「モンティ・パイソン・スピークス!」デヴィッド・モーガン 須田泰成:訳(イーストプレス) |
・モンティパイソンの面々やスタッフに聞いた赤裸々な歴史の書。結成から解散、そして、メンバーの1人で鬼籍のグレアムチャップマンのこと、1999年にあった再結成の話など、メンバーじゃないとわからない、かなり込み入ったことを聞いている。 ・読了すぐの感想は、山下達郎氏がビーチボーイズのスキャンダルを書いたルポの批評と同じ。 「本書はたしかに人が知り得ない内容がある。でも、すべての人が知ってるビーチボーイズの音楽のすばらしさについては書いてない」(かなり意訳です) ・そうなんですよね。本書もメンバーにメンバーのことを聞いたり、第4シリーズでジョン・クリーズが抜けた真相、「ホーリィ・グレイル」の2人の監督の確執、そして振り回されたメンバー。バラバラの状態で作られた「ミーニングオブライフ」。数々の裁判ざたなど、かなり赤裸々に深いところまで聞いている。 ・さて、ここで思い出話だ。 ・おれは、リアルタイムで知らない。東京12チャンネルでやってたことや、タモリのデビューだったりしたことは知らない。 ・で、ビデオで出始めたころ、1人暮らしでビデオデッキも買って、なおかつ、あちこちにレンタル屋で会員になりまくりで、まあ、カウチポテト族(死語ですね)になったときに借りまくってみまくってましたよ。 ・だいたい全部みたんじゃないかなあと思うんですが。 ・で、「未来世紀ブラジル」(テリーギリアム監督)はおれのオールタイムベストだったりするし、「ホーリーグレイル」も「人生狂騒曲」も一生愛する作品です。 ・でもさー、コレ読むと変わるよね。たとえば、「ホーリーグレイル」は、テリージョーンズの撮影箇所を、テリーギリアムが勝手に撮り直したりしたそうですよ。あと、ジョンクリーズと大喧嘩したりなあ。「あいつは、アニメ担当で、人を人と思ってなかったんだ」みたいなこといわれたりな。で、ギリアムのほうは、「おれは映像の感覚でいえば天才だからな」と開き直ったり。エリックアイドルは、「まあ、おれ以外はみんなアホだからな」と切り捨てたりなあ。 ・なによりも、おれが大好きな「人生狂騒曲」は、多くの人が失敗作っていってるのがショックだったんだよなああ。あれはそういうグズグズのところも含めておもしろいし、それが狙いと思っていたのになあ。ま、それでもおれ好きなんですけどね。 ・人物観も変わるね。おおむねみたとおりなんだけど、ジョンクリーズの真摯な真摯ぶり、テリージョーンズの情熱、エリックのクールさ、マイケルのやさしさ、ギリアムの無茶でありながらもワーカホリックぶり。 ・でも、それでも、いいものを作ろうという当初の思いや誇りみたいのはちょっと感動しますね。 ・そして、今でも追随するものがないのは、テリージョーンズのスケッチ(1本のネタのこと)をつなぐ方式、ギリアムのアニメ、他のメンバーのいい意味で挑発し刺激を与える環境によるものなんだろうなあと。 「奇跡のメンバー」と、多くのメンバーがいってたけど、その通りだ。 ・最後にギリアムのいいセリフ。ちゃんと引用しよう。 > 当時は、みんながロック・スターになりたがっていて、ロック・スターになることが夢だった時期だよ。オレたちは、ちょっと変わった方法でそれを成し遂げたんだ。 > ・モンティパイソン最高。死ぬまでにDVDを揃えようっと。あと、「未来世紀ブラジル」も早いところDVD出してくれよ。 ・こんなもん読むくらいならモンティパイソンを観れ。高いし(2500円) (22:49:50) |
「千語一語物語」山崎浩一(実業之日本社) |
・山崎浩一氏の「なぜなにキーワード図鑑」にはかなり影響を受けてるのです。絶版だそうですが、新潮文庫版はあんがいと100円文庫棚でみかけます。ためしに御一読を。 ・ということで、時事コラム集です。1995年から2002年まで、あちこちで書いたものを集めた感じ。ひとつのキーワードから話をふくらましていく手法ですね。それが、「千語一語〜」にかかってるのでしょうか。 ・たとえば、「ネット恋愛」では、ネット内にある虚でのかけひき。じゃあ、現実はどうだ? どれほどの差があると喝破され(こういう表現は、山崎氏嫌いそうですね)。 ・「巨乳」では、その言葉がではじめた90年代初頭から、現在までの「巨乳」論があり。 ・「セクハラ」では、すべての行為が「セクハラ」によって軽んじられてる風潮に警鐘を打ち(「強制わいせつ」も「暴行」もセクハラになるからね)。 ・ ・さらには、「クローン人間」「臓器移植」「訴訟社会」などをネタにしたウソニュース。 ・など、ちょいとネタ的にあれかもしれないものもありますが、「組み立て方」と「ぶち壊し方」の両方がいっぺんにまとめておトクなのは、いつもの山崎味ということで、おれは安心して楽しく読ませていただいたのです。これは自サイトにとって、いいパクリ元になるなあとそういった意味でもおトクだったのです。 ・さー、パクるぞお。というか、もう2〜3すでに。 (16:19:38) |