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ポトチャリポラパ/コミック/2002年
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2002年/10月/30日
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「じかんはどんどんすぎてゆきます」雁須磨子(太田出版)

・エロ描写のあるラブストーリー集ですね。掲載されていたのが、「マンガエロティクスF」ってことで、どうしてもしょうがないところです。
・実は、この雑誌をしばらく購読してまして、それで、雁須磨子氏を見直したクチです。エロって偉大ですね。

・どことなくトボケた味わいが売りなんですね。そのゆるいテンポが案外とダメだったんですが、それにエロが加わったことにより、水木しげる氏のキャラのように、鼻から息をブハーと吐き出しながら「むむむ」と読めるワケですよ。
・で、一旦慣れてしまえばおもしろいってことになります。いろいろと読みましたが、でも、本書がおれにはイチバンです。

・包茎に悩む中学生弟を持つ、お姉さんの話「テイメラレシシャ」
・白髪に悩む三十路女性の話「まっしろけ」
・Cカップと思っていたのにAカップと宣言された「ものかげのこわいかお」

・などなど。おれがすきなのは、熊本弁の妻の話「しゃりんしゃらん」。やっぱり、方言のある女性はいいよね。
・処女がSEXに幻想を持つ「じかんはどんどんすぎてゆきます」。
・工業高校に入った彼女(女2人)を心配する男。心配するわりには、クラスメイトに輪姦されるサマを想像して自慰かましやがる、この微妙な男心「彼女が学校で」

・そして、ベスト。ゲームセンターのあるラブストーリー「ワンコインクリア」。ゲーセンでゲームしてる女性っていいよなあ。

・やっぱ、ラブストーリーのバリエーション。愛のかたちを描いたら女性にはかなわないと思います。差別発言とかそういうんじゃなくて、素直にそう思います。男はたぶん、すぐにパターンを固定化してしまうからなんじゃないかなと思うのです。そして、たとえば、白髪とかそういうことをネタに話を展開する術を持ってないんじゃないかと。

・あ、エロ描写はそんなでもないんで、「実用」にはむかないかなあって。ま、でも、他ではないようなリアルな描写やシチュエーションがあるから、イケるかなあ。

オススメ(2002/10/30・22:56:07)

「100万円!ベガスくん」1巻 肉柱ミゲル(エンターブレイン)

・もしかしたら、現在「コミックビーム」で連載されていたものでイチバンコミック化を待ちわびていたものかもしれない。基本的に購読している雑誌のコミックはあまり買わないんだし。

・オヤジが汗水たらしてためた100万円を持って、家族一同で大ハシャギしてたら、ポーンと飛んでいってかがり火の中に落としてしまう。そうしたら100万円の国からベガスくんがやってきたんだよな。

・ま、そういう異世界から生物と同居モノっていうと、まあ、どうしても、その分野の頂点である藤子不二雄F氏を思い出してしまうのです。そして、現在、そういうアプローチをする場合、どうしても、藤子不二雄氏の影を引きずることになりますし、昨今では、それを逆手に取ったアプローチ、すなわち、パロディになるわけですよね。
・本作もそういう方向です。ほかにはサイクロン猿橋氏の「ときめきヒルズ高校白書」とかさ。

・それに不条理系をプラスという、案外と安易な線である。

・でも、好きなんだ。結局、不条理系ギャグってのは、好き嫌いがよりビビッドになるわけだと思うワケです。レベルってのはあるけど、それも突き詰めると好きか嫌いかになるんじゃないかと。

・本作、1回中断してるんですよね。それもわりと長い間。ミゲル氏はミゲーくんとして、桜玉吉氏のアシスタントをしてたりします。そのからみなのかなんなのかよくわかりませんが、とにかく、中断してその後また復活してます。たぶん7話だと思うのですが。「完」って出てますし。
・で、いいたいのが、その復活後がすばらしいのです。

・「ノーパンショック」「じごく組」「携帯用カニ卵保育器」などなど、すばらしいギャグの数々。なんていうか、ベガスくんを活躍させないといけないとか、そういう藤子パターンからやや逸脱したのが勝因だったのかもしれない。キャラ固定で、なんでもありギャグになった感じ。

・ということで、カワイイ絵、がんばっているギャグ、ヘンな立ちかたをしてるキャラ、すべて愛すべきものです。がんばってください。応援します。(2002/10/30・23:43:51)

2002年/10月/29日
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「いい電子」3巻 みずしな孝之(エンターブレイン)

・本書が連載されている「ファミ通」はごくたまに買う。そして、買ったからには「いい電子」も読む。
・3巻は、あとがきや宣伝(コミックビーム等)にあるように、ド鬱編だ。それはちょうど、ファミ通を買って読んだときに3巻の内容があったのでわかっていた。たしかに、ファミ通を読んだ当時は、「えらい暗くなったなあ」と思った。
・で、そういう内容なのかと思ってある程度の覚悟を以って読んだら、そんなこともなかったな。

・みずしな氏の作風は「変化」することだと思う。基本線みたいのはあるが、それから逸脱をいつでもチャレンジしておられる。それははっきりいって大失敗することも多い。なんで?って頭をひねる「変化」も多いからだ。でも、それでも、いつも試みる。その心意気やヨシ!で、おれは肯定派なんですが、実は、その「ド鬱」も、「変化」に組み込まれてしまっているのですね。だから、いつもの「変化」ありのみずしな作品の範疇に収まってしまっているんじゃないかなと。
・あと、まー、同じ出版社に「ド鬱」のエッセイマンガを描かせたら右に出る人がいない桜玉吉氏もあるしねえ。少なくとも毎週2pカラーページ描ける元気はあるみたいですしね。

・ゲームのあるみずしな孝之本人出演のエッセイマンガ。ゲーム知識もゲーム場面も極力少なめです。それが「売り」みたいなことにまでなってます。「ゲーム雑誌に連載されてるのに、ゲームしなさすぎ」って。
・「ド鬱」以外の変化は、というか、こっちのほうが大きいと思うのだが、担当編集が後藤聡子(ゴチさとこ)という女性に代わったことが大きい。これまでの「ツッコミ」であった、有能美人アシのマツムラから、その役まで奪った感じ。しかも、ドツキ漫才に変ったなあ。ボケ役のみずしな氏がボコボコにされてるってコマが多いね。そういった意味じゃ、より「マンガ的」になったともいえるわな。

・えー、だから、より「キレイドコロ」が増えたってことになってます。本作品中に、「萌え」とか無縁のマンガとか自虐的にいってますが、登場する女性は掛け値なしに魅力的な人が多いとおれは思います。
・あと、「コミックビーム」の「おさんぽ大王/須藤真澄」で、欠かせないキャラ、編集ノナカ氏も登場してます。「コミックビーム」を欠かさず読んでいる奥さんに教えてあげると「全然ちがーう」とかいってました。おれもそう思います。どっちが似てるんでしょう?って、おれ、前(2巻)のときも書いた記憶があるぞ。巨乳に描かれてるってのは共通してるので巨乳であることは間違いなさそうですが。

・ゴチ、マツムラ、ノナカ。ほら、3人も女性キャラがいる。あと、なぜか「ゲーム批評」の連載が止まったままであるくせに「ファミ通PS2」に描いてるはやのん氏も登場してます。
・個人的にはマツムラファンです。話は全然合わないと思いますが。そんなこと聞いてませんね、そして、どうでもいいですね。

・んー、そういや、女性マンガ家のエッセイマンガでよくある「わたしトモダチいない(少ない)」ネタが目立つ。んー、長年4コママンガ家続けてると、思考が女性化するのかしら?

・ま、いいか。おもしろかったです。(2002/10/29・22:35:39)
2002年/10月/28日
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「篠房六郎短編集〜こども生物兵器〜」篠房六郎(講談社)

・そのころ、おれは創刊号から買っていた「アフタヌーン」を継続して買うかどうか悩んでいた。さすがに読み進めるのが苦痛になってきてな。そういうギリギリのタイミングに本書収録の「空談師」が掲載された。結局、アフタヌーン定期購読はその後切れたが、かなり後ろ髪引かれることとなる。その要因に「空談師」もあった。
・そう、アフタヌーンは新人が侮れないんだな。

・で、本書も、その後連載となった「空談師」(本書のとは、設定以外無関係。今のところ)の1巻と同時発売。おー、まるで遠藤浩輝氏のときをホーフツとするようじゃ。期待の新人なんでしょうね。

・3篇収録。
「やさしいこどものつくりかた」
・3人の人造人間(ホムンクルス)が登場する話。鉄パイプを持って暴力をふるうメイドが書きたかったんだそうだ。

「生物兵器鈴木さん」
・小学校高学年、男子と女子の仁義無き争い。

「空談師」
・未来のネットワークRPGの世界を描く。

・「やさしい〜」はまあ習作といった感じだし、「生物兵器〜」はかなりエグイ描写(汚いって意味で)もある、わりに誰もやらないアプローチのガキマンガのわりに(子供とオトナの境界線上という微妙な線を描いている)、弱点として子供が子供に見えないってあたり惜しい。

・で、「空談師」と。ひょんなことで集まったパーティーが成り行きでダンジョンを攻略することになった。エンタメ性が非常に高い傑作。現実とネットでのそれとの間を行き来するセリフの絶妙なやりとり、ありえない種の戦い(ゲームのRPG的)。お互いの本当の思惑といったミステリー要素まである。非常に完成度の高い短編となっている。まー、その後、このネタで連載化するのも道理。

・と、まあ、6,7,9といった感じ。ちゃんと「どんどんよくなるホッケのタイコ」現象になっている。

・でも、「空談師」1巻がなあ…。ま、それはそこでやるか。(2002/10/28・17:45:23)

「空談師」1巻 篠房六郎(講談社)

「篠房六郎短編集〜こども生物兵器〜」内での読みきり「空談師」が連載化したものの1巻。

・ネットワークの世界を舞台に繰り広げられる物語ですね。
・それぞれの世界はGM(ゲームマスター)と呼ばれる管理人によって統括されており、その中で様々なイベントがある。この世界(たぶん、ほかにも様々な世界があると思われる)では、黒と白の種族にわかれ、ある一定の期間で殺し合いをする。その状況を知らずに巻き込まれてあたふたしてる「武器屋」の少女と、すべてを知ってるみたいな謎の男。これらが軸として物語が展開する。
・世界は「ベルセルク」的。拳銃など、なんでもアリになってるけど。

・短編集のがダンジョンで展開する「密室劇」だとすると、今回は街が舞台の「密室劇」だったりする。

・また、絵は上達してるし、物語も飽きさせず、展開している。でも、なんていうかな、「見えない」ところが多いんだな。ま、ヒミツを引きずってるんだろうけど。とりあえず、主人公らしきやつは中盤で捕らえられ、以後、1巻終りまで活躍しないしなあ。

・まだ、評価は微妙です。どう進行するか見えないし。1巻のみの評価は「イマイチ」。(2002/10/28・18:16:06)

2002年/10月/27日
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「暁星記」1巻 菅原雅雪(講談社)

・いや、やっとコミック化か。おれはてっきり完結してから厚いのでドーンドーンって感じでいくのかと思った。「釣れんボーイ/いましろたかし」みたいに。まあ、コミック化に踏み切った理由ってのを邪推するとおもしろいかもしれませんが、まあ、ここは、ポジティブに発刊されたことを喜びたいところですね。

・1999年に「モーニング」にて突如連載がはじまった本作。その後、「1部完」と出て、悠久の時を経て、2部がはじまったのが、ついさっき。そして、2部も終わった。また、悠久の時を経るのだろうか。そういうことを勘ぐるのもおもしろいかもしれませんが、まあ、ここは、オネスティに発刊されたことを喜びたいところですね。

・さて、舞台はかつて「金星」と呼ばれた惑星。3世紀で人間はそこを住めるようにして、さらに1万年たった。人間はしぶとく永らえているが、自然はさらにしぶとく、人々は地表を捨て、その育った木の上に生活するようになった。そういう世界での物語。
・人類の歴史に照らし合わせると、どれくらいになるんだろ。互いに村があり、狩りやら、作物を育てたり、工芸品を作ったり、それを市場で交易したりしてる。
・よその物語で喩えると「スターウォーズ」のイウォーク族の惑星が舞台で「もののけ姫」の文化水準って感じか。鉄はないけどね。あ、そうか。「風の谷のナウシカ」の歴史背景を持つか。
・で、どことなく和風。だから、縄文とか弥生とかの文化を思い出すか。「雷火」の世界ですか。

・そして、ストーリー。謎の生い立ちを持つ、よそ者のヒルコが主人公。ヒルコはよそ者であるが、大老の庇護のもと、村にはなくてはならない狩りの名手として、みなを率いていた。物語りも男の子らが成人の儀式を受けるところからはじまる。
・言語を解する猿人からの予言。そして、大きな話が動こうとしてるって感じですよ。

・前作が「牛のおっぱい」というほのぼの酪農コメディだったんですよね。その流れで、これってのは最初驚いたものですが、前作譲りのギャグ(間で笑わせるタイプ)がふんだんにちりばめられているかと思ったら、かなり、ハードなアクションも随所に。加えて、金星という舞台からの奇異な動植物&世界。原始的でありながらシステマティックな点もある人々の暮らし。と、地に足がついた描写と演出でじっくりと描いて、きっちり「ファンタジー」している。

オススメですよ。帯の「物語は、いかがですか?」というコピーにふさわしい重厚なドッシリした読み応えです。(2002/10/27・18:37:56)

「暁星記」2巻 菅原雅雪(講談社)

・で、1、2巻同時発売の2巻です。これ、けっこうあちこちの本屋でかなりな数みかけますが、期待作なんだろうなあ。じゃないと、こんな御大尽な待遇で描かせてもらえないだろうし。

・で、2巻は2002年に描かれた2部が収録です。全部ではないです。だけど、3巻には足りない感じなのです。

・1巻のところでも書きましたが、1部と2部の間には3年くらいインターバルがあり、その間に作者の絵も多少変った感じがします。物語の時間軸ではいくらも経っていないのに、2部になりヒルコがいきなりオトナになった感触があります。そして、全体的に「かわいさ」がなくなった気がします。ギャグも減ったし。

・2部では物語りがかなり進行します。ヒルコの数奇な生い立ち、そして、運命、ヒルコの住んでいた村へ突然の襲撃。ヒルコに「目的」ができます。
・ネタバラシにもならんと思うからいっておくと、この後、ヒルコは旅立つのです。で、2部終了です。
・さあて。3部はいつになるんだろう。一応、今は、「モーニング」上で「蕗のお便り」というほのぼの4コマを連載されています。

・うーむ。なんとなく、かつてあった(今もあるか?)、ジャンプスーパーコミックの諸星大二郎氏や星野之宣氏の著作品を思い出します。装丁もそんな感じ。あと、サルが狂言回しということで、「西遊妖猿伝」という諸星氏の名作もホーフツとさせるなあと思ってたら帯コメントが諸星大二郎氏。なるほどねえ。ちなみに1巻は新井素子氏。

オススメ。そして、みんなで3部がはじまるのを、3巻が発売されるのを、完結するのをクビを長くして待とう!(2002/10/27・18:58:04)
「鉄人」2巻 矢作俊彦&落合尚之(講談社)

・いや、これと「暁星記」の対比がおもしろいなあ。そのまま、講談社と小学館の対比みたくて。
・「三つ目がとおる」や「凄ノ王」vs「漂流教室」「ザ・ムーン」って感じか。前者が講談社で、後者が小学館か。しかし、古いねおれも。で、集英社が双方ええとこどりって感じ。

・ということで、ちょっと未来の中国を舞台としたロボットSFも2巻だ。
・必ず1巻に1回くらいのペースだが、鉄人を活躍させているあたりのうまさ。全体的な進行、細かい進行、個々のキャラ、すべてが絶妙のサジ加減で進行していく。しかも、親切設計で。
・さあ、どうなるどうなる。と、いいところで2巻も終りと。

・「暁星記」に負けないくらいおもしろい。ってホメ言葉になる?オススメ。(2002/10/27・19:20:20)

2002年/10月/25日
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「ザ・スリーパー」5巻 細野不二彦(小学館)

・完結巻。
・なるほど、途中で出てきたナルミってのはキーパーソンであるとは思ったけど、これほどまでに重要な役だとは思わなかった。

・寝ることにより、夢の世界経由で人のココロに侵入し、肥大した自我が生み出した「精神外道(サイコゲドー)」を退治する、ヒーローモノ。
・大幅加筆修正単行本エディションということで、5巻はまるまるエンディングへと向かう、なかなか充実の1冊であった。

・かなりの精神世界系、心理学、哲学などの専門書に独自の解釈を加えた夢世界描写が圧巻でありましたね。しかも、いろいろな時事的な要素も加えてる。なにげに、ここのところが細野氏のコダワリなのかもしれないな。で、キーになる歌が「夢で逢えたら」ですよ。大瀧詠一の曲ですよ。

・うーむ。よくできてます。なんだか、細野氏は一生懸命、星野之宣氏とか諸星大二郎氏になろうと一生懸命な気がします。今のステージをもう1段上がろうって。
(2002/10/25・18:48:01)

「不思議な庭園の魔物」大越孝太郎(河出書房新社)

・うーん、見直した。おれは氏のデビュー単行本「月喰う蟲」を読んで、この程度かって見限ってたんだけど、近年また精力的に活動されていたんで、「どんなもんじゃ」と手を出してみたのですよ。したら、かなり見直したと。まー、もうちょっとくだけた表現だと「おみそれいたしました」と。

・やたら、本書では強調されているが、「猟奇」が特徴なんすよね。で、「ガロ」出身と。そうなると、どうしても、偉大な先達が何人もいらっしゃるじゃないですか?だから、そういうところを安易に狙ったんかなと思っていたんですよ。ぶっちゃけ、丸尾末広氏と花輪和一氏。で、基本的にそのライン内にあるとは思うよ。影響を抜け出たみたいな解説やインタビューのヨイショにはあるけど、まだ、ボーダーだと思う。ただし、ベクトルは外側に確実に向いている。そこがすばらしいなと。

・本書はわりに寄せ集め的に、あちこちで単発で描いたものがメイン。「新耳袋」的な原作をベースにした怪談ものあり(結構多い)、謎の小説あり、ギャグタッチのエッセイあり。
・で、本線といえる「転生術奇譚」と「人形姫」がはじめと終りをギュっと締めくくってる。

・インタビューあり、解説あり、用語辞典あり、で、読み物が多いのが特徴か。インタビューであからさまに大友克洋、丸尾末広、など影響を受けたと思い切りいいきってるのが逆に好感。

・別の作品も読んでみたくなりました。(2002/10/25・19:23:40)

「まんが生活」立花晶(白泉社)

・マンガ読みのためのマンガ読みエッセイコミック。
・マンガの変った読み方(長い作品だと3〜4巻あたりから読んで、読み終えてから最初のほうを読む。最後を読んで結末を知っておいてから読む等)。
・マンガの管理法。
・原画展ルポ。
・コミケルポ。

・そして、同人誌の作り方教室。実際に作ったし、それを載せてたりしてる。これが一番読み応えあったな。おれも同人誌作るときに参考にしようってそんなもん作らないから。

・身につまされたのがマンガの管理だね。本当、おれの部屋今ゴミタメ。って、どこもわりと似たようなものみたいね。

・と、まあ、絵にクセもなく(作者の分身であるキャラは多少のクセがあるが)、すいすいと読めましたね。

・あー、ルポはいいよって担当にいわれたときのうれしそうなサマが印象的でした。唐沢なをき氏もルポマンガがイヤでイヤでたまらないみたいなことを書かれてましたし、やっぱり、マンガ描きは出不精が多いんですかね。
・で、全開で同人誌ネタをやるんですよ。

・ま、100円で買ったからトクもソンもないし。(2002/10/25・19:34:16)

「ミニモニ。やるのだぴょん!」もりちかこ(小学館)

・古書店100円コース。これと、「まんが生活」と「…すぎなレボリューション」と、薄いんだ。これが最近流行りなんすか?4コマのコミックよりさらに薄い。アメコミみたい。

・えーと、ミニモニ。ってのは…って説明する気になれないんですが、実在するアイドルグループですね。そのキャラを使っての4コマギャグ。

・これが盛りだくさんな内容でございましてね。ミニモニ。性格診断とか、クイズのオマケが盛りだくさん。しかも、古書店で買ったもので、すでにクイズやクロスワードは答えがエンピツで書き込んであるですよ。なんか、昔、SFC買ったら取説のパスワード表がビッシリ書かれていたことを思い出すなあ(おれ、こういうの別に平気なタイプ)。

・あと、カバー裏にエッセイコミック。リアルミニモニ。への取材コミック。

・まー、内容はぬるいながらも、それぞれのキャラを生かしていて、よろしいんじゃないですかね。
・矢口はリーダーでまとめ役でツッコミ。あいーんちゃんはイタズラ好き。辻は食いしん坊。ミカは外人なのに日本通みたいな。

・それぞれの描き分けもバッチリだし、それぞれかわいいし。まー、いいんじゃないですかね。
・ふと、思ったのですが、今、るいべはやみ氏にモー娘。マンガ描いてもらったらおもしろいんじゃないかなあって(女子プロレスマンガやSPEEDのマンガを描いていた人)。

・えーと。ミニモニ。ってのはモー娘。じゃ打ち出の小槌だったんだろうなあって。メンバーチェンジで今、水面下じゃバタバタしてるんだろうなあって。あと、小学館はこういうのがあるから、モー娘。がらみのスキャンダルが出せないんだろうなあって。
(2002/10/25・19:48:51)

「漫歌アイハラ派」相原コージ(小学館)

・巻数表示がなかったが、一応1巻らしい。あと、部屋の奥に紛れ込んでいて取り上げるのが遅れました。出たのはまだクーラーが必要だったころです。

・「週刊アクション」のエロ雑誌化によりリストラされ、小学館に拾ってもらい、そのまま連載というカタチなんですね。

・4コマで笑いだけではなく様々なものを表現しようと。で、4コマと差別化するために漫歌としたそうです。
・双葉社のときもそう思いましたが「ココロイキやヨシ。ただ…」って感じですよ。
・やっぱ、どうしても笑いに走るんですよね。あと、キャラ展開も「コージ苑」時から相変わらず続けているし。

・相原コージ氏はおれどうしても嫌えない。オモシロ度でいうと低い。断言する。笑えない4コマを標榜してるんだもん、笑えなくてもアリなんだけど、そのスタンスや方向性がワビサビ系の笑いになって、「ギャグ」から逃げようとしてるのに、結局ギャグみたいな、マッチポンプなことになっているのも苦悩の末かと思うと「かわいそう」でね。まあ、「もにもに」だけは許せないけど。
・そういった意味での哀しさみたいのは非常に伝わる。

・というより、相原氏のいってるところの「漫歌」ってのは、そういう名前じゃないだけで、すでに20年前から存在してそうな気がするのはおれだけか?
・たとえば、サトウサンペイ氏の諸作品は、すでに「笑い」とかそういうところから100万光年離れたところに存在しているような気がするし、4コマでの「実験」はいがらしみきお氏がやり尽くしておられる。そして、4コマで笑い以外を表現するのは、小池田マヤ氏を筆頭としてのメタ4コママンガみたいのがかなり浸透してるもんなあ。それで、相原自身もそういうの以前からやってるじゃんと思うし。

・まあ、相原コージの4コマですよ。良くも悪くも。「コージ苑」の続きと思って読んでもなんも問題ねえですよ。
・個人的には江口寿史氏みたいな原点回帰な「ぎゃぐまげどん」みたいのを久しぶりに読んでみたいなあ。「あるあるネタ」とか、サブイのを正面きって堂々と。逆にいいんじゃないかなと。(2002/10/25・20:10:35)

2002年/10月/23日
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「ハリウッドオレンジ」田中充(講談社)

・んー。美人でスタイルバツグンでベストセラー作家と同居することになった、小学生のボク。この女、実はとんでもないヤツで、性格がババ色で、虚言癖があり、ボクをいたぶるのが無上のヨロコビという女なんですね。
・ということで全編そういうネタですね。ま、随所にエロネタをはさみ、ドキドキしつつも、大笑いというエロコメのラインですが、乳首描写ナシでございます。頻繁にヌードになりますが、毎度毎度うまく隠してます。全然うまくねえか。

・うーんと。とりあえず「つまらない」。けなしといてホメる方式です。

・よかったところは、派手な展開です。ドタバタもエロも不自然なほど派手に盛り上げますね。こういうのバカバカしくていいです。でも、エロはエロくないし、ギャグはおかしくない。と、まあ致命的な弱点もあるんですよねえ。

・絵は丁寧ですし、少年マガジン系の王道ともいえるやつですね。どことなく講談社っぽい感じはしますねえ。ただ、個人的に魅力は感じませんでした。

・トクイのフレーズ。「商品として成立してるけど、作品としてはダメ」ってやつですね。

・というより、なんとなく悟りましたが、講談社少年マガジン系のギャグは「魁!クロマティ高校」以外はアウチなのですかね?
・そう思って記憶をたどると、一番「最近」おもしろいと思った週刊少年マガジン系のギャグってもしかしたら「天才バカボン」?んなこともないかとも思うけど、まー、今後はもっと慎重な態度で臨んだほうがいいということを本作で教わりました。

・いや、もうしわけないと思ったけどね。古書店で100円で買っても「あちゃー」と思ったろうな。(2002/10/23・23:13:19)

「花鳥風月紆余曲折」2巻 佐佐木勝彦(講談社)

・少年マガジンと月マガとちがうんだよ。まー、またがって描いてる人もいるけど、基本的にスタッフがちがうからねえ。

・ということで、月マガ連載のギャグマンガ。佐佐木氏でも、今、増刊扱いの「GREAT」に連載している「グミー・チョコレート・パイン」のほうに勢力を注いでいるために減ページし、そのためにかなり単行本化するのが遅れたといういわくつきの2巻となったのです。ギャグマンガ家はつらいね。

・一応、設定としては、タイトルのような4文字熟語をネタとして、ショートギャグを何本かってやつですね。

・そして2巻での特色としては、リフレインネタが多いね。イッコネタがあります。それを少しづつ変えながらも繰り返し使うってやつ。
・たとえば、中尾彬のねじりマフラーネタ。「今日気合入ってるね中尾さん」「あ、マフラーじゃなくて大腸巻いてる!」とか。
・シロー記者(編集だね)の常識知らずネタ。「このままじゃ地球が撲滅しちゃうよ〜」とかね。
・ロンドンの霧はショウベンでできてる湯気で、それを出している部隊・ロンドン湯気出し公団。

・んー、正直、かなり「グミー・チョコレート・パイン」に力を注いでますね。やや、類型化してきてるのが気になるところです。それが、現連載でもわりと続いてます。

・あとは、佐佐木氏は月マガのムードメーカーになっていると思うんですよね。こういうとき、雑誌全体の「まとまり」を出すための内輪受けネタ。こういうの雑誌にあるなしでけっこうちがうんですよねえ。これも2巻ではあるんだけど、たぶん、以降はやや減っていってる感触がある。これはわりと残念なところなんですけど、そういった意味で考えると2巻はかなりターニングポイントなところがあるのですね。

・そして、「グミー・チョコレート・パイン」以前に「GREAT」に連載していた「吉里吉里わかめ劇場」が同時収録。
・これが、かなりレベルの高い「理系ギャグ」なんですよ。毎回1本ネタで、これが、ある点での佐佐木氏の最高峰なんじゃないかと思うくらい。初期の唐沢なをき氏くらいの切れ味と引き出しの多さを想起させます。「次はなにが出てくるのか?」って思うくらいの。
・いや、書きながら「ホメすぎか?」と思い読み直しながら再確認したんでまちがいないです。

オススメ(2002/10/23・23:55:56)

2002年/10月/21日
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「焼きたて!!ジャぱん」4巻 橋口たかし(小学館)

・なんだか、えらい、悪ふざけに満ちた4巻であったな。「遊びごころ」とか「サービス精神」って形容に値しないような感じの。
・冒頭、いきなり外伝2連発。店長・健の若いときの話、パロディの「炊きたて!!ゴはん」。これが2本ともリラックスしすぎじゃねえの?ってな感じで、力が抜けてしまう。次に読み進める力を削いでしまうような。ま、双方とも出来損ないのギャグマンガといった風情です。ただ、だからこそ、ファンにはたまらないものがあるような気もします。おれはそういったファン心理はよくわかりません。ファンとはとてもいえないし。

・で、本編のほうは、なんか、てめえら対決ばっかりやってんなあ。とは思いますが、まあ、それが売りだろうから、しゃあねえわな(パン屋を舞台に地味な話もたまにやればいいと思う)。
・そして、今回、緑色のパンというネタのためにラスト4ページオールカラーという暴挙。いや、別に暴挙じゃないわな。まあ、そのおかげで緑色のカメのパンをバッチリと。

・どうでもいいけど、主人公の秘密兵器をまるまる1巻背負い続けた月乃ラブ(はあと)って前巻と同じオチにしてますね。(2002/10/21・13:00:33)

「金色のガッシュ!!」7巻 雷句誠(小学館)

・こっちはこっちで、「焼きたて!!ジャぱん」と真逆な感想。ものすげえ噛み砕いていうと「てめえ人気あると思って展開遅くしてんじゃねえぞ」と。
・地味な話が多いんだよね。

・今巻は、1回しかガッシュが戦っていない(しかも勝負はドロー)。で、本筋という意味でのストーリー展開はナシ。ないんだよ。ガッシュが完結したとして、1時間30分の映画にするとしたら、丸っきり抜け落ちる巻。イッコも使えない。だって、本筋カンケイないんだし。

・オマケが多く、インタビューが掲載されており、それによると、かなり確信犯的にガキ向けというのを意識されてる感じですが、ちょっと意識しすぎじゃないかと。ガキ向けはあきらかにガキ向けだと逆に引くぞ。今イチバンガキに支持されてる「ONEPEACE」をごらんなさいな。アキラカにベクトルとしては、そういう王道少年漫画を目指してるしな。ヤオイ受けが弱いか。

・あとまあ、最初の設定失敗したよな。「100人の魔族が地球でバトルロイヤルして勝ち残った1人が次の魔王」。この100人ってのが失敗。だいたいが、もう強いやつは何人も倒してるし、ガッシュ自身もけっこうな数倒してる。しかも、今巻1人自滅したし(泣ける話なんすがね)。もう、残り何人よ?って世界だぞ。
・そこいらはぼやかすか、もっと多くすればよかったんだな。小学校生徒全員くらいの数にするとか。350人くらい?全員1回戦えば、半分になるんだからさ。

・ま、だから、そこいらをどうするかが今後のみものですね。(2002/10/21・13:35:23)

「樹海少年Zoo1」5巻 ピエール瀧&漫$画太郎(秋田書店)

・なにがなんだかよくわかりません。4巻のラストページに「完」って書いてあったけど、5巻の予告があるって仕様で、じゃあ、5巻はどうなるんだ?と思ったら、ラストページは人類が滅亡してまたしても「完」。でも、次のページに「6巻につづく」と。
・そいで、話も「急転直下!!仕切りなおしの急展開!!」ってあるように、まったくカンケイがなくなってました。もしかして、後でみんなつながるのかもしれないけど(意外と原作・ピエール瀧はそういうことをする)。

・そして、中身は全巻いっしょみたいなもん。という恐ろしさ。ネームをちゃんと読んでも3分くらいで読み終える。

・で、5巻でイチバン驚いたのが、漫$画太郎氏の女性描写が可愛くなってるってことです。なるほど、そうすれば、あの絵でかわいくなるのかと感心しましたです。(2002/10/21・13:57:07)

2002年/10月/20日
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「人間以上」駕籠真太郎(久保書店)

・駕籠真太郎氏のデビュー作復刻。なんでまたこんなタイミングなのかしら?と訝しがるよりも素直に喜びの方が勝る。おれは、「輝け!大東亜共栄圏」で話題になって飛びついた、とんだサブカルヤロウなんで、そのすごさに飛び上がり、あわてて探し回って「凸凹ニンフォマニア」(今でも楽に手に入る)を手に入れたが、それ以前のデビュー作である「人間以上」がなかなか手に入らなかったのです。
・そして、本作がまたないのでかなりあちこち飛び回ったと。なかなか因縁深いものがあるようなないような気がするのですが、ともあれ手に入ったし、苦労の甲斐はあったのでよかったよかったと。

・短編集です。表題作は、有名SFのタイトルを借りた超能力モノ。組織を逃げたエスパーが刺客に襲われ、超能力対決とサイキックな筋書きになってますが、そこはそれ、駕籠氏のことだから、一筋縄ではいかないことになっているのです。下ネタ系のギャグっぽいタッチになってます。
・チンポを破裂させたり、チンポをすごい伸ばしたり、最後は体中からチンポを生やして射精し続けて死ぬって感じ。そういうの連作3本。

・地球が滅亡してゴキブリが文明を持つ頃、コールドスリープから目覚めた人間はゴジラ扱い。ってことで、少女が大挙して怪獣として登場しキャットファイト(死ぬまで)する「ゴジラ」シリーズ4本。作者自身あとがき(新装版のオマケ)で、以後の「輝け!大東亜共栄圏」や「超伝脳パラタクシス」につながる系譜と位置付けております。ゴジラ=少女がゴジラシリーズなら、戦車=少女が「輝け!大東亜共栄圏」となる感じですね。

・で、「反乱」と「異郷」は、筒井康隆げなグロ短編(っていったらみんなそうなるんですが)。

・新装版収録の「脳下垂体の機械論的世界観に関する一考察」は、もう、いわゆる駕籠節な感じ。外堀の断片を示し、大きな世界を描こうってやつ。奇形胎児を尊ぶ世界。

・意外だったのは絵。士郎正宗氏の影響下にあったのだね。本人あとがきで書いているし、たしかに、いわれてみるとそういうニュアンスはある。

・ふむ。満足でした。もし駕籠未読者は3冊目くらいに手にとるといいかも。「喜劇駅前虐殺」「凸凹ニンフォマニア」の次あたり。(2002/10/20・19:30:25)

「2人暮らし」1巻 市川ヒロシ(講談社)

・どうなんでしょ?奥さんは「イヤなマンガじゃ」と読んだあとおれに投げて返しました。

・同棲ギャグ。一郎と桃子の同棲カップルがほぼ舞台を部屋内にして展開するギャグですね。マイペース&トラブルメーカーの桃子に一郎が引っ張りまわされるってのがベース。
・一郎は「ゴリラーマン/ハロルド作石」ヨロシク一言も喋らない。表情もあまり変えない。で、桃子のボケに「げー」って顔を軽くする(白目になる)。そういうやりとりをベースにすすんでいく。

・同棲初日に布団がないことに気づいてテントを買ってくる。
・8万4千円出してAIBOのニセモノを買ってくる。
・真夏に電気代払うの忘れていて、死にかける。
・内職するって大見得切ったが、できなくて、2人がかりで死んだ気になってやったけど、まちがっててやり直し。

・ってそういうマンガ。主語は全て「桃子が」になるわけです。

・絵はサイクロン猿橋氏〜藤子不二雄F氏を連想しましたけど、そうでもないか。えーと、一般的に「下手」と称されるモノです。魅力はないです。というか、絵はハッキリ嫌いです。どうでもいいことですが、サイクロン猿橋氏は今、「コロコロコミック」で天久聖一氏と組んで、「バカサイ」みたいなことをやっておられますね。

・家庭教師のバイトをやる桃子。その予行練習を一郎とやる。そこでの、大化の改新をリンゴで表すって ギャグに不覚にも笑ってしまいました。

・おれは主義として1回でも声を出して笑ったギャグマンガは買うってのがありますので次も買います。
・でも、各作品に「解説」を入れるのはシラけることこの上なしなので、ちょっと考えたほうがいいぞ。そんなレベルじゃねえだろ。2巻以降は、4コマとか、エッセイコミックにしとけ。(2002/10/20・19:49:12)

「コマゴマ」3巻 森下裕美(集英社)

・タマちゃんブームの追い風に乗ろうって気がまんまんのオビがあざといアザラシ付ほのぼの4コマ。

・これ、非常におもしろかったです。このおもしろいは内容もそうなんですが、森下裕美ファンとしておもしろかったです。

・森下氏はその作風が「カワイイ」と「エグイ」にあると前に分析しました。
・最近作では、「カワイイ」は「コマゴマ」。「エグイ」が「スーパーまるでん」。双方のほどよいブレンドが「ここだけのふたり」。

・本作は、だから、カワイイ路線筆頭株です。一応前作の「少年アシベ」のキャラを引き継いでますが、少年アシベにあった、エグキャラは一切登場しません。完治くんと味田くんとか。
・そいで、話題も広がらず、アシベとゴマちゃんの周辺で終始する内容になりました。
・まあ、割り切ってそうしてるんだし、それでもおもしろいからいいやと思っていたんだけど、この3巻はややその雲行きが怪しくなっているんですね。

・キャラが勝手に動くって現象かもしれないが、担任の佐藤先生(ここだけのふたりの体育会系のオバチャンと同じ顔)、ゆうまクン(アシベのクラスメイト)のママ、アシベのじいちゃん(母方)、などの、本作では「アク」の強いキャラが暴走しはじめる。本書の中間あたり。そして、そのまま、そっち方面にいくのかと思いきや、また「戻る」んだな。
・この現象についていろいろと考えてしまう。「ほのぼのばっかやってらんねーよ」と森下氏が暴走したのか?とか。

・と、まあ、おれ的には、やっぱり森下氏は「いい顔(by根本敬)」が好きなんじゃないかなと思うんですよ。いい顔の人を活躍させたいのかなと。でも、いさめられたかアンケートが悪かったか、これは世界に合わないって自制心が働いたのか。

・そういった点を考えるのが非常におもしろかったのです。

・基本的には逸脱しないって線。以前になにかで描かれていた「普通がイチバンおもしろい」を実践させてらっしゃるなと。その中でもさらに普通だもんな。唯一の逸脱がゴマちゃんだからして。

・ん。すでにして、孤高の人ってな風情。4コマのトップランナーってみんなそうなる傾向にあるよな。(2002/10/20・20:21:26)

2002年/10月/18日
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「學ビノ國」3巻 秋重 学(小学館)

・お、まだまだ続くのね。っても、4巻で終了げな感じだけど。

・大検マンガですね。主人公はスポーツ入学したものの、足の故障で、高校中退。4年間プーやってたけど、一念発起し、バスケのトレーナーを目指す。そのために大検を受ける。そして入った予備校。その予備校を舞台として青春のきらめきがムニャムニャと。

・もう、主人公とヒロイン(杏ちゃん)に焦点が絞られてきましたね。だんだんとお互いを認め、アレっすよ。愛を育んでよ、途中いろいろと妨害やらライバルやらが登場でよ、うーんって感じっすよ。

・で、また、作者がよ、これでもかこれでもかと色々なトラブルを用意してるんですよ。

・そういうトラブルを克服しつつ、愛を確かめ合いながらよ、こう、青春のなあ、アレがよお、って歯切れが悪いべらんめえ口調になるってもんですよ。でも、ヤらないんすよ。じらしのテクってやつ?

・そして、そのトラブルは試験の真っ最中にも起こるワケです。杏ちゃんがおめえ、机から落ちた消しゴム取ろうとして脱臼してるんすよ。まだ半分以上問題が残ってるのに!大ピンチ!次巻につづく!となっております。

・ますます、冴え渡る画力。とくに杏ちゃんがスバラシイ。デコ萌え必見!(2002/10/18・18:30:35)

「警死庁24時」3巻 大和田秀樹(角川書店)

・やっと、エンジンかかってきたかな。ノリが急によくなったような。やっぱ、メンバー増員したのが効を奏したのかしらね。

・巡殺(じゅんさ)昇進試験編→鉄の腕(主人公の父。伝説の警官)→3人ばかり新メンバー加えて、また古巣で再開。ってな流れの3巻です。

・その昇進試験から2人。ヒロイン的な婦警さん1人と。まあ、同年代を固めた感じか。ケンカとかできていい感じ。

・大和田氏はバランスが魅力ですね。そういった意味じゃ、小坂俊史氏と似ている。いろいろな要素をうまく組み込んで、オリジナリティでは弱いけどトータルで高いレベルを維持している。

・本書の言葉、そのまんま大和田氏に贈りたい「願わくばこの力正しく使われんことを」。力=バランス感覚ですね。(2002/10/18・19:03:28)

2002年/10月/17日
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「みみかちゃん」みむだ良雑(心交社)

・みむだ氏ったら、ナンセンスベースのギャグが魅力なんだけど、これは、だいぶそれを抑えて、もう一方のほうに注力している「実用的」なやつばっかし。っていうか、すべて初出は同人誌みたいですね。ウワサにゃあ聞いてたけど、全部同人誌から落とした個人のコミックってなにげにはじめて買うかもしれない。

・うーんで、もう一方の実用的なやつがアカラサマに小学生といたすってやつですよ。いや、ホントそれだけってのがザンネンですね。ま、ガキが小学生なので、あたしゃあ、さすがにアキマヘン。

・なんか、「オチ」がなくて投げ出されているような感じ(最中のまま終るのが多い)が、いいのか悪いのか。(2002/10/17)

「DIFFERENT VIEW」ナヲコ(コアマガジン)

・少女マンガタッチのエロマンガですか。山田ひより氏なんかもそうですね。ただ、いろいろな点で、エロマンガを読む人用にチューンナップされてるような印象を受けましたが。

・描写でいえば、ほっぺた描写が特徴なのかね。下ぶくれっていうか。最近あまりみないような。

・で、もう一方の「描写」でいうと、作者自身あとがきでもいっておられるように「H度が低い」っすわ。しかも、後半にいくにしたがって。描き下ろしにいたっては、ナッシングっすもん。

・作者が女性なのかどうかわからん。わからんけど、女性と仮定して話を進めると、女性の描くエロと男性とのエロの最大のちがいは、チンポ描写じゃないかなと思う。女性のそれは少ないというか、ナイなあって思う。本作においてフェラ描写って1個所(2コマ)しかない。むー、まあ、結論づけたり、レポートするほど、研究しているワケでないんで、なんか、興味深い現象だなあって。局部を詳細に描写し、それに興奮するのって男のほうなんかなあって。これは、エロ小説でもそうだもんなあ。

・一卵性双生児の男女が入れ替わって高校に行き(それぞれ男子校と女子校)、お互いにヤられて帰ってくる「Two of us」
・3人兄弟(長男、次男、長女)で、次男と長女が近親相姦関係で、長男にそれをカミングアウトする「いいわけ」

・あー、書き出してわかりましたが、兄妹の近親相姦系が多いっすね。

・どうなんでしょ?丁寧な描写です。エロくないです。ってところかな。(2002/10/17)

「いかがわしい人達」馬並平(桜桃書房)

・おれ的には久しぶりだなあ(といっても、中古でしか買ってないんですが)。
・たぶん、「こんなヤツ(女)いねえよ」と女性が読んだらいわれそうな、でも、あまり、女性を知らない人にとっては「リアル」な人間関係が短いページ数で展開する巧い短編を描く人と、おれは位置づけてます。

・女性にホレた女性が、友達のレズの人にテクを教わる「好きの種類」
・宝くじ当たって、学校休んでバイト辞めて、彼氏と1日ヤりまくってるトモダチに説教をしにいって、3pになる「飽食の恋人達」
などなど。

・おれがすきなのは、遊びのつもりでつきあっていた女にある日、本気になってしまう「その日がなければ」か。

・うん、やっぱ、話作るのうめえよなあ。でも、1〜2編入ってたSFっぽいネタがないのはちと寂しい感じかな。このまま「うらまっく」化するのか?

・あと、相変わらずチョクモーのインモーに、絶対あるアナル攻め描写と、自分の欲望なのかファンサービスなのかよくわかりませんが。

・いい作家ですよ(2002/10/17)

「タカハシくん優柔不断」1-2巻 新井理恵(角川書店)

「新井理恵初めてのオリジナルLOVEストーリー!!」だそうな。「まくまく」がおもしろかったので、中古でいいやと思っていたのになかなかでなかったので、あと、手ごろなのがなかったので、と、いろいろな要素がまじって買ってしまいました。

・優柔不断なタカハシくん。ナイスバディの女教師と婚約関係。でも、学校ではナイショ。そして、タカハシくんに果敢にアタックする幼馴染の女。この三角関係がベースのLOVEストーリー。

・これ、いかにも、ラブコメでよくあるパターンじゃね?それを悪いほう悪いほうに転がしつつ、ご都合主義を一切排除した、作者の底意地の悪いクールな視点がモロに出た作品になってます。

・この3人が3人ともかなり「食えない」キャラで、タカハシくんはいつまでもはっきりしないわりにいつも最悪手を選択するし、幼馴染は人の話聞かないで暴走するし、女教師は女教師で内へ内へと篭っていくしで、収拾がつかなくてあわあわになってます。そいでもって、キツイキツイラストも待ち受けてます。

・ただ、誰にも感情移入できないんで、++がカワイソーというより、「へー」で終わりますが。そして、怖いのは、この3人、実在してそうな感じなのです。リアルってんじゃないけど、こういう悪い意味でラブコメみたいな展開はアリかなあって。

・まー、逆に考えると、上記の設定でラブコメ(物語上の)を成立させるには、かなりいろいろなご都合が介在しないとムリ、ひいては、現実にはありえないってことになるんかなとも思いました。

・あと、新井氏の「芸風」である、ありがちな(お約束)展開を冷静につっこんで、笑いを取るという手法。これは、本当に諸刃の剣ですよね。ちょっとでもシリアスな展開になると、どこかで「なーんちゃって」って現われそうな雰囲気がある。それは、ビートたけしの泣きの演技に違和感があるのと同じ。それぞれ、どうしても、最初に「ギャグ」としてそれらを見ていると、どうしてもね。

・ま、後味の悪いマンガでした。「おもしろい」とは思うけど、新井氏は純粋ギャグのほうがいいなあ。(2002/10/17・14:18:41)

2002年/10月/15日
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「辣韮の皮」2巻 阿倍川キネコ(ワニブックス)

・1巻はゲストのふくやまけいこ氏目当てで買いました。2巻は本作を目当てで買いましたと。

・サブタイトル「萌えろ!杜の宮高校漫画研究部」というとわかりやすくなったと思いましょうが、漫研オタク4コママンガです。

・主人公は、真性オタクだったのを脱却しようと、高校デビューでなんちゃってイケメンに変身したつもりでしたが、漫研部長にして生徒会長にアッサリ見破られ、なおかつ、真性ヤオイ腐女子(カワイイ)に惑わされてフラフラと入部して、幾星霜。という感じです。

・「そういう」4コマで、なおかつ、「ガム」という「そういう」雑誌に連載されているので、わりに、天井知らずの「そういう」ネタが多いです。しかも、ちょい「古」です。ま、作者のお年が伺えますね(カバー見返しに写真あり)。
・なおかつ、4コマ連続キャラものの定番、「どんどん増えるレギュラー」は、上記生徒会長の姉(プロの同人モノ)と顧問(仮面ライダーマニア)で、どんどん「古」方面に充実してます。それで、「古」のおれさまでもわかるって寸法さ。

・いちいち挙げてらんないほど基本からマニアまで取り揃えて固有名詞が登場します。おれは手におえないところが多いです。「緊急指令10-4・10-10」なんて知らない。あと、「愛少女ポリアンナ物語」もわからない。
・ま、4コマのベースとしては、主人公(なんちゃってイケメン)がヒドイ目にあったり、「あーあ、オタクだなあ」って感じのオチですか。
・具体的には、大晦日に年越しアニメ鑑賞に巻き込まれたり、あと、オタクだけど、そのスキルが低いってことをバカにされたりとかね。

・まー、個人的にはでもうらやましい世界だわ。おれも、こんなヌクヌクしたところで和気藹々とやりたかったわ。だから、主人公はひどい目に遭ってるとは思えないんだわ。ちゃんと女性陣も3人もいるしなあ(腐女子、腐女子2(メガネ+ドジっ娘)、コスプレ女)。おれなんかにゃあ、ユートピアに見えるわ。


「いいか オタクってのはなろうと思ってなれるものでも…/やめようと思ってやめられるものでもないんだにょ!!」

・脈絡なく名セリフ。

・ちょっと描写が変った気がするのだが?

・脈絡なく疑問。

・まー、キャラは泉センパイがいいよなああ。すべてのオタクスキルのエキスパートでありながら人格者。なおかつ常識人。と、まあ、すべてのオタクは彼を目指さないとな。ムリでも。

・いや、居心地のいい世界でぬくぬくとやっておられていいです。憧憬しつつオススメ(2002/10/15・17:30:51)

「Dr.猫柳田の科学的青春」1巻 柳田理科雄&筆吉純一郎(幻冬舎)

・「空想科学大戦」の番外編。本編で登場する科学者にして「ツッコミ」役の猫柳田博士の青春時代を綴ったもの。舞台は昭和30年代初頭。若き猫柳田氏が下宿している一家が中心となり騒動が起こるって感じ。
・「空想科学大戦」では、たとえば、物理学に則った巨大怪獣とか、巨大ヒーローとかが登場したが、今回、その手のはあまりなく、身近なことを科学で乗り切るみたいな感じだわな。
・たとえば、「空中でお風呂に入る!」「東京タワーを使ってカンニングする」「永遠に枯れない桜を作る」「洪水のなかで洗濯物を乾かす」などね。下町人情ドラマ風に話は展開するわけよ。

・本編より、スケールという点では劣るが、まあ、よろしいんじゃないでしょうかね?あのノリを知ってる人、ファンの人にはぼちぼちすすめられますよ。モドキング(シリーズ通しての悪)も登場するし。

・こう、普通のマンガとして読んでみると、筆吉氏の絵って「お堅い」感じがするね。非常に丁寧な描写だけど、スキがなさすぎというか。ま、それは柳田氏の原作もそうか。(2002/10/15・18:04:29)

「みんなはどぅ?メガキューブ」G=ヒコロウ(コアマガジン)

・日記マンガ「みんなはどぅ?」を中心とした寄せ集め作品集。
・なんといっても、ビデオ3倍録画のような高密度がウリのヒコロウさんにおかれましては、1回4pといえども、通常マンガの4倍から5倍のボリュームがある。そして、それをクイックサーチで早送りして送るみたいノリ。その芸風は1つ。だから、好き嫌いが最初の数ページ読むだけで判断できる人だと思う。

・「かなり独りよがり」。これが全てだろ。これをどれくらい共有できるかがミソ。いきなり、「せ、せ、せかいはらぶあんぴーす」とかいわれてもわからんだろ?(おジャ魔女のモモコの歌)そういうのが猛スピードで駆け抜ける。

・日記マンガはゲームと韜晦と後悔とアニメの日々という感じですか。トモダチの道満晴明氏やOKAMA氏が頻繁に登場。というか、ゲスト日記マンガ(1p)が異様に豊富。

・個人的には「悪魔ガール デビーチカ」がすばらしかった。2pなのに表紙に1p使ってて賞味1pのマンガだけどよかった。

・あと、日記もよかった。日記内のヒコロウ氏はいつでもテンパってるような感じを受けるが、日記マンガ描く人ってあんがいとそういう人多いような気がしたりしてと思いました。で、ヒコロウ氏と桜玉吉氏はわりとストレートに描いてると。くらたま氏や寺島令子氏あたりも実生活キツイことがあったけど、それを隠してるって気がしないでもない。

・いや、おれは大肯定。いまだに新声社版「みんなはどぅ?」をなにげに探してるくらいだし。(2002/10/15・18:55:00)

2002年/10月/14日
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「快速!FREE NOTE Book!!」すがわらくにゆき(ワニブックス)

・3冊目の単行本だそうだ。連載から6年以上たってのものらしいそうだ。G=ヒコロウ氏のマンガにあったけど、G=ヒコロウ氏とすがわら氏はもっとがんばるといいと思う。本当にそう思う。

・ショートギャグマンガの決定版!とオビにあるけど、あえて、「ギャグ」をとって、ショートマンガの決定版としてもいいんじゃないかと思った。ときたまある非ギャグのショートは非常に引っ張られるし。

・毎回4p。これにどれだけ詰め込めるかが勝負みたいなノリで、ギャグありシリアスありとかなりバラエティに富んだ内容になっている。しかも、その「バラエティ」はきっちりすがわら世界に基づいているものであるってのがスゴイ。これができない人が存外に多い。どうも他人行儀になるというか。

・すがわら氏といえば、一度みたら目に焼きついてしまう「オリジナル」といえる絵。キャラ。この力が世界をギリギリギリとまとめあげているともいえるが、その話もバラエティではあるが、一定の方向にまとまっているような気がする。

・ギャグでいえば、暴力系(意外にスプラッタです)、オタク系(以前より固有名詞は減った感じしますが)、サイレント系(無音、無セリフ)、シモネタ系(主にセリフだけ。そいで、オタク系とかなりダブる感じ。例:エロ同人とか)、それらの複合系。
・で、シリアスは、ポエミイなものと、身近系かな。恋愛モノはあまりないね。

・そして、今回1番魅力を感じたのは「ほのぼの」かな。
・「街ネコ街ネコ」という話。ヨソもん(街ネコ)が大きな木の根元を掘っている。それを地元のボスが見つけて尋ねる「なにをしている…/ここらは俺のナワバリなんだがな…」。
・街ネコはダチがクルマで轢かれ死んだ。死体は人間が処理したけど、せめて、鈴だけでも、弔ってやりたいと思って、アイツの田舎で、アイツの好きそうな木の下を掘っていた。ボスは「まったく…面倒なもん埋めに来やがって…」と穴を掘るのを手伝う。

・「お母さん早くね。」という話。極力背景やセリフを削り倒しているので、推測になるのだが、中学生か高校生くらいの娘。それとかなり年の離れた妹。医者に話を聞いている。どうやら、母親が退院するのが延びそうだ。それを妹に説明する。
「あっ あのねっ ミカちゃんねっ なかないんだよ/メイちゃんはないちゃうけど ミカちゃんつよいからなかないんだよ」
・と妹は強がる。「メイちゃん?」と娘はいぶかしがる。が、ふと、夜、ひらめく。(「となりのトトロ」なんですね)
・そして、「お母さん…死んじゃったらどうしよう…」と洗濯物を取り込みつつ、涙が流れる。
「あたし 今 サツキだ」と独白。

・ってこういうの。非常にいいです。思い切りネタバラシしてますが、何十本の中の2本なんで許せ。

・すべてにクオリティは高い。というか2002年下半期の宝物です。オススメ(2002/10/14・20:05:40)
2002年/10月/12日
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「HUNTERxHUNTER」15巻 富樫義博(集英社)

・おー、意外に終りそうかもG・I編(ゲーム世界に入ってるのですね)。
・RPGでいえば、一気にレベル上げを終わらせた巻。ストーリーもはさみつつ。そいで、そのゲーム世界(というか、実は現実世界)での、「本編」に入るって感じだ。

・毎巻ごとに「ルール」が増える。それは、規模の大小から、重要度までいろいろと幅があるが、共通していることは、すげえ、システマティックな世界ってこと。ある種「絶対」の価値がある。でも、まあ、視覚情報でなんとなくわかるところが多いので、そう、混乱はしない。ことに、今やってるカードをフューチャーしたマルチプレイRPGな世界な分、カードに慣れ親しんでいるお子様にはわかりやすいだろうしなあ。

・でも、その「絶対」の価値は作者のサジ加減ひとつだし、なんだか、「青天井」なんだよねえ。強さのインフレ現象。だって、ゴンやキルアが強くなればなるほど、立ちはだかる敵はもっと強大ってことになるからねえ。
・いったいどれくらい強くなったんだろ?それは次巻以降か。あの、並行していたクーデターチーム(全員で団結して戦う同盟軍みたいの)を一瞬でパーにした爆弾野郎にその成果は発揮するんかな。(17:22:50)

「おとぎのまちのれな」1巻 はっとりみつる(講談社)

・「イヌっネコっジャンプ!」の作者の続編ですね。
・舞台は田舎の「おとぎまち」。そこですくすくと育ったナイスバディのれなさん高2。れなさん、ちょっと前からHな気分になるって病気にかかっている。いったん、発作が起こるとところかまわず催してしまう。それまでは、なんとか、自分で処理していたのが、ついには男を引っ張りこんでしまうまでになる(最後まではない。いろいろとジャマが入る)。そして、それが最高潮になったとき、あるものを「産む」。と、それが日本中を巻き込む大騒ぎになると。

・と、あらすじでよくわかっていただけると思いますが、ライトなエロコメということになってます。前作よりやや「エロ」にウエイトを置いてますね。れなさんも巨乳(前作ゆ→きは貧乳でした)ですしねえ。

・もともと、ストーリー的にはたいしたことない。たぶん、この日本中を巻き込む大騒ぎってのもどんなもんやらって感じ。
・だから、こう、れなさんのHシーンをはじめとするエロやらに期待しようと。前作の女性がどいつもこいつもわりに奔放なタイプばかりなので、発作がはじまると発情する「トラブル」持ちの女性ってのが新味なんでしょうねえ。まあ、れなさん、あたりかまわずオナニーしてます。野外が多いです。そして、AVなオナニーじゃなくて、リアルな感じのそれです。

・ま、相変わらず、イヤラシイってのとちょっとちがうんですけどねえ。どうして、こんなさわやかなオナニー描写かなー。それもまたヨシなんですが。

・今作よりPC仕上げだそうで、随所にそれっぽいところがあります。最近はCGもこなれてきたよなあ。(18:09:33)

「純粋!デート倶楽部」2巻 石田敦子(少年画報社)

・掲載誌(アワーズライト)がつぶれたので、どうなるんでしょうかの、とりあえず2巻。思い切り「つづく」になっています。

・えーと、男も出会いのトキメキがあるってことで、そういうのをエスコートするエロ系サービスなしのプラトニックデート倶楽部。その会員を軸に話が展開。

・1巻のときは、会員のキャラ紹介をかねて、会員にクローズアップしているのかと思ったけど、どうも、ちがうみたいだね。
・そういう変ったコトをやる女性の複雑な心に焦点を合わせているのだね。みんないろいろな過去がありで、「恋」だの「愛」だのについて考えるわけですよ。こういう仕事してなおさら考えるのですよ。

・うーむ、そうか。としかいえない。まー、筋立てやキャラ立ては非常に巧いのでついつい読んでしまうが、読み終えたあと「うーむ、そうか」以外の感想が出にくい。2巻まで読んでそれをかなり深刻に再確認してしまいました。
・おもしろいんだけどねえ。とくに、変な依頼編で、男が告白するのを絶妙のタイミングでかわし続ける女って(依頼)ネタがよろしかった。

・3巻出たらどうしよ?買うかなあ?って感じ(18:31:52)

「うたかた少女館」福原鉄平(大都社)

・大都社こわい。ハズレがけっこうある。もちろん、おれにとって。
・少女と、幻想がある短編集。古いですが、千之ナイフ氏とか連想していただけるとそう違いはないかと。千之ナイフをベースに岡田芽武を混ぜた感じかなあ。

・大都社トクイの寄せ集め作品集で、かなり質がばらけている印象。それぞれやりたいことはわかるし、多分、短編の下手な人だろうと思う。キャラのエピソードを積み重ねて、立てていくタイプなんだろう。ときたま、風のように過ぎていく、ポエムみたいな読み切りがあった日にゃあ、「?」マークがポヨンとアタマに浮かぶってなもんでよ。読了後、いくつ?マークが浮かんでいたんだろうかね。

・そうなんだよ。「カギ」がたくさんいるマンガなんだわ。福原鉄平と共有できるカギがいくつか必要で、ソレがある人にはかなり楽しめる作品集。おれはアタマに浮かんだ?マーク分、ソレが足りなかったんだろうなと思う。

・ぶっちゃけ、おれにはつまらんかったと。

・これ、まあ、直感で買ったんですが。こういう直感は本書を買った郊外型の中途半端な規模で品揃えの店ではあまり効果を発揮できないなと。もっと多いか、もっと少なくないとダメだ。あと、大都社はこわい。基本的に初期作品集ばかりだしなあ。(19:09:36)

「狂四郎2030」14巻 徳弘正也(集英社)

・はー「理想郷編(アルカディア編)」だと。なんか、いつの間にか「**編」みたいのができてますねえ。裏表紙のあらすじにも「巨匠」とか書かれてるし。

・まー、シビアな展開ではあるんですよ。でも、そんなときでも忘れなかった「くだらないギャグ」(いっときますが、ホメ言葉です)の配分が少なかった14巻でしたね。

・狂四郎自体の強さはもう頂点で、絡め手でいかないと「ピンチ」って状況はなくなってきました。これってなにか思い出すなあと考えたらアレですよ、「あずみ/小山ゆう」ですよね。アレもあずみ以上に強いやつっていないもんね。

・で、絡め手で次巻は狂四郎ピンチと。毎度載ってる次巻予告で大まかな展開わかるしね。(19:33:12)

「パニックプラスα(アルファ)」OKAWARI(大都社)

・大都社こわい。本作も信頼のブランド・ワニマガジン社かと思って買ったんだわ。なんとなく、装丁の感じがそれっぽかったから。そしたら、大都社でござい。そして、また復刻モノでござい。

・買ったのけっこう前で、今となっては、なぜ、本書をチョイスしたかは思い出せない。フツーっぽいエロマンガでも読もうかと思ったのかな。ま、タイムマシンがあるなら聞いてみたいもんだ。いやむしろ、「買うな」と止めたいかな。ふはは。結論いっちゃた。

・コギャル3人を軸として、それぞれの恋愛模様。1人は行きつけの喫茶店マスターとデキ(マスターは、マンコの具合がよくて前の彼女を捨てて乗り換えました)、1人は野獣みたいな男が好きなレイプ願望女。本当は温厚な超人ハルクみたいな彼(花屋勤務)を野獣化させるためにいろいろとする。1人はレズ。しかも、S。

・その連作にあと短編いくつか。

・なんていうんだろうか。フツーです。水準です。というか、「ホントはエロじゃなくて、描きたいものがあるけど、もろもろの理由でエロをしょうがなく描いてるボクなのです」オーラを感じられる。

・ということで、すみません。スルー。(20:02:42)

「ホロ酔い酒房」1巻 長尾朋寿(実業之日本社)

・うーむ。奥さんが読了して端的にこの本を評価されてる。
「「酒の細道/ラズウェル細木」にあらゆる点で劣る」
・そう、そんなマンガ。ただ、実はかなりオモムキが異なるんだけどね。一応、そこいらを説明しておこうかな。

・主人公サラリーマン。酒好き。ここいらいっしょっすね。でも、以降、かなりルポマンガになるんですよ。主人公サラリーマンのくせにあちこち出張しちゃ、実在する酒蔵や酒屋なんかにいっちゃあ、実在する酒飲んで「いいすね」と鼻の下を指でこするポーズ(お約束)を決めるという按配なのです。

・マンガ後に文字のコラムがあるのもいっしょですが、だから、コラムのほうも、実在の店の紹介になったりするわけです。

・だから、実は非常にがんばっているわけですよ。「酒の細道」よりもむしろ、酒ウンチクマンガの金字塔である「BARレモンハート/古谷三敏」の日本酒版といった線なんですよね。

・でも、マンガとしてはどちらにも及ばない。毎回取材、毎回実在の店(酒)紹介、ってのが足かせになっているとしか思えない。マンガとしての練りこみが足りない感じ。キャラも薄っぺらく、ドンくさいやつにしか見えないし(愛嬌がねえんだよな)、愛着が湧かない。

・なんで、ローソンにあったんだろ?こんなのが。コンビニマンガってのは、狭いスペースな分、厳選されたものがくるのになあ。(20:20:36)

「写真学生」小林紀晴&長浜敏海(集英社)

・同名小説のコミック化だそうだ。同名小説は当然、知らない。

・長野・諏訪に住んでいる青年。高校卒業し、写真専門学校に入る。そこでの青春記でございますね。

・これがよ、おれが上京した年といっしょなんだよ。岡田有希子の自殺した年だよ。
・そして、日本が調子良かった時期。バブルてな。そして、バブルなのにビンボー学生やっていたってところもいっしょ。これだけで、感情移入度がちょっと上がってしまうのです。もうしわけないのですが。

・で、読んでつくづくわかったのですが、専門学校を舞台としたマンガがない(ま、知らない)のは、単調だからなんだろうなあと。
・わりとドヨ〜ンとした展開ですね。そう、カッコたる目的もなく、わりと漫然たる気持ちで写真の道を選び、女やバイトに流れて、辞めようかどうしようかと揺れながらも、作中の言葉を引用させてもらえば、「ひとつの枝道にずぶりと入ったのだと自覚する様になった」ワケです。
・彼はだから「写真」で食っていくという選択をミゴトに遂行できたという意味でラッキーではあるわな。

・む。はっきりいって話も青臭いし、絵もそういう部類。どれくらいのキャリアの人か知らないんだけど、あまり魅力的とはいえない。しかも、表紙からは判断できないんだよな。だって、絵ねえんだもん。絵がバーンと描いてあったら買ったか微妙だったりして。

・うーん、まあ、読んで損した、買って(1200円)損したとは思いませんでしたが、オススメはムリ。そういう位置付けですね。まして、原作読みたいとも思わないし。だって、おめ、原作者おれと同い年なんだろ?青臭すぎ。(22:22:48)

2002年/10月/11日
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「ヒカルの碁」19巻 ほったゆみ&小畑健(集英社)

・新章スタート。
・みなさん、また一段と大人びた顔つきになって(一部例外あり。越智とか)、熱いセイシュン(囲碁を中心とした)が繰り広げられているワケですね。相変わらずヒカルは時代遅れの(稲川淳二も控えるようになった)メッシュだけど。

・イチバン変化っていうか、驚いたのは、ヒカルと塔矢が妙に仲良く、頻繁に顔を合わせていることですね。ナジミの碁会所で、毎局ごとに喧喧諤諤やってる。
・ヒカルも妙にナマイキなガキになったよなあ。口が悪いというか、フカすというか。

・で、「友情・努力」ときて、ジャンプのお家芸である、「勝利」の布石である、日中韓Jr.団体戦がはじまる。でも、ヒカルのターゲットはあくまで塔矢。なにせ、塔矢はすでに選手として登録されているからね。だから、まず、選手として登録されるべく(同じ土俵に立つため)、勝ちまくろうと意気込んでいるワケだ。

・そして、微妙に佐為の存在を匂わせつつ、イメージとかでも姿を表さない。このじらしテクが、どこで、爆発するんだろ?

・こないだ、アニメ、はじめて見ましたが、佐為の声は違和感あったなあ。(2002/10/11・22:26:46)

「ナッちゃん」7巻 たなかじゅん(集英社)

「やっぱり、今はこれがイチバンだね」と奥さん太鼓判。
・鉄工所マンガですね。死んだ親父の跡をついで、女だてらに鉄工所を切り盛りするナッちゃんの活躍を描く、基本1話完結の鉄工所マンガ。

・7巻はナッちゃんモテモテ地獄が白眉かな。ナッちゃんにホレてる男が猛アタック。まあ、うやむやになるんだけどね。
・「鉄工所」なところは小技が多かったかな。ちょっとした工夫的なところが多かったかな。バーナーのコンパス作ったり、5分でなんとかするとか、そういう時間がないところをちょっとした工夫で切り抜ける的な、タイムリミット付きネタが多かったかな。

・絵的に、なぜか、ナッちゃんの尻がでかくなっているような気がするなあ。後姿でえらい尻が強調されている。それが気になる。というか、だんだん、ナッちゃん、ふっくらしてきているなあ。

・ま、でも、安定安定。

・今日、連載誌である「スーパージャンプ」の「ナッちゃん」のところを熱心に立ち読みしている、ズバリ鉄工所って格好のオッサンがいました。あのオッサンはためになったのだろうか?(2002/10/11・22:40:11)

2002年/10月/7日
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「ラブホルモン」坂井恵理(講談社)

・佳作。
・ラブホルモンとは厚生労働省に認可されたホレ薬。冷え切った夫婦間に効果的で、人口減少阻止のためという理由。そういう世界でのラブコメですわ。
・主人公はモテない高校男児。そこで、モテるために意中の女にラブホルモンを飲まそうと、学校内で売ってる人にコンタクトを取る。しかし、その密売人が意中の女だったりする。しかも、彼女の「本業」はそのラブホルモンを飲んで、「身体」と「心」を売る売春だった。

・ま、その女と高校男児を軸に展開するラブコメ。
・エロあり、「愛ってなに?」あり、そのラブホルモンがらみの展開ありと、この世界内のバリエーション+2人の行方は?と、広がりをみせる。
・ムダやアラもあると思うんだ。でも、引き出し全部ひっくり返して勝負している感が強く、その想いに覆われている。少なくとも伝わるものはあったなと。

・んー、やっぱり、ムダとアラを書いておこうかな。もひとつ踏み込んでないところがあるような気がした。キャラがもうちょっと活きてない。とくにワキキャラが甘い。ラブホルモンの害をルポしているライターと、男の幼馴染(一時恋人関係)の子、あと、主人公の男もイマイチ掘り下げが甘いかもしれないなあ。
・それと、ラブホルモン自体も、もうちょっと、設定を濃くしておくと効果的だったかも。バイアグラ的なノリだったのだろうが、バイアグラを巡る問題があれだけおもしろかったのは、心臓が弱い人には劇薬で死ぬ人がいるかもしれないということっすよ。そういう「なにか」があればよかったかな。新興宗教が使って認可取り消しになりそうって「あ〜あ」なオチが用意されていたけど。ま、そこはメインではないんだろうけどね。

・とそんなこんなのムダ&アラも込みでおもしろかったです。ただ、最大の苦言は、オビの「柴門ふみ先生推薦」とコメントだね。こいつにマンガがわかるとは思えないおれだった。だから、オススメはナシ。(00:12:20)

「賭博破戒録カイジ」7巻 福本伸行(講談社)

・パチンコ編。おれはあれで終りかと思ったら、仕切りなおしがあったんだね。
・1玉4000円の1発台。1発でも入れば7億円。ただ、絶対に勝てない難攻不落のパチンコ台。その名も「沼」。カイジは知り合ったおっさんが磁石でイカサマするが、パチンコ玉が真鍮製というオチで、もろくも玉砕。
・そして、行き詰まった末「閃く」。いつものやつですよ。そして、そのタネを仕込む巻ですね。これが意味ありげなクローズアップとかあったりしてなあ。気になるんですよ。3つの関門をそれぞれクリアしていくんですよ。

・玉砕したおっちゃんがいい緩衝キャラでね。重くなりがちな展開を避けているし、メリハリをつけたりしているんだ。ここいらのじらしテクはもう天才的だね。手品のタネはたいしたことなくても、そこにいたるまでがミゴトなら、それはいい「手品」なんだよ。まさに福本作品、特に「カイジ」はそれ。チンチロリンも、「なんじゃそりゃ!」ってタネだったしね。でも、文句なしのタネに「成った」。

・うむ。多分、本格ネタバラシは9巻くらいになるか。このタネを知るまでは死ねない。そう思わせてくれるわな。(00:27:13)

2002年/10月/5日
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「ワイド版 風雲児たち」6巻 みなもと太郎(リイド社)

・連載中の幕末編がないときはワイド版なんだね。えがったえがった。幕末編はぶっちゃけどうでもいいから、これだけはリイド社つぶれたとしても最後まで出してほしいもんだ。とネガティブ全開なマクラでもうしわけない。

・大河歴史ギャグマンガの復刻版。

・6巻は「解体新書」が世に出て、杉田玄白らが歴史に残る人と確定してからの平賀源内の生涯にスポットを当てている。
・源内の「名誉欲」が出た。だって、その幅広い活躍(いちいち書いていられないくらいボーダイであり、後世の影響という点においてもボーダイ)といい、その際に得た金いい、どこをどうとっても「成功者」だもん。でも、それは源内の望んだ「成功」とはちがうんだな。


・文中によくでる、源内の独白「人のタメになる」。彼は自分のやっていることはタメになると思えなかったんだね。すべて、「遊び」感覚だったんだろうな。
・なんとなく、ビートたけし氏とダブるんだよなあ。お笑いで頂点を迎え、映画監督で名を上げようとしている姿が。ま、規模も幅も源内氏と比べるまでもないが。

・その、悲惨な最期を迎えるまでの生涯はひどくスリリング。これ、映画化できるんじゃねえ?と思えるほど。萩原流行あたり源内役で。

・で、その間に林子平の長崎でのスーパーマンみたいな活躍(もインサート。ついでに対外諸国の動きも。
・ゆっくりとしかし着実に時代が動いていくサマがわかるなあ。

・みなもと版の源内と「東西奇ッ怪紳士録」水木しげる(小学館文庫)での源内との描かれ方の対比がまたおもしろい。
・と、21世紀においてもかようにその偉大なる業績は伝えられているワケだし、源内氏の名コピー「土用の丑」にウナギを食べるというのは、今も有効なんだもん。たいした天才でございますよまったく。

・なぜ、コンビニにおいてあるのそのワケを考えてみよう。オススメ(14:47:42)

「キャラ者2」江口寿史(ぴあ)

・たしか、「1」は双葉社だったよな。「ぴあ」に連載移っての2年分+ちょっとって構成ですか。毎週1pの連載で、いくつ落としたんだろうというツッコミはともかく、このコミック、1pタイトル、1pマンガという「お大尽」仕様。「いい電子/みずしな孝之」の1巻もそうでしたね。キャラ者1巻はどうだっけか?前すぎて忘れた。

・ギャグマンガっすよ。なんだか、原点回帰な。原点=「すすめ!パイレーツ」ですね。ああ、今、ふっと思ったけど、「少年ジャンプ」が海賊マークだからパイレーツだったのかな?とイマサラ思ったりして。「ONE PEACE」とかもそうなんか。

・どうなんだろ?おれはそんなありがたみを感じないタチなんですけど、信者にはたまらないんでしょうか?
・ギャグも絵も現代仕様ではありますが、根底の「パイレーツ」ノリが懐かしかったです。当時、ニューウエーブギャグのジャンルにあったんですが、今になってみると、非常にオーソドックスですよね。

・2pに1pタイトルという御大尽仕様が超マイナスということで。なにも、半分の厚さで半額しろとはいわないけど、これはちょっといかにも損な気がする。だいたいが、これくらい半年で描けるようになれや。さもなくば、イラスト1本に絞れ。(14:59:01)

「りんりんDIY」1巻 大石まさる(少年画報社)

・前作「りんちゃんクッキーのひみつ」の続編。
・鈴ちゃんが主人公の前作にパートナーとして、いとこの花梨ちゃんが加わり、なおかつ中学生になってって感じか。
・前作は鈴ちゃんと父親の2人暮らしだったが、今作では、オヤジが結婚し、子供が生まれたから、ってことで、鈴ちゃんと花梨ちゃんの2人暮らし。で、いろいろ2人でやるぞ!って話なのですね。だから、「りんりんDIY(Do It Yourself)」ってことなのですね。

・といいながら、2人でやってるのは、ザリガニを釣ったり、トンボ捕まえたり、水切りやったり、っておまえら遊んでるだけやん。
・とかいいながら、楽しいんだ。毎日毎日楽しくやっているワケですよ。ちょっと悩んだりするけど、でも、楽しく描かれているのですねえ。多幸感が濃厚に感じ取れます。

・いちおう、白眉は、2人で、ナイショの旅をする話(飯田線の電車の旅)。

・でも、個人的にはラストの女の子4人で駅の立ち食いソバを食う話。ちょっとした冒険になるんだね。中学女子にとって立ち食いソバって。
・って、すでに読了の奥さんに聞いたら「わたしは今でもダメだ」だそうな。

・千葉の市川駅そばに美味い立ち食いソバ屋があってね、そこを思い出しました。

・楽しかったです。ただ、作品としては前作のほうが完成度が高いんだけどね。(22:56:46)

2002年/10月/3日
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「ああ、猛虎軍」2巻 押川雲太朗(双葉社)

・お、なにげに生まれて初めて買ってる野球マンガコミックス。ちょっと前に「アストロ球団」の豪華版 みたいやつは買ったけど、リアルタイムで連載中の野球マンガを買うってのは、もしかして、人生初かも しれない。
・ああいうスポーツマンガってノリがずっといっしょじゃね?しかも、試合に勝ったか負けたしかないわ けだし。だから、途中で虚しくなるんだよね。そういうのを小学生のときにすでに悟っていたイヤなガキ だったんですよ。それなら、生死があるやつ(リアルファイト)のほうがいいかなあって。
・だから、まあ、「ドカベン」は床屋とかで読んだけど、ほかのはないねえ。「キャプテン」も「巨人の 星」も他の水島作品も読んだことない。要はスポ根を避けたマンガライフだったワケです。

・しかるにこれを買っている今のおれってのはどういう心境の変化だろうか?と。ま、答えはないしオチもない前フリなんですが。

・熱狂的な猛虎軍(大阪にあるあの球団がモデル)ファンのおっさん。でも、オーナーの気まぐれでチームは無くなってしまった。なら、作ってやるわと、オーナーに直談判。「ジーズ(東京にあるあの球団がモデル)の2軍と戦って勝ったら復活さしたる」ということで、メンツをかき集めて9人。自分の奥さんや娘、従業員(園芸屋)に、はては、その言い出しっぺのオーナーまでひっぱりこんで、なんとか試合開始ってのが1巻。そして、2巻では、まるまる試合。純粋野球マンガ。

・おれ、猛虎軍のモデル球団については全然わからん。でも、どうやら、登場人物は歴代の名物選手のパロディになっているみたいだな。ジーズの隠し玉に「川江」ってのが出てくるし、主人公の娘の同級生には新庄ってのが出てくる。数合わせと思っていた従業員の吉田ってのは、元カントクだったのがモデルだろ?いしいひさいち氏のマンガでもよく登場する。

・で、試合は一方的に進むかと思いきや、こういう隠し玉(本人も気づかないっていうケースもあり)も含めて、いい勝負で過ぎていく。
・基本はギャグかと思っていたが、なかなかどうして本格的な試合が絶妙な盛り上げで進行している。

・というわけで、純粋野球マンガとしておもしろいのです。(2002/10/03・14:39:24)

「殴るぞ」1巻 吉田戦車(小学館)

・スピリッツにて、久々の4コマ連載。ということで、スピリッツ、吉田戦車、といえば、「伝染るんで す」。この続編っぽい内容になってます。
・これ、不思議なんだけど、元スコラ(現・幻冬舎)で連載していた一連の作品はスコラってイメージだ し、小学館のは小学館って感じなんすよねえ。「戦え!軍人くん」の流れが「スカートさん」で、「伝染 るんです」が「殴るぞ」の流れという感じ。これが、読み比べるとわかるような気がするんですよ。厳密 に比べたワケじゃないんで、「あくまで」なんですが。ついでにいっておくと、「コミックビーム」連載 のは、マガジンハウスや双葉社でやっていた読みきり短編の流れですね。

・いつものとおり、4コマ連載内各キャラ連載というスタイル。

・「伝染るんです」で人気キャラだったカワウソの女性版でメイドの和歌子シリーズ。
・表紙になってる、気遣いをする犬。
・健康にこだわってる赤ちゃん(名前はフィジカル君)。
・作者の分身っぽいオヤジと猫との会話シリーズ(最初はグーって、それでいいのか?って感じ)
・ビンボーそうな父子の会話編。(カップ麺ばかりの食卓に「たまには新鮮なものが食べたいよ」と息子 の訴えで、エスキモーがアザラシの生肉を食べているところに連れて行く父)
・社長とその令嬢の会話編(社長のいったことを変な妄想でふくらませるパターン。「口ずさむ」を口 いっぱいに酢を含んでる(外人の)サムって聞き取るワケですね)

・どこをどうとっても吉田戦車。こないだ、店屋で久しぶりに昔の4コマを見たけど、あのときとはネタ も画風もけっこうちがうんだよね。でも、いつでも吉田戦車っていえるような「独自」をガッチリと固め ているよね。

・ああ、そうそう。ときおりある、「PR」としてのニセの広告、いわば、1コママンガ的なものである が、これが非常におもしろかった。
「フランス革命はもう古い! 革命するならIT革命」とか。
「新小学一年生諸君へ。今こそ「ひらがな」」とか。

・うむ。すばらしいです。吉田は最近ゴブサタだなあってムキに、特に強力にオススメ(2002/10/03・14:01:17)

「人生痛恥グランドクロス」国東利夢(朝日ソノラマ)

・「じんせいいたはじぐらんどくろす」と読む。作者名は「くにさきりむ」と読む。

・タイトルどおりですね。「ほんとにあった笑っちゃう話」という竹書房からでている似たようなやつの 便乗誌にて連載中。すなわち、読者投稿により、痛い目にあったり、恥ずかしい目にあったのをマンガ化 してるというものです。

・店でバイトしていたら、道を聞かれたので、外に出て説明しようとしたら自動ドアの上で自動ドアに チョップされたとか。
・カレと海に行ったとき、後姿をみて、カレかと思い、冗談で海パンを下ろしたら全然知らない人だった り。
・バーゲンで我を忘れて品物を獲るのに夢中になっていたらニュースで流れていたとか。
・着替えのない海で泳ごうって話で、前もって水着つけてきてよかったってんで、海に行ったら、上を付 け忘れていたとか。

・おれが個人的におかしかったのは、河原の道で渋滞。今のうちに運転を交代しようとドアを開けたら、 脇を抜けようとした自転車にドアが直撃で、河原の土手の下までまっさかさま。あわてて助けようとし て、自分も土手をすべってまっさかさま。で、渋滞。大恥ってネタがよかった。

・本書で特筆すべき点は、これ、おれが記憶している限り、奥さんが最高に笑ったマンガってことだな。 これほどゲラゲラ笑ってたのをマンガでもテレビでも映画でも、いわゆるメディアではみたことない。っ ていうか、マンガ読んでこれだけ大ヒットしてる人を見ること自体久しぶり。

・いや、まあ、奥さん「さんまのからくりテレビ」の素人投稿ビデオがイチバン笑えるようなセンスの方 なんで、その流れだなあってよくわかるんですが、田島みるく氏の元祖のアレよりもヒット率が高かっ た。

・ちなみに野グソ目撃ネタ2連発でありましたが、おれ、朝方、新宿の地下道でホームレスが衆人環視の 中、しかも、トイレの前の柱でウンコしてるのをみたことあります。厳密には野グソじゃないんですが、 トイレでしろよ!と思いました。

・ん、まあ、だから、「さんまのからくりテレビ」とか「NG大賞」みたいのがヒットする人にはかなりイ ケるんじゃないかなあって。(2002/10/03・13:39:25)


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