞台の作・演出としての顔は知らない。一回、WOWOWでやってたのを録画してみようとしたが挫折した。おれ、演劇はダメ派。 ・そして、このようなエッセイストとしての鴻上氏もなかなか好き。それは「そうかあ?」という疑問、「けっ!」って侮蔑の感情を持つということを込みで好き。風のように通り過ぎたり、文字を目で追うだけのエッセイなんかより100倍マシだわな。 ・このころの「ノリ」としてインターネットがある。声高にインターネット!とうるさい時代に突入しつつあるハシリ。エッセイでも幾度もネタにしている。 ・うまく、現状報告、回顧、考察論文(風)などのネタをはさみつつ、なんとなくの鴻上「思考」が透けて見えるという「芸風」は本作でも健在。 ・前半では「表現」について。鴻上氏はおもに演劇という「表現」でメシを食ってるワケで、そういった観点から表現でメシを食うということ、表現について、演劇についてなど。 ・中盤は、そこから派生して「演じる」ということ、そして、日本特有の、外人に名前を紹介するときの苗字と名前を逆転させることについて。これは4回も続いている。ホント、日本人だけなんだね、こういうヘンテコなことするのって。だって、外人が日本人を紹介するときはちゃんと苗字が先に表記しているんだし。 ・これに関しては、「ミュージックマガジン」で中村とうよう氏も言及していたな。日本のほうが優れているんだよね。大きいフォルダに小さいファイルってのが合理的なんだもん。そのほうが分類しやすいし。外国のレコード屋なんかだと、だから迷うんだ。「ニール・ヤング」を買おうと思ったら「Y」の欄を探さなければならないんだよな。で、Yをみると「YOUNG,Neil」ってな表記。ポールヤングとニールヤングが同じ欄にあるんだよ、バカみてえ。と、横道にそれましたね。 ・と、鴻上氏は、外人さんじゃなくて、そんな中途半端な気の使い方をしている日本人を批判してるワケだ。 ・そういうのの他の例ではNHKもある。本やCDを取り上げる番組に、最後まで、その本の出版社などを紹介しないのはおかしいと。たしかに、そういうのもあるよね。NHKのFM番組なんかでも、「今度7月にライブがあります」とかいって、どこでやるんだ?ってことには一切触れないって中途半端インフォメーションにイラっとしたりします。「宣伝」と「情報」を履き違えているってね。 ・でも、この本の魅力のかなりの割合に、中川いさみ氏の絵ってのがある。毎週さし絵を描かれているんですが、これがスバラシイ。コトによると鴻上氏の本文に匹敵するくらいおもしろい。6:4くらいのチカラはコンスタントにある。1コママンガ的なネタになっていながら、ちゃんと「さし絵」としても機能している。 ・昨今は4コマでの活躍が目立つ、中川氏だが、1コマもスゴイ。 ・と、両者の合わせワザでオススメということに。ま、古いですし、古書店で100円で買ったものですが。長時間電車に乗って移動しなければならないとか、あったら、思い出して本屋ででも探してみてください。文庫でもあると思いますし。(2002/09/08) |