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ポトチャリポラパ/コミック/2004年
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2004年/2月
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2004年/2月/27日
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「栞と紙魚子 何かが街にやって来る」諸星大二郎(朝日ソノラマ)

・なにげに新刊が出るのを辛抱強く待ってるファンが多い作家だそうです。あまつさえも、本作で義妹もファンになったそうですよ。その栞と紙魚子シリーズ最新刊。巻数でいうと5巻目。諸星氏にしては、もしかして、かなりの長寿シリーズかもしれませんね。しかも、現役ですしね。

・で、これは貴重なギャグタッチの諸星作品なんですよね。過去にもいろいろとありましたけどね、「トウモロコシが豊作だよ〜」とか、ヒッチハイクシリーズとかね。
・基本線は栞と紙魚子という女子高生2人が不思議な出来事に巻き込まれるというものですが、どんどん脇キャラが増えてきてね、それがどいつもこいつもキャラが立ってて、主役は単なる狂言回しになってるんですね。

・でも、おもしろいと。

・5巻では、町の魔物たちが大活躍してましたね。表題作の「何かが街にやって来る」では、どこかからやってくる「なにか」に街が侵略されるのを街の魔物と栞と紙魚子ほかががんばってとっちめるって話ですよ。諸星版「妖怪大戦争」といったオモムキですかね。

・ただ、諸星氏の最大の特徴であり、世界中のだれにもマネのできないこととして、「なんだかわからない不気味なものをなんだかわからないままで描ける」というのが爆発してまして、なんだかわからないものは最後までなんだかわからないんですよね。毎回そうなんですけど、今回はまたひときわ「それ」がすごかったですね。そら、栞と紙魚子も出番がないわけだわ。

・「何かが〜」以外では、「ねこや」という猫2人の(これがかわいくない猫なんだ。おっさんとさえない男のコンビだし)セコイセコイ古道具屋が、カワウソの仕入れ屋が持ってきた徳川埋蔵金の宝を掘り出しに雪山で大冒険(はしないんだけど)するって話「犬魔の秘宝」

・もう、なにがなんだかわからない最高峰。悪夢をそのまま絵にしたかのような不定形であいまい描写爆発の「ゼノ奥さんのお茶」。こりゃ、いつか、この夢みるかもしれないな。

・ここいらがよかったね。正統派ホラーな「魔術」もよかったな。エコエコアザラクタッチですね。

・ただ、諸星大二郎氏は合う人はとことん合うし、合わない人は「なんじゃこりゃ?」な感じ。

「不思議なマンガだねー」

・と、奥さんも微妙な感想をおっしゃってました。

・なにげに、諸星歴も30年に近づこうとしてる私だったりして。そして、デビュー作(なんと少年ジャンプですよ)「生物都市」から、その作風にブレがないってのもスゴイことですね。おれは未だに生物都市のトラウマが残ってるような気がします。だから、諸星作品を読むたびに、脳のある箇所がうずくような感触があります。
(23:06:33)

2004年/2月/24日
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「まる秘 女捜査官 凍子」6巻 天沢彰&阿宮美亜(芳文社)

・6巻目ですが、今回かなりおもしろかったです。
・FBI帰りの凄腕美人プロファイラー・凍子の活躍を描いたものですね。5巻にして元ダンナの警視が殺されました。そのことはそのこととしてがんばってる凍子さんですね。

・で、3本。
・死体に装飾を施してある死体からはじまる連続殺人「芸術写真」
・警察ばかりを暗殺する「連続射殺魔」
・拳銃を持っていない凍子さんが、山中の洋館に閉じ込められる。そこに脱走した連続殺人鬼がくる「恐怖の一夜」

・イチバン読み応えのある(まあ、長いってことなんですが)「連続射殺魔」をはじめとして、どれもこれも読み応えがありますね。いい意味で力が抜けてますし、今回、阿宮氏の絵も非常にしっかりしてましたしね。ひっぱった分、あっさり終るのもなんていうか、「らしい」し。

・で、無駄な脂が抜けててね、深夜テレビでのB級映画を、みてるうちに、思わず興奮して見入ってしまう。そんな感じですかね。今回はVシネマというより、映画度が高いですね。
(19:46:48)

「娘々薬師」忠臣蔵之介(蒼竜社)

・エロマンガですよ。

・バイト募集でいったら、中国美人姉妹が経営する漢方薬屋でした。で、「殿方の精液は薬の材料になりますの」ってことになってね。まあ、あとは、ジャンジャンバリバリですよ。そのうち、この美人姉妹の数奇な運命がわかって、主人公もタダのエロ少年じゃなくて、アレだったりコレだったりして、いろいろとあって、1巻の終了でございます。

・まー、話は、なんやそれ!&ありがち!って感じですけど、ほどよくまとまってます。「必ず最後に愛は勝つ」オチです。

・と、エロマンガだけあってエロシーンがね。チャイナドレスフェチってのが世の中にいるそうですよ。そういうお方にはバッチリですね。いい感じです。バリエーションも豊富です。

・ロリっぽいけど、出るところは出てるって、よくあるタイプの不思議女性が登場しますしね。これはなんやかやいうて男の望みなんでしょうかね。だけど、本作、身体と顔のバランスにくわえ、おっぱいの大きさに対しての乳首の大きさの対比と、オッパイ位置に若干の違和感かなあ。

・で、エロをメインに読ませるには、後半の展開がやや煩雑だし、話に主軸を据えるにはやや薄い気がした。もっと「中国」をネタにからめるか、もしくは、不思議漢方薬ネタ(媚薬と性転換、しびれ薬あたりかな)をやればよかったですねえ。

・そこいらの軽さが魅力ともいえるんですけどね。ま、佳作といったところで。
(20:54:59)

「これが私の御主人様」2巻 まっつー&椿あす(スクウエアエニックス)

・相変わらずいずみのオッパイが丸くていいですね。いわゆる、女性作画での「理想の女体」ってのは、丸いオッパイになりがちですね。高橋留美子氏とかね。
・ハンドボールを真っ二つにして胸にくっつけたようなオッパイですよ。
・青木光恵氏ってマンガ家がいますよ。彼女も女体美を追求してる方です。彼女のエッセイコミックによると、実際に、その丸いオッパイの女子高生が銭湯にいたそうで、その彼女目当てにしばらく銭湯に通っていたそうですよ。この記述が青木光恵氏の最高傑作だと今でも思っています。もう10年以上お見限りですけどね。

・力いっぱい横道からはじまってしまいましたが、お金持ちの14歳のドスケベ変態男と、メイド3人のエロコメですね。
・基本線は、主人公らが、いずみというショートで丸いオッパイのコにセクハラをしてるってマンガですね。

・かなり寸止めです。ほとんど、演歌の女性が座長の時代劇の殺陣くらいスキマがあいてます。それじゃ、風もこねえって感じです。
・よって、エロコメとはいいましたが、限りなくストイック。どうも、作者がエロマンガなんかで、ワザとらしくパンチラや胸チラがあるというのが嫌いなそうで、丁寧にその描写を回避してるからだそうです。
・だから、逆に、どうして、この衣装なのに、パンツが見えない?って状態で、逆にワザとらしさがあるというくらい。

・ところがエロコメなんですね。うーむ、これは丸いオッパイと、御主人様の外道っぷりのタマモノなんでしょうかね。

・まあ、だから、モヤモヤ度はかなりいいですね。「エロ」ってことでの似たラインでは、「機工魔術士/河内和泉」を思い出します。個人的には本作のモヤモヤ度のほうが上かなあ。まあ、比べるものでもないですけどさ。

・と、おれが2巻を手に取った決め手は1巻と同様の表紙の丸いオッパイに惑わされてです。ははは。
・丸いオッパイ好きなら(ファミ通クロレビ風)
(21:48:23)

「犬夜叉」34巻 高橋留美子(小学館)

・今度は終るかな?と思いつつ買ってるような本に、いちいちコメントを考えるのがめんどくせーので、今後は取り上げません。一応終わりまで買いますけど。

・とりあえず四魂の玉を全部集めたら、いろいろな人が死にそうだけど、その処理をどうするんでしょうね。このマンガはそういう矛盾が山ほどありそうな気がするなあ。そういうのまわしてまわして負債をたくさん抱えてる。日本の財政をアレしてるようなマンガですよね。
(21:53:25)

2004年/2月/21日
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「読もう!コミックビーム」桜玉吉(エンターブレイン)

「週刊ファミ通」に月2回連載されてる、「コミックビーム」の宣伝4コマです。まさか、これが1冊にまとまるとはね。いくつかは、桜玉吉氏のライフワークであるところの、「漫玉日記」シリーズに収録されてましたし、そのパターンで、ずっと収録されているのかと思ってましたが、「コミックビーム」発刊100号記念にドーンと「やっちまった」ってことなんでしょうかね。まあ、桜玉吉なら、信者が多いから出せば買うだろうって大人の計算式もあったと思うし。まんまとその戦略にハマってるし。

・ということで、まあ、コレクターズアイテムかと、割り切って買ったのですが、これが意外なほどにおもしろかったですよ。

・ネタ的なものも多いですが、要するに月2回の近況報告ということで、ココロの病で長期休載になりやすい玉吉氏はこれだけは休まない感じで(リハビリにもなっているのだろうね)、ファンにはとてもありがたいものになっていたりする。

・また、ほとんどの作品がエッセイコミックという玉吉マンガであり、その中で調子がいいときで月に1回というペースにおいて、4コマといえ月2回というのはありがたいものでございますよ。ええ、ええ、おれも信者ですからね。

・時期でいえば1998年から2004年までということで絵柄の変遷とかも楽しめます。

・玉吉ファンは押さえるべきですね。
(19:58:13)

「ゲイツちゃん」桜玉吉(エンターブレイン)

「読もう!コミックビーム」と同時期に出されたもの。ゲイツちゃんというガイジンが些細なことにキーキー怒ってるマンガです。
・たとえば、本を読んでいて、その上を虫が走る。キー!
・外出して帰って靴下を脱ぐと、足の指の間に毛玉がはさまってる。キー!
・三角チーズの外のアルミホイルをむく。爪の間にチーズがつまる。キー!

・このように4コマ目が必ず怒り狂ってるゲイツちゃんというマンガなのです。

・うーん、こりゃあ、コレクターズアイテムかなあと思ってましたけど、これが延々同じリズムが流れてると無意識にリズムを足で取ってたりするのと同じで、この4コマ目の「キー!」がなんだかおかしくなってくるんだよなあ。
・あまりいいたとえじゃないかもしれないけど、ずーっと目の前でダンディ坂野の「ゲッツ」を聞いていたらおかしくなるってのに似てる気がする。グルーヴで笑わされるというかね。ノリがよくなるというか。

・だから、ぼちぼち。変形装丁のわりに値段は安めでしたし、久しぶりに玉吉画の「本来の」美人(ぱそみちゃんとか、とくこちゃんはちょっとちがうような…)をみたような気がしましたし。
(21:02:09)

「つっぱり桃太郎」3巻 漫*画太郎(集英社)

・おー、おもしろいわ。漫*画太郎版「桃太郎」です。言い伝えを無視した(犬、猿、キジを手下にする)ために、鬼が島のボスにコテンパンにされて、部下の死とともに助かった桃太郎は、漂流した末にババアの家にたどり着いたと。
・一方、世を忍ぶ仮の姿としての人間として、おとなしく潜伏していた鬼たちは、桃太郎やられるの報を受けてやりたい放題しはじめる。

・と、ちゃんとあらすじを書けるってのがまずおどろきですよ。しかも、とてもおもしろい。それでいて、ちゃんと漫*画太郎風味もあるし。
・ただ、けっこう大掛かりになってきて、どうするんだろ?と思ったりもしました。また、ばっくれ終了ってなるんでしょうか?それがやや不安。「地獄甲子園」も「樹海少年ZOO1」もばっくれ終了でしたからねえ。
・今回はちょっとちがう!とも思うし、今回もまた?って気もする。

・そういった意味じゃ、まるで先が読めないマンガ家ですからねえ。
(21:35:30)

2004年/2月/20日
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「美しい人生」清水おさむ(青林工藝舎)

・本屋で手にとったときから、「どこかでみたような?」って気持がぬぐえなかったんだけど、まあ、根本敬氏のオビ推薦にしたがって買ってみました。

・で、わかりました。エロマンガ家の人でした。なぜ知ってるかは謎ですが、見覚えのある絵でした。

・といいながら、本作はエロマンガではないですね。まあ、その要素は多分にありますが。んー、エロマンガじゃないけど、エロマンガっぽいものを表現するのにいい言葉があります。「ラブストーリー」です。そう、ここにはラブなストーリーがあります。

・イニシエの言葉でいうところの「禁断の愛」を描いてます。

「懐古物語 昭和へび女」では、見世物小屋の兄妹の数奇な半生を。

・表題作でもある「美しい人生」では、昼はカタブツで仕事の鬼の部長が、夜になると化粧をし美しい衣装を身にまといニューハーフバーにホステスとしてがんばる話。

・そして、最後の首斬り人の生涯と兄妹の愛を描いた「紅櫻生首地獄変 最後の首斬り浅右衛門」

・この3編が収められてます。初出をみるとけっこう新しいものですね。それなのに、絵のキレがすごいのがまず1点。
・そして、この3編の登場人物は全員目がイってますね。なるほど、考えてみれば非常にマンガ的でもあるけど、写実的でもあるんですね。なんつーか、覚悟の座った方ばかりなんですね。この異形の愛を貫くってまっすぐの「ゆがんだ」目をしてるんですよ。
・そして、それを感じ取れる表現がすばらしい。

・恐ろしいことにこの3篇はベースはあるのですが、どれもこれもタッチがちがうんですよね。物語に合わせての変化か。「昭和へび女」では、昭和3〜40年代の少年漫画のタッチだし、「美しい人生」は安倍慎一郎氏の怪作「僕はサラ金の星です」をホーフツとさせるような、オッサン劇画誌風のタッチ。そして、「最後の首斬り〜」は丸尾末広氏もかくやの美麗な線画ですよ。

・で、ものすごいぶっちゃけた表現させてもらうと、「意外にもとてもおもしろかった」と。
・古い人だけあって、意図的じゃない、素で古い表現があちこちでみかけられ、それは最新のマンガを読みなれてるムキには「あれ?」ってところがあると思う。それは絵のタッチでもそうかもしれないし、セリフまわし、構図、あらゆるところで散見できる。

・でも、上記の覚悟の座った人を描くにあたって、作者自身も覚悟を決めたかのような重さがあります。それはベテラン云々というより、もっと根本的なところでの覚悟ですよ。原初にあった想いであるところの「おれはこれが描きたい!」ってやつ。それをかなり強く感じられるのです。

・個人的にはそれをあまり重要視しないんですが(それを重視しすぎると、たとえば、やっつけ仕事に光るモノみたいのがみえなくなるから)、それでもすごいものはすごいですからね。

オススメ
(20:18:33)

2004年/2月/16日
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「榎本俊二の映画でにぎりっ屁」榎本俊二(講談社)

「ゴールデンラッキー」「えの素」でおなじみの榎本俊二氏における映画評です。これが、かなり長期にわたって描かれてますね。「えの素」のかなり長期の休載時にも描かれてた感じですよ。

・試写会で映画をみて、それを1pのマンガに印象や感想や批評を加える。「映画に毛が3本!」黒田硫黄(講談社) と同じ構成です。掲載誌はいっしょなんでしょうかね。ちょっと自信ないです。出版社はいっしょですけど。

・黒田氏のは似顔絵似てないって思いました。実は、榎本氏もあまり似てません。というか、そもそも似せようという気がないそうです。資料ナシで映画から受けたイメージを記憶だけで描くという方針ですよ。それがまたものすごいことになっているんですよ。これほど悪意のある似顔絵はないってくらいです。美人に描かれてる女性が55本の映画評で5人くらいですからね(ベタ褒めで美人に描かれてるのって、「みんなのいえ」の八木亜希子氏だけなんじゃないか)。男にいたっては、そのまんま榎本作品に登場できるくらいのものです。
・そして重要なのはそれがまんま映画評につながっているんですよ。

・たとえば、いつも目をうるうるさせてるブルースウイルス。ウィルスミス最大の魅力はバカ面にあると看破。ハンニバルはレクター博士のプロモーションビデオであり、トムクルーズはもはや映画のジャンルとなるわけですよ。

・こんな具合で、「ジャッキーブラウン」から「ラストサムライ」まで駆け抜けます。

・おもしろいのは、「マトリックス」ですかね。1作では体温が42度を超えるくらいコーフンしていた榎本氏が、「リローデッド」「レボリューション」ではどうなったか?

・自身のマンガでもアクションに非常にこだわりがある榎本氏(「えの素」ではマトリックスへのオマージュといえるシーンがある)は、CG映画にもかなりいろいろな意見を述べておられる。ホメていた「チャーリーズエンジェル」も2作目では、CGによるインフレでうーん?となっておられるし。

・ま、「映画に毛が3本!」と同じ感想に帰結するんですよね。

「やべ、映画みたくなった」

・こう思った以上はオススメですよね。
(18:59:17)

「HUNTERxHUNTER」19巻 富樫義博(集英社)

・新章です。NGL編ですかね。
・前巻のプロローグを読んだ分には、ホラーもの?と思ったのですが、フタを開けてみれば、最強の昆虫人間との血で血を洗うバトルって感じでしたね。

・うーむ、「武装錬金」1巻での作者によるライナーノーツによると、ジャンプは表現が難しいところなんだなあと思ってましたが、HxHは特別扱いなんだろうか? かなりえぐいシーンが満載だった気がするんですが。

・昆虫人間の女王蟻が人間をエサとして王国を築き上げる。それを阻止するために闘うゴンxキルアとベテランハンター。でも、敵は狡猾に彼らを殺し、あまつさえも、ハンターたちの武器ともいえる、念能力も学習してしまう。そして、ゴンといっしょにいたベテランも死んだ。ゴンたちは命からがら逃げおおせた。

・これ、舞台がまた、いろいろなことを連想できますし、非常に巧い。電気機器、武器などを一切持ち込めない、「自然」の国。だから、火器ナシ、ハイテク機器ナシ。たしかに、秋葉原を舞台にホラーなんてありえないですからね。

・で、今回の展開ってどうなんだろうね? これまでは、蜘蛛の旅団編とか、G・I編とか、ひねってあったじゃん? 今回は非常にストレートですよね。殺されるために存在してる敵ですからね。でもって、目的も、そのための行動もハッキリしてる。女王蟻を倒せ!ですからね。ものすごい王道のストーリーです。強い敵をどんどん倒していきます。こうなると、「強さのインフレ」現象が起こりますよね。これも王道ではありますよね。敵が強いと、自動的に主人公も強くならざるをえない。そのレールに乗ったら主人公はどこまで強くなんねん?って状態になりますよ。これ、最後まで終った日にゃあ、ゴンもキルアも無敵超人ですよ。そしたらその後どうするよ?

・そのほかの要素も入ってますのが、基本線はそういうところでしょう。だから、そういった意味じゃ意外なんですよね。

・そして、このNGL編はどうやってケリをつけるのだろう? となると、おれは「幽遊白書」でのケツまくりを思い出さずにいられないんですよね。

・ま、そうならないことを軽く祈りつつ(別にそうなったらなったでいいんだ)。
(19:44:00)

2004年/2月/13日
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「魔女っ娘 つくねちゃん」1巻 まがりひろあき(講談社)

・笑いました。なんとなれば爆笑しました。おれの場合、「笑った」と書く場合は本当に声にだしてゲヒョヒョヒョと笑ってますよ。

・魔女っ娘のつくねちゃんがいました。あと珍奇な登場人物が登場して珍奇なことになって、最期に市長がえらい目に遭うという感じです。

・別に魔女とかあまりカンケイなくなります。この手のにありがちですがね。

・ギャグはすがわらくにゆき氏をホーフツとさせる間と残酷をやわらかい絵柄でカバーするという手法ですが、タイトルのわりに「業の深さ」(=オタク度)はすがわら氏より薄く、なおかつ、下ネタがないので、非常にすっきりしてます。

・たとえば、魔法はかけた相手のおばあちゃんが末期ガンになったりとか。魔女っ娘につきもののマスコットは、1話1p目で遭難したへの食料として丸焼けになったりなあ。

・で、回がすすむとつくねちゃんより、珍奇な登場人物のほうにシフトしていくわけですよ。スイカマスターはスイカな顔をしてるから、延々スイカ割りとまちがえて、アタマをかち割られたりな。
・台風で停電になったから、電気の召喚獣を呼んだら、次のコマで自動販売機が飛んできて死んだり、その4コマ後にサイボーグとして蘇ったりね。こういうの文章で書くとつまんねえなあ。

・まあ、しばらくぶりで無防備に笑ってしまいましたよ。なんとなれば爆笑ですよ。

・すなわちオススメ
(18:00:38)

「無宿狼人 キバ吉」1巻 島本高雄&森野達弥(ワニブックス)

・旅から旅へのマタタビモノ。半人半狼のキバ吉が旅先でモノノケを退治する、時代妖怪アクションマンガです。

・最大の特徴は作画の森野氏、水木しげる氏のアシをつとめておられまして、その影響をかなり色濃く打ち出されてます。ぶっちゃけ、「ゲゲゲの鬼太郎」な雰囲気がプンプンしてます。ただ、キャラはちがいますし、アメコミ的な表現をはじめとして、様々な差異はつかみとれます。なによりも、現在のマンガフォーマットに則られてるために、非常に読みやすいですね。迫力もあります。

・そして、おれ的には、女性キャラです。水木作品にはないのですが、水木作品の系譜にいて、なおかつ、カワイイという女性キャラ。これがなかなかお宝じゃないでしょうか。なるほど、こう描けば水木作品の女性は萌えるのかあ。ちょっと山浦章「やすこの太陽」チックでもあるかな。

・おもしろかったです。肉筆の持つ「凄み」を存分に味わえます。そんなこといってMac処理だったらカッコ悪いけど、ちがうだろ。

オススメ
(18:27:06)

「ニュー土木」横山裕一(イーストプレス)

・サブカルの方が大好きな「感じる」系の作品です。イヤミっぽい書き出しでもうしわけないですが、おれもサブカル好き好きボーイズなのでまるで大丈夫です。
・ただ、こういうのを文章で説明するのが難しい。2ちゃんねるなら「 (・∀・)イイ!! 」ですむからラクでいいなあ。あと、2ちゃんねるに毒されてる人と。また、イヤミっぽくなりましたが、おれも2ちゃんねらーなのでセーフです。禿藁
・さて、こういった無用のくすぐりを多用してるのも書くのが難しいからです。でも、覚悟を決めたので書いていきます。

・ダイナミズムを描写してるマンガとでもいいましょうか。たとえば、巻頭を飾り、おれがイチバン好きな「ブック」という作品では、「刃物を持った暴徒に襲われるが、本を投げて逃げる」という文章をマンガとして描写しています。暴徒は刃物で逃げる男に対して闇雲に切りつけてきます。ふすまは真っ二つ、花瓶の花は散乱、そして、本は中身をばらばらにしながら四散する。

「土木3」では、なにもないところ。水平線が線1本で表現されるところに、無数の飛行機が石を投下して山を作っていくサマを描写してる。

・かように、文章で説明すると、横山作品未体験の方は「は?」ってな感じになると思う。でも1回でも読んでいただけるとわかる。そういうマンガなんです。

・では、読んでみてください。「ギャラリーサイゾー横山裕一

・読みましたか? 読んだ上で「は?」と思った方は、縁がないのではないかと。本作もこういうのがたっぷりですから。

・インダストリアルなノイズとマーチングドラムが交互に鳴り響いてるようなマンガですね。スケールもでかいしね。山を人工的に作り上げるマンガなんてほかにないし。

・おれが本作でイチバン好きなところは、ちゃんと「マンガ」であることです。こういうイラストなんだかなんなんだか、よくわからん抽象的なことを描く人っているじゃん? まあ、みる人によっては本作もその手にみえるかもしれません。正直、おれもよくわからん作品ありましたし。でも、本作はマンガです。んー、松本大洋作品(例:GO!GO!モンスター等)より、よほどマンガです。おれはコマで割ったイラスト集なんかみたくもないのです。

・ということで、本作ある点において「端っこ」の作品です。だから、人を選ぶとは思いますが、この壮大なダイナミズムは、男の子が本来持ち合わせてるものだと思います。
・工事現場でつい足が止まってしまい見入ってしまう人(女子も含む)はぜひお買い求めください。
(19:10:29)

2004年/2月/11日
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「変態生理ゼミナール」TAGRO(大都社)

・いつごろのものだろう?よくわかりませんが、TAGRO氏の最新作です。

・変態生理学というゼミを舞台としたキャンパスライフですか。変態生理学ってのはそのものズバリですね。変態の生理をアレする学問ですよ。

・と、舞台は風変わりだけど、わりにキャンパスラブコメになってますねえ。そこいらはTAGROセンセの人徳のタマモノかもしれません。

・いや、ナイスなキャラと、くすぐりとしての「変態」(いや、けっこう「ゲゲ」ってことをしてるんですが、そりゃあもうああいうラブリーな絵じゃねえ)が効いていて、かなり水準は高いです。
・んー、変態としては、シュークリームのクリームがザーメンとかな。それを女の子に食べさせたり。同じゼミの好きな男の子の写真にハナクソをなすりつけ、コーフンしてオナニーしたりなあ。って、具体的に書いたらちょっとちがうような気がするんですよね。あくまで「くすぐり」ですからね。それはそういうことをしてますが、エグくないんですよ。だってラブリーな絵だし。

・あと、ナイスエロ短編も収録です。

・ただ。「MAXI」のときのような「やりたい放題」感はないし、「サルガッ荘」ほどの職人芸はない。「マフィアとルアー」的な内省ネタはまったくない。ウチワネタはありますが。作者はコミックスのどこかに自分がいないと気がすまないタイプなんでしょうねえ。昔カタギですね。

・ということで、えーと、コアなファンは黙ってても買いますよね。あと、初心者にもいい感じです。そして、残念なことには、そのどちらにも最良ではないですね。ただ、TAGROセンスみたいのはそれなりには感じられるかなと。

・すなわち佳作ということですね。掌編集というかね。

・個人的には「南の島の浮浪人」みたいなイラストな絵で1本長いのが読みたいなあと思いました。
(15:22:27)

「伊賀ずきん」1巻 たなかのか(マッグガーデン)

・忍者ギャグですね。思った以上にギャグでしたね。伊賀の忍者の伊賀ずきんちゃん(少女)と、その首領。あと、甲賀とか風魔とかも登場。

・伊賀ずきんちゃんは、任務の途中に花畑でメルヘンな気分になるような乙女です。

・作者の性別がよくわからんですが、女流漫画家のギャグっぽいニオイだなあ。
・雑な絵がオチになったりするパターン。
・でも、キャラをイタズラに増やしたり、ややこしいことはあまりしてないので、すっきりと読むことができます。

・んー、もともと表紙の絵のかわいさにほだされたカタチで買ったのですが、そののぞみはあまりかなえられませんでしたのが残念なところです。

・後半、けっこうスムーズに流れていったし、ギャグのキレも増していったので2巻だとさらにおもしろくなってるかもと期待しています。もしかしたら化けるかも。
(16:25:38)

「二十面相の娘」2巻 小原慎司(メディアファクトリー)

・実はあまり気乗りしなかったんです。あたりの書店でもみかけなかったし、なにより、1巻がもうひとつだったのです。

・ところが、とてもおもしろい2巻目。

・継母などに、こっそり毒をもられたりと、静かに虐待(じゃないですね)されていた少女がチマタを騒がす大盗賊二十面相に盗まれてしまったのです。時代は昭和初期ですかね。

・ところが、二十面相は1巻の最後に列車爆破に巻き込まれて生死不明。金に汚い探偵がタナボタ式に助けて、元の家に娘が戻ってからの2巻です。

・娘は学校に通い、継母の毒入り食事をうまくかわしつつ、離れ離れになった二十面相やその仲間の消息を探りつつも事件に巻き込まれるというカタチになったんです。

・こう1巻はシリアスすぎたのがちょっとおもしろく感じなかった原因なのではと思うのですね。2巻も、その流れに沿ってはいるんですけど、いい意味でちょっとユルくなったの感じです。

・その最大の理由は娘の家のお手伝いさんであるところのトメさん(若いんですけどね)と、クラスメイトの小糸さんによるものが大きいのではないかと考えるのです。
・主人公の娘は、あれでクール&ビューティー&ロリな感じで、「けなげ」とか思うけど、愛嬌がない感じでね。それでいて、けっこう万能ですんで(二十面相に鍛えられたから)、それを補う感じでの「スキ」を2人が担当してるのかな。
・あわてんぼうでそそっかしくておきゃんなトメさんと、ミーハーで好奇心旺盛でいろいろなことに顔をつっこみたがる小糸さん。

・実に描き下ろしオマケマンガも「トメさんは見た!」というものですし、人気はあるんだろうし、作者も気に入ってるんだろうなあと。

・意外にこういうキャラ1人で盛り返すって現象はありますよね。それがレギュラーじゃなくても、そこにそれがいるだけで、作品がぐぐっと美味しくなるような存在。「美味しんぼ」における富井副部長のような感じかな。
・それにつられてか、主人公もややほがらかになりましたしね。1巻では思いつめたような顔か、必死な顔ばかりが印象に残ってましたし。

・と、すっかり印象が180度変わりましたよ。

・1巻で、「こんなのか」と思っていたあなたもおれのように意見が変わるかもしれないのでぜひ手にとってみてください。
(16:49:23)

「日本一の男の魂」12巻 喜国雅彦(小学館)

・今はどうか知りませんが、ヒップホップという音楽は、数々の音源(レコード、CD)から、サンプリングした「ブレイクビーツ」と呼ばれるものを延々ループさせておいて、それにライムを被せるという手法から発展したものなんですね。今はそのサンプリングした音源に著作権がどうたらこうたらってことになってるらしいので、ちゃんと打ち込んでるのかもしれませんし、よくわかりませんが。

・そして、その音はブレイクビーツ集みたいに音源としてあるわけですね。あのー、ヒップホップの人がレコードまわしてるじゃないですか。あれはつまりそういうのをまわしてるんですね。いや、詳しくは知りませんが。

・で、そのブレイクビーツってのは延々かけても飽きないような、音になってるものなんですね。

・なんで、そんな話をしたのかというと、ブレイクビーツってのはワンパターンにつながるからです。
・マンガにおいて、なんか、変わらないなあと思うのは、たいていワンパターンと呼ばれて下にみられたりします。でも、それは飽きないブレイクビーツってのもあるってことなんですよね。

・つまり、本作がソレってことがいいたいワケですね。長い前フリでした。

・ワンパターンと呼ばれてても気持がよければいいんですよね。ブレイクビーツってのはそういうことですし。たぶん、1巻とほとんど変わってないテンポで本作もまた女子高生&女王様系の下ネタを流し続けています。

・ところが、本作の大事な要素であった、ルーズソックスが下火になったんですよね。まあ、それも、「絶滅寸前のルーズを履いてる貴重な女子高生」みたいなネタにしてるのがさすがなんですが。

・12巻では、精子の精ってのがおかしかったなあ。イクはずだった精子がなんらかの理由でイかなかったために鶴の恩返しよろしく、「あのとき助けてもらった精子です」とばかりに現れるんですよ。

・あと、非下ネタ(これも案外と多いんだ。下ネタに紛れてるからみつけづらいけど)の、復讐のために刺した男が人違いだったってのも秀逸でした。

・ということで、まだまだ飽きないワンパターンをタンノウできたってスンポウさ。
(17:30:48)

「サルハンター」ツギ野ツギ雄(太田出版)

・なんか、含みのあるタイトルかと思ったら「まんま」でしたね。それに虚をつかれました。

・「ヤングサンデー」の増刊号である新人さんいらっしゃい号みたいのに連載していたのを1冊にまとめた感じです。小学館はそういうの多いですよね。

・非常にシンプルなストーリー。突如、人語を解し、利口になったサルが人間を襲う話。そして、サルに大事な人を殺されたので復讐する話。だから、サルハンター。

・これがすごかった。サルは武器を持ち、服を着て、人間の女を犯し、殺すんですね。それにスタンガンのついた電撃ヌンチャクで戦うんですよ。

・そして、ほぼこれだけで250pを駆け抜けるんですよ。

・しかも、設定として、まだ、サルの変化にみんなが気づいてない状態。サルは森にいて悪行三昧であり、知ってる人はおびえたり怒りに震えたりしてますが、一般人は知らない。だから、サルと闘ってるのはかなりマヌケにもみえるわけです。しかも、あくまで肉弾戦なんですよね。アタマを使って倒すというより、超人的な拳法ワザみたいなのが、泥仕合度を高めてる。

・まあ、サル=ガキどもという図式はありなんですけど、そう深読みするより、この延々と続く、戦いの中に身をゆだねようかと。

・随所にある、ウソくささというか行き過ぎ感をどうとるかと、アクのある絵(王道ではあるけど、やや雑)をどう受け止めるかが分岐点ですかね。

・おれは気に入りました。これはでも1巻1冊をイッキに読むべきもんですね。ある種、250pの一発ギャグみたいな世界ですから。

・もし、気になった方がいたら、一気に読むってのがコツですとアドバイスしておきます。
・本作はオビで、望月峯太郎氏がおっしゃてるように「パンク」ですからね。パンクは「耳をかたむける」とか「耳をすます」という聞き方じゃないでしょ? 「流し込む」もんですよね。それといっしょです。1pの1コマを丹念に眺めたおして「この線が…」ってのは似合いません。爆音とともにはじまり、そして終わるようなマンガです。
(18:35:40)

2004年/2月/8日
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「狂四郎2030」18巻 徳弘正也(集英社)

・うーむ。18巻にしてまたおもしろくなってきつつある。これはラストに向けての大盛り上がりの伏線なのか、またちがった展開なのか。ここいらは予測がつかないんだなあ。

・出会った2人は、ヤるところまでいってるもんなあ。

・でもって、登場人物の様々な思惑でぐじゃぐじゃと進行してるんですよ。ここいらはいつもどおりですね。すんなりいきすぎると思っていたのでおれは一安心だったりする。

・ということで、向かってる先はよくわからないけど、最後まではつきあおうと思ったおれだった。目安は24巻くらいまでかな。ここ過ぎてもダラダラやってるようなら考えるけど。
(13:55:14)

「ひがわり娘」3巻 小坂俊史(芳文社)

・4コマ王子最新作。おれとしては、小坂作品の今のところの頂点が「ひがわり娘」だと思うんだよな。

・このマンガは「4コママンガ」をタンノウできる作りになってる。
・タイトルどおり、ヘタレ女である笹木まみが毎回環境設定総入れ替えで、その環境で4コマを演じてるというマンガなんですね。この「環境設定」ってのがミソで、笹木まみがヘタレでビンボーでモテなくてドジで、女友達が2人いるという個人の設定は変わらないんですね。

・それで、3巻は、回転すしの店員だったり、郵便局員だったり、プロ野球の控えの選手だったりする、職業編と、クジをひいたり、走ったりの、状況編。小学生だったり、修学旅行にいったりの、時間変化編とだいたい3つあるのかしらね。まあ、そこいらはのシバリはあいまいではありますけどね。たとえば、修学旅行編は、状況編もまざってたりするし。

・つまり、けっこう、1回性の強い4コマなんですね。それでいて、手塚治虫氏のような(4コマでいうならいしいひさいち氏)「スターシステム」という、同じキャラがいろんな役どころで出るというのでもない感じ。あくまで笹木さんというキャラを、この環境に入れたら、どうなるんだろうか?って化学反応を観察してるようなスタンス。
・しかも、パラレルワールドなんですよね。たとえば、状況編のひとつである3巻収録の「走れササキ」だと、フリーターのササキ、プロ野球選手のササキ、小学生のササキ、幼稚園児のササキなど、多数のササキが1話に登場しますもん。たとえば、この設定を知らない人が雑誌でこれだけ読むとかなり混乱するんじゃないだろうかね?

・なんて書くと、非常に冷たい感じを受けるでしょうが、内容はほのぼの4コマなんですよね。

・と、小坂氏作品はコミックに出てる分ではたいがい読ませていただいてるんですけど、非常に構造がカッキリしてますね。これが、最大の個性なんじゃないかと思いますよ。
・小学校を舞台とした「先生になれません」、売れないマンガ雑誌の編集部「月刊フリップ編集日誌」、大学のサークルのみに特化した「サークルコレクション」、借金から逃げ出して引越ししたおしてる「とびだせ漂流家族」。
・それぞれにけっこうキツイしばりを課して(たぶん、自分内でしょうが)、その限られた条件から4コマをひねり出すという、手法をとられてるような感じ。
・このストイック具合は、かなり出色じゃないかな。他の4コマ作家はこんながちがちのシバリを課してないもんな。

・その中において、その小坂氏の個性が最大限に活かせるのが本作であると思うのですよ。

・なんてワケのわからんこと書くまでもなく、ササキさんのヘタレでガサツで愛嬌のあるドジぶりをアハハでいいんですけどね。

・ということで、純4コマ界(萌え4コマ界では知らない)では確実に若手トップクラスだと思いますよ。
(14:21:00)

「ゼロイン」1巻 いのうえ空(角川書店)

・うーむ。予想よりかなりおもしろかった。正直意外。

・未来の世界。民営化された、警察「民警」での活躍を描くのが本作ですね。
・ヘタレないじめられっコ(親が警官)が、同じ学校に、美人でかわいい民警をやってる女の子に助けられるんですね。
・で、そいつも民警の訓練学校の門戸を叩くと。

・アクション豊富、女の子カワイイ(肉感的なのが特徴なんかな)、そいで、ライトエロと、エンターテインメントに徹していながら、キャラをうまく「うざくない」程度に掘り下げて(最後まで掘り下げてオシマイっての多いもんね)、うまく描写しており、テンポ良く話が進んでます。

・今後は事件のほうに重点をおいておもしろくしていったら、かなりおれ的には好きな作品になりそうです。
(14:38:10)

「Dr.猫柳田の科学的青春」4巻 柳田理科雄&筆吉純一郎(幻冬舎)

・4巻目。これが今回探したけど売れてないんでしょうか? なんか、カンチガイされてるような気がしてしょうがないんだよなあ。
・本作はいわば「ドラえもん」「キテレツ大百科」なんかのラインにあるもんですよ。

・科学がすべてと思ってる猫柳田が下宿してる家族の面々などと、科学を使ってのキテレツな実現不可能なことを実現していくマンガです。

・4巻では、「雨の中、花火大会を決行」「鉄塔の上まで焼きたてパンを飛ばす」「家庭用テレビをみんなでみる」など。

・これ、舞台が昭和30年代ってのもいい味付けになってて、たとえば、上記の「鉄塔」というのは、建設中の東京タワーだったりしますし、家庭用テレビってのがまったくない時代の話で、街頭テレビやら、近所にテレビが入ったら、みんなで見に行ったりする時代の話ですよ。

・スチームパンクとか、サイバーパンクなんて言葉がありますが、さしづめ本作は「昭和パンク」となるんでしょうかね?

・4巻では下宿先の娘であるところのミチルさんがエッチな目に遭わなかったのが残念なところです。

・安定しておもしろいです。ちなみに原作者のあとがきによると、科学ネタより、恋愛ネタのほうが難しいそうで。
(14:50:57)

2004年/2月/5日
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「π パイ」4巻 古屋兎丸(小学館)

・オビで安野モヨコ大推薦ですよ。いやまあ、このオビがつくってことは、人気があるってことですからね。同じスピリッツものでも、「ツユだく」の4巻や「ペット」の4巻にはオビがつきませんでしたし。

・4巻は、強力なライバルが出現といったところでしょうか。モテモテの主人公、主人公を憎からず思ってるヒロイン。それのライバルですか。
・主人公は理想のオッパイを探してるので、ライバルもオッパイが大きいのですが、よくわからないと。

・毎巻「遊び」が登場しますが、今回はそのライバルの裸体をのぞいたことによるスケッチの絵が「遊び」ですね。あと、ライバルとヒロインのテニス勝負ですか。こういった、パロディなのか、王道パターンのトレースなのか、よくわからないところを攻めていますよね。

・で、次はパイダーマンレディが登場ですね。もう、気の済むまでやってくださいといった感じです。これは「ついていきます」という気持もあるし、「勝手にしてくれ」って気持もあります。まあ、ものすごいカンタンにいうと「普通」におもしろいといったところでしょうか。
(18:11:57)

「女神の赤い舌」2巻 ウヒョ助(小学館)

・突如いなくなった恋人を探しにタイにきた大道芸人の主人公。彼女は謎の宗教集団の教祖様をしている(という週刊誌の記事を読んでタイに行った)。

・そして、タイに入っての2巻目はついに宗教教団へ侵入しましたよ。だけど囚われの身になりました。はてさてどうなるといったところです。

・いや、本当、早い展開ですね。1巻からのテンポのよさは今巻でも健在ですね。

・これで10巻20巻と続いたらウソだよな。適度なところでうまくまとめることを期待します。
(18:54:41)

「壁ぎわ税務官」16巻 佐藤智一(小学館)

・税務官、滞納取立てマンガも16巻目ですよ。これがクオリティが落ちない落ちない。まあ、脚本として「コミックブレーン推進委員会」の力が大きいんでしょうね。なにげに小学館ってお抱え原作者がいちばん多い出版社なんじゃないかと思ったりしますね。

・16巻もつづくと、今回はこのパターンかってのがでてきます。うまく税金逃れをしてるやつを追い詰める話。「道路工事謝麿」というとてもよく似た人を想起するような時事ネタリンクもの。主人公と相方のご先祖様が登場する過去編。あと、納税にドラマありの泣かせ編など。1冊に一通りのパターンがうまく配合されてますね。

・んま、1話完結ですし、どこから読んでも安心のクオリティですね。ただ、どこから読んでもいいってのは、どこで止めてもいいってことでもありますね。今回、「おもしろい」以上の感想が出てはきませんでした。これが、この手のマンガの弱点でありますね。
(19:16:45)

「ギンバエ」1巻 鈴木あつむ(実業之日本社)

・金で救助活動を行ってる民間企業の苦闘を描いてるやつ。ブラックジャック・ミーツ・め組の大吾的。いきなりぶっちゃけてますね。

・たとえば、荒れ狂う海の上に漁船で犯人が身代金を要求。ヘリで乗り込んでいったり。
・七輪自殺者を富士の樹海で探したが、1人がクルマを暴走させたり。

・これが、民間であるからこそ、確実に金が入る算段をしておいてからじゃないと仕事ができないってのが面白い要素にもなっているんですね。絶対赤字を出せない。なぜそうなのか?って事情もちゃんと語られてます。

・鈴木あつむってマンガ家は巧いです。モーニングで少年犯罪を中心とした「検察官キソガワ」、同じマンサンコミックで末期ガン患者に出す最期の食事の話など、非常にうまい題材を拾い、話をふくらませて、ゴラク作に仕上げてきます。今回はそれにアクションがけっこう加味されてます。たぶん、推測ですが、「乗り物」が好きな方なんでしょうね。このタイトル「ギンバエ」はロシアから払い下げの中古の軍用ヘリ「Mi-24 ハインド」からです。だから、ヘリのアクションが多いですよ。前記の「検察官キソガワ」でも、なぜか突然あった、車高が手動で変えられる自動車のネタが妙に印象深かったりしましたし。

・ものすごい手に汗握るというものではないです。でも、おもしろかったです。
(19:49:30)

2004年/2月/4日
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「ハニハニハッ! 〜サテライトNOAH漂流記〜」1巻 がぁさん(少年画報社)

・がぁさん最新作です。

・一見ジャングルの未開部族みたいなところで、救世主サマが目覚めるところから物語りははじまります。
・まあ、3p後にネタバラシしてますので、どんどん書いていきますが、実はそれは超巨大宇宙船なのです。
・事故により、外宇宙へと漂流しており(本当はちょっとちがいます)、スタッフの1人が未来に希望を託して冷凍保存(みたいなもん)してたのですね。それが救世主サマで、この宇宙船の機関長だったりする。で、生贄のハニハニ(教えにより、代々、金髪+メガネ+巨乳の娘が担当するのです。その50代目)とともに、宇宙船を地球に返すべき、奮闘する話。

・これが、がぁさん作品にしては、最高にエロが少ないのが特徴ですね。もともと、エロマンガ国の住人でありながら、ほとんど国境にまたがって住まいをかまえてる人で、もっとアケスケな表現させてもらえば、実用度は低いエロマンガを描く人なんですね。

・だから、エロマンガでストーリーがうまい人って存在から、ストーリーがうまい人へのステップアップをはかった意欲作だったりするんですよ。
・ええ、まあ、ハニハニは、腰みのひとつで、おっぱいはその金髪で隠してるって状態なので、まあ、ライトエロってのは残ってますけどね。なぜか、うまく隠して、ハニハニのビーチクは妙にガードしてるって仕様になってます。
・この先、どうなるかわからんけどね。

・がぁさん氏はそれでけっこう不遇の人なんですよね。これまでも、長編を残念なカタチで終らせてしまうってのが多かったですよ。どれもこれも「エロマンガの〜」なんてカンムリがまったくいらない名作(になりそうなもの)が多いです。おれの持論である「エロマンガでエロくないマンガ家はおもしろい」というのを体現してる人ですよ。いや、まあ、それなりにがぁさんもエロ方面にシフトしてますけどね。

・ということで、本作もはじまったばかりなんですけど、どうなるかってところなんですよね。ぜひ、1回くらいは、作者が「描ききった!」って感じを受け止めてみたいなあと。これが、どういう終わりであろうと、びっちりまとめあげてる力量はある方なんですけどね(「たいむskipラン♪」はちょっと例外で、最高に残念なんだけど)。

・がんばってください。奥さんも「なかなかおもしろかったよ」と奥さんにしちゃ最高に近いホメ言葉だったし、なぜか下のガキ(5歳&文盲)も絵が気に入ってたみたいです。
(11:20:25)

「並木橋通りアオバ自転車店」10巻 宮尾岳(少年画報社)

・10巻から、ちょっと構成が変わったんですよね。
・アオバ自転車店を介在として、自転車のあるほのぼのオムニバスストーリーという設定は変わってないんですけど、病気療養していたアオバ自転車店の妻が現場復帰して、毎巻ラストに収録されていた、アオバ自転車店ヒストリーなのが終了してからはじめての巻なワケです。
・本作はどうも「サザエさん」タイムを採用していて、変化がないのですが、ちょっとだけ時間が動いた感じですね。もうちょっと細かいことをいうと、ほかにもいろいろと動いてますけどね。まあ、「おおらか」ということでね。

・で、10巻白眉は、物語で準レギュラーみたいな感じで、何回か登場してる美女たちが大集合して、ビーチバレー大会ですよ。
・これがまあ、なんていうかなあ、正直にいうと、けっこうワクワクドキドキしてしまったんですよ。おもしろいスポーツマンガ(バトルマンガ)を読んでるときのように、体毛が逆立つようなぞわぞわ感がありましたよ。たとえるなら、主人公の味方が全員集合してさあ闘うぞみたいなときの感じかな。
・ちゃんと、それはそれで自転車をからめてうまくまとめてるしねえ。

・で、ほかの話も相変わらずのクオリティですよ。
・変わり自転車の回、オールサイレントあり(マンガ家さんは1回はやってみたいんですかね)。

・で、オムニバス部門ベストは、ベタですけど、ラスト収録の「英雄の条件」かな。ヘタレ中学生が好きな女のためにBMXのレースにでる話。

・いやあ、一時、アレ?と思っていたこともあったんですけど、おもしろいわあ。

・連載誌「ヤングキング」における、「美味しんぼ」「ナッちゃん」「クッキングパパ」みたいなノリなんでしょうかね。雑誌で買ってると、そのよさが見えにくいかもしれないタイプかもしれませんね。
(11:57:43)

2004年/2月/2日
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「クラッシュ万事休す」くどうひさし(司書房)

・エロマンガです。

・表紙のキャッチーさに惹かれて買いましたよ。昨今は100円の中古エロマンガばかり買ってるのに、これはめずらしく、もうちょっと高い値段で買いました。

・ジャケに「成年コミック」となければ、わりにそうとは思わない、非萌えな絵柄がおもしろいと思ったんですよ。たいがいの成年コミックは表紙と中の絵がずいぶんとちがったりしますけど、これはそんなことなかったなあ。ほとんどビニールで包まれてる(中古でも)エロマンガにおいては、めずらしくもありがたいことです。なんとなれば、アダルトビデオでもジャケットの写真と、中の女性がちがう(ひどいのだと別人)ってこともありますしね。

・で、例によって作品集なんですが、最初に載っている表題作が最高ですね。基本的にコメディタッチな明るいタイプのエロマンガなんですが、表題作、非常にカッ飛んでたなあ。

「クラッシュ万事休す」
・20歳のバーディを1人でさびしくお祝いしてる主人公の部屋に飛行機がぶつかって、中から、幼馴染だけど、ドイツに引っ越した女の子と15年ぶりの再開。で、ノルマ。そして、驚愕(=デタラメ)なオチ。

・あとは、浜辺で少女にいじめられていた、着ぐるみのペンギンを助けたら「わたしは鶴です」って、ノルマな展開になる「Pの誘惑」

・毎夜サキュバス(ググって調べよう!)にイかされる男。しぼりつくされたらチンポがもげると聞いたので、がんばって対決する「ももいろドリーム」
・ここでのやりとりがおもしろかったなあ。

大学のキャンパスのベンチ。トモダチと主人公が話している。

トモダチ:4人でパーティー組んで / まあよくあるRPGなんだけどな / ってテツロー聞いてるかあ?
テツロー:ん?ああ…/俺も割と遊んだな/キングスナイト
トモダチ:ワイルドアームズ3なんですがッ!

・まあ、この後、本題に移るんですが、このくすぐりがいいなあと。

・デコ萌えな妹と一線を超える「POKAPOKA」、カチューシャ+メガネな妹と以下同文な「Natsu bana」といった、普通のもありますね。

・絵がアッサリ風味でありながらもちゃんとエロいのがいいですね。
(16:03:38)

「お願いおっぱいの神様」猫玄(メディアックス)

・んー、去年知って、昔のいろいろと集めてる猫玄さんなんですが、本作は2000年のモノで、わりに新しく、最新作品であった「ニセモン」と、それ以前のおれの知ってる作品の橋渡し的な感じを受けました。まあ、いわば絵柄においての過渡期というべきか。

・しかし、ツルペタ系の作家がどうして「おっぱいの神様」?などと思いましたよ。

「お願いおっぱいの神様」
・おっぱいに興味を持ってる男がいます。彼はおっぱいそのものが好きなんですね。で、できれば自分も欲しいと。だから、巨乳になれる神社でお祈りしたら、女になりましたと。で、ルームメイトとパツイチかますって話ですよ。

・あとは、会社では鬼上司で、いつもしかられているけど、実は性格が真逆で、なおかつ同棲してるという「僕しか知らない彼女の秘密」

・なぜか、するたびに金を取る彼女の話「GIVE&TAKE」

・いい話で、以前の絵柄よりはエロくなってきつつある感じがいいです。ただ、なんていうかな、変哲がなくなる単なるエロの作品もあるんですよね。上記のようなひねりがなくて、わりとスーっと抜ける(ダブルミーニング)ようなやつ。ここいらはどうなっているんでしょうかね?
・まあ、このまま買っていけばいつかわかることですね。
(16:22:29)


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