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ポトチャリポラパ/コミック/2002年
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2002年/9月
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2002年/9月/30日
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「うまんが」2巻 新井理恵(小学館)

・おもしろい。純粋ギャグマンガ。
・ウマ的な謎の生き物の同居人が引き起こすギャグマンガ。もう設定としては定番。ドラえもんなどを例にあげるまでもなく。

・新井ギャグのルーツはサンタクロースをみて「こんなの本当はいないんだよ。パパが変装しているだけなんだよ」と小さな子供にニッコリと教えてあげる的な意地悪にあると思うんだ。そのキモチを大事にオトナになるまで守り続け、マンガ家になったって感じ。実際、ものすごいいい人かもしれないし、そこいらはよくわからないからアレなんだけど、この意地悪なキモチは彼女のDNAにはっきりと刻み付けられている。無邪気でなし、ニヒリストというのでもないような、そういう意地悪心。

・それが全開なのがウマ(みたいなもの)のまくまく。まあ、すべての狂言回しですね。がきデカにおけるこまわりくん。できんボーイにおけるちゃっぷまん。
・そして、歪んだカタチで表れているのが、ヒロインの恋敵で金持ちのお嬢様の使用人コンチキチ。そいつらにいじめられるヒロイン、恋敵、憧れの男。この5人でだいたい物語が進行していく。

・セリフがまた長い長い。フリが長くて、ボケが長くて、ツッコミがそれら以上に長い。

・だから、前記の意地悪心と、ネームの量の多さ。この2つが「個性」ってやつになるんじゃないでしょうか。

・お約束の展開に非情なツッコミ(ヒロインが運動会の練習しているのを陰でそっとみていた男。でも、「つめたいやつ」とまくまくにつっこまれる)

・ギャグマンガじゃ、赤塚不二夫氏がよくやっていた、名作童話をマンガキャラでやるってパターン。「シンデレラ」をやったのですが、ラストのほう、ヒロインがガラスの靴を履く寸前で、魔女役のまくまくが、魔法でガラスの靴を消してしまう。「これだけ12時になっても消えないって不自然でしょ?」と。その後、王子の家来役のコンチキチに「好きな女を靴をはかせてたしかめないとわからないって人としてどうかしてる」みたいなトドメをさされる。引用は長いんで意訳ってことで。

・でも、イッコやろっかな。

まく:お子様の旅らしく/なぞなぞなどで/退屈しのぎなど/してみますか//では第一問/「新幹線は男の子?女の子?」

ツッコミ役の方々:へ?/新幹線?//あ、「のぞみ」とかあるから女の子?//「のぞみ」って男の子でもいるわよ?

まく:はい時間切れ/答えは「男の子」です/

ツッコミ:えー/なんでー?

まく:駅(液)を飛ばすから?

ツッコミ:ソレのどこが/お子様らしい/なぞなぞなの/よーーっ!!

コンチキチ:まったくですよ/お子さん相手に/なんて事を言うんですか//私の液は/ほとんど/飛びませんよ?/間違った性教育は危険ですよ

ツッコミ:アンタの生々しい/意見のほうが/よっぽど危険/よーーっ!!

・といった感じ。これだけで、5コマです。いかにネームが多いかおわかりいただけましたでしょうか?おれはメンドーくさかったのでとてもよくわかりましたし、たしか1巻の感想でも同じことしてたなと思い出してしまいました。

・えー、あと、微妙な内輪受けギャグなども、逆に今だと懐かしくて新鮮でしたね。どうも、連載中に雑誌移籍などがあり、けっこうきわどいギャグもありましたわ。

・あと、いいたいことは「痴漢鉄道69」ってAV本当にあるならみたいなあって。

オススメ。(18:12:31)

「放課後キッチン」8巻 水田恐竜(ぶんか社)

・おー、10年続いた、水田氏の代表作にして、出世作にして、最高傑作がついに幕を下ろしてしまったのね。そーかそーか。10年続いたんだなあ。ってことは、あの連載誌「みこすり半劇場」というエロ4コママンガ誌もそれ以上続いているってことなんだな。あれの読者って男なのだろうか、女なのだろうか、謎。ま、いいや。

・えーと、現役女子高生16歳幼妻のちかことダンナ(26歳)のちょっとエッチなほのぼの4コマ。ってことなんだけど、そう読んでいる人は意外にいないような。
・本作、異様に脇キャラが充実しているし、主人公の幼妻もこれまでの幼妻モノ(たぶん、現在進行形でなんかあるじゃねえの?)とは一線を画している。たぶん、今後もここまでキャラが立った幼妻はないんじゃないかな。

・いわゆる、そういうエロネタはないんですね。まあ、まったくないとはいいませんが。結婚してても16歳といたすってシーンはたとえエロ4コマ雑誌でも難しかったのかしら?と邪知したくなるが、たんに必要なかったんだろうなと。
・たとえば、試験勉強がイヤだからって理由で、「脱いじゃった」とかやるネタは過去にあったな。

・8巻では今までやらなかった、2人と出会い編、愛の巣であるアパートに引越してきた編、そして、最後の最後に増えた新キャラ(ちかこの中学時代の友人)など、バラエティに富んでいる。

・正直、中盤はぐずぐずだったんだわ。でも、ラストの展開といい、ミゴトに描き切ったね。

・お見事でございます。若い巻はブックオフとかの100円均一コーナーでわりかしみつかるんでお試しするにはどうぞ。

・そして、最後まで表紙の絵に違和感あったなあ。この人、カラーだと本当絵の印象がちがうなあ。(18:36:51)

2002年/9月/28日
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「樹里」1巻 佐藤宏之(秋田書店)

・5年ぶりの最新刊だそうだ。なにやってたんだろ?こういうのおれ気になるようになってきたなあ。好きなんだけど滅多に名前をみないマンガ家やミュージシャンの方々は普段なにやって食ってるんだろう?(答え:ほかの仕事)これが、芸能人だとちょいちょいと仕事してるんだよね。たとえば、「真珠夫人」、こないだダイジェスト版をゴールデン枠でやっていたのだけど、そこで、名高達郎とか増田未亜とかみたもんなあ。「うわ、いたんだ!」って感じですよ。ってなんの話だっけか?

・さ、久しぶりの人です。5年前の最新刊って短編集「銀の月」ですね。だから、長編でいえば、ああた「以蔵のキモチ」以来じゃないですか。しかも、驚きなことにこれ単行本3巻まで出ておいて未完なんですよ。

・と、以外に詳しいのは、わりと好きだからですね。前にバンドやっていたとき、ドラムのシブサワクン(上司と結婚)は、ドラマーが主人公の「気分はグルービー」がバイブルだとかいってましたよ。おれはそれは読んでなかったんだけど。

・女子高生にセフレがいる36歳男。プロカメラマンの夢破れ、写真屋で雇われ店長をやっている。そして、妻とも離婚。女子高生・樹里と愛欲の日々に堕ちていくワケです。でも、親バレでアウト。そりゃそうだよな。
・でも、彼は樹里のことが忘れられなくて追う。場所は沖縄。ところが彼女は拒絶。そして2年後。

・ムーンライダーズの曲「G.o.a.P」の一節に「僕が19で君が生まれて/君が19のとき/僕と出会った」というのがあるのですが、それになるわけです。樹里19歳、男38歳と。2年ぶりに会い、急展開。なんのアテもなく北海道に旅立つことになったのです。沖縄から北海道でございます。

・もちろん、「肉と肉の愛」(これも「G.o.a.P」の一節)なワケでそういうシーンは数多くでてきますが、半端リアルな描写のために、全然イヤらしくないのです。これは作者の狙いかもしれませんが、2人の交尾シーンは妙に寒々として痛々しいものです。
・そして、後半、それは倒錯の域に達し、互いの首をしめあったりと、終りのない、そのくせ行き止まりの快楽をむさぼりつつあるわけですよ。

・早めに終わらせるつもりかね?(2002/09/28・17:31:25)

「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」華倫変(太田出版)

・最新刊ってことになるか。それにしても長かったね。なにしてたんだろ?

・傑作でした。とくに復活作といってもいい「マンガエロティクスF」に載り、反響につき続編がつき3部作になった「あぜ道」がいい。
・田舎が舞台。同級生に多重人格の女性がいる。3人の人格があり、その中の1人とはトモダチ、その中の1人に片思い、そして、もう1人とは肉体関係という話ですね。
・このせつなさは案外独特なものがあるように見受けられる。

・あ、もともとそうだったけど、そういう雑誌に載ったこともあり、エロ要素が強まったねえ。

・ほかには、覗き部屋の女の話、アル中の女の話。AVハメ撮りのドキュメント風など、やっぱりエロな話が多いですねえ。どれも高水準だと思います。前作「カリクラ」で見られた「けれん」がわりに薄れた感じですよ。

・で、その「けれん」好きには後半2本。カルト教団出身の女の話「とかく現世はくだらなすぎる」と、表題作「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」。

・この物語の2人はその後どうなったんだろうなあと思う。前作のは教団が解体され、家元に帰ってきたのだが、彼女にはすっかり世界が変っていた。そして、持ってる銃でなにかする?ってな終わり方。
・表題作は100日で自殺するというサイトを立ち上げた少女の話。かなり、実験的な作品ではありますね。AAとか、2ちゃんねると思しき画面を貼り付けたりとか。

・充実の作品集でしたね。「カリクラ」の作者は健在。どころか、キレが増したような気もします。このまま突っ走ってください。(2002/09/28・18:22:13)

「順風」三本美治(青林工藝舎)

・ウッチャンナンチャンの「ホントコ」って番組あったじゃないですか。「未来日記」で有名な。あれの企画で「ホントコトキワ荘」ってあったんですよ。汚いアパートにマンガ家志望が集まるっての。その中の1人に三本氏がいたんですよね。あとで、彼はやらせで呼ばれたことを自作で描いていますが。

・実は三本氏、以前に作品集を青林堂から出しているんですよね「マンガの本」っての。おれ、それかなり好きだった。だから、彼の最新刊(これ)を書店で目にしたときもノータイムで手に取った。

・オビは唐沢俊一氏。彼が三本氏を青林堂に紹介したんだそうな。

・「順風」が7話からなる長編で、あとは短編4本。
・中途半端なフラフラモノである主人公が、さしたる目的もなしにエロ本出版社にバイトに入る話。
「人生は短い。楽に生きなきゃ嘘だ」という主人公なんですね。

・で、エロ本業界の話になるのかと思いきや、4話から急展開。突如、青林堂から現・青林工藝舎が分派したときの事柄をホーフツとさせる出来事が勃発。イヤになって主人公が辞める。そして、同人誌作りになるわけですよ。

・っても、楽に生きるが身上の男のこと長続きせず、だらだらぐずぐずでチョンと。

・なるほど、「マンガ史上始まって以来、もっとも等身大な作品だ。」と唐沢氏がオビで書くワケで、あとがきで、作者自身の体験からくることが大きいそうな。最初の3話分の内情暴露話がリアルなワケだ。出社するたびに、ビニール袋いっぱいの汚れた下着をよろよろと抱えて近くのコインランドリーに行くエピソードとか、マンガに写植貼り付ける手順(主人公ぐちゃぐちゃにする)とか、エログラビアの撮影シーンとか。

・で、残る短編もいいんだ。いい年こいてストリップにハマってるジジイとの交流を描いた「恋爺」。
・地元の変なオヤジがやってる書店が、万引き現行犯ビデオを売り出してからはじまる、万引き犯との応酬でどんどんエスカレーションしていくギャグ「無敵の人」。

・サルにアイスホッケーをさせる「長靴をはいたサル」。オリンピック金メダルです。

・ルチャリブレなマンガ(前作にもあったな)「おちめのシベル」。

・どれもこれも精緻で知的な話です。いやホントに。

・ただ。絵がゲロゲロなんですよ。これが、かなりポイントを下げるかと思われます。細かいところまで書き込んでいるんですけどね。しかも、かなり、構図とかにも気を使っているし。料理は超一流だけど、素材が生ゴミって感じなんですよね。だから、超通向き(もしくは、イカモノ喰い)になっているのが惜しいところでございますね。じゃあ、原作とか思うんですが、この絵も含めて三本美治で、不可分のものになっているのがまた憎たらしいところなんですよね。だから、福本伸行にはなれないんです。

・でも、おれは応援してる。ホントコトキワ荘でもダントツで才能を感じたし。(2002/09/28・19:14:25)

2002年/9月/26日
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「そらトびタマシイ」五十嵐大介(講談社)

・アフタヌン「質」部門担当の人の作品集ですね。アフタヌンってこないだなにげに書店でみたけど、薄くなってるね。また、中綴じに戻ったりして(それはない)。

・短編集。
・表題作「そらトびタマシイ」は、フクロウに憑依された少女の話。
・森の神様のイケニエになる少女を奪い逃げる少年の話「熊殺し神盗み太郎の涙」
・身体から砂が出る体質の女性と恋人に出会った少女の話「スナカケ」
・猫アレルギーの少女と猫とパン屋のオヤジの話「le pain et chat」
ほか。

・こうあらすじだけみるといかにも四季賞(アフタヌンのマンガ賞)受賞作みたいな話ばかり。いや、ほんとこれらの話のどれかに四季賞出身者がいると思うぜおれは。それは、たとえば、ファンじゃない人にとってB'zやミスチルの曲がどれもいっしょに聞こえてくるのと同じことでよ。ディティールがちがうってのはそりゃもちろんわかってはいるんだけどさ。

・で、五十嵐作品はというと、冒頭に「質」部門と書いただけのことはある充実の内容です。
・「++を描きたい」という思いを、ちゃんと読者と共有できるレベルに達していると思います。それは描写力、話、構成、キャラ、すべてに渡って「五十嵐大介」を具現しつつ、エンターテインメントになっているというかねえ。ま、オビにもありますが。
・ありがちなネタ(料理)をほかで工夫を重ねて、五十嵐大介の〜ってカンムリがつくくらいにしているって感じか。(例:五十嵐大介の3x3EYES)

・とくにすげえなと思ったのが、読みやすいこと。かなりギリギリまでそこいらに命削っているんじゃないか?彼の絵で、選ぶ題材だと、ふと気を抜くととんでもないモノになりがちであるのに、不思議と読みやすい。どれもこれも「苦手な話だなあ」とか思いながらもスイスイと読み終える。随所にいろいろなシカケが施してあるけど、それもイヤミとかに映らない。
・それらが逆説的に証明されるのは、「le pain et chat」。話としては地味であるが、それだからこそ、思い切り実験的な描写があちこちにみられる。そして、実に残念なことだが、それらのいくつかは失敗(おれにはね)に終わっている印象がある。ヒトコトでいうと「ヤリスギ」。

・で、おれのベストは「スナカケ」かな。これは「世にも奇妙な物語 秋のスペシャル」的なレベルでいいからドラマ化か映画化しないものかな。

・いや、いい本ですよ。オススメ(2002/09/26・15:34:45)

「おひっこし」沙村広明(講談社)

「無限の住人」描いている人の短編集ですね。この人はアフタヌン「質」部門というより「人気」部門って気がしないでもないねえ。

・「アフタヌーン シーズン増刊」に竹易てあし名義で掲載されたもの。実質、5話続いたラブコメの「おひっこし」と短編読みきりのギャグ「少女漫画家無宿 涙のランチョン日記」の2本。

・この「涙のランチョン日記」がなあ!おれがシーズン増刊買っていたときに掲載されててねえ、おれ的には「ダメだこりゃ!」だったんですよ。今読み直しても意見は変らなかったのです。だから、買うのに躊躇したんですねえ。どうせ、おれ「無限の住人」もファンでもなんでもないし。

・ところが、「おひっこし」はおもしろかった。大学舞台のスチャラカラブコメだったのですが、ほどよいチカラの抜き加減がなんとも。あと、なんやかやいうて、妙に純情な展開もなんとも。

・ま、値段分のモトは取れたかな。

・ちなみにp151にあるのは、二階堂正宏氏のパロですね。(2002/09/26・15:52:34)

「遠藤浩輝短編集」2巻 遠藤浩輝(講談社)

・1年ほど遅れまくりの短編集。で、2巻。1巻は「EDEN」と同時発売だったんだよなあたしか。このとき、「EDEN」買うかどうか迷ったことを覚えてる。もうすでにEDENを購読するのを止めた今となっては、EDENは買わなければよかったと思う。

・でも、短編集はおもしろい。2巻もおもしろかった。

・空から吊り下げられている世界に住んでいる「HANG」。たくさんのワイヤーで支えられて、日本が宙に浮いているんだ。

・前後編130pの大作「プラットホーム」。ヤクザの組長の息子が愛人の娘(も愛人)にホレる話ですね。

・自伝っぽい高校生恋愛劇「女子高生2000」

・描き下ろしのショート「ボーイズ・ドント・クライ」

・遠藤浩輝氏は青臭いのが許される作家って気がする。これらの作品、および「EDEN」は、周到に臭み消しをきかせてあるけど、そうとう青い作品だ。「セイシュン」がなんのかんのいって一環したテーマになっている。
・それは酸いも甘いも苦いも辛いも込みの「セイシュン」。

・世界中がワイヤーで中空に吊るされている世界「HANG」
・作者の自伝風高校生劇「女子高生2000」
・前後編130pの「プラットホーム」。ヤクザの組長の愛人の娘でなおかつ現愛人でなおかつ同級生という女性に恋する組長の息子の話。
・描き下ろしショート「ボーイズドントクライ」

・の4編でござい。

・こう、短編集1や「EDEN」の記憶と2巻の読後を検討すると、遠藤氏は「セイシュン」の人なんだなということがわかる。青臭くも苦くも悲しくもセイシュン。青臭さ満点。周到に臭み消しをしても漏れにじむセイシュンの光と影。

・とまあ、そういうのが許される人なんだなと思った。たとえるなら岡村靖幸氏。彼の歌に登場する「ぼく」はずっと高校生のバスケ部だったりするし。

・同系統として、ZERRY藤尾氏も許される人かなと思った。微妙に作風がちがうが、見ている方向が同じという感じ。ZERRY氏のほうがより狡猾でありますが。

・「プラットホーム」の重さ(いろいろな意味で)に引きずられて、再読性が弱いのがアレだがいい作品集でした。(2002/09/26・17:17:00)

2002年/9月/24日
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「ジオブリーダーズ」8巻 伊藤明弘(少年画報社)

・え、化け猫一旦休みの番外編的8巻。もしかしたら、以降つながりが出てくるかもしれないけどさ。

・紅の流れ星と姫萩夕のデコボココンビで、殺し屋が跳梁跋扈する町に乗り込む。ほかのメンツも後を追う。そして、いつものスラップスティック(パイのかわりに銃弾が飛び交う)。

・えーと、化け猫がこうで、厚生省がこうで、みたいな相関図を薄れてる記憶を検索しつつ読むという苦手な行為をしなくて、単純に「うひゃーい」とかいって読んでいられるのでグーです。1巻2巻を読んでいたときの感覚を思い出しました。

・アクション描写のキモは緩急にある。激しいだけの銃撃戦が延々続いていては見てるほうも疲れるってもんで。だから、とつぜん、静寂が訪れたり、関係の無いシーンが入ったり、と、そういうのでメリハリをつける。この8巻の「緩」担当が姫萩夕さんだったんですね。ま、ギャグ担当という見方もあるけど。露天風呂に無数の敵が襲撃。紅の流れ星がたった1人で裸で応対しているのに、風呂でビールかっくらったり、扇風機の風にあたって「あー(あに濁点)」とかいったり、体重量ってショックだったりしてるワケです。

・んまー、久しぶりに「理屈ぬきに楽しめた」ってやつ?こういったらなんだけど、おれ、けっこうな数の続き物を読んでるわけですよ。それを個別に話や設定を管理するのがちょっと困難ってな状況になっているんだね。寄る年波には勝てないってやつ?読み返す時間もないし、そもそもバックナンバーがどこにあるか探すの困難だし。
・だから、「理屈ぬきに〜」ってのは大事なのです。たとえ、話に置いていかれがちでも「理屈ぬき〜」の箇所があれば、まあ、損害(コミック代)は少ないなあと。そういった意味では8巻、金額分キッチリ楽しませていただきました。(2002/09/24・14:23:55)

「新・中学生日記」Q.B.B(青林工藝舎)

・前作の後、安易に続編をやりたくないとか、原作の久住昌之氏がなんかに書いていたのであきらめかけていた続編が登場してしまった。

・いや、ホント、前作「中学生日記」は名作だった。って、もう4年前になるんだな。

・人生で一番恥ずかしい時代、中学生時代。まあ、「ヘボヘボ中学時代」と銘打たれてますが。
・今回は「朝日中学ウィークリー」とマジモンの中学生が読む(と思しき)本に連載されていたのですね。それに、久住氏のサイトでの「ヘボヘボ掲示板」からの抜粋も加えてのヘボヘボ方面での完成度を高めた作りになってます。

・今回は1回3pで、なおかつ、リアル中学が読むマンガということで、なんとなく、「ぬるい」仕上がりになっているような気がした。コクがないというか。
・舞台は田舎になり、女子の生態(女子も中学時代はヘボヘボだ!がキーワード)もプラス。
・この女子ってのが案外ネックなのではと思ったりする。なにせ、描いているのがオトコだからねえ。どうしてもコアな部分は難しいというか。ワキ毛剃ったりとかそういうネタもあるんだけど、どうも、ピンとこないというか。やっぱ、読んでいるおれも男だったりするからかもしれないが。

・好きなネタは、私服の同級生(女)に会って、いつもと感じがちがうので妙にドギマギし、間がもたなくなったので、「急用があるから」と走って帰るってのと、有事法制の話をしている同級生を尻目に、「難しいこと考えてるよなあ」と感心したオトコが帰り道「オレ、ベイ(ブレード)の事考えてる時、一日で一番楽しい」とスキップしながら帰るのがよかったなあ。

・中学生って実はけっこう成長に個人差があるんだよね。うーん、おれも成長は遅かったもんなあ。高校までワキ毛は生えなかったし。それはアタマもそうだったんだろうなあ。始発バスに乗って劇場版ガンダムの封切り日の最初に日曜に並びに行ったりとか。

・そういう自分の中学時代にフィードバックしたり、思わず過去を検索するチカラは前作譲り。
・前作が新潮社文庫で出ているらしいので、もし、未体験ならそっちからどうぞ。(2002/09/24・14:56:36)

2002年/9月/22日
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「ガンツ」7巻 奥浩哉(集英社)

・ううむ。さすが古本買取250円なだけあるおもしろさ。と、作者およびファンにはうれしくもなんともないホメ言葉ではじめるひねくれもの。

・寺で、仏像と闘う編。えらい泥沼になっている。ボスキャラと思っていた巨大仏像(歩いて攻撃する)は、案外と軽くしとめられ、ホンモノのボスキャラ登場。これがめっぽう強い。
・っていうか、オッパイ要因のヒロインが殺されたり、主人公が手足もがれたり、「ええ?」ってな展開だったりする。

・「うわー!うわー!」とクチを半開きにしてみてます。これが正しい「ガンツ」との接し方だと思います。(2002/09/22・22:40:33)

「KUNIE」5巻 ゆうきまさみ(小学館)

・完結巻。終わってしまえば、コレで終わるってのが前提で作られたみたいだ。
・といいたいけど、打ち切り丸出しでしたね。カラパオに着いてから5巻は続いて欲しかったね。せめて、あと1巻分ページがほしかったくらい。つじつまはあってるけど説明不足。そんな感じ。

・前連載「じゃじゃ馬グルーミンUP!」は、うそ!ってくらい長くだらだらとスローペースで続いていし、出世作「パトレイバー」も長かった。だから、長いペースでじっくりってのになれてしまったのかね。
・えーと、だからラストもわかったようなわからんような。

・んー、しばらく「サンデーGX」とかで、読みきり描いて、慣れてから次回作へ向かわれると吉とでました。個人的には「田中一郎R」のでない「究極超人あ〜る」が読みたい。ま、あまりトッピな要素を抜いたラブコメ学園ドラマみたいの。うわー地味そ。もしくは、毎週1人死ぬようなハードコアアクション希望。ま、この2つを組み合わせたものってもいいかも。ってどんなんや。

・今回の作品でゆうき氏は「健康的なお色気」をゲットした。これは次回作に活かして欲しいものですね。(2002/09/22・23:07:02)
「Mr.ボーイ」3巻 山本貴嗣(双葉社)

・基本読みきり、長くても3話で、読み応えドッシリのアクション。基本読みきりだから、いつ読んでも問題ナシ。当然3巻から読んでもOK。っていうか、双葉社のマンガって「軍鶏」以外手に入りにくいじゃん今。だから、なおさら。

・覚えなければならない設定はひとつだけ。
・主人公「ボーイ」は美しいオトコで刑事。その美貌を活かし、女装したり少年に扮したりしておとり捜査をする。

・で、毎回アクションバリバリ、お色気たっぷりでGO!GO!という感じですよ。3巻はお色気方面はちょっとナリを潜めてアクション主体になったけどね。

・3巻ではハンターキラー・吉良という裏街道のボーイみたいなライバルが登場。3話にわたって熾烈な戦いが繰り広げられる。ま、描き下ろしっぽいあとがきも含め、オチもばっちり。

・詳細な設定と最新の考証やネタも織り込まれてて、いい作品です。(2002/09/22・23:42:55)

2002年/9月/20日
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「魁!!クロマティ高校」5巻 野中英次(講談社)

・調子に乗ってんなあ。2つの意味で。
・いいほうは、ノリが非常にいいってことですか。まあ、講談社漫画賞受賞ですからね。野中氏が一番驚いているんじゃないでしょうか。でも、それに見合ったノリがあります。

・悪いほうはオチがワンパターンになってきてる。前からそうだったけど、ワンパターンと感じるってのは悪いことですわ。

・ゴリラネタ、メカ沢ネタ、こういうのは、オチがわかってしまうが笑うってのが従来のパターンであったが、「またかよ」と思ったり。とくにおれ実はメカ沢って好きじゃないんだそんなに。なんでそんな人気あるん?
・ゴリラネタはオチがわかって「またかよ」と思いつつも、まだ笑えたな。しつこすぎるよ!って感じで。

・今回ムラがあったな。おれが好きなのは後半。「井野上揚水」と「芳田琢郎」が出てきて、なおかつ北斗とからむあたりからおかしかった。とくに北斗の子分で名前のないやつ。あいつの肉に対する執着がみょうにツボだった。

・ただ、今の方向は野中氏の本線からズレてきてるような気がして、それが心配。(2002/09/20・23:26:27)

「月刊フリップ編集日誌」2巻 小坂俊史(竹書房)

・完結巻。4コマ王子は「せんせいになれません」の2巻と同時発売ってことで、盛り上げ機運にありますね。たしかに、みずしな孝之、大橋ツヨシに次ぐ、竹書房発有望男性4コマ作家ではあるな。いとう耐氏とどっちが有望かね?

「マンガ編集者4コマの決定版!!」なんてオビにありましたけど、ほかにあんのかよ?マンガ編集者4コマって。

・売れないマンガ雑誌のダメエディター・望月ももに、先輩、(まあまあ)売れっ子マンガ家、(そこにしか連載を持ってない)ビンボーマンガ家、先輩、編集長、万年持ちこみクンあたりがメンツか。

・小坂氏の一番の売りはバランス感覚だな。なんつーか、先達の作品を非常に勉強し、理解し、分解し、自分のモノにしている。真正面からのオリジナリティ、突出した「武器」ってのがナイ。だからこそ、すべてに渡って絶妙なバランスで微調整を繰り返し、トータルでのクオリティを保ってる。
・おれは絵が一番好きなんすけどね。絵に関しては同時発売の「せんせいになれません」に真価がある。

・本作は、ほどよい内輪ウケ、業界ネタ、などをはさみつつ、「ほのぼの」のラインを守りつつ、カワイイ絵(萌えはナイ)で展開。非常に磐石ですね。
・トータルでのクオリティ。これを守り続けるのが吉です。みずしな孝之氏みたいにキャラで引っ張るってのでもなく、大橋ツヨシ氏のように「ナンセンス」という強力な武器があるでなし、あまり冒険が過ぎるのはどうかと思われます。

・2冊同時発売で、なおかつ完結巻だったのか、「オマケ」がカバー取ったのにしかないのはちょっと寂しかったなあ。(2002/09/20・23:54:04)
「せんせいになれません」2巻 小坂俊史(竹書房)

・2冊同時発売であるが、こっちのほうが本命なのかしらね?
・ダラダラ先生4コマ。サボることばかり考えてる家庭科の先生、天然ボケ系の保健室の先生、借金ばかりの先生、あとダラダラしてる主人公の先生。

・小坂氏の絵の真価は本作でよく現われてる。4コマの画面ってのは1コマが小さい。というか狭い。そこで、群集シーン、集団シーンを描くのは難しい。それは素人にもわかること。そして、小坂氏はそれがバツグンに上手い。実は、よく見ると、1画面に「顔」がある人は最大5人しかいない。ただ、それでいて、「群集」が描けてるんだ。そこが上手い。しかも、オマケであるんだけど、2クラス分の生徒を全員描き分け、なおかつ設定があり、それに準じて4コマが展開している。毎度登場するスーパーボケキャラ桃山や、2巻で活躍目覚しい忘れ物女王の宮本なんかはもちろんのこと、ほんの端っこに映っているときも、その設定に準じてる。個人的にはラーメン屋の娘、大塚しおりのファンだ(知るかよ!)。もし、小坂氏は見てたら本サイト用に大塚しおりのトップ絵を送ってください。

・トータルバランスはバツグン。クオリティの保持率だと、多分、植田まさし、いしいひさいち級じゃないかな。トップクラスだと思う。ただ、萌えや新味、爆発的みたいな点では弱いがね。

・でもおれは大好きだ。クラス1の美女ってのがいないのがまたいい。先生も含め。

・2巻のオマケは教職員名簿(全ての先生の名前と設定)と、2組分の係・委員名簿付き。

オススメ(2002/09/21・00:23:11)

2002年/9月/19日
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「恋愛ディストーション」3巻 犬上すくね(少年画報社)

・うー、甘いのがくどくなってきたなあ。
・カップル2組のラブコメ。教師(女)と元教え子(メガネ&大学生)、大学生同士(メガネ女x犬オトコ)。で、オトコ同士は同じ大学生と。
・いや、不安定なようで、バッチリラブラブな2組+周辺のお惚気をみてる感じですね。「ノロケ」って「惚気」なんですね。はじめてしりました。

・それがやや甘いかなと。ま、1,2巻から変わってないんでおれの心境変化かなと。

・絵のキレもいいし、キャラもそれぞれ立ってる。甘口なのが気になるけど、それは「売り」なんで、おれは腐したりはしない。合うか合わないかのちがいですね。おれは合わないけど許容範囲内。エラそうですがね。

・で、犬上すくね氏ったらサブタイトルのお遊び。カーネーション、ユニコーン、他いろいろと。こういうところをみつけました。おーマニアック。そうか、ナンバーガールとかあるんだなあ。それは知らなかった。聞いてないし。3巻でいうと「モテ狂って候」がそうですか。
・ちなみに。上記リンクで抜けてるところ。「○○○なダーリン」ってのは、元GO-BANGsの森若香織氏のソロシングル「浮気なダーリン」と、パール兄弟の「○○○○○娘」の合成じゃないかなーって。

・ま、いいんすが。ちなみにカーネーションものは3巻では「恋は底ぬけ」だけでしたね。(2002/09/19・23:38:16)

2002年/9月/17日
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「クローン5」1巻 すぎむらしんいち&いとうせいこう(講談社)

・最近流行ってる1巻2巻同時発売。これもそうです。この後、2巻もやります。これいいですよね。2巻出てれば人情として2冊同時に買いたくなるし、2巻も買ったら、次も買いたくなる。最低条件としておもしろくないとダメですが。

・待望のすぎむらしんいち氏の新作。「相談」という立場(監修とか設定とかか?)でいとうせいこう氏も参加。でも、実質、すぎむら氏の作品だなと。「スタァ学園」以降の。

・え、バカな男がなんやら怪しげな団体(テロ組織みたいな)にいました。彼はバカなので、みんなに粛清されそうになりましたが、フルフェイスのヘルメットを被った謎の女性に救われて逃げました。
・そして、その女性がいうには、わたしとあなたはクローン人間だと。
・バカな男はワケがわからなくなって、フリチンのまま脱走しましたが、今度は謎のジジイに麻酔薬を打たれ拉致られました。
・また逃げましたが追い詰められ、このジジイがクローンを作った男という。そして、おれが直さないとあと半年のイノチだとも。
・その後、「2ちゃんねる」をモデルとしたと思しきサイト管理人を暗殺するなんてネタをはさみ、バカ男は血の通ってない親を捨て、そいでもって、助かるための唯一の方法、ほかに同じクローンを4人集めるのための決意をする。って、全部あらすじ書いてしもた。

・相変わらず、ディティールが細かく、なおかつ、ギャグもキレ、スケベで、アクションも豊富と、テンコ盛りな内容。

・前作「スタァ学園」は、作者が後先考えないで描いていたらしいが、今作はある程度の流れみたいなものはありそうですね。その枠(多分、すぎむら氏といとう氏が練り上げたんじゃないかと)の中で、どれだけ弾けさせられるか?ってことなんすかね。

・で、2巻へ(22:30:56)

「クローン5」2巻 すぎむらしんいち&いとうせいこう(講談社)

・2巻ではもう2人のクローンが登場。
・1人が引きこもりのPCヤロウで、もう1人がオカマ。これで、4人がめでたく揃いまして2巻は終了。ああ、2巻同時発売ってのがスッキリわかって気持ちいい。
・さらに、主人公っていうか、バカが獣人化したり、「スタァ学園」でボディガードやってた今野がまたボディガード役で登場したり、引きこもりの篭城大作戦とか、読み応えはバッチリでございますよ。

・ということで、ノンストップハイテンションで物語がガシガシ進んでいきます。エンターテイメントの塊ですね。オススメ(22:45:12)

2002年/9月/16日
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「そっと好かれる」小田扉(太田出版)

・第2作品集ということでよろしいか?
・前作「こさめちゃん」と同様の「ヨセアツメッティー(byゼイマイトビージャイアンツ)」な作品集。最新作から、同人誌、描き下ろしもあるよってなもの。

・これが前作「こさめちゃん」と比べると、どうもチグハグ。作品のムラがありすぎるような気がする。
・たぶん、最新作である、タイトルチューンをはじめとする「マンガエロティクスF」に連載していた、連作短編集はスバラシイの1語。同じアパートにする異様に個性的(性格とかがね)な3人の娘の話。これはもう珠玉という表現ですよ。
・で、「まんがくらぶ」に2回載った子供たちの短編もいい!

・でも、同人誌に掲載してたのはずいぶんとかったるかった。このギャップが大きかったからではないかと思う。いや、いいのもあったんだけどさー、どうしても、最初のほうのタイトルチューンのデキをみたらダメなんすよ。

・と、思えば、前作は、いろいろなパターンの話を描いていたから、それがいい感じに幅になっていたんだけど、今回は「おれはこういうのが合ってる!」みたいな資質に目覚め、似たベクトルの話を描いたから、ムラが目立ったんじゃないかなと思うのです。みんな醤油で煮しめた幕の内弁当だと、やっぱり、醤油と合ってる食材のほうが美味いと思うじゃないですか。

・で、同人誌に載っていた「革むくじゃら」という作品を読んで思ったのだが、なにげに吉田戦車氏の影響を嗅ぎ取れるね。「少しずらす」違和感を笑いに変換させるパターンね。まあ、そのずらし方がちがうけど、この「革むくじゃら」は吉田戦車氏が描いてもおかしくないなあと思いました。

・小田氏はあくまで、現実社会から逸脱しないのがおもしろいと思うのだがどうだ?サイボーグが出たり、火星人が出ると、おもしろくねえや。(2002/09/16・23:46:02)


2002年/9月/14日
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「FADE OUT」1巻 いけだたかし(小学館)

・帯のコメントが高橋しん氏。これが全てだな。非常に多くのことがわかる。それで、おれなりの結論としては、「高橋しんがスキなやつは買い」。

・じゃあ、なんで、おれが買ったのかというと、一瞬購読していた「サンデーGX」というなかなかしぶとく続いている雑誌があるのですけど、そこで、本作の1話が掲載されていたのですね。これがよかったんだわ。

・主人公・こかげ。14歳の誕生日に突然目覚める。彼女は「幽霊族」の家系だった。女性にのみ起こる現象で、幽霊族は現実世界(物質界)と幽霊世界(霊界)を行き来できる。ま、今まで普通の女の子として育てられたこかげにとっては、そんなことよりも、幼馴染のトシアキの仲を取り持つ役を買って出たことで、本当の自分の気持ちに気づいてしまったことのほうが大事。
・で、彼女とトシアキは決裂。彼女はショックで、身体が透ける。トシアキは夢中で追いかけて、「捕まえる」。メデタシメデタシ。

・という1話。さて、この話が好評で連載が決まりました。どういう展開?

・って、ぶっちゃけ、「ディスコミュニケーション/植芝理一」といっしょなんよね。おれは、このワナにまんまとハマってしまった。ディスコミの1話もこんな感じの「SF(すこし不思議)」が1要素だったんだよね。それが連載化とともに「SF」がメインになる。
・2話以降、こかげは足先だけ「幽霊」となって空を飛べるようになる。そして、以後、さまよえる霊を成仏させたりするようになると。

・いや、それが悪いハズがないんだ。これになんか引っかかるおれがひねくれてるんだと思う。話は巧みに練り上げられているし、絵、それに付随してキャラも地味ながら、キッチリ丁寧してるし、「誰だてめえ?」現象はないし。幽霊族の設定もかなりキチンと組み立ててあるしな。

・でも、それらはすなわち「高橋しん」系に連なるなと。で、冒頭に至るワケだ。

・そういうの好きな人にはまちがいない。地味・丁寧・ほんわか・耳かき1杯分ビター。

・おれはどうだろう?2巻買うか?ま、ボーダー上というところで。(22:01:54)

2002年/9月/13日
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「ベルパニック」かるま龍狼(ワニマガジン社)

・いや、散々好きとかいってたけど、はじめて名前の読み方わかりました。「かるまたつろう」ってんですね。ああ知らなかった。

・「ヤングヒップ」に約5年半連載されていた、巻末2色4pの、「スピリッツ」でいうところの「コージ苑」「伝染るんです」的なショートギャグ。

・ま、「そういう」雑誌に連載されているだけのことはあって、「そういう」シーンは多いけど、いつものかるま氏の「そういう」のと比べるとかなり抑えてる。まあ、1回4pですし。

・ベル博士(ナイスバディ)と助手のヒカル(ショタ少年)が基本で、ベル博士の発明品にアタフタするヒカルというパターン。
・もう、このパターンだと、かるま氏がアカラサマに影響受けている鳥山明氏、殊に「Dr.SLUMP」がモロ出てしまいますね。後ほどでドンドンキャラが増えるのも似てるし、博士の発明品に人格があるのも似ている。まあ、基本的に研究所オンリーで展開するところはちがうけどさ。

・1回4pじゃ展開に無理があるのか、妙なトコロでつづくのはご愛敬といったところか。ま、後半はキチンと4pで終るあたり、年月の流れを感じるなあ。

・そう、いうても5年半。最大の見所は絵の変化だね。これが、ぜんぜんちがうんだわ。それでいて、初期の少女マンガ的な繊細さも、後半のいい意味でのサッパリした絵も、魅力的。この場合の「魅力的」は「実用性」も含まれてます。
・スゴイ人だよなあとあらためて感心しました。(2002/09/13・15:57)

「釣りバカたち 中国釣行記」矢口高雄(双葉社)

・コンビニの定番になりつつある、雑誌形態のコミックスでございます。「7Coinsアクションオリジナ ル」ってことで700円。ページは590ページ弱だから、通常のコミック2冊分でオトク。

・以前に、バーゲンで買った「激濤」上下巻 矢口高 雄(モッツ出版)以来、再評価してて、なんか手ごろなのないかなって思っていたんだ。で、700円 で590pというボリュームはまさに「手ごろ」。

・と、これがまたおもしろいのなんの。

・矢口氏本人をモデルにした釣りキチマンガ家が中国に憧れるあまり、テレビ局なんかを巻き込んで釣り に行くという話。
・専門的な視点でみると、ありふれた外国である中国(だって、星の数ほど旅行記あるでしょ?マンガで も)がまだ光り輝く魅力的な「異国」として映る。

・日本の釣りマニアのことを昔から「太公望」と呼ぶ。これは中国・周の時代の兵法家で後に斉国の始祖 になった人からとったそうだ。でも、その実態は意外なところにあった。
・中国という国は人口10億。世界一の面積であるが、人口も世界一。だもんで、水という水には養殖魚が放流されているという事実。すなわち、野生の大物種は少ない。
・釣りは非合理的な道楽。だから、メインは網漁。
・それでも釣りに明け暮れる人を「釣魚迷」(ちょうぎょめい)と呼ぶ。釣りキチ=釣魚迷ということですね。
・「外道」という概念がない。釣りでは、目的以外の魚を釣ると外道とするが、中国ではあくまで、食材としての魚であって、それがなんでもかまわない。
・2話「太湖の草魚」での中国直伝の釣り。エサになんと餃子を使ってる。
・などなど。中国の文化、食い物、名所、観光ミヤゲなどは、気持ちいいくらい省略してあり、ひたすら、「釣り」のタイトルどおりの作品になっている。

・精緻な背景描写。オーバーなくらいの人物のリアクション、そして、やっぱり頂点だと思わせる、「(魚との)ファイト」描写。ミゴトです。

・オマケ収録がまたいい。インドネシアでシーラカンスを釣るんだもん。そして、これが、実際にあったコトを元に作られているってのがまたいい。実際、シーラカンス(むこうではゴンベッサというそうな)を釣ったということが新聞にあったそうな。

・思った以上のボリュームと迫力に圧倒されましたあ。オススメ。廉価版コミックのコーナーを探してみてください。けっこうゴツイんであればすぐわかると思います。(2002/09/13・13:37:22)


2002年/9月/12日
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「ONE PEACE」25巻 尾田栄一郎(集英社)

・「うおーつ!!!」だそうだ。日本出版史上最高初版254万部だそうです。ちなみに「ハリーポッター」の4巻は予約で200万部だとか。
・すげえ話ですよね。キャリア20年で「一線」のマンガ家全部のコミックス全部の出版部数を1巻で追い越したって感じがするねえ。たしか、おれのよくいってる田舎の本屋でも3桁で入荷してるね。200とか。ちなみに人口は*万だからねえ。100人に1人とかって世界。ああと、「ダ・ヴィンチ」ってな、女性向けっぽい、本の雑誌で、「泣ける作品ベスト10」の総合1位にもなってました。基本的に活字の本で1位だぜ?
・とまあ、ナンダカナーな状況が続いているワケです。

・さて、25巻ですが、グダグダでした。すべてに高評価だと思いますが、彼の最大の弱点は「構成力」じゃないでしょうか?今回、いろいろな伏線のための回ですが、ガチャガチャしすぎな気がしました。なんだか、次にこうして、次にこうなるから、今ここでこうしておかないとってのが透けて見えるのですね。普通こういうのは「下手」ということになるんじゃないかと思います。
・だいたいが、空の上にある島(空島)に行くのに、七武海とか、久々登場のシャンクスやらエースは基本的に関係ないんとちがうかい?まあ、もしかしたら関係あるのかもしれないけどさー。でも、トートツな感じはするわなあ。前回のエース初登場もトートツだったしなあ。

・25巻でいいところは2点。
・ベラミ―を倒すルフィ。前巻で散々からかわれたルフィは手を出さなかったが、今回はパンチ1発で倒した。

「…同情しか残らねェケンカは辛いだけだ」

・というゾロのセリフの重さにチビッコたちが感動してくれるといいよなあ。つまり勝てる相手をボコボコにする。すなわち、「いじめ」に関する作者からのメッセージでございますね。まあ、ジャンプ伝統なんだけどね。

・あと1点は、久々に「冒険」してたことかな。空島へむかってのかなりムチャな冒険がステキでしたね。そうか、そういう方向なんだよなって思い出しました。

・それにしても254万部ねえ。(2002/09/12・23:24:38)
「Heaven?」4巻 佐々木倫子(小学館)

・む。なかなか順調に続いているレストランの「おたんこナース」、もしくは「動物のお医者さん」な話。4巻にもなりました。月イチ連載っぽいからかなりな長寿連載じゃないんでしょうか?

・わがままオーナー(女性)など、キャラのデフォルメがキツくなりすぎな気がするね。だから、オーナー主体で話が進む回はかなりアクが強い。だってムチャクチャするんだもん。とくに前後編に分かれて展開する「秋のメニュー」はすごいんだ。秋のメニューでチーフシェフとオーナーがケンカして、お互いに山に篭ってしまうって話。

・このオーナーにどう思うかで評価が分かれるような気がするんだわ。おれは、ぶっちゃけ、ボーダーラインだな。まあ、奥さんが楽しみにしているから、次も買うと思うけど。

・たいていの本にある巻末エッセイマンガがおもしろいんで、そういう連載をどこかですればいいんじゃないかと思った。(2002/09/12・22:19:03)
「ゴムテ」1巻 中川いさみ(小学館)

・中川いさみ氏の最新刊。「スピリッツ」じゃ4コマで、「スペリオール」はショートって慣例を破って、スペリオール連載なのに4コマ作品集になっているな。

・「カサパパ」系のゴムスケ一家がメインの4コマ。奥さんと子供と、身体が掃除機のオヤジの4人家族。あ、そうか、ケビンって飼い犬もいる。このケビンがいい味出してるんだ。多分最重要キャラ。

・内容はいつものとおりだから、今回は、中川いさみの動物描写についてでも。

・だいたいが出世作「クマのプー太郎」が動物マンガであり、中川氏の動物描写はもう得意分野。この動物描写も、マンガの種類や作者の資質によって大きく変わっていくもんだが、本作のケビンは、たれ耳でヒゲがアゴから生え、つげ義春氏のマンガキャラのように目が落ち窪んだ箇所をスミベタという形になっている。言葉はわかるけど、喋らず(あ、「NO」っていうな)、2本足で立って、すぐにキレて包丁を振り回す。また、ゴムスケたちもそれをおもしろがって、ちょいちょいとからかう。
・限りなく人間に近くありながら犬という立場。
・これは、古典名作「がきデカ/山上たつひこ」の栃ノ嵐をホーフツとさせるね。最終的には街の名士にまで上り詰めた栃の嵐だが、最後まで言葉を喋ることはなかった。

・しかし、作風が変わらない人であるなあ。ただ、芸風や作風が確立して、それを受け入れられるパイをある程度確保している人ってのは息が長いんだよな。

・ところで。つい最近まで、角川書店からえっちらおっちらと出されていた復刻はなんだったのだろうか?(2002/09/12・13:50:44)

2002年/9月/10日
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「忠犬ディディー」古賀亮一(コアマガジン)

・もう、なにを描いても古賀節みたいのが確立してますね。大安定。メデタシメデタシ。

・とはいかないのだった。

・天才犬・早乙女に作られたイヌドロイド・ディーディーちゃん。ムリヤリ居候先になった亜美ちゃん。なんかあとよくわからんけど、天才猿(オス)とサルドロイド(女)、天才鳥(オス)とトリドロイド(女児)、その天才犬たちをった、桃山博士(女)が入り乱れて、まったりまったりと。

・相変わらず場所変更しなく、しゃべくりメイン(基本は男が下ネタでボケ、女がやんわりとツッコミ)で展開。相変わらず独特のマッタリ空間。

・本作、ちょいとちがうのは、「ゲノム」でも「ニニンがシノブ伝」でもそうだった、主人公がちょっと気弱で、男につっこまれてオロオロするってのとちがって、えらいアグレッシブな性格なんすね。そしてボケる。この状態が全体のバランスを崩し、収拾がつかなくなっているんだな。ムダにキャラが多いのもその要因で、なんだか、ゴテゴテしてる。まあ、キャラを見失うことは金輪際なかったから随分とマシなんだけどさ(悪例:「ジャングルはいつもハレのちグゥ」)。

・そう、本作は、犬、猿、鳥(キジ)が弱いんですよ。パクマン(ゲノム)のようなシモネタ鬼畜でもなく、音速丸(ニニンがシノブ伝)みたいに全体を仕切ったりもしなく、なんだか「ワヤ」になっているんだね。

・だもんで、再読性がやや弱い。また読もうとか思わないんだな。これなら、ゲノム読み返すかってくらいで。そこが残念。

・個人的に桃山博士(彼女が犬、猿、鳥を作ったってことで、様は「桃太郎」がベースになってるんですね)が好きです。彼女が弱気女性キャラで、ディディーにパイオツもまれたりして涙ぐむのがいいなと。(2002/09/10・16:44)
2002年/9月/7日
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「ラスト・ブックマン」とり・みき&田北鑑生(早川書房)

・大傑作の「DAI-HONYA」の続編ですね。
・本を読まない時代の書店の話ですね。うわ、すげえ乱暴な要約。 ・ま、しのごのいわずに前作を買しかも、まちがってるくさいし。

え。早川書房から表紙チェンジで、本作に併せて出版しなおしている。 わりに忠実な続編になっているので、前作読まないとちょいと置いていかれる場面もあることだし。

・で、本作。ベースは西部劇で「アラモ」とか?おれは「ニューヨーク1997」なんかを連想したね。
・そう、立てこもりタイプの活劇で展開していく。舞台は小さな書店。書店を襲う謎の存在「ゲオルグ」。彼らが攻めてくる。
・ハッカーたちの住む村。謎のバウンティハンター。リーディアン。肉眼で見えるプログラム。などなど。これでもか!ってくらいの設定山盛り。ただ、そのせいで、前作よりギャグが少なかったりして。そこが残念だったり。

・あとねー、ボーダイなパロディネタ。わかんねえのが多かったなあ。

・とはいえ、久しぶり「とり・みき」のギャグをタンノウできて幸せだったか。(2002/09/08)
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