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ポトチャリポラパ/コミック/2003年
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2003年/6月
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2003年/6月/28日
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「赤い文化住宅の初子」松田洋子(太田出版)

・松田洋子氏のマジ系のドラママンガですね。「薫の秘話」なギャグじゃなし、「人生カチカチ山」なエッセイコミックでない感じ。

・だから、最初はちょっと戸惑ったのですよ。「オチは?」って感じだったり、「松田氏、ニヤニヤしながら描いてるんだろうなあ」って。
・でも、物語自体の引力の強さに負けるんですよね。

・強烈に負のドラマなんですね。広島を舞台とした、純度100%の広島弁で展開。
・兄妹で暮らしている。母親が亡くなり、兄は高校を中退して働いている。妹は中3、好き合ってる同級生がいっしょの高校に行こうって受験勉強してるが、「おれが高校中退で働いてるのに、おまえは高校に行きたいだあ?」と、ひねくれてる兄。出会い系に登録しまくってる色ボケの担任と、不幸でやりきれないNO WAY OUTな青春物語なんですよ。

・それと、「イブニング」の前身である「モーニング マグナム増刊」で1月おきに連載していた、同じく、NO WAY OUTの工場青年青春物語「PAINT IT BLUE」がカップリング。

・なるほど、広島ってのはやりきれないところなんだなあ(ちがうって!)。

・こう、松田氏のマンガに登場するのは、頭がいいキャラが多い。エッセイマンガなどを読む限り、作者が色濃く反映されてる感じだ。
・頭がいいキャラなので、自分の現状、将来が絶望的ということがわかってる。そして、あきらめてる。どうしようもないなあ、だれか助けてほしいなあ、と泣いてもだれもこないってことがわかってるから、泣かないんだなあ。「やっちもなあわ」(広島の人、読んだ人ならどういう意味かわかるでしょ)と軽く笑うのですね。

・これが、たとえば、西原氏なんかのビンボーマンガ(「ぼくんち」とか)は、行き止まりのようで、あまり考えてなさそうな「底抜け」(いい意味でも悪い意味でも)キャラが読者にとって「救い」だったりします。
・たとえば、つげ義春氏のビンボーの場合、枯れてる、乾いてる感じが、救いになったりもします。
・でも、本作は、そういうのもないんです。

「赤い〜」は最後、蒸発していた父親が現れるも、兄にトドメをさされて、焼身自殺します。「PAINT〜」は、「なにも考えずに仕事するんじゃ」とシゴトしようとした矢先、プレス機に指をはさまれます。

・読むと、まあ、多少個人差があると思うけど、イヤな気分になることウケアイです。それはあるいは「感動」といってもいいかもしれません。自分の感覚が動かされるワケですし。

・そう、それでも、「赤い〜」のラストシーンの初子のモノローグはかなり動揺するんですね。

・まー、なに思ってこれを描いたのか松田氏に聞きたいところです。
(23:14:48)

「酒のほそ道」13巻 ラズウェル細木(日本文芸社)

・なるほど、これも、アレなんだね、一種のユートピアものではあるんだね。

・美味いツマミで酒を飲むことにこだわってるサラリーマンの酒飲み歳時記です。

・酒のブランドにこだわるでなし、グルメを追及するでなし。「美味いツマミ」ってのは食べ物に限ってないんですね。たとえば、「春はあけぼの」を追及するために、午前4時に花見会場に行く。そして、明け行く桜を愛でながら酒を飲む。

・で、13巻のメインは、でも、三大珍味ですね。ウニ、このわた、からすみね。これが、美味そうなんだわ。

・そういうのに、ココロを奪われて喜怒哀楽を感じる。幸せな世界だと思いますよ。だから、下戸のおれにも心地いいんじゃないかなと思うのです。
(23:28:02)

2003年/6月/27日
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「最期の食卓」鈴木あつむ(実業之日本社)

・ホスピスを舞台として、患者に「最期」に食べたいものを作る、そこでおこる感動ドラマというオムニバス。
・作者は「モーニング」で「検察官キソガワ」を連載していた実力派でございますよ。

・前後編完結で全5話。これがどれもこれもよくできてるんですよ。

・奥さんがあれやこれや「ガンに効く」という怪しげな薬や食べ物をもってきては食べさせる。

・大金持ちだった男、会社もつぶれ、自分はガンで余命わずか。先に逝った家族たちの顔が出てこない。あの世で家族に会ってもわからない。だから、家族を思い出す料理を作れ。

・ロシアと日本のハーフ。料理名は決めない。そっちで決めてくれ。日本人として死にたいか、ロシア人として死にたいかわからないから。

・病院の前理事長。いつも、最期の料理を作ってる医者を医者に引き込んだ張本人。その理事長に最期の料理をふるまう医者(ちなみに、名前は永嶋茂雄)の思惑とは?

・ずっと見栄を張って生きていた男が、もう見栄を張らなくてもいいとわかったときに食べたかったものとは?

・で、全5話。最初のエピソードが個人的に痛い。母親がガンで逝ったときもまさにこんな感じだったから。不味いからイヤといってるのに、アガリスクやらなんやら無理やり飲ませていたもんなあ。

・奥さんは「2回読んでしまった」とかいってたくらい、マンガとしての完成度は高い。普通にいいマンガを読みたいムキにはオススメ
(22:25:16)

「鉄人」3巻 矢作俊彦&落合尚之(小学館)

・いやあ、王道だなあ。本当に矢作原作なのか?と思うくらい。3巻になっても安定度は抜群ですね。
・基本エンターテインメント、随所にみられるコダワリ、あくまで、地つづきの展開。血の通ったキャラ。それでいて、スカし技やハズシ技がないんだなあ。

・これ、3巻の帯、安彦良和氏が非常にうまいこと書いてる。
「落合さんの実直な絵」

・そうだよ、落合尚之氏の資質は「実直」なんだよ。まさにピッタリだ。3巻で目立つのは、ちょっとしたギャグ表現ですね。SDキャラになったりとか、くだけた絵が見受けられる。それでも、話を脱線させるでなし、必要最小限にして、効果的な使用。こういうところからも、実直ってのがよくわかるね。けっこうカワイイしね。

・で、話としては、鉄人を守り、生きていく決心がついた主人公、それに強力してくれた友と、ラストの展開がかなりいい感じでしたね。

・この直球はマンガ読みとして、しっかり受け止めなければって気分になります。

オススメ
(22:47:56)

「マル秘 女捜査官 凍子」3巻 阿宮美亜&天沢彰(芳文社)

・なうての美人プロファイラー凍子のアナーキーな活躍をタンノウできる、読むVシネマも3巻になってますます好調。このままじゃ、阿宮美亜氏の代表作になってしまうではないか? 本当にVシネマ化も動いてそうだし。

・クール&ビューティーだった凍子さん、意外と熱血漢だった3巻って感じがしますねえ。

・安さが魅力のマンガなんで、展開が安易とか、ありきたりとか、キャラが薄っぺらいとか、絵がときおり雑とかってのは、見当違いですよ。そういうのも飲み込んで楽しむ度量を試されるマンガとはいえそうですね。
・ま、そういう「トンデモ」なところにツッコミいれまくって読むもよし、ただ、ボケーっと読むもよし。

・今回はさらに話がつづかなくなり、読みきり度(もう、いっそ、読み捨て度といってもいいかも)わかりやすくなりましたね。
・最後のエピソードに出てきた中国人の殺し屋の話といったらああた。

・ま、そういうことで、この反発で、阿宮美亜氏、どこかで、ボンノウ爆発させたエロマンガを描いてそうですねえ。それも読みたいなと思ったり。今ならものすごいの描きそうな予感がします。
(23:00:47)

「これが私の御主人様」1巻 まっつー&椿あす(スクウエアエニックス)

・えーと、購入の決め手になったのは、表紙の3人のメイドさんの真ん中の女の子のオッパイの丸さですね。

・親が死んで遺産ひとりじめになった、性格の悪い中学生が、行く当てのない、中学生姉妹をメイドとして雇うことになりました。そこで繰り広げられるコメディですね。

・少年誌ということで、寸止めのモヤモヤとしたエロを楽しむのが、おれ流。

・発育のいい姉(表紙のおっぱいも姉のもの)と、幼児体型を残している妹、あとで、もう1人参加して、なんだか、うらやましい環境になりそうですけど、毎回ドタバタするという感じで、あまり、エロエロにならないんです。まあ、少年誌ですし。

・これは、原作必要なのか?と思いますが、どうも夫婦、もしくは、それに近しい感じの間柄みたいですね。男が原作、女が作画って感じですね。

・まあ、これで2回目ですが、丸いオッパイ画がいいですね。うん、若い若いって感じでね。

・というか、そういうこと以外に語ることねえんだな。話なんてみるべきところないしねえ。ムリヤリドタバタにしてる感がややシラケるくらいで。まあ、「お膳立て」としての話とみればいいのか。

・まあ、こういうムズムズモヤモヤするマンガは、あと「すぱすぱ」くらいしかないし、2巻でたらまた買おうかなとは思いましたよ。
(23:20:19)

「ハニークレイマイハニー」おがきちか(少年画報社)

・第一作品集ですね。
・「エビアンワンダー」買おうと思って、探してたらあったので買いました。

・と、これがおもしろかったのですよ。

・考古学者の三十路過ぎのやもめ男がふとみつけた埴輪が16歳の少女になった表題作「ハニークレイマイハニー」。

・年に一度サンタクロースと闘う女子高生「仔羊は迷わない」

・忘れられない夢のある少女と眠れない男が出会ったものとは?の「スーパーウール100%」

・ケンカした恋人同士、男は彼女の信用を得るために賭けをした「エアー・マイラブ」

・ってなラインナップですね。いや、ライトなラブコメ路線だったんですね。それで人気を得てから、自分のやりたいコトやったって感じなんですかね。
・で、内容がまたしっかりしてるんだわ。ほどよくエロなところを織り交ぜつつも、抜群にテンポよく話が展開していく。

・いやー、絵も含め、スピード感がありますね。「仔羊は迷わない」のアクションシーンとか、「エアー・マイラブ」のクライマックスシーンとか。

・人気でるわけだわ。なんか、いろいろな点でナットクがいきました。

オススメ
(00:05:57)

2003年/6月/23日
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「金色のガッシュ!!」11巻 雷句誠(小学館)

・好調ですねの11巻。アニメは上のガキも楽しみにしてます。富山県は土曜の朝にやっているんですよ。そのために早起きしてみてます。おれは早起きできないのでみたことないんですけどね。

・で、11巻なんですが、やはりノっているのか読んでいて非常に楽しい。とくに当初、なんだそれ?と思っていたギャグ方面がすばらしい。ま、もしかして、人気があるから「ゲッツ!」が笑えるのと同じ理屈なのかもしれませんが。
・でも、ギャグからシリアス。シリアスからギャグへの移行がスムーズになったのはまちがいがないところです。これまでのように今回はギャグ。次はシリアスって感じはなくなってます。戦いにギャグがあり、ギャグの中にシリアスがあったりして、ちゃんと混ざってます。
・たぶん、雷句氏は当初からその線を狙っていたんだと思いますが、それが11巻にして実を結んだのでしょうかね。
・その11巻は大筋の話が動いてます。なるほど、絶対的な巨悪ってのは必要ですよね。それらしき人物が見え隠れしはじめましたし、ちょっとオキテ破りのニオイもします。そこいらは12巻以降ハッキリしそうですね。キャンチョメでページを取られなかったら12巻でわかりそうです。

・そいで、当初から出ててお見限りだったキャラも再登場したりな。ブラゴってのか。

・うーん、もしかしてピーク期に入ってるか?
(15:35:37)

「がんばれ酢めし疑獄!!」4巻 施川ユウキ(秋田書店)

・4コママンガ4巻目と。
・「かわいい」路線に磨きがかかった印象。というか、逆にかわいくないキャラをどんどん省いていってるような感じ。

・今回登場キャラでおもしろかったのは、
・聞かれたことに答えようと焦るためにトンチンカンなことをいうシヲリ(女学生)
・人間臭い飼い犬ジョン
・老いぼれネコのB
あたりか。表紙がのん子ちゃんだし、みっこちゃんもいるしと、かわいいキャラは引き続いてますね。非かわいいのレギュラーキャラは格闘家の師匠と弟子編くらいか。

・今巻から、書き下ろしの文字コラムも「売り」になったなあ。なにげに「オチ」のないあとがきが名文だったり。

・相変わらず動きのない、独特のテンポで動いていきますね。こっちのほうもなれてしまったかな。
・このカワイイ路線は正解だと思いますよ。
(17:15:26)

「樹海少年Zoo1」8巻 ピエール瀧&漫$画太郎(秋田書店)

・なんだかわからんけど、漫$画太郎作品史上最長連載になってますね。次で終わるそうですが。

・これがちゃんとストーリーしてるんですよ。やっと、ピエール瀧氏が働いているって感じ。しかも、ちゃんとタイトルが関係あったりするから驚きです。最初からの設定だったのか?

・ピンチだった7巻から辛くも脱出した、獣一とパンチ。警察に逃げ込んだと思ったが、警察はもう敵の手におちていた。さらに絶体絶命だった獣一とパンチを救ったのは?

・って、なんつーか、テキトーに書いていたと思った話がすべてつながっている。それに驚くワケなんですよ。
・ということで、9巻はどうなるか想像もつかなくなったんですよ。最後ってことで、またムチャクチャやるか、それとも「ちゃんと」終わらせるか?
・そして、おそろしいことにもうひとつの選択肢があるんですよ。「終わらない」って。だって、1回「完」って出たんですよこのマンガ。それなのに、次の巻では「それはなかったことにしてください」で、またつづくんですからねえ。それがまたあるかもしれないし(さすがにねえだろうけどさ)。

・そういうことで9巻楽しみです。
(17:39:29)

2003年/6月/21日
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「鋼鉄の少女」1巻 しけたみがの&手塚一佳(角川書店)

・1巻を本屋でみかけたときから、妙にひっかかるものがあったのですが、こないだ、1,2巻とそろっていたので決めてみました。

・架空の世界の戦争マンガです。敵は「連合」。そして、「王国」の中のうら若き女性だけで結成されている(人手不足だから)、戦車隊。その戦車隊の物語です。
・女性も女性っぽくはありますが、エルフのような耳と、あきらかに地球の女性とはちがいますし、おれは全然わからないんですが、異様に力が入ってる戦車の設定やらも架空のソレなんでしょうね。

・あっさりしているようで緻密な描写、けっこう濃い目の設定。メインのキャラも立ってるしね。

・そして、非常に濃いミリタリーな描写。1巻では、爆撃を受けて、足が吹き飛ぶ少女ってなショック映像がありますね。そこいらのサジ加減も含めて、読ませますよ。
(16:33:56)

「鋼鉄の少女」2巻 しけたみがの&手塚一佳(角川書店)

・2巻では、ドタバタアクションの4章のあと、重くて暗いメインがはじまります。そうか、戦場を舞台の「ジオブリーダーズ」かもしれない。ただし、神楽の面々もかなり痛い目に遭う。

・ショッキング映像は捕虜として捕まった王国の兵隊さんの集団レイプシーンですかね。戦場といえばつきものの場面ですが、戦ってるのが女性ですから、それはよりダイレクトってことになりますね。

・で、メインキャラが敵に捕虜として捕まり、2巻本編は幕。つづく皮肉なオチの外伝と。かなり残酷になってきました。
・それは描写でもそうですが、ストーリーでもそうだったりします。かなり残酷な展開になりつつありますね。これは、サワヤカにハッピーエンドってワケにはいきません。さあ、どうなるのでしょう。

・まー、1-2巻と読んで、微妙なアクがありますね。これはミリタリーバリバリな人にはどのように映っているのか興味がありますね。
・絵がいろいろな意味で評価を決めるんでしょうねえ。やっぱり、どうも「軽く」感じるんですよ。それに加えて、架空の物語ってあたり、戦争のパロディ的なニュアンスがちょっと感じられたりする。たぶん、原作の人は、めちゃくちゃミリタリーに詳しいと思うのですよ。こういう人の知識は、ほとんど底なし沼ですからね。それにくわえて思い切りのいい、ドラマティックな展開。それなのに、あっさりした絵(いや、よくみるとそういうことはないんですけどさ)。そこに少なからずギャップがあるんですよ。そこを読者がどう埋めるかってのが本作の評価にもつながるんじゃないかなと。
・おれは前記のとおりやや「軽く」感じるのです。
(16:45:39)

「ホーリーブラウニー」2巻 六道神士(少年画報社)

・まー、ギャグマンガですよね。
・まー、六道氏って全作品知ってるワケじゃないけど、どうも、平成のあろひろしって感じしね? オタク好みのギャグマンガ家っていうかね。

・神の使者である2人が困ってる人を助けようとしてワヤになるお話だと思って読みました。2巻ラストにその裏の設定を思わせる話がありましたが、まあ、あまり考えなくてもいっかなーって。昨今、つじつまのあった、舞台設定やサマザマな考証なんて意味ねえよ。作者や一部読者の自己満足なだけだ。とはいえ、その一部読者が落とす金で十分食っていける世の中でそれはバカにしたものではないんだけどね。

・と、その舞台設定を「なんでもあり」の童話の世界にもっていったのはグーでしたねえ。「安易」とかいわれそうだけど、そういうこというやつほど「安易」な世界にずぶずぶに浸っているんですよねえ。剣と魔法の世界とかねー。
「浦島太郎」とかー、「ヘンゼルとグレーテル」とか、2巻では登場しますよ。なかなかの悪意っぷりがいいねえ。
・でも、今回は1倍最初の兵器開発者を助けるネタがバカバカしさでは最強でしたね。

・しかし、どうしてこうも、六道氏の描くヌレ場ってのはエロくないんだろうね。ここまできたら一種の才能だね。2巻もいろいろとそういうシーンがあったんですけど、サッパリですよ。

・より、ギャグ度やスチャラカ度がアップした2巻でしたね。楽しく読むことができました。
(17:24:19)

2003年/6月/19日
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「ヴァイスの空」あさりよしとお&カサハラテツロー(学研)

・学研の「4年の科学」に連載していたのですね。それで、この組み合わせなのか。ほら、あさり氏ったら、「まんがサイエンス」ってライフワークを「科学」に連載中じゃないですか。

・そのあさり氏が原作で、「空想科学エジソン」のカサハラ氏とタッグを組んで、かなりスケールの大きいSFをやらかしたのが本作なんですよ。考えてみれば、4年生、幸せだよなあ。

・ヴァイスは本物の空が見たい少年。学校をサボり、警察(ポリツァイ←まー、ロボットですか)をかわし、建物の壁を登ったり、地下に1人で住んでいる親友のネロといろいろと策を練ったりしている。
・ある日、謎のリフトをみつけたネロ。取っ手もスイッチもカギ穴もない扉。そして、そこが静かに開く。
・そして、はじまる大冒険と。

・これが、きっちりしたSF活劇なんですよ。ありがちなファンタジー要素は皆無。まー、原作があさり氏だしね。
・ここいらで世代がありますよね。「RPG」以前、以後っていうかね。ファイナルファンタジーみたいに、SFっぽいけど、魔法があるってんじゃないんだな。魔法の代わりにあるのが「科学」(まー、その延長上に超生命の不思議な力とか、超能力とか、きわめて魔法に近い要素はあるけどさー)なんだよ。ここいらはカサハラ氏もそうなんだろうねえ。

・まー、「未来少年コナン」と「天空の城ラピュタ」っぽいと思っていただけると、まあ、まちがいはないかもです。

・これが、マジで先が読めない、ジェットコースター的なところあります。いや、ほんとほんと。

・SFモノにはありがちなところあるかもしれませんが、ときおり、「お!」ってヴィジュアルがありますよ。

・あ、イマサラですがなぜ左開きかって謎がとけました。「科学」だからですね。はは。

オススメ
(22:38:58)

「おとぎのまちのれな」3巻 はっとりみつる(講談社)

・あらま、れなさんヤっちゃったよ。
・相変わらずエッチで飛ばしてます。

・話も相変わらずに意味ありげに進行しますが、実は、それがたいして意味もねえんじゃないかって思うところがはっとりマジックなんですかね。

・あとがきにもありましたけど、非CGのペン画描き下ろしが味だよねえ。こっちのほうがよかったりしてねえ。ここいら、案外と重要なことかもしれませんね。CGで、いろいろな表現法を手に入れました。画質自体も非常に向上しました。でも、そのかわり、なにかがなくなったような。この「なにか」は言葉にするとクサイものかもしれませんけどさ。

・で、イチバン、アレなのは、エロがCGによってソフィステッドケイテドされるんじゃないかなあと。
(23:11:36)

2003年/6月/17日
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「甘い水」下巻 松本剛(講談社)

・延期、延期でしたが、終わりましたねえ。意外に中巻とかでるのかしら?と思ったりしたのだけど、ちゃんと終わりました。

・これ、終わって、カップリングの短編「二十歳の水母」読んで、気づきましたね。実は恋愛物語じゃないんだな。父娘の物語だったんじゃないかと。いや、自信ないんだけど。

・好きな女の子がいました。女の子も男が好きです。でも、女の子は父親に強要されて売春をしてました。男は知ってしまいました。それが上巻までのあらすじです。

・そして下巻。実は、そうたいしたことにはならない。ハッピーとか、アンハッピーとかじゃなくて、「終わる」感じ。そういった意味じゃ、現実に即してるよね。なかなかハッピーエンドとかアンハッピーエンドってねえよね。

・でも、ラストシーンの美しさはちょっと類をみないものだったりしますね。ものすごいたくさんの 意味が広がります。そして、その「意味」のひとつひとつが美しいんですよね。伊達に表紙にもなってないっちゅーねん。
・まあ、あまり、こういう意味と、ああいう意味とって書くと崩れ去りそうなはかない種のものだし、読んだ人それぞれにちがうものもあるでしょう。
・んー?このラストシーンから物語を逆算したのかしらね? じゃないと、タイトルにならないしなあ。

・まー、そういうわけで、「おれには」すがすがしく読み終えることができた。

・そして、カップリングの短編「二十歳の水母」。これが、また、絶妙なんですよ。まさにカップリングというにふさわしい。
・アンチ物語な話なんですよね。日本画家の父親が娘をモデルに絵を書き続けているという話であるんだけどさ。これが、また、「甘い水」から、うまく余韻を抑えつつ、さらにさわやかな感動とともに幕を引かせるという意味で、最高のストッパーになっているんですよね。

・これからは「家族だ」とかいって、「ホーホケキョ となりの山田くん」を作ってジブリは大コケしたじゃないですか? これをジブリの劇場アニメ化するべきじゃないですかね? というか、コレ自体、ジブリっぽい感じがあったんですけどねえ?

・通して読んだほうがおもしろいと思います。おれも、今度、通して読みたいものだ。

「これ、こんな高くて(1200円・税別)大丈夫なの? 売れるの?」

・ナジミの本屋のオバチャンはいってました。大丈夫です。売れるかどうか知りませんが、1200円の価値はあります。

オススメ
(23:16:23)

2003年/6月/14日
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「すぱすぱ」1巻 三宅大志(角川書店)

・悪霊に憑かれやすい性格の主人公(高校生)。そこに、許婚という少女が現れる。で、あと、どたばたラブコメ。

・少女は主人公と同い年なんだけど、悪霊に魂を傷つけて成長が止まってしまってる。だけど、主人公とキスすることで一時的にモトの姿に戻れるという寸法だ。で、職業は悪霊狩りだったりする。

・あと、同級生で想いを寄せている子あり、その同級生にホレてる子(プラトニックレズです)ありで、ちょいとエッチな要素も入りつつ、ほわわんと展開していくのですよ。

・これ、最大の謎が版型だったりする。ブックオフでいうところの「特大」サイズ。4コマのコミックサイズ。「あずまんが大王」とかといっしょ。でも、内容はごく普通のラブコメ。
・こう、全体的な傾向かもしれないけど、最近はコミックのサイズに節操がない気がする。別にそんなものに決まりはないんだけど、やっぱ、このサイズで厚さだったら、4コママンガのほうがしっくりくるような気がする。だいたいが、薄いんだから損だよ。
・同じ角川書店で比較するなら、通常の青年コミックサイズの「鋼鉄の少女たち」が約200pなのに対して、本作は130p弱。それなのに、値段が鋼鉄〜のほうが安いんだもん。

・で、つまんないのかというとそんなことはないからまたタチが悪いんだな。

・17歳になれば超巨乳になるし、小さいときはつるぺたとあざといくらいわかりやすい狙いの主人公・鈴に、「エロキャラ」として、いろいろと大変な目に遭う春奈ほかと、キャラもうまく動いている。本作、悪霊退治はいまのところ刺身のツマ扱いってのも思い切りがいい。まー、おれなんかにゃ、そもそもそんな設定必要なのか?と思いますが、この手の作家や、それを好む読者は、「退魔」ものが3度のメシより好きですからね。いつか、番外編扱いでちょいとシリアス風味でそういうのをやるかもしれないなあ。まあ、そういうのやりながら本格的にそういうマンガになってしまった例も過去死ぬほどありますしねえ。
・ただ、そうなったらおれはおもしろくないなあとは思う。

・高くてデカイのだけ納得いかない。
(16:20:37)

「並木橋通りアオバ自転車店」8巻 宮尾岳(少年画報社)

・安定してるなあ。自転車のあるヒューマンドラマですね。
・8巻は連作キャラ(以前も登場したり、シリーズ的に何回も登場しているキャラ)がけっこう多かったですね。というか、ほぼ一通りかね?

・小さいけれど死んだ母親のかわりに家計を捻出したり、家事一切とりしきってるナツキ編。

・本作随一の巨乳・チヅルさんとそれにホレてるダメ学生のちっとも進展しないラブコメ編。

・本作の皆勤賞であるアオバ自転車店の看板娘・アオバの女子中学生にタイムスリップした編。

・お嬢さんだけど、サバサバした性格で、猪突猛進型の同級生の男と毎日坂道でレースをしているナギサ編。

・自転車に乗ってる探偵黒井編。

・恒例の単行本ラストナンバーはアオバ自転車店物語。

・でも、おれ的にベストはそういう準レギュラーがない話。「ハコイリ娘とカタブツ親父」かな。
・22歳の娘の門限を8時に設定するような親父。娘はこっそり付き合ってる彼氏とデートもできないと嘆く。そこで、彼氏が編み出した妙案は? と、この関西弁の彼氏がすげえカッコいいんだ。

・と、正直に書きますと、上記の魅力的な女性陣はすべて、「いねーよイマドキ」ってタイプばかりです。そういった意味じゃ、耳の先が尖ってたり、猫耳があるのとたいして変わりません。まー、作者、オッサンだろうしね。たぶんに、男もそういうところあります。
・これはそして、マンガの中のオールドタイプなんですね。現実に存在したことがないような気がしますが、マンガじゃ何回も登場しているタイプが多いです。
・重要なのは、それが欠点じゃないんですね。魅力なんです。

・マンガに刺激を求めたり、ほか、いろいろ求める種には受け入れにくいところがあるかもしれません。おれも、10年前に読んだら(10年前にあってもおかしくないですよ)「ふーん」程度で終わらせたと思うのですよ。

・でも、昨今はマンガにいろいろなものを求めるようになりましたものでねえ。
・本作もたいそう楽しめたのですよ。ただ、ここしばらく毎巻いってますが、変わり自転車編が読みたいなあと。巻末の9巻予告じゃそれが期待できそうな感じでしたから9巻楽しみにしてます。
(16:47:23)

「りんりんD.I.Y」2巻 大石まさる(少年画報社)

・「すぱすぱ」は高いと思ったけど、本作は「すぱすぱ」と同サイズであり、さらにオール2色でありながら、価格は「すぱすぱ」より安いという超お値打ち品。

・今回はなんつーか、やりたいようにやった度がさらにUPした感じ。
・中学生の2人が遊んでばかりいるという話ですね。主人公のりんと、従兄弟で同居してるかりんの2人が、押し花のしおりを作ったり、ペットボトルで魚を捕まえる網を作ったり、ジャムの空き瓶で筆箱を作ったりとかいろいろやっていて、お子様でも十分楽しめるスンポウになってます。実際、小3のガキは、たいそう楽しんで読んでました。

・で、もうちょっと大きいボクたち向けには、新キャラの委員長がすばらしくイイ!とおれは強くいっておきたいのです。つきあうなら、元気なかりん、清楚なりん、ロリのともちゃん、スポーツ少女で芯が強そうな舞もいいけど、マジメでカタブツで純な委員長ですよ! と、作者も思っているらしく、元気なかりんと同じクラスでなにかととばっちりを食らう委員長のコンビで話をすすめることが多い感じです。修学旅行編なんぞはサイコーでしたね。

・大石氏の絵は、本当に、イキイキと楽しそうにしてる感じがして、眺めているだけで幸せになれますねえと、陳腐ですが。

・さて、3巻で終わるそうで、来月も読めるので幸せな反面、さびしかったり。

オススメ

(17:01:54)

「電脳炎」4巻 唐沢なをき(小学館)

・4巻からはハイブリッド版になったのです。これまでは、「ウイン版」と「マック版」と、巻末の川崎ぶら氏の解説と、唐沢氏の4コマだけがちょっとちがうだけの本を2冊出すというお大尽仕様だったのですが、唐沢氏のサイトだっけかで、「マック版が実際のマックと同じくらいのシェアになったので出すのを止めた」みたいなことを読んだ記憶があります。で、ハイブリッド版と。

・相変わらずのPCがらみ4コマです。唐沢氏は、もう「型」を確立されてますから、非常に安定してます。

・キャラもだいぶ固定されて、それのローテーションといったオモムキですね。
・4巻では表紙にもなっている、パソコン・ハイテク音痴の課長さんがやっぱり主人公なんですかね?よく登場してました。あと、新登場の課長の娘はかわいいなと思いました。

・今、なにげにフッと思いましたが、「電脳なをさん」で絞るだけ絞ったあとのもので作ったのが本作ではないかと。
・おからと豆乳みたいな感じで。「電脳なおさん」は「コッテリ」で「電脳炎」は「サッパリ」かな。

・あと、あまりカンケイないけど、つくづく、4コマコミックを新書サイズで出した人は天才ですよね。たぶん、双葉社の「ドーナッツブック/いしいひさいち」か、チャンネルゼロのどっちかが創始者だと思うのだけど。あ、本書も新書版ね。
(17:25:14)

2003年/6月/10日
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「ピューと吹く!ジャガー」5巻 うすた京介(集英社)

・なんだか、5巻目にして、安定してきましたね。4巻では冒険してたとかあったけど、5巻はその延長線上にいて、すべてが、「うすた京介」でできることってシバリを自ら課してそれにそって展開していった感じ。おおげさですね。

・たとえば、ギャグマンガ家を長くやるとすると、必ず、「型」が出来上がる。たとえば、赤塚不二夫、吾妻ひでお、吉田戦車などと聞くと、なにを思い浮かべるかというと、具体的なギャグじゃなく、キャラクターじゃなく、なんとなく、彼らの芸風というか、「型」を思い浮かべないか? まあ、お笑い芸人でいうともっとわかりやすいんだけどね。ダンディ坂野といえば、「ゲッツ」。その後、思い浮かべるのは、彼の珍妙な動きや、いつまでも慣れてないしゃべりとかじゃないか。

・小池一夫氏の劇画村塾では、キャラクターの作り方をレクチャーするんですけど、結局のところ、ギャグマンガ家はそのキャラクターがマンガ家自身になるってことはあることでさ、上記のマンガ家のマンガでの分身ってのは思い浮かべるのが容易でしょ?

・ま、それはともかく。なんつーか、本作は、ガツガツしてないというか、自分のひきだしで間に合わせている感がある。それは一見マイナスにみえそうだけど、ムリしてて笑えないシロモノ(意外に多い)なんかよりは全然マシじゃん。

・あと、また、絵がうまくなりましたよね。登場人物の1人にネットアイドルがいるんだけど、草原で戯れるってシチュエーションをセルフポートレイトしてるときの、不自然な笑顔描写がとてもすてき。

課題:セルフポートレイトしようとして、逆に不自然な笑顔になったネットアイドル。

・↑の答えが5巻にはあります。

・あと、ツボったところはなんといってもハマーがらみですね。ついにメジャーデビューですけど、その前段階の、落ち込んでいるハマーにあんまりななぐさめをするジャガーってシーンでかなり笑わせていただきました。それは、2日くらい後をひきました。こんな笑いを反芻できたのは何年ぶりだろう?

・ジャガーのお父さんもよかったですね。

・で、5巻の弱点はおまけの超くだらない(悪い意味で)マンガだけかな。

・いや、うすた京介最高傑作じゃね?

オススメ
(14:54:05)

「ヒカルの碁」22巻 ほったゆみ&小畑健(集英社)

・いよいよ、中国x韓国x日本の囲碁カップがはじまりました。とはいえ、案外と、中国はかませ犬的な割り切り方。しかも、ヒカル負けてるし。でも、ここいらの人をじっくり描くのは、ほったゆみ原作らしいところではありますね。非常に丁寧に「人」を作り上げている。

・どこぞで読んだか忘れましたが、原作のほったゆみ氏はもともと4コママンガ家としてデビューしているんですよね。そこいらがスムーズな原因なのかもしれませんねえ。

・ということで、次巻は囲碁カップクライマックスというところですね。
(18:12:09)

「HUNTERxHUNTER」17巻 富樫義博(集英社)

・長いかと思ったG・I編を急速にカタつけにきている。

・ドッチボール対決が終わり、テロリストみたいなやつとの勝負がはじまっている。ちょっと複雑になっているなあと思う。ただでさえ、通常のジャンプコミックより刊行ペースが遅めですし、前の話もところどころ忘れがち。

・でも、ドッチボール対決も、その後の戦いも、ミゴトだった。いわば、きっちりゲームを作り上げて、その上で、ゲーム自体を破綻させかねない裏技まで仕込んでるんだからねえ。まあ、ゲームがあってそれに破綻があるってのは、物語のお約束でもあるんだけどね。

・で、アレか? 結局、主人公が父親と出会ったら終了ってことなのかね?
(18:29:52)

「狂四郎2030」16巻 徳弘正也(集英社)

・うっ。予想外の展開。出会ってしまったよ。狂四郎とユリカが。出会うことをラストへのクライマックスにするのかと思っていたおれとしては、かなり衝撃的であったな。
・そして、囚われの身のまま地下深くに沈んでしまう狂四郎。以前の狂四郎を知っているという「協力者」の言葉に惑わされているユリカ。

・たぶん、この後の展開はないと思う。真剣にクライマックスに突き進んでいるのはまちがいないと思う。だから、ラストもおれのケチな考えを覆すようなすごいものを期待したいところです。
(18:40:03)

「MOONLIGHT MILE」6巻 太田垣康男(小学館)

・こんなイナカの小さな本屋にもたくさん仕入れてくるくらい売れ線なのでしょうか。
・まー、とにかくおもしろいのはまちがいないですね。

・宇宙飛行士。月に住居を作り、新エネルギーのためのプラントを建築中。そこで身内の死を知らされる。

・そのネタに約8割。

・これはキツイでしょうねえ。でもあれだ。感傷的すぎな気も。いかにもドラマ的すぎるというか。ええ、それはもう泣かせていただいたんだけどね。

・あと、久しぶりにこのイヤなフレーズ。
「別に宇宙じゃなくてもアリなんじゃない?」

・ダム建設でも成立する話でありますよね。ま、いいんですけど。

・それはそれとして、おもしろかったといいたいのですよ。

・つづく話はいきなりハードSFチックな話になりましたね。

・ま、資料や考証がキツそうなマンガですが、ぜひ、がんばってください。
(19:08:54)

「ペット」3巻 三宅乱丈(小学館)

・やべー。話忘れかけてるわ。というか、複雑すぎ。
・と、小学館側もそう思ったのか、細かいあらすじが書いてありましたね。そこではじめてヒロキが主人公だということを知りました。おれは悟が主人公かと思っていたよ。
・うーむ、これは地元の本屋には入荷しなかったところをみると、ヤバイんでしょうかねえ? 地元の本屋、あからさまに売れないのは省くようになってきたからなあ。

・サイキック・ミーツ・ヤクザって感じの話ですね。人格操作できる能力者がヤクザ(というか、マフィアか)によって、命を請けターゲットを「壊して」いく。

・ところが、能力者が慕っている、「育ての親」的な男が組織から脱走、それを追う司。慕っていながらも複雑な思いから攻撃する。そして共倒れ。林は病院に。司はパートナーのヒロキの命がけの行動で無事に生還する。

・それぞれが複雑な思いと立場でもって行動する。そこいらのわかりやすさは相変わらずスゴイ。非常に複雑な心理描写などもあるのにねえ。

・しかし、その分、動きや「能力」シーンに驚きがあまりなかったねえ。そうなんだよな、案外と動きの少ないマンガでねえ。そこいらも肉食獣ばかりの「スピリッツ」読者にはイマイチ合わないんかもしれないなあと思ったりもします。

・うーん、4巻目買うときは、かすかにユーウツな気分になるかもしれません。「話覚えてるかなあ?」って。

・だから、興味ある方は完結してから読まれることをオススメしておきます。
(19:27:39)

「鉄腕バーディー」1巻 ゆうきまさみ(小学館)

・こんなタイトル、前も買ったような記憶があるなあ。まあ、絵もちがうし、同タイトルの新作だよなあと5秒くらい考えてから買いました。そのとおりでした。

・地球に潜伏した凶悪テロリストを捕まえるために赴任してきた宇宙警察官・バーディー。ところが、操作中に原住民の少年(すなわち地球の日本の少年)を誤って殺してしまう。そいで、自分の身体を使って少年を再生。かくして、二人三脚と、まあ、「ウルトラマン」でも「ウルトラマンセブン」でもいいんですけど、そういったノリに近いものがありますね。ほかにもその手の話はヤマのようにありそうですしねえ。

・意外にというと、あれだけど、王道的展開です。少年はおろおろしっぱなしで、ピンチになったりするし、バーディーは強い女そのまんまのわかりやすさ。
・ゆうき氏にしちゃあ、ものすごいアクションシーンも多いですし。

・勧善懲悪だしねえ。

・ゆうき氏の場合、デビューが「アニパロ」ということで、変化球投手と思っていたが、実は、この手のが好きな人なんですねえ。だから、「パトレイバー」やっているときは、「やっとこんなんできてうれしー」ってな喜びがあった気がする。でも、本作はそれよりもよりダイレクトな「王道」をしている感じがする。だからこそ、秘蔵のタイトルを持ってきたって気もするし。

・ということで、思う存分「王道」してます。読者としては思う存分楽しむべきでしょう。
(19:59:15)

2003年/6月/7日
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「C[si:]」1巻 長田裕幸(少年画報社)

・元首都である東麻都。今はスラムになっている町に1人の女性新聞記者が訪れる。
・都庁に行こうとしたら、突如襲われる。それを救ってくれたのが子供。

・という感じではじまる痛快アクションマンガですね。もう、正面突破の大アクションマンガ。敵も味方もキャラ立ちまくり。女性記者がまちがって手に入れた麻薬を追って、次々と敵がきて、それをチビッコたちがなぎ倒すといった風情。

・長田氏って売れてもおかしくないなあと、以前「トト」のときに書きました。が、アレですね、ちょっとアクというか、独特のの美意識みたいのがあって、それがメジャー化を阻害しているのではないかと本作では思ったりしますね。
・たとえば、本作においての、舞台。香港の九龍城的な舞台にいろいろと加味した感じ。
・大人vs子供というわかりやすい敵対構図に、わかりやすいキャラ。みまちがうことのないシンプルな人数。でも、いまや、逆なんですよね。シンプルってのはダメなんだ。今風じゃないんだ。それぞれに「事情」があった多人数がやいのやいのやるほうがメインストリームなんだよ。おれはそういうのが苦手なんで、すっきりとした把握しやすいキャラが画面全体に動き回っている本作みたいなほうが絶対好きだったりする。

・よって、本作、そして、長田作品は、マイナーな背景に(ちょっとオールドタイプな)メジャーキャラがものすごいよく動いているといえる気がする。

・おもしろかったです。巻末おまけのエッセイ旅行マンガ(行き先は香港)もおもしろかった。というか、こういうのでエッセイマンガって連載してもいいんじゃないかと思ったり。
(16:03:41)

「ふたつのスピカ」4巻 柳沼行(メディアファクトリー)

・4巻目。
・これまた、上記の「C」とは対極をなす、昔風でありながら今風のマンガになっておりますよね。

・安定期に入ってしまいましたね。このまま、人気次第、雑誌次第じゃ、3年でも4年でも続きそうな雰囲気。
・宇宙学校物語なんだけど、本当に地味に展開していきますね。ときおり、「宇宙」って訓練やら風景があるけど、地味な主人公キャラのおかげで地味ですよ。

・そいでもって、人気がありそうだなあと思うのですよ。いろいろな意味でうまいなあと。前も書きましたが「おれが支持しなきゃ!」って気分にさせるマンガなんですよ。
・でも、おれは、そういう図式がちょっとイヤになりつつある。

・絵以外は巻を重ねるたび、すべての点であざといと思うくらいうまくなっていますし、フッとツボにはまるところも少なくないです。だけど、一方で、拒否反応が。まあ、ひねくれものですからねえ。

・この拒否反応が大きくなる前に終わって欲しいなあと思ったり。だって、展開的にはあまり変わり映えしないんだもの。これはどう終わるつもりなんだろう? 宇宙にいくまでか? 学校卒業するまで?
(16:21:35)

「CLIP−クリップ−」陽香(リイド社)

・非常に書店で目に付いたんですよね。背表紙や、表紙や、帯が目に飛び込んできた。3回くらい。だから、買うべきかと思って買ってみました。

・まあ、エロマンガ短編集ですね。リイド社、実業之日本社、双葉社、日本文芸社、芳文社、竹書房、ぶんか社あたりのオヤジ劇画雑誌を出しているところの、「美少女エロ」ってのは、そうじゃない出版社、たとえば、一水社、富士美書房、司書房、コアマガジン、なんかと比べると、ノーマルなエロが多い感じがします。

・これは根っこのほうでたまたま共通点が多いから同じようにみえるだけで、実はルーツがちがうからだと思うのです。
・一方は、オヤジ劇画雑誌の「お色気」担当として発展していった「エロ劇画」の役割を持つものであるし、もう一方はロリコンマンガとして、「ブリッコ」とか「レモンピープル」あたり、はたまた、コミケなんかにルーツがあるからですね。
・これらは、結果、「エロマンガ」というフォルダから、共通しているファイルがいっぱいありますが、実は似て非なるものですね。イルカとサメのちがいというか。

・で、本作はというと、その出版社からもおわかりのとおり「エロ劇画」のほうなんですね。

・だから、いわゆるアブノーマルなシーンは登場しません。男x女で、せいぜいがローター使う程度。
・特殊な設定もなく、舞台は現代限定。でも、それからのひねり方がなかなかいいんですよ。

・彼女ができなかった罰ゲームとして、女装して名門女子高を駆け抜けるとき、自分を女性だと思い込んでる、レズっ気のあるお嬢さんとHしたり(ここまではあるパターンだけど、続編があったりする)。

・男子寮に入ったら、ルームメイトが自分が男だと思ってる美少女だったり(あんまりすぎて予想もできないオチが待っている)

・自由研究として、鬼畜な兄の女コマシライフを観察する小学生妹とか。

・女2人男1人の幼馴染の変なカンケイとか。

・失敗ばかりの女探偵見習が、浮気調査に行って、失敗したり。

・かと思うと、婦人警官モノの2時間ドラマ的な謎解きマンガがあったり、かなりダークネスなマンガがあったり。

・バラエティに富んでますね。基本はエロコメなんだけど。

・絵はあっさりさっぱりしてて万人向き。おれなんかはもっと濃くてもいいんじゃないかとおもうんだけどね。
(16:55:41)

「Dr.リアンが診てあげる 純情派」竹内元紀(角川書店)

・なにが純情派なのかよくわかりませんが、シリーズ最新刊ということで。3巻になるのか、それとも、月刊少年マガジンと週刊少年マガジンに同時連載していた「天才バカボン」(またたとえが古いね)的なものか、よくわかりません。今、軽く検索してみましたけど、よくわかりませんし、もう知りたくなくなりました。

・えーと、直人、リアン、岡崎、かえで、師匠の5人が、スキあらばボケたりつっこんだりするギャグマンガです。

・巻をますごとに下ネタに特化していき、その反面、医療ギャグ(そうです、医療ギャグなんですよ一応)につきもののブラックなネタは減っていく。そして、浮かび上がるマッタリとした空気。
・すっかり、下ネタほのぼのギャグマンガ。

・相変わらず「売り」にするかのようなギャグのオンパレード。「数撃ちゃ当たる」方式ですね。

・とにかくすべてを犠牲にして、ギャグギャグの嵐です。全体の整合性とか、シチュエーションの無視っぷりは、なかなか類をみないんじゃないかと思いますよ。つまり、話が破綻しかかっても、ギャグをとるって感じですよ。まさに、ギャグジャンキー。

・とりあえず、好きなギャグを列挙すると(読まないとわからない仕様で)、

・表紙の帯仕様の2段オチ。(下のガキがカバー裏のスカートめくれネタが気に入って何回もみた挙句「おまえ(おれのこと)はスケベな本ばかり読みすぎ」とアドバイスされました)

・岡崎のみんなでやれよ!でみんなでおしり見せるところ。

・カッパのお母さんの「星」

・リアンの「腕立て」

・女性人の「イタリアン」なもてなし(これは新境地ですよね。失敗してるけど)。

・二人エッチ。

・などなど。とても楽しく読ませていただきました。癒し系ですね。
(20:24:46)

「俺フェチ」2巻 桑原ひひひ(角川書店)

・2ヶ月連続発刊でしたのね。買うとき、非常に悩んだのを思い出します。それは前に買ったのって何巻だっけ?ってことと1巻があまりおもしろくなかったこと。

・でも、2巻はおもしろかったので買って正解でした。よかったよかった。

・女子高生約3人とあと怪しげな人でおりなすショートギャグマンガですね。ボケたりつっこんだり、いじめたりいじめられたりと。ほのぼのとした空間で殺伐したギャグをば繰り広げられてますね。「ほのバツ」とでもいった感じでしょうか。流血とか死体とか多いです。

・主人公のたまこほど巨乳をぞんざいにされてるキャラってのもめずらしいですね。寝ていた上を踏みつけられていこうとしたら、オッパイの弾力で、上に乗っていた人がひっくり返るってネタがスキですよ。擬音が「ボインッ」ですよ。

・そうか。こっちのほうがより「Dr.リアン〜」より破綻してるなあ。こっちはそれで、ギャグが多いでもなし。なんつーかな、アドリブ大会みたいな。インプロゼーションの嵐というか。
・それが成功したり、失敗したり、非常にスリリング。かような後先考えてない感、次になにでてくるかわからない感がステキですねえ。まあ、この芸風はいわばダンディ坂野や江頭2:50といっしょで、飽きられる可能性がいつでもあるんだけど、今のところ、萌え画と、やる気のない作者周辺マンガエッセイなどで、バランスをとってる感じ。まーでも長く続かないだろうな。それまでにどう「化ける」のかが注目点かな。
(21:36:33)

2003年/6月/3日
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「ああ探偵事務所」3巻 関崎俊三(白泉社)

・好評なんでしょうか。3巻目。
・ヒマな探偵さんの事件簿って感じですか。まあ、だいたい、探偵が主役の物語はヒマな探偵ってのが相場ですけどね。

・3巻は卓球勝負からはじまって、丑の刻参りネタ、若き日の妻木(主人公)の活躍を描いたものまで3話。(雑誌連載分の)1回完結じゃなくなったのですね。

・相変わらず、丁寧。すべてに丁寧ですね。ホメればそういうことになるのですが、逆だと、はっちゃけが少ない。小さくまとまっているということになるのです。そこが残念なところかもしれませんね。

・というか、ここいらは諸刃の剣ってやつでしょうか。「荒削りだけど光るものがある」「丁寧だけど小さくまとまっている」。だいたい、この2つの評価の間に揺れ動くわけですよね。

・たぶんに、関崎氏もオノレの資質を十分に理解し、そこからのブレイクスルーを図っているのだと思う。本作は、未完の前作「キルケーの豚」、それ以前の作品にくらべて、意図的にくだけさせようとの努力の跡があちこちに見受けられる。たとえば、妻木のキャラ、動き。ゲストキャラのストレンジな容姿、美人女性キャラの「萌え」度(ポイントは目描写かな)とか。
・でも、読むと、「あー、この人ってマジメなんだろうなあ」と感じ取れるんですよね。ここいらはもうしょうがないところですし、おれは関崎氏の生真面目さが好きだ。

・で、相変わらずおもしろかったです。丑の刻参り編の「広末」(キャラの1人)描写がスゴイと思いました。ストレンジな顔も描ける、美人も描ける。でも、広末みたいなどちらにも属さないキャラってのはなにげに初めてじゃないですかね。
・そして、この描写を推し進めていくと、現在の「美人」画である、涼子さんその他の顔は無効になりそうですね。どちらかというと、旧来の美人画ですからねえ。そこいらのサジ加減や変化が今後のみどころじゃないでしょうか。
(12:07:12)

「風雲児たち 幕末編」3巻 みなもと太郎(リイド社)

・毎月でている、「風雲児たち」の復刻版の正統な続編にあたるのが、この「幕末編」。そいで、これが発刊される月は「風雲児たち」が出ないんですよね。

・ストーリーとしては、ペリー来航のネタで1巻といった感じですか。ペリーってのは、かなり独断で強気な行動に出られていたみたいですね。白旗を渡すとか。

・で、まあ、正直な話、幕末編と復刻版がごっちゃになってしまう私なのです。本来、歴史は苦手ですしねえ。

・そいでもって、おもしろいのが、マンガ描写の変化ですかね。基本はあまり変わっていないのですが、たとえば、背景描写やPCの導入、スクリーントーン、コマ割りなど、微妙な変化がみられますね。とくにコマ割りの変化が与えるものは大きい。違和感までいうと大げさになるかもしれないけど、あれ?って感じはある。
・まあ、おもしろさが変わったワケではないんだけど。

・結局のところ、みなもと太郎氏は「終着点」をどこに設定しておられるのだろう?そこが知りたいところですね。
(13:03:27)

「π パイ」2巻 古屋兎丸(小学館)

・2巻になっても違和感ありまくり。「え?古屋兎丸のエロコメ?」ってなもんで。
・サイコーのオッパイを求める、元オタク、現在イケメンとその仲間たちが引き起こす、ハチャメチャコメディです。「ハチャメチャコメディ」と1回書いてみたかったので、書いてみました。

・顧問の先生(女性。同性愛者)がクラブ(πクラブ←至高のオッパイを探求するクラブですね)に入り、ライバルが、クラブのアイドルである至高のオッパイに近いとされてる女に急接近。

・と、まあ、ストーリー的にあまりいうことがないところまで、エロコメの定石を守ってます。

・ヌードデッサンの回での絵がものすごいことになってます。さすが美術教師(元になるのか?)だなあと思いました。
・かような、特異な絵の才能を惜しげもなく使っておられる、かなり贅沢なエロコメと。たとえるなら、最高級の松坂牛のヒレを使用したエキスをかけた「うまい棒」みたいな感じですよ。

・それをどう感じるかがその人の評価の分かれ道ですかね。
(13:45:26)

2003年/6月/3日
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「G-onらいだーす」KATSUZO TNK&小野敏洋(メディアワークス)

・うわ、エッチだなあ。
・おれは、まあ、ホヤホヤの小野ファンなんです。まあ、別ネーム上連雀三平氏のことも知らないくらいの。それで、現在6割程度は網羅した(市販本のみね)とは思います。成年コミックの上連雀三平氏も。
・でも、本作がイチバンエロイような気がしたんですよおれは。それこそ、ばらスィー氏のシークレットイラスト(今、さっき発見したんですけどね)みたいな感じでしたよ。

・宇宙侵略する少女たちに対抗するのは高校生のおねーさまたちと。メガネ率ほぼ100%でノーパン率もかなり高いものです。これが、アニメが原作とはとても思えないわな。

・これはどうも最後までいってないからエロいのではないかと考える次第だ。いわゆるSEXはしてない。ペッティングはあるけど女x女ってパターンばかり。たとえば、温泉場でソフトクリームをこぼして舐め取るシーンとかね。
・こう、寸止めのエロさというかねえ、そういうのがいい感じでしたよ。
・わりに、小野氏ってシステマティックっていうか、理詰めなところや、各作品でエロテーマみたいのがあるような気がしますね。
・今回はノーパンとおっぱいですか。あと、メガネと。

・まあ、ストーリー的にあまり語ることはないんですけどね。

・あ、あと、デフォルメもかわいかったですね。

・小野エロをタンノウできます。タンノウしてください。
(23:59:59)

「あずみ」29巻 小山ゆう(小学館)

・うーむ。28巻で「いい顔」が大挙登場されて、期待が持てましたが、29巻にしていつもの展開になってきましたね。
・あの、「成仏」っていいながら切るやつはいいんだけどねえ。あと、最後のほうにまた「いい顔」が補充されましたけどね。もうちょっとはじけないかなあってちょっと思った。

・どこで、読んだんだっけか? 小山ゆう氏、上戸彩氏に相当入れ込んでて、撮影現場に何回も顔を出したりしていたそうです。そのときの自分を梵天丸に重ねたのでしょうか。

・あと、まあ、一応、着地点らしきものが見えたね。柳生宗矩を殺すこと。これで終わるのかなあ? よくわかりませんし、そこいらはどうでもいいんですけど。
(00:22:20)

2003年/6月/1日
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「コミック・キュー」 vol.300 (イースト・プレス)

・年に2回くらいでる雑誌ですね。書籍扱いですが。

・毎回、テーマがあり、それに準じて読み切りマンガを描いてもらうというもので、vol.300(ちなみに、前号はvol .200です。実質13冊ですかね)のテーマは「もしも、ドラえもんの"ひみつ道具"があったら?」というものですね 。

・各人持ち味を生かして「加工」されております。まー、基本的に、自分の土俵に持ち込んでますよね。

・イチバン融合率が高いのが、朝倉世界一氏じゃないですかね。まったく、氏のオリジナルです。これ、単行本に入 ってて、なんの説明もなかったらオリジナルで通るでしょう。ラストのネームにちょっとしびれました。ちなみにひ みつ道具は「ゴキブリカバー」。まあ、あまり、道具カンケイないけどね。

・逆にひねりをなくして「大人」の思考でもってストレートな欲望で使うって、そう考えるとイチバンひねってるし 、オキテやぶりなのが、唐沢なをき氏。だって、他のマンガ家がひねってくるのを見越してのストレート勝負だもん。こんなひねくれてることねえよなあ。
・2pで、4本描かれてます。たくさん道具を使っております。

・いましろたかし氏もそういった意味じゃストレートですね。あと、ひねってあるけど、実はストレートなのが、小原慎司氏。

・はじめて読むような気もしますが、羽海野チカ氏もよかった。舞台は未来というかファンタジーの世界ですかね。 「アンキパン」を非常に泣かせる使い方してますね。道具の使い方でいえばベストじゃないでしょうか。ただ、デコ レーションが多すぎで、せっかくのアイディアが埋もれてる感あり。もっと、スッキリできたような気も。まあ、この手の好きな人にはヒット率高そうだけど。

・道具意味ないじゃんってのは、なにわ小吉氏とおおひなたごう氏か。滅亡したあとの地球で、「流行性ネコシャク シビールス」ってのは意味ないし、電池の切れた「小人ばこ」も意味ない。

・道具がマイナーなこともあるけど、なにがなんだかよくわからないのは、福島聡、さそうあきら、阿部潤、小田扉 あたりか。それぞれ、「作品」としてはちゃんとしてるんだけどね。とくに福島氏の気持ち悪さはなんとも。でも、 ドラえもんの道具は、とくにカンケイないし。

・道具にルールにほかのシバリを加えたのが、新人さんの衿沢世衣子氏と、松尾スズキ+河合克夫のユニット・チーム紅卍だな。前者は子供しか飛べないタケコプター、後者は借金で差押になったひみつ道具。開かない「どこでもドア」とか。あと、岩岡寿枝氏のもちょっとそういう感じあるかな。

・今回、南Q太氏は生まれてはじめておもしろいと思ったな。そして、とり・みき氏はやっぱりおもしろくなくなってきたなと思った。ギャグマンガ家はシリアス描くようになるとなんか変るのかな?と思ったり。
・あと、相変わらず和田ラヂヲはワケがわからんと。

・飛び出ていいのはなかったけど、まあ、佳作ぞろいですかね。

・個人的には羽海野チカ、衿沢世衣子、南Q太あたりが新鮮でした。
・あと、チーム紅卍は、おれもうベタ惚れ状態だなあとシミジミ思いました。なに読んでもOK状態。中川家にツッコ ムところや、史上最悪なユーミンの曲の使い方など、ツボが満載でした。

・ほかには、太宰治の「走れメロス」に吉田戦車氏の挿絵をいれたものや、リリーフランキー氏のインタビュー、連 載の地下沢中也氏、横山裕一氏もいい感じでした。
・とくに、おれ横山裕一氏のダイナミズムは好きだわあ。読んでいる間、ずーっとサンダーバードのイントロのマー チングドラムが鳴っているわ。

・ということで、年に2回のお楽しみは今回も楽しめたぞ。
(14:10:00)



sukekyo@violet.plala.or.jpケージバン