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ポトチャリポラパ/コミック/2004年
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2004年/4月
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2004年/4月/30日
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「よつばと!」2巻 あずまきよひこ(メディアワークス)

・2巻目です。2巻にして気づきましたが、「よつばと!」の「と」は、「AND」なんですね。なんとなく、「四つ鳩」みたいな気分でいました。
・そして、そういうことに気づくくらいじっくりと楽しませていただいた2巻でした。

・1巻は微妙だったんですね。たぶん、おれか、あずま氏か、編集のどちらかが、あるいは全部が、慣れてなかったのではないかと考える。で、たぶん、まちがいなくおれは2巻で慣れましたよ。

・よつばってチビッコギャングが大暴れする「クレしん」げなコママンガですよ。よつばが少女な分、クレしんより上品ですよ。

・間がよくなったのではと考えます。たとえば、ジャンボ(登場キャラ)に絵をホメられたよつばがバンザイする「ため」がありますね。あのコマはかなりいい効果を生み出してると思えるのです。
・あさぎに水鉄砲を奪われて撃たれるシーン。撃たれます。撃たれた後の1コマ。ケーキ屋でのよつば。

・正直、「これはいらんのじゃ…」って思うコマもあります。でも、その「ゆとり」みたいのが、独特のテンポを生み出してるのはまちがいないし。

・あとは、キャラも、おとなりの3姉妹を頻繁に出したのは正解。3姉妹の末っ子のトモダチのみうらも大正解。だから、ベストは「よつばとかえる」ですね。

・本作は、また、「あずまんが大王」とちがって終らせる必要がないのがいいですね。永遠に続けられる。時間を動かすのかどうかわかりませんが、その必要はあまり感じられませんね。1巻でチラリとあった設定もナシでいいんじゃないかと思ったり。

・よつばにときおり見受けられた ちよちゃんやトモ(あずまんが大王のキャラ)の面影はだいぶ払拭された気がします。

・もっともっとおもしろくなります。そんな予感がします。オススメ
(20:21:50)

2004年/4月/27日
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「るくるく」3巻 あさりよしとお(講談社)

・相変わらず白い背景をごまかす天才だなあとイヤミをひとつ。

・3巻目ですよ。いいことをするために下界にきた悪魔のるくるくちゃんとその一味。神様なども含めてのドタバタ下町コメディです。

・バランスがスゴイですよ。ドタバタ、エロ、シリアス、ほのぼの、全てほどよいサジ加減で繰り出している。だから、通して読むと、なにかに突出してるわけでなく、スムーズに各キャラがアタマに入る。しかも、短いページ数の中にもたくさんあるんだよね。様々な要素。今回はギャグ、今回はシリアスということではなく、キレイに混ざってる。

・どうもポイントとして「食」ってのがありましてね。るくちゃんがいろいろ作ったりって話が多い。シュークリームの話なんてのはいいですね。たしかにたくさん作るとうまくごまかせるってのはありますね。

・だから、白い背景でも食い足りないとはまったく思えない。毎回栄養のバランスに気を使った定食屋の日替わり定食のような安心感があります。

・しかも、わりに1話完結なあさり氏にあって、本作はけっこうつながってる。これ、本誌で読むとどう思うかはわからんけど、コミックだとまたいい具合の腹持ちになるんですね。

・ただ、ほんの少しだけ、残念と思ったところは、るくちゃんが、「こなれてきた」ことかなあ。端的にいうと、なじみすぎて萌えが薄まったかなあと思った3巻です。作画がうまければうまいほど萌え力は増すかというと一概にそうもいえないんですよね。まあ、1,2巻と比べてみるとよりはっきりすると思いますが、3巻のるくちゃんのほうが巧く描けてると思いますが、1,2巻のるくちゃんのほうがより萌えたと。

・まあ、それはそれということですが。あさり氏も脂が抜けてきたのでしょうかね。
(19:21:09)

「ふたつのスピカ」6巻 柳沼行(メディアファクトリー)

・んー、安定してますね。
・だけど、安定していいのか?と思いますね。
・どこに向かうんだろう? 宇宙学校が舞台の学園ハートフルストーリーが本書の着地点なのか?

・絵はもう進化するのをあえて止めているかのような不動っぷりだけど、ストーリーは非常に洗練されてきている。
・だからこそ、このまま学園ハートフルストーリーで安定して続けていくつもりなのか?と。

・宇宙に行きたいと思ってる彼女たちですよね。で、学んでいくうちに友情なんかが芽生えますよ。各キャラの事情も掘り下げられますよ。まあええわいな。でも、おれにはあると思った「本筋」がいつの間にかそれになってる?って気がしたんですよねえ。んー、もしくは、停滞中というか。

・おもしろいとは思うんだけど、長い。そういう問題に直面しつつあるような。まあ、問題と思ってる人はおれだけかもしれませんがね。
・おれはもう長いマンガを楽しむココロの余裕はないんだ。それなら短くておもしろいマンガを1冊でもいいから読みたい。長いと思った時点で、それはおれにとって長いんだし、それはおれにとってかなりのマイナスポイントなんですよ。
・そう思う原因は本書内の時間経過があまり感じないところにあるのかもしれないな。
・ま、もうちょっと様子はみますが。その程度の余裕はあるんだ。後2巻くらいかな。ここで、「本筋」が動かないようだったら考えるなあ。

・あと、アスミ(主人公)は、小さいわりにパイオツがけっこうあるなあと思いました。あの感じだと、こうなんていうか、もっとツルペタでもいいんじゃないかなと。
・そういうマンガでもないんですけど、だれも指摘してないだろうし。
(19:33:03)

2004年/4月/25日
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「ピピンとピント」1巻 大石まさる(少年画報社)

・大石まさる最新作です。
・へんぴな港町が舞台。主人公は写真に夢中になると暴走してしまう少年ピント。そこにおじいちゃんの娘という湊が現れる。死んだはずのおじいちゃんは宇宙人と結婚してたのだった。その娘ですね。そして、おじいちゃんの持っていた不思議なカメラも出てくる。

・ということで、あとは18番のハチャメチャと。

・本作は大石マンガの集大成ですね。「りんりんDIY」に通じる少女たちのハイテンション。「みずいろ」の奔放なエロと渋いジジイ。「空からこぼれた物語」のSF的設定。「泥棒猫」でのケモノが喋るところ。
・のみならず、夢ノ二名義のエロマンガにも通じるようなところもあります。

・そう、けっこうエッチなんですよね、これが。メガネっ娘でスレンダー(=ロリ)な湊、隣のすし屋の娘ですべてがでかいモモネ。湊の母親は湊よりちょっとだけ若くてちょっとだけ大人な身体になってたりする。ほかにもいろいろとねえ。

・ということで、テンションやノホホン度は「りんりんDIY」と変わらないのに、ガキにみせられないマンガになってしまいましたよ。

・ストーリーのほうも意外に謎含みでして、作者も「考えてる」とはいってますが、かなり奥行きのある設定なのでどうなるのかな?といったところで。

・まあ、このなんでもアリがたたって破綻しない程度にはマッタリとすすんでほしいですね。
(16:49:00)

「ラブロマ」2巻 とよ田みのる(講談社)

・2巻ですよ。2巻は楽しみにしてました。
・1巻の衝撃がかなり大きかった。それは、かなり掟破りのラブコメだったからです。男は全てを正直にいう。女はそんな男にツッコミながらも惹かれると。この設定だと、後々辛くなるんじゃないかなと思っていたんですよ。だから、2巻が楽しみだったのです。まあ、ちょっと悪趣味な方面でもね。

・でも、いい意味で裏切られましたね。意外にサラリとクリアしてる。

・これが2人の関係も甘酸っぱいままで、とくに2人の中を切り裂こうという邪魔者もなく、2巻が過ぎていきますね。

・本作を読むとつくづく、学園モノというのは、無敵だなと思いましたよ。キャラも困らない、行事などでイベントにも困らない。なおかつ、多くの人が体験してるから共有しやすい。

・まー、本書のスタンスは2巻収録の「ホシネギ恋愛事情」でガッツリ描かれてますね。だからおれがなんかいう余地がないですよ。で、もって、それを実践してる、次の「笑顔になるホシノ」。ミゴトな流れです。この2編で「これはずっとこういうスタンスで続くマンガ」であることを宣言してる感じですよ。とかいって3巻でグジャグジャになったりするかもしれませんがね。

・それとは別に、学園マンガらしい、学園祭の劇もよかったなあって。

・本作が強いのは、2人の関係がうらやましいというねたみや嫉みを換気するものじゃなくて、「サチアレ」と祝福したくなるところにあると思うのですね。そりゃあ、単純に彼女がいるって状態にねたみがある人もいるでしょうけど、「彼らなら許せる」と思えるんじゃないでしょうかね。

・ま、個人的にホシノの姉が好きです。おれは「心閉ざす系」に弱いのかもしれない。
オススメ
(17:14:39)

「コミックマスターJ」11巻 田畑由秋&余湖裕輝(少年画報社)

・久しぶりな感じが。どうもチマタではこの2人が手がけてる「アクメツ」のほうが人気あるみたいですが、おれはそっちは読んでませんので。

・マンガ界のブラックジャックなマンガです。法外な値段でマンガのアシスタントを引き受け、完璧な仕事をこなす男Jの話です。

・10巻あたりから顕著になってきたような気がする、現実の問題とリンクするってのが11巻ではさらにすごいことになってましたね。
・新古書店「ブックガイ」について。ネットゲームに熱中するマンガ家。万引き。

・とくに、新古書店と万引きはおもしろかったね。
・新古書店のほうは結論があいまいだったのが残念。本当の某有名新古書店でもオリジナルのマンガを作ろうとか思ってるのかしらね?
「ハイエナがっ」と吐き捨てる「J」はカッコよかったですね。まあ、おれもハイエナの仲間なんですけどね。たしかに、あまりホメられた商売ではないですね。ただ、ハイエナに足元すくわれることになった出版社と書店もふがいないって話なんですけどね。

・で、万引きですよ。これまた、新古書店と密接じゃないですか。新古書店ができると近隣書店の万引き率のケタが跳ね上がるそうですよ。で、あれですよ、買取が1万以下の場合身分証明書とかいらないんですね。
・いや、書店やってなくてよかったよなあ。おれストレスで漏れなく死ぬわ。
・本当、不思議なんですよね。「おまえ字読めるの?」ってのがけっこう本屋にいますからね。
・で、この万引き問題に関しては有効な提案がなされてます。いつかだれかこれをやってほしいもんだ。まあ、万引き少年を殺すだけなんですけどね。

・まあ、マンガを描くのは大変だよなと思います。だから、おもしろいマンガは金だして買いたいものです。
(17:43:14)

「ラブやん」3巻 田丸浩史(講談社)

・相変わらずダメ人間の好む空気が充満してる中でのほのぼの感が格別のとてもステキなマンガ。
・もう語ることがないです。相変わらずステキです。作者はジャモジさんが出るときに格別に力をいれてるような気がするんですけどどうでしょう?

・とくにサバイバルゲームの回では抱腹絶倒でした。

・あと、オナホールの回に、「田丸、なにがあった?」と考えると意味深でいいですね。
(18:00:19)

「焼きたて!!ジャぱん」11巻 橋口たかし(小学館)

・祝小学館漫画賞受賞巻ですか。たぶん、歴代の受賞作じゃあもっとも悪ノリしてるものだったりしてね。

・なにがポイントなんだろう。ふと考えてしまいます。まあ、順番ってのが手堅い理由なんだろうけどさ。

・絵が巧い。まずこれがポイントですよね。「美味い」でも「上手い」でも「旨い」でもない「巧い」ね。タクミなんですね。
・たとえば、11巻では、ずっと謎だったフランス代表のマントの中が露になった。これがミゴト。どこにもお手本のない変態チックな肢体をキッチリ描写してる。

・あとは先に記したとおり、悪ノリが過ぎるってのもあるな。せっかくマンガだ。なにを描いてもいい。ってんで、グルメマンガにおける「美味いものを食ったときのリアクション」を限りなく逸脱させた。というか、むしろ、それに命をかけてるきらいもある。

・そして、それに付随してギャグ貧乏なところもポイントかな。細かいところにどうでもいい(文字通り)ギャグをこれでもかとつめこむ。まあ、それは良し悪しでもあるんだけどね。

・でも、おれ的には、やっぱり女性がカワイイことにつきますね。毎巻いってますが。だから、カバー表見返しの月乃のコスプレが1番の楽しみですよ。11巻はメイドさんでしたよ。あと、オマケも月乃がメインのものでしたよ。
(18:48:29)

「焼きたて!!ジャぱん」12巻 橋口たかし(小学館)

・12巻の最大のみどころはアメリカ代表のモニカがかわいいところと、カバー見返しの野球選手のコスプレをしている月乃ですね。

・あ、終ってしまう。

・似顔絵は似てませんよね。

・あと、あとがきマンガで「さすがの猿飛」というか細野不二彦氏に影響を受けたなんてありましたが、なるほど、そうだよなあと合点がいきましたよ。細野不二彦氏の絵がベースにあるよなあ。そういわれてみれば。

・もっと女性を描いて欲しいと思いました。毎巻いってますが。
(18:59:02)

2004年/4月/22日
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「ワイルダネス」3巻 伊藤明弘(小学館)

・ほとんど年1刊行ペースがうらめしい「ワイルダネス」ちゃんですよ。3巻目ですよ。
・なんと、オビが内藤陳氏。ハードボイドドダドの人がオススメくれましたよ。これは伊藤氏うれしいんじゃないかなあ。おれも、内藤氏には一時期かなりお世話になった。というか、「読まずに死ねるか!」のとおりに本を買っていた時期がありますよ。

・で、3巻は大銃撃戦が2つもあるというテンコ盛りな内容。しかも、これ、最初の1発が撃たれるまでのテンションの高め方は最高ですよ。
・逃亡者3名はポルノフィルム撮影スタッフに紛れた。そこに迫る追っ手。ここでのただならぬ緊張と緩和といったりきたりの感じは本当上質の映画や小説のそれになにも劣るところがありませんね。
・むしろ、銃弾の雨の下での「ドラマ」はなによりもすばらしいし、オンリー1だと思います。

・その後の、「裏切り者がいる」銃撃戦もよかったです。この2つの銃撃戦での「よーいドン!」となる合図がそれぞれいいですね。

・と、ホメちぎりたいのもヤマヤマですが、スチャラカな銃撃戦に関してはやはり「ジオブリーダーズ」には負ける感じがしますし、どうもどこかで「映画」ってのを意識されてるかのスカし具合が、髪の毛1本分ほど気になるかなあ。まあでも「ジオブリーダーズ」より「一般的」ではありますよね。

・まだ余裕で追いつけるぞ。
オススメ
(19:32:09)

「(株)〜かっこかぶ〜」3巻 渡辺電機(株)(集英社)

・なるほど、3巻にして、本誌を連載してる「ビジネスジャンプ」は集英社が「モーニング」創刊に、どういうものかわからんけどとりあえずぶつけてやれ!って感じでぶつけてきたことを思い出しました。

・つまり、「えの素/榎本俊二」=本書ということなんですね。

・そう思ったのはなんだか似たようなところが多いような気がした3巻だったからです。3巻はチンコとウンコのオンパレードで、「あれ?こんなだっけ?」と過去の記憶を探ったほどだったのです。いや、そのウンコとチンコの使い方は「えの素」とのそれとはちょっとニュアンスがちがうのですがね。

・あと、もうひとつの共通項は「イエー」ですね。
・世の中には、明らかに出どころのはっきりしているネタと、なんとなく紛れてるものと2種類あると思うのです。後者のは、損ではありますね。この「イエー」は後者です。

「イエー」というのは記号です。「今楽しんでますよ」ということを表わしてます。たとえば、馬券をとったとき、職場で下半身露出してるとき、尻をムチで打ってるとき、飲み会で。この「イエー」がある。これは多分、「えの素」で生み出された画期的な発明ですよね。本作で多用されているのをみて確信しました。

・と、まるでパクリみたいないいようですが、そうではないのです。渡辺電機氏が「えの素」読んでるとか、パクってるとかはどうでもいい問題なのです。会社で下品なことをしてるギャグマンガということくらいしか共通項はないワケですしね。

・あ、でも、もうひとつ。「えの素」とちがい本書では女性はヘンな目に遭いませんね。コブシにモノをいわせて全てを解決する梅宮、副業で殺し屋をやってる桃川、お茶くみ要員だけどよくわからん桜沢、普通っぽいOL、しのぶ(名前だけ)。
・彼女らはたまにひどい目に遭ったりする男子社員とちがい、非常にのびのびとOLライフを謳歌されておりますね。それがまたいいんですよね。萌え萌えっすよ。まあ、ウンコまみれになったり、裸にひんむかれたりする、「えの素」の女性も萌え萌えですけどね

・でも3巻は女性よりもレギュラー男子社員キャラが活躍してましたねえ。週2のソープ通いを実現させるために風俗で店員のバイトをする三輪。ネコなのに、ギャンブル狂いで、借金取りから逃げ回ってるナガシマ、こんなスチャラカ社員の中で苦悩してる課長。女装癖の社長など、まーがんばっておられますよ。

「会社は家族」ってのが図らずも本書で書き表してあり、なんとなく興味深い。楽しいけど、そこにはいたくない職場ではありますけどね。

・コミック描き下ろしの「登場人物紹介 その8」がどこかのツボに入ったみたいで1番笑った。
(20:45:21)

2004年/4月/20日
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「茂志田諸君!!」モリタイシ(小学館)

・単巻モノで、「焼きたて!!ジャぱん」しか買うものがなくつまんねえので買いました。当然、知らない人です。後で調べたら、「いでじゅう!」という柔道マンガを「週刊少年サンデー」で連載しているそうですね。

・とてもおもしろかったです。初期傑作選といったオモムキで、短期(半年)集中連載の表題作に、デビュー作も含む短編がいくつか。

・とてもアタマのいい茂志田くんだが、実は小学生の妹に萌え萌え。学校1の巨乳美女の誘いもソデにする。だが、妹の様子がおかしい。ということで、こっそりストーキングしたらビックリの秘密が!

・ということで、1話目2話目は完全に意表をつかれてしまいましたよ。

・あとは、ヘンな人が登場してヘンなことするギャグマンガが短編かな。

・キャラのインパクトと全体的なテンションの高さで押し切るというパターンです。それを抜くと案外と凡庸かとも思いますし、その「ノリ」が合わない人はキツイかもしれないです。毎話、顔がちがいますし、「ギャグ貧乏」っぽくガツガツとかましてきますし、そのわりにヒット率はもうひとつですし、見開きや1pぶち抜きが多いです。
・だから、芸能人にたとえると山崎邦正みたいな感じかもしれませんねえ。あの方はテンションだけで家や外車や美人妻をゲットしてきてますからね。そう考えると実は侮れないんですよ。そういった感じがします。ただ、山ちゃん10人分のおもしろさは本作にありますけどね。

・いやいや、そうなんですよ。だから、客観的にみると上記のとおりツッコムところもありますが、おれは「好き」ですね。このマンガ。とくに「茂志田諸君」。各キャラともバチっと立ってますし、配置も絶妙。テンションで読ませるのも芸のひとつですしね。

・たぶん、「いでじゅう!」はそこいらがさらに洗練されているとは思います。スポーツマンガは避けぎみなので読むかどうかわかりませんが。
・いいマンガに出会えたなあと喜ぶことにします。
(19:32:46)

「LOVE ME DO」1巻 新条るる(芳文社)

・そうか、だいたい想像してたんですが、非常に辛かったです。読了するのがキツかったです。やっぱ止めておけばよかった。

「パンパレード」という1500円もするマンガがあるんですよ。出世作になるんですかね? 変身するメスケモノと暮らすほのぼの4コマですよ。これ、2巻目になってから、雪男と雪女の同棲物語みたいのがえらいメインになるんですよ。で、そのワケがキッチリ描いてありましたけど、新条るる氏は谷崎潤一郎萌えなんだそうですよ。
・美少女に翻弄されるオッサンってな図式がたまらないんだそうで。

・本作はそういう趣味が全開なんですよ。

・キャラは3人。16歳で結婚した少女。30歳くらいの金が目当てで結婚してもらったダンナ。スーパーで680円の特売で買った犬型メイドロボット。
・彼らがほがらかにやってるものですよ。16歳の少女は遊んで暮らせてサイコーで、メイドロボは全体のツッコミで、ダンナはヘロヘロにコキ使われるという終らない日常を繰り返しているわけです。

・そう、幼妻マンガなんですね。意外にビジュアル4コマの発展に限らず、「ここだけのふたり/森下裕美」だの「放課後キッチン/水田恐竜」なんて名作もありますよ。

・まあ、ぶっちゃけますと、おれはその図式がイヤなんですね。嫌いなんです。こういう女性に素で怒りを覚えるような余裕のない男なんですよ。だからムカついてしょうがないんですね。要するに合わないと。
・マンガ的に特筆するところもねえしな。まあ、そういう思い切りなキャラ設定はすごいかな。

・ムダにダメージだけいただきました。もう新条るる氏はこういうのだけ描いててください。思い切り無視できますし。

・ただ、この図式がたまらないって人にはおもしろいと思いますよ。「ほのぼの」という名の真綿でくるまれていながらも時折感じるチクチクが病みつきになるんじゃないでしょうか。
(19:50:32)

2004年/4月/17日
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「こぐまレンサ」1巻 ロクニシコージ(講談社)

「すべてに射矢ガール」の作者の新作ですね。
「こぐまちゃん」と呼ばれる不思議な少女(不思議少女ではない)を軸に据え、世にも奇妙な物語系のオムニバスなストーリー。まあ、「いまのところ」という但し書きが必要かもしれませんが、1巻ではそういったノリ。

・命とひきかえに名作をいわゆる「悪魔の契約」に求めた作家。そこで現れたのが「こぐまちゃん」。そして、望みはかなえられるし、代償も意外なカタチで払わされる。

・チワワを飼う。でも、病気で死んでしまう。失意のドン底の中、女性と出会う。いつしか恋に落ちる男。でも…

・ブサイクな女、しつこくイケメンの男に言い寄る。でも、てひどいカタチで傷つけ続ける男。

・こういう感じな話がつづくわけです。で、悪魔の契約で書いた「名作」も連載内連載といったカタチで収録されています。

・もしかしたら、タイトルのように、様々なエピソードが「レンサ」していくのかもしれませんね。

・個々のエピソードは、わりとよくできてますし、「すべてに射矢ガール」から一段と向上した画力。いろいろな謎を秘めているのも先が気になります。

・ただ、ものすごい正直に書かせてもらいますと、「おめえにゃあ10年早いんじゃねえの?」って感触もありましたよ。前作は一応ギャグめいたものだったし、デビュー作などもそういったノリだった。たしかに共通するところ、通じるところはあります。矢がアタマを貫いている女子高生の複雑な心理なんかをうまく描いていたと思うのです。

・でも、なあ。いろいろな点で物足りなさを感じるね。とくに画力のほうで。「向上した」と書いたけど、元が元だもんでね。

・好きな作者なだけに、けっこう大変な道を選んだなあという心配とガッカリがない交ぜになった不安な気持ちになります。まあ、終ってみないとなんともいえない作品でもありますけどね。
(17:50:36)

「竜宮殿」1巻 松永豊和(小学館)

「バクネヤング」の人の次の長編ってことになるんでしょうか?
・竜宮城+ふしぎな国のアリス的なファンタジーなマンガですね。

・ウサギの着ぐるみで芸をやってる兄弟が不思議な少女に連れられて海の底の竜宮殿に着きました。そこは遊郭だったのです。そして、脱出をはかろうとするんですが、兄弟は離れ離れになってしまいましてさあ大変。

・相変わらずの非常に精緻な絵で、不思議な世界を描いております。
・あとは、この手のファンタジーにありがちな説明不足感がないことですね。ベタなくらい下世話な世界(まいう〜とかありますし)です。

・竜宮殿の娼婦たちは、実は魚人だったりしますので、耳があるところにエラがありまして、なおかつそこが性感帯になってますよ。そこを少年がそっと触れるシーンがエロくてよかったですね。

・本作と「バクネヤング」の間にあった、習作のような短編群よりも、さらに「かわいい」を描いてるなあと思います。でもって、「バクネヤング」からのヴァイオレンスもありますね。

・ということで、ゴラク作です。ワクワクドキドキの冒険物語ですね。そう考えると「うらしま太郎」をベースとした展開も、日本人が知ってる有数のドラッギーなおとぎ話って点からすばらしいチョイスですよ。

・たぶん、こういうサイトのこういうところを読む方はチェックしてる方が多そうな掲載雑誌「IKKI」で連載してますが、連載時と、コミックでまとめて読むのとではかなり感触がちがうと、おれも、本作の途中まで「IKKI」を購読してたことですし、念のためにつけくわえておきます。こういうことはありますよね。雑誌で読んでるのとコミックで読むのはちがいますよ。
(18:41:20)

「バジリスク 甲賀忍法帖」4巻 山田風太郎&せがわまさき(講談社)

・4巻です。
・原作がそうだからしょうがないんですが、相変わらず伊賀と甲賀が殺しあってますよ。だいぶお互いに持ち駒が少なくなってきておりまして、終わりが近いのかなと思ったりもします。

・徳川の密令で甲賀と伊賀で殺し合うことになりました。で、延々殺しあって4巻終了時には3vs3になりましたとさ。

・これ、それぞれ忍者らしい奇想天外な特技を持ってるのですが、そういう変り種ほど早く死んで、最終的には正統派が生き残りますよね。これはセオリーですよね。でも、このセオリーってもしかしたら、山田風太郎氏あたりが最初なんですかね。一芸に秀でているだけの人は、物語上では使い捨てになる場合が多いと。

・ということで、山田風太郎氏の作品が久しぶりに読みたくなりました。
(19:23:28)

「サムライガン 月光」4巻 熊谷カズヒロ(集英社)

・最終巻ですね。本家の方はどうなってるんでしたっけ?

・というか、話はかなりおいていかれてます。もともとややこしい話で、本家のほうに精通しておきながらもこっち独自の設定みたいのを把握しておかなければならないのでけっこう大変なんですよね。
・でも、本家よりエッチなんですよね。

・絵はすげえいいと思うんですよ。独自の世界もいい。アクションもカッコいい。ただ、話がわかりにくい。だから、個人的な希望としては、次回作は「明解」をテーマにしてほしいなあと思います。本作も本家「サムライガン」より明解ではあるんですけどね。

・あと、もうそろそろ「イデの発動」的なラストは止めようじゃないかとおれは広く世間に訴えたいところです。
・このパターン、SFが主流だったころから、現在まで綿々と受け継がれているベンリなオチですよね。最近は「エヴァンゲリオン」から、おれはとんとみなくなったので安心してたらこれでしたよ。

・でも、本作、最終的にはおもしろくまとまっていたとも思います。かなりいってること支離滅裂ですけど、おれにとって「サムライガン」シリーズは雰囲気を楽しむマンガですから。
(20:13:34)

2004年/4月/15日
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「トリバコハウス」1巻 宇仁田ゆみ(祥伝社)

・長編ですねえ。これまでは短編、もしくは、1巻で終るアッサリ目のラブストーリーという認識でいましたから、すでに長いなあと思ってたりするけど1巻目です。

・大学の受付で働く女性。15歳年上の彼氏の紹介ではじめた仕事。でも、おもしろくない。 あるとき、緑色のアタマをした学生の1人とモメます。おもしろくないまま、その緑色といっしょに飲むハメになります。そいで、彼の住んでいるトリバコハウスへと。

・まあ、同棲物語ということですか。

・1巻では、年上の彼氏が用意してくれた部屋から荷物を持って逃げるってのが白眉ですか。あと、「銭形金太郎」に登場するようなボロ下宿「トリバコ荘」の住人とかな。

・で、最初は「同居」なんですね。なぜか、同じ部屋に住み続けると。そのうち恋愛に発展していくと。

・男はよくあるパターンだなあと思うんですよね。ぶっきらぼうだけど実は事情があって、なおかつ、実はやさしいと。

・でもって、女性には都合のいい男かなと。まったく手出ししないしねえ(それも事情がからんではいるんだけどさ)。ほかの住人もモテないけど、気のイイ奴でねえ。

・女性誌に連載してる、(女性にとって)金はないけど楽しい生活的なユートピアなのかなあと思ったり。紅一点だし。好きな人と暮らして、まわりに「不快」な人が居ない。

・しかし、女性ってNGと思ったらなにがなんでもNGなんだなあということを思い知りますねえ。そうか、そこまで嫌うのかあって。「深追いは禁物」ってよく聞く慣用句ですが絶対の真理なんだなと。

・2巻はどうなるんでしょう? ゴールがみえてないのでどうなるかわかりません。
(18:36:48)

「新・電脳なをさん」1巻 唐沢なをき(アスキー)

・これまでの「電脳なをさん」のカラーがなくなり、ソフトカバーになり、値段もかなり勉強(以前1400-1600円→980円)になりましたので、「新」がついたということです。「ますます美味しく!」といって、小さくなった井村屋のあずきバーみたいな感じですね。

・本作はある点での唐沢なをき世界の頂点といえるものなので、こういうのは残念です。ネタも水準もなにも変わってないので余計に残念です。

・ということで、相変わらず、PCの時事ネタ(おもにアップル社)をからめて特撮、マンガ、アニメ、などのパロディにからめていくという手法は、健在です。

・相変わらず誰がわかるんだ?ってネタを投入。それでXBOXから、ipodのブームまで(って読み直したらそこまでいってませんでした)ぐじゃぐじゃに茶化しまくってる。スティーブジョブスとビルゲイツが日本語わからなくてよかったなあと思わずにいられないネタの数々。

・やっぱり「まっく道」のクライマックスですかね。巨匠・手塚オナ虫に会うシーンですね。大笑いしましたよ。

・敬愛するマンガ家・湊谷夢吉氏のパロディもあったなあ。

・あの小さい人と大きい人が出てくるマックのノートPCのCMネタも多かったなあ。チッチとサリーでくるあたりのセンスがすばらしいです。みつはしちかこ氏でしたか。

・まあ、当然のコトながらわからないパロディも満載なのですが、吾妻ひでお氏が提唱した画期的な手法「元ネタがわからなくても楽しい」ってやつ採用なので安心です。まあ、わかったほうが楽しいのですがね。

・高くてもカラーがいいよなあと思います。本作がものすごい売れるってことはありえないしね。で、買うやつは2000円でもなんとかがんばって買うような気がしますし。
(19:25:03)

「ガタピシ車でいこう!! 迷走編」2巻 山本マサユキ(講談社)

・相変わらず「これでもか」と詰め込んだ、ボロ車(素直にガタピシ車って書けばいいじゃん)バンザイ、改造バンザイマンガです。
・今回もステッカー、リバーシブルカバー、カバー取ったら表紙にオマケマンガ、カラーページあり、図版多し、文字のエッセイ、描き下ろし「連載」マンガ、アシスタントのオマケマンガ。
・で、個人的には、クルマをPCに変えた、PC改造マンガ「バラさずにはいられない」がよかったなあ。そうか、クルマのノリでPCでもムチャできるんだなあと。クラッシュしたハードディスクを冷凍するとリカバリできるとかねえ。

・ということで、クルマに興味がなくてもとても楽しいマンガですよ。クルマが好きならもっと楽しいでしょうしね。しかし、作者、濃い毎日なんだろうなあ。
(20:07:21)

2004年/4月/12日
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「猿ロック」2巻 芹沢直樹(講談社)

・なんだか、延期とかあって縁起悪いなあと思っていたけど、2巻は非常によかったね。
・渋谷を舞台として、カギ屋のガキが活躍するマンガですね。

・幼馴染の女子高生がクスリの密売。それをおもしろくないやつから、横取りされる。そして、依頼主に監禁される女子高生。彼女の窮地を救えるのはサル(主人公)しかない。真犯人を探せ!
・後半にもう1エピソード。名門女子高の更衣室に侵入する不審者を探せ!

・こういう犯人探しの要素が入ったほうがおもしろいですね。
・前巻とちがい、今回は、カギネタはともかく、前半の地に足ついたPCの使用法やトリック(ってほどじゃないか)、後半の合鍵を作るためのトリックと、コってましたしね。

・それをうまく活かしつつ、作画のキレもあきらかによくなってますし、ゴラク作として、とても楽しめました。

・キャラもワケあって(そのワケは語られなかったけど)クスリの密売してる女子高生と、相方のデブちんとの「ドリカム」配置で、うまく回転してますね。

・他と比較して突出しているなにかがないのは気になりますが、どんどんよくなるホッケのタイコということでがんばってほしいものだなあと。
(16:40:38)

「彼岸島」6巻 松本光司(講談社)

・タランティーノ監督も恐れた!?ってオビにあります。写真もあります。ありがたくありませんね。

・で、6巻です。かなりクライマックスかと思ったけど、かなりひっくり返されます。そして、リセットですよ。

・親玉をやっつけて、辛くも脱出できたと思ったら、また、島に戻って、なんと「修業」がはじまるのですよ。「ドラゴンボール」かよ?

・んー、「すげえ」ってシーンも多いんですけどねえ。「こんなのサジ加減ひとつじゃねえか」とも思うのですね。

・「修業」があるってことは、徹底的に決着をつけるってことで、これまで分のサジ加減が必要でありますよね。で、どれだけ強くなると、あの、身長10mくらいのモンスターをやっつけられるんでしょうか? スーパーサイヤ人クラスですかね? 登場キャラがみんなかめはめ波を撃てるようにならないとダメなんじゃない?
・少なくともボスキャラは首をはねただけじゃ死なないってのがわかりましたしね。

・まあ、できるだけがんばってみてください。飽きたら読むの止めますし。
(16:51:02)

「賭博破戒録カイジ」13巻 福本伸行(講談社)

・最終巻。まあ、「カイジ」としてのシリーズは続くそうですが、「賭博破戒録」は終ったと。

・チンチロリンとパチンコで乗り切った破戒録です。で、パチンコも終りました。それまでの引っ張りに対して、あっさりしてる?と思ったくらいのサラっとしたラストでしたね。きっと、福本氏は買って大喜びしてるやつなんか描きたいと思ってないんでしょうね。

・ギリギリの状況下でヒリヒリしてたり、ヘロヘロしてる男を描く。これこそが福本マンガの全てなのかもしれません。

・だから、カイジもまたリセットなんですね。それはそれで納得でした。そのえげつないやり方での奈落への落とし方も実に福本作品らしさを感じますね。

・それでいて、この13巻は表紙でも顕著なようなサワヤカさに満ちてたりしますね。ここいらのサジ加減も巧いです。ギャンブルは「勝つ」ためにするものだという基本原理もちゃんと描く。
・まあ、冷静に考えてみればどうなんでしょう?って感じではあるんだけどね。

・つづきは、楽しみです。だって、こんなマンガ、福本氏しか描けないし読めないから。
(17:06:25)

「ケロロ軍曹」8巻 吉崎観音(角川書店)

・アニメ化決まって、ますます好調な8巻ですっ!
・って、まあ、おれは飽きてきてますけどねえ。

・相変わらず水準は高いです。パロディお色気ドタバタを程よく織り交ぜており、本作自体が、「居候キャラ」マンガのパロディみたいなことになっていますが、ちゃんとそのマンガの系譜に連なるような真剣さを感じます。

・8巻では、リスペクト的なパロディ、ケロロらが「トキノワ壮」というマンガ家のタマゴの元に行く話がよかったですね。

・まー、良作ではあります。ただ、8巻。さすがにね。おれは「ドラえもん」みたいのを喜んでみるような年齢じゃなくなったんでさ。
(17:33:54)

2004年/4月/11日
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「あの夏のこと」いわみえいこ(青林工藝舎)

・知らない作家です。作家買い、ジャケ買いではなく、出版社買いをしてみました。
・ここしばらくは出版社買いできるところはめっきり減りましたね。

・意外と「カラー」がありそうでないようで、やっぱりあるみたいなワケのわからん、でも、高水準な作品を出してる青林工藝舎において、かなり変り種でありますね。

・かわいい話のつまった短編集です。たぶん、読んだ人の多くがそう思うだろうし、近いものは、さくらももこ氏ですね。ああいう感じの絵柄で内容だと思っていただければそう遠くないんじゃないかな。少なくともかわぐちかいじ氏のマンガよりは共通点が多いでしょうし。

・かなり、描き下ろしや未発表作が多いです。その描き下ろしがいちいちすばらしい。なるほど、青林工藝舎が出すのもわかるなあと。

・小学生の少女がいつものように学校にいくと、自分の席に小さい男の子が座っている。で、そのこと過ごす表題作で描き下ろしの「あの夏のこと」。
・非常に不思議な話です。というか、小学生女子のみる夢のような、つかみどころのない、ふわふわした、それでいて妙に切実で悲しい、理屈とかを突き抜けて感じるものがありますね。

・同じく描き下ろしで、小学校のプールの底にドアがあり、竜宮城がある「プールの中の竜宮城」。

・さくらももこ氏がエライのは小学生の思考パターンを未だに保存してることだと思うのですね。でも、いわみ氏の場合は、小学生の「ヴィジョン」を保存してるのだと思うのです。これ、「ヴィジョン」ってのが正しい言葉かは自信がないのですが、小学生の生活半径内で見聞きしたものを基にファンタジーを作っておられる感じ。たとえば、ちびまる子ちゃんがインド象に乗ってたりするじゃないですか。ああいうのは小学生にはあまりリアリティがない想像ですよね? それよりも、プールの底に竜宮城があったり、温室の小さな穴から逃げ出すなんてほうが、小学生当人にとっては現実なんですよね。そういうのが非常にうまいなあと思います。

・で、小学生小学生なんて描いてますが、そうじゃない話。たとえば、堕胎する話「びねつ」とかね。

・でも、この小学生EYEと小学生ヴィジョンをもっともっと読みたいなと思いましたよ。ただ、この小学生ヴィジョン、やっぱり女性のそれなんだなと。小学生でも性別がちがうとみえてるものがちがうなあということも興味深かったです。

・ということで、現役の小学生のガキども(女)にも好評でしたよ。
(19:31:13)

「ういういdays」1巻 犬上すくね(竹書房)

・高校生カップルがイチャイチャしてまんねん。そんなマンガだんねん。
・とニセ関西弁でカモフラージュしたくなるほど、糖衣を割ったら砂糖の塊!ってくらいの甘い甘いマンガですよ。
・いうたらなんだけど、犬上氏の18番ですね。一応、発売されたコミックは目を通してますが、基本的に男子は、「ういうい」な男ばかりな気がします。

・で、まあ、どっちかというと女子視点で物語(と呼べるのかどうか、「ういうい」なスケッチ)が進行していくのですね。

・毎度毎度「ういうい」な話を描くのも大変そうで、そこいらの苦悩があとがきマンガでありましたね。そりゃ、てめえの「うい」は「うい」なときにしかないですしね。

・身近な小さいコトガラを膨らませる話が好きですね。「指輪さがしてます」の張り紙ネタ。あいあい傘ネタ。

・で、毎回ラスト1pに4コママンガを2本。まあ、そのエピソードの後日談的な。これがまたいい感じですね。掲載誌の「ライオリ」こと「まんがライフオリジナル」という4コマ雑誌を意識されているのでしょうか。

・犬上氏といったら、サブタイトルがお楽しみ。もともと、おれが注目するようになったのもそこだし。まあ、音楽のタイトルをオマージュ的につけてるんですね。そりゃあ、TAGRO氏とクラブでトークイベントするわってくらいさ。
・今回はかなりドーンといった感じでつけてますねえ。「春して恋して見つめてスキして」(原題はキスして)から、「涙がキラリ☆/スピッツ」「夏のお嬢さん/榊原郁恵」「ビーチで写真/カーネーション」「そなえよつねに/ハイポジ」「ヤマトナデシコ一変化(原題 七変化)/小泉今日子」「Letter/カーネーション」などなどね。個人的に、カーネーションの2曲がとても好きな曲なのでうれしかったですね。ああ、今、調べたら「突然の贈り物/大貫妙子」「It's Gonna Rain/ボニーピンク」なのですね。

「ういうい」したい方にはうってつけですね。太川陽介?
(ここにツッコミをおのおの思い浮かべましょう)
(20:09:01)

「シガテラ」2巻 古谷実(講談社)

・こっちは男性視点の「ういういdays」といったオモムキでしょうか。2巻目。
・イジメられっ子がものすごいカワイイ彼女をゲットした。そのイジメられっ子視点でのラブコメは進みます。ただし、前作である、「ヒミズ」の要素が色濃くあり、常に不安がよぎるデキになっているのですよ。

・2重の意味での不安が常につきまとっている。1つは彼女は本当におれの彼女なのか?という不安。そして、おれみたいなイジメられっ子が彼女なんか持っていていいのか?という不安。そして、それとは別に不穏なことが動いている。


「うわー南雲さん(彼女ね)!!愛してるよ!! も超---愛してるよ!! こんにゃろ----できれば行く末結婚してくれ〜〜〜!!!」「ぎょええええええええええええ」

・と、主人公はデート初日に逆上して求婚するんですよね。でも、彼女はそれを受け入れるんですよ。でも、信用できないんですよ。

・そいでもって、彼はイジメられっ子から脱却しようとするんですがね。ここから以降の展開はもう、イヤな感じだけど、目が離せないんだよなあ。それを主人公がもうひとつ把握してないところがもうサスペンスなんですよね。もう、彼女のことで夢中になってるんだよ。一見考えてそうだけど実はあまり考えてないもんなあ。

・ということで、「ういうい」してるのに全くそんな感じがしないのがスゴイです。

・そいでもって、男子の「ういうい」と女子の「ういうい」の差が如実に現れておもしろいので「ういういdays」と併せて読んでいただくとおもしろいかもしれませんね。
(20:24:02)

2004年/4月/10日
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「-DEATH NOTE- デスノート」1巻 大場つぐみ&小畑健(集英社)

「ヒカルの碁」の作画の人の新作ですね。
・本作のプレにあたる読みきり、「北斗の拳」でいえば、現代編だったやつを読みましたので、「こういうのか」くらいに思ってましたけど、これはその読みきりとはまたおもむきがちがう本編でしたね。

・デスノートがあります。そこに人の名前を書き込むと、その人が死にます。それを手にした高校生と、その高校生が起こす「殺人事件」を追うものとの対決マンガです。

・デスノートってのにはたくさんのルールがあります。そいでもって、デスノートの前の持ち主ってのが死神で、彼とやりとりしながら物語は展開するというパターン。

・手の内が明らかになってる高校生のほうに焦点があっており、それを追う警官がみえてない状態。

・んー、非常に精密に物語が進行してるようで、いきなり話が飛んでるような気もするんですよね。だって、そこに居ながらノートに記すだけで人を殺せる人がいたとして、それを捕まえようとあれだけも必死になるものでしょうか?あれだけも金を使おうと思うものでしょうか?

・これが小畑健氏の細密で緻密なリアリティあふれる絵が災いしてよりウソくさくみえてしまうのですね。

・まあ、マンガだし、そんなヤボなこといっちゃあアレなんですけどね。

・普段はテンポの速いマンガを好むのですが、ここのバレる前に逃げ切るみたいな強引なところには、やや「?」かと思いました。これはもっと時間をかけてそう思わせるだけの理屈をならべてほしかったですね。

・構成や展開など、非常に上手なウソですが、うっかり乗り損ねてしまいました。

・ただ、そこのムリなところに目をつぶって「そういうものだ」と思えば非常におもしろく、この後も展開していきます。やたらと、複雑な、「デスノート」のルールもわかりやすくマンガにしてますしね。ただ、ルール、複雑すぎるような気がしますけどね。「ああ、この展開のためのルールか」ってのがあちこち透けてる気がして。

・主人公の高校生、夜神月(やがみらいと)と死神リュークはヒカルの碁におけるヒカルと佐為をホーフツとさせるコンビでもありますね。もしかして、原作は変名なだけで、いっしょだったりして。

・さあ、実はこんなタイプなマンガは大好きなんですが、それは短くシャープにまとまっている名作を目にしてきたから好きなのです。これが20巻とかになるとゲンナリです。早めにキチっとまとめて終って欲しいものです。
(17:15:54)

「佐々木恵短編集 Short Short Show BLUE」佐々木恵(集英社)

・「RED」に引き続き「BLUE」ということで、とりあえず完結編。とはいえ、この2冊に関連性はないんですけどね。読みきり作品を集めたものですし。

・REDと同じで、王道少年漫画の読みきりといった中央突破感があってさわやかです。
・ただ、REDほどは楽しめなかったなあ。

・これはRED同様、主人公、もしくは脇キャラが、「根性」もしくは「がんばり」の1点突破でコトを切り抜けようとする話ばかりってことに、おれが気づいてしまったから。新鮮味が薄れたというか。そして、2冊通して、それじゃあ、飽きるってことかな。せっかく、読みきり連載もらったんだから、いろいろと挑戦してみればよかったのに。結局、引き出しの少なさが災いになってるんでしょうかね。

・未発表系の作品のほうがいろいろと冒険してる感じもありましたね。

・いどうどうぶつえんの動物は人間のココロが宿っており、よい行いをしてポイントを貯めると人間になれる。で、ペンギンの次郎はポイントを稼ぐのに躍起になりすぎて今夜も人助けのためにどうぶつえんを抜け出す「空とぶペンギン」

・閻魔様の娘で地獄からやってきた少女が大暴れする「地獄少女エンジュちゃん」

・タヌキが恩返しで、マンガ家志望の男の元へアシスタントとして現れる「タヌ平太恩返し物語」

・交通事故に遭った少女がその後遺症で、人間がみんな動物にみえる病気になった「ナチュラル」(おれはこれがベストかな)

・野球マンガ「オーバーラン」

・デビュー作の雪だるまが命を持つ「スノウ・ボーイ」

・いろいろな点で荒削りなのは相変わらずですが、さすが、ジャンプ系(月刊少年ジャンプ連載)、キラリと輝く原石であると思います。ただ、まだまだ原石なんで、もうちょっと磨いて、がんばって欲しいなあと思います。

・あくまで、このラインのがんばる小動物系にこだわるなら、もっと「かわいい」動物にしないとダメな気がする。具体的にいうと、UFOキャッチャーの景品になるくらいの。で、あくまでこの絵で踏みとどまるなら、もっともっと話を練りこんだほうがいいような気がする。
・でも、作者はがんばってブレイクしてほしいものです。可能性はあります。

・作者に「デスノート」を描かせるとどうなるんだろう?と思ったり。でも、作者は「ガウガウわー太」を描きたいのかなあと。
(17:54:18)

「武装錬金」2巻 和月伸宏(集英社)

・ああ、うまく2巻で区切りがついたなあ。グランドプロローグってやつですか。ツカミはOKってやつ?

・錬金術師の斗貴子さんが、死にかけてた主人公を生き返らせたら、なりゆきでホムンクルスという悪者を退治することになりました。2巻では親玉が死にました。メデタシメデタシという展開。

・コメディの部分がとっても楽しかったです。おれが慣れたのか、作者が慣れたのか、技術が向上したのかよくわかりませんが(3つともかも)、2巻ではギャグの部分が1番美味しくいただけました。
・主人公も、斗貴子さんも、脇キャラも美味しいキャラであります。

・あまり美味しくなかったのは、アクションですね。とかく、この手の人智を越えたスキルを持つもの同士の戦いってのは、なにが起こってるのかわかり辛くなるのが常です。本作もまんまとそのワナにハマってはいます。加えて、和月氏の「アクション」の捉え方が、おれのそれとはかなりちがうために生じる違和感は2巻でも健在でしたね。

・まあ、それは「そういうもの」として読むスキルは備わってますし、それを目当てにしなければいいんだと。

・さて、3巻ではどうなるんでしょうかね? ちょっと楽しみになってきました。
(18:08:03)

「ギンバエ」2巻 鈴木あつむ(実業之日本社)

・最終巻。あらら。おもしろかったのに。

・民間の救助会社GQの活躍を描いたものです。民間だけあって、金の件で契約が成立しないと動けないし、失敗するとモロモロの事情で会社がつぶれてしまう。で、「ギンバエ」と呼ばれるロシア軍払い下げのヘリを駆って今日も人助けをするって感じです。1巻のときも書きましたが、「ブラックジャック」+「め組の大吾」な話ですね。

・2巻では、主役のゴリラみたいな男の背負った十字架が語られる。なぜ、1000人の救助をしなければならないのか。
・そいでもって、最終回にふさわしい大ネタがあり、無事に大団円。ここいらのまとまりの鮮やかさはサスガですね。元から2巻完結で作られているのかのようです。

・と、考えると、この作品、打ち切りになった(たぶん、そうでしょう)のはなんでだろう?

・2巻は、たぶん、とっておきのネタや温めていたのも大放出で、毎回、えらい水準が高いんですよ。救助ウンチクアリ、時事ネタあり、非救助の回、非救助なのにアクションとか。そいで、最後は肉親ネタ。

・絵が原因かな。でもなあ、そう他と見比べて劣ることはないんでさ。「ドラゴン桜」の人の、「あんたの描く女はみんなタラコ唇かよ」ってのに比べるとかなり達者ですよ。

・だから、推測でありますが、全てに対して「硬い」感じがするのが弱点なのかもしれないねえ。非常に丁寧なのだけど、それを通り過ぎて、生真面目というか、カタブツというか、そういうのが話にも絵にも感じられるんですね。
・意外に、「迫力」ってのは「雑」から生まれるわけですよ。相田みつをセンセの書が活字みたいな字だったらおもしろくないのといっしょでね。

・でも、完成度は非常に高いので惜しいなあと。前記の「ドラゴン桜」じゃないけど、斬新なネタを引っさげて、どこかでブレイクしてください。応援してます。
(19:49:32)

2004年/4月/8日
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「ぷぎゅる」1巻 コンノトヒロ(講談社)

・ボランティアでメイド活動してるチェコさんが引き起こす4コママンガです。「マガジンZ」連載です。マガジンZってまだあるんだ? 「覇王」はまだあるの?

・まあ、ナンセンス系ですかね。なんだかよくわからんチェコさんです。で、仲間も増えていきますけど、イカだの雪女だの、普通のヤンキー女性だの脈絡がないです。

・まあ、この手の不条理系コミックは、つまるところ、キャラが気に入るかって意外に原点なところが重要だったりしますよね。たいていの作家はそんな引き出しが多くないし、その「売り」なパターンで勝負。それで、アニメ化決定の本作品はミゴトにみなさんに気に入られたということですね。

・個人的にも読んでいくうちに楽しくなったのでいいかなと。ただ、2巻はどうしようかな?と思った程度なんですがね。

・あと、下のガキ(6歳)が異様に気に入ってましたね。似顔絵とか描いてましたよ。あのチェコさんのセクシーな体型がヒットだったのでしょうか?
(14:33:17)

「苺ましまろ」3巻 ばらスィー(メディアワークス)

・小学校高学年少女の「オフビートコミック」です。なんだい、オフビートって。未だによくわからん。

・3巻はかなりよかったです。相変わらずボンノウまみれの「そういう」眼を通した可憐な少女たちが描かれてますし、そういうのが気になる人はなるだろうから、なかなか「あずまんが大王」になれないところがあるというのは変わってないですが、それよりもなによりもおれが平気になったってのが大きい。

・今回の特徴は、おおまかなテーマを選んで、それに応じて、ギャグをつめられるだけつめるという、イニシエのギャグマンガの方式を取ってるって気がしました。まあ、あまりテーマもキツくシバリを入れてないしおおらかな感じがしますし、そのギャグ自体の精度も高いとはいえないですが、そのユルさやスキも含めて安心して読むことができるなあと思いましたよ。

・つまり、簡単にいうと、ファンになったんですね。3巻はこれまでにない現象、2回も読み直した、ってのがありましたよ。

・上記のパターンに即してる、縁日の回とリコちゃんハウスの回がよかったですね。とくにリコちゃんハウスネタがサイコーでしたね。ああいうのをもうちょっと突き詰めていくといいんじゃないかなと思いました。
(14:46:52)

「極道一直線」1巻 三上龍哉(小学館)

・極道ギャグマンガですね。
・絵柄は池上遼一氏の流れの劇画タッチで、そいつらがバカなことをやるという感じ。ぶっちゃけると、「魁!クロマティ高校」のパターンですかね。ギャグの質はかなりちがいますけど。

・かなりベテランな方であると思うんですよね。デビューが1992年ですし。で、また、どんどん絵がうまくなってらっしゃるよ。それでいて、ギャグは1992年からあまり変わらないと。まあ、劇画な絵でバカなことをやるって手法でいえば、「クロ高」よりも効果的ですよ。絵が巧ければ巧いほど、それはギャグにつながる。

・たいていのパターンはスキンヘッドでデップリした体格の組長がおかしなことになってるのを組員がツッコムというもの。
・たとえば、組長の頭にドリルが生えてて、笑ったらギュイーンとまわったり。後頭部にスイッチがあり、押したらどうなるか組員が延々悩んだり(押したくてしょうがないから)、ザリガニにサバを食わせると青いザリガニになるんですよ。だから、おもしろいから組長が一ヶ月サバを食べたら、顔が組長のザリガニになったりね。

・中でも中盤から後半にかけての増える組長ネタはかなりよかったですよ。あと、死神ネタとな。

・ただ、カッ飛びすぎじゃないかなと思ったり。この手の延々エスカレートしていくのは、収集がつかなくなるんじゃないかなあとちょっと心配してみたりねえ。まあ、そう思っていた「クロ高」も続いてるしねえ。

・あらゆる点で「ぷぎゅる」の対極にいそうな作品ですね。そして、おれはこっちのほうが好きです。笑えるし。
(15:03:53)

2004年/4月/4日
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「ああ探偵事務所」5巻 関崎俊三(白泉社)

・おもしろい。
・4巻からの流れか、5巻でも、小ネタ2話に大ネタ1話という配合で、以後もこんな感じの巻構成になることを希望します。

・小さい探偵事務所の小さい事件を扱ったマンガですね。おれはそれがいいと思う。殺人事件とかは論外にしても、毎回命を狙われるようなサスペンスな出来事が起こっちゃ、それが作り話であるという前提でも逆に飽きてしまうのですよ。

・5巻では全3話のうち事件は1件だったりしますよ。ほかの2件は事件というより「出来事」みたいな感じ。だからといって、ほのぼのしてたり、マッタリしてるわけではないんですよ。謎解き要素もありますしね。

・そいでもって長編がよかったんですよ。

・女性看護師が依頼人。彼女は気が弱く、頼まれごとを断れないタチで、看護師の上司にコキ使われ、ヒモに搾取される毎日。でも、ある日、宝くじで1億円が当たる。そして、彼女は変わるわけですよ。

・それが探偵事務所とどう関わるのかは読んでのお楽しみとして、この女性看護師がカワイイということをなにをおいても記しておかなければなるまい。で、記したと。実写版だったら、仲間由紀恵さん配役希望ですよ。メガネの仲間さんはとてもステキだとおれは考えますから。あ、メガネっ娘なんですよ、この女性看護師。

・ということで、おれ的には大変満足だったのですが、血に餓えてる若者には物足りないのかもしれないなあということもちょっと思いました。丁寧だけど地味なんですよね。そこがサイコーに好きなんですけどね。血に足付いたマンガです。誤変換です。「地」ですね。
(17:57:38)

「最強伝説黒沢」3巻 福本伸行(小学館)

・さて、ヤングに絶大な人気を誇るとてもおもしろいマンガの3巻ですよ。

・中学生にオヤジ狩りに遭いボコボコになり、醜態を仕事仲間に晒すことになった、黒沢さんです。
・そこで黒沢さん、誓ったのですよ。「決闘する」と。ところが話が大きくなってしまい、あとにひけなくなって、単なるブラフといいきれなくなり、ショボンとしながらも、たくさんのヤジ馬の中、復讐劇の幕が下ろされると。

・相変わらず、構成が巧みですよね。「カイジ」や「アカギ」などのヒリヒリでギリギリのギャンブルマンガだからこそ生まれた緊張感は、ちがう題材のマンガでも存在し得た。というところでしょうかね。
・今回のポイントは、この復讐宣言を打つ、酒屋ですよね。3話にわたって展開する黒沢の演説ですよ。この内容、展開、配したキャラたち、すべてがマネできない圧倒的なおもしろさ。
・そして、タンコブですよ。前日、黒沢が、中学生に金属バットで殴られたときにできたタンコブ。いかにもタンコブといった感じのタンコブ。マンガ的描写のタンコブが、この真摯に共感するような演説がどことなくマヌケな響きをもってることを表わしてるんですね。50近いおっさんが中学生相手に復讐ですもんね。決闘ですもん。

・もうひとつのポイントは解説です。これはブレイクした後の福本マンガでの特徴といえるものですよね。ま、対決マンガのセオリーみたいなものでもありますが、第三者における、状況説明。たとえば、アカギの吸血麻雀における、サングラスの男とかな。今回も、営業部長みたいのが、解説を加えてる。これがとても適切だし、おもしろさを何倍もアップさせている。

・人気でるのもムリないわな。そして、マネできないですものね。
(18:26:56)

2004年/4月/3日
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「凹村戦争」西島大介(早川書房)

・何で知ってたのだろう? 西島大介だ!と思って書店で手に取りましたよ。

・描き下ろし長編コミックですよ。描き下ろしはもっともっといろいろなところでいろいろな人がやってほしい。切に願います。絶対に潮流の1本にならないと、この先のマンガ界はないよ。ジジババどもが、金目当てに「貸与料よこせ」みたいな寝ぼけたことしかいえなくなるんだよ。そんなことする間に1本でもおもしろいマンガを描け! そして、てめえらは、タダでもいいから読んでほしいと思っていた若かったころのことを思い出せ。

・と、もう、バリバリ余談からはじまってますが、そういった意味で、描き下ろしモノはがんばって応援していきたいなと思ってるんですよ。それで手にとったのもある。

・凹村という四方を山に囲まれてよそとも連絡のつきにくいところに住んでる中学生たちの青春グラフティですね。SF風味。そりゃ、SFの早川書房から発売されてますしね。

・パッと一読。予想以上に「マンガ」であることにまず驚く。
・この手の「描き下ろし」にありがちなパターンがたくさん入ってます。たとえば、黒ベタバックにポエムとか。頻繁に見開きとか。雑誌連載じゃボツくらいそうな演出の数々。
・ただ、その引き際をかなり調整されている印象を受けました。だから、それがかったるく感じるギリギリのところで回避している。

・読めるんですよ。

・とくに描き下ろしばかりを読んでるワケではありませんが、ちゃんと1冊でまとまって1つの話になってるのです。この力量には素直に感服します。
・個人的に、マンガを描く作業で、たぶん、1番つらいのが、1冊描き下ろしって状態だと思います。物理的にも経済的にも精神的にも辛いハズ。それをやり遂げたという点では敬意を表するべきだと思います。
・ああ、昔は描き下ろしってけっこうあったんですよね。「冒険王」なんかの別冊付録での1冊描き下ろしとかね。ここいらの苦労なんかは、「まんが道」に描いてありますよ。

・キーワードとなるシカケはいろいろとあるようですが、おれは、「ニューウェーブ」という言葉が大事だと読みます。
・80年代初頭にパンクとともに台頭してきたニューウェーブ。それはちょうど時期を同じくして文学やマンガにも波及していったわけですよ。

・そこいらのニオイを感じさせるようなシカケが随所にありますね。映画を中心にいろいろと。

・80年代の映画ですよね、だから、主人公は、サバイバルナイフ片手に上半身裸(映画「ランボー」ですね)で火星人と戦ったりするわけです。火星人は「物体X」です。そして、ツアラトゥストラではなくノストラダムスがかく語りきなんですよ。

・個人的には、80年代に12〜22歳というズッポリな年齢なので、そこいらはバッチリなんですが、たぶん、作者はおれより若いだろう。そういう、「憧憬」も含まれてる80年代。今風に処理してある80年代。懐かしい80年代。
・それは、とても遠いものとして感じる。実際の80年代ではないし、虚構の80年代でもない。切り取って持ってきた80年代でもない。
「リミックス」になるかどうかはわからないが、それが1番近いのかもしれない。西島氏における80年代。あるいは、凹村という名の西島氏の箱庭。

・マンガ的技法なのか、間の取り方なのか、随所にはさまれるポエムなのか、読中には、なぜか、岡崎京子氏を感じ取られた。あとは、大学のシネマ研究会の自主制作の「映画」を感じた。
・まあ、わかりやすい双方の共通点は「大人」が登場しないということ。大人がいないんですよね、このマンガ。「80年代」が大人の役割を担ってるのかもしれない。80年代を父として接するってか。

・ものすごい単純なことで、登場人物が少ないというのも読みやすい要因なのかもしれない。

・SF風味としては、謎のなにかに侵略されるというものです。凹村は、平和ではあるんですけど、そのムードに反応してるヤングマンには日常から非日常への扉となるわけですよ。そして、世界は滅ぶ。世界は何度でも滅びるのですよ。

・個人的にはたったの2pだった、SEXシーンがえらい新鮮だった。

・まあ、この手のシカケが多くて、東浩紀がオビを書いてるようなマンガでいろいろと書くのは、不利なことですね。いくらでも見解をひねりだしてしまうし、あるいは、おれのいうことなんかまったく見当ちがいなのかもしれません。

・とりあえず、読んでみましょう。「マンガ」として読める描き下ろし。これだけで、かなり貴重ですよ。イラストレイテッドな絵で、雑に映る人があるいはいるかもしれませんし、この内容には、ちょっと説明不足な絵かもしれませんが。

・おもしろかった。といいきります。
(18:14:54)

「精霊特捜フェアリーセイバー 白い病棟」上藤政樹(久保書店)

・描き下ろし長編コミックですよ。描き下ろし長編コミックで、エロってのはめずらしいと思って手にとりました。作者はおれにとってはじめての方です。そして、それこそが最大のネックだとは思いませんでした。

・あらすじが書けません。なぜなら、このフェアリーセイバーサーガみたいのが脈々と続いていて、その中の1エピソードが本作だからです。なるほど、この描き下ろしってのは、心情としては、長編連載をしている同人誌の途中の巻を買うようなものなんですね。そういったニュアンスが強いです。作者のファンが買うものです。本作はまちがってもはじめて作者の作品と触れるような人が買うものではありません。なぜなら、冒頭に「これまでのお話」なんてあるからです。まったくの中途です。
・おれはまちがったのです。これはおれが100%悪いのです。

・と、ここまで書いておけばいいかな。

・上記の点に加え、もろもろなアレで、登場人物の区別がまったくつきません。まあ、髪型とオッパイの大きさだけで判断しろよという世界ですからしょうがないですけどね。また、なんのアナウンスもなく、続々キャラが登場します。それは裏カバー見返しの既刊の諸作品を買って「勉強」しなければならないようです。

・そして、それをしようかと思う価値はおれにとっては完膚なきまでに0でしたね。ジャスト0。むしろ知りたくない。
・最近にしてはビックリするくらい稚拙な萌え度が低いキャラ。
・女性はまだしも、ほかのものはすべてグダグダのグズグズ。画力の問題ではなく純粋にテキトーに書いてる感じ。
・そして、「わかるものだけついてきて」的なストーリー。そのストーリーも妖怪をセックスで退治な定番もの。そして、なによりもそのストーリーのために肝心のエッチシーンが少ないという本末転倒ぶり。そのセックスシーンにしても昨今のレベルからすれば、うーんと思ってしまう。

・砂を噛む思いで読み終りました。

・なるほど、こういう「描き下ろし」もあるんだなと思いました。これはこれでアリだと思います。「アップルシード」ってのはだいたいがこんな感じでしたしね。描き下ろしで、巻を重ねていくって手法。
(18:36:24)

「あかてんヒーロー!」1巻 南京ぐれ子(幻冬舎コミックス)

・ジャケ買いですね。表紙の丸いオッパイがねえ、おれに買え買えっていうもんで。

・悪の王女様が、戦隊ヒーローの攻撃に負傷してしまう。その戦隊ヒーローの地味な「緑」が、ふと、苦しんでる女性を介抱したら、それがその王女様。そいでもってはじまる同棲ラブコメとな。

・王女は天真爛漫タイプ。ああ、あとグラマー。語尾が「〜のだ」タイプだよ。

・で、それに振り回されておろおろする緑って感じ? あと、戦隊ヒーローは現役高校生ということで、学園ラブコメの要素もあったりするんですよ。あと、戦隊ヒーローのピンクとの三角関係な図式とかね。なにげなく堅牢な作りの設定ですよ。過去のええとこどりプラスアルファ。

・絵はカワイイし、キャラ見失いは皆無だし(見失うほど多数登場してないって話もあるが、おれはそういうほうが断然好きだし)。戦隊パロディー的なギャグなど、ここいらも基本に忠実な感じです。女性のラブコメ作家の基本はきっちりといった感じで。

・そういった意味で、弱点は逆に「コレ!」ってイイ点でも悪い点でも突出したところがないことかもしれませんね。

・でも、乳首隠しもなく、そういったところは気前がいいですし、全体のテンポもいいし、キャラも「生きて」ます。

・だからいいですね。
(19:12:37)

「あかてんヒーロー!」2巻 南京ぐれ子(幻冬舎コミックス)

・2巻です。最新刊です。
・しかし、巨乳に言い寄られて、自分は、貧乳が好きって、相場が決まってますよね。不思議ではあります。「うる星やつら」効果なのでしょうか? ああ、「あさってDANCE」は逆かもしれない。

・2巻では、主人公の姉(女医)と双子の妹(ナース)という新キャラが登場です。

・相変わらずドタバタしてますね。ただ、やや煩雑?と思ったり。キャラが増えて、逆に萌えシーンが減ったような。というか、「印象的」な萌えシーンですね。これに天才的な才能を発揮する人も世の中にはいますからね。たとえば、天才かどうかわからんけど、はっとりみつる氏とかね。

・ただ、2巻は、壊れた緑のヘルメットを巡る話など、ちょっと独自のセンスが開花しかかってる感触がありますねえ。絵のほうはもともと完成されてるので、もしかしたら3巻で大化けとかありうるかもしれないなあ。しないような気もするけどさ。

・個人的には戦隊(ガクセーファイブ)の紅一点、ピンクの桃山さんがいいですね。タテロールで可憐な役のはずなのに、1番デフォルメのキツイ顔させられてるところがいいです。

・3巻までは応援します。それ以降は3巻のがんばり次第ということで。
(20:02:43)

2004年/4月/2日
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「Honorable[オナラブー]」チ川ユポ(双葉社)

・美術モデル奮戦記。
・美術モデルって要するに裸になってポーズつけてるのをスケッチしたりとかの美術モデルですね。
・美術モデルの友長美奈子(びなすと呼びますよ)が、悩める美術生に、文字通り身体を張って応えるという内容です。
・ただし、SEXはないんです。あくまで美術の悩みに応えます。

・ツルツルが描きたそうにしてる美術生があれば、ツルツルにするのなんか朝メシ前。
・ものすごい正確無比な絵を描く人のために、自分の裸に升目を書き込んだり。
・音楽科のために、ヌードで歌ったり。

・そういうマンガですね。ナイスバディはもちろんですが、奔放で天真爛漫で、「美」のためにすべてをさらけ出す友長さんですよ。

・と、この図式、おれなんかには、「いけない!ルナ先生/上村純子」を思い出されますね。家庭教師のルナ先生が、勉強したがらない生徒のために身体を張って勉強を教えていくんですね。おっぱいを使って円周率を測りましょうとかね。

・ただ、前記の「いけない〜」との最大のちがいは、本作、エロがないことですよ。そりゃあ、女性の裸度は高いですよ。それは表紙にもにじみ出ていて、おかげさまでなかなか買うのが大変でしたよ。でも、たとえば、公園にある裸婦の銅像で勃起するかといったらどうだ?ってことですよ。
・あー、もっと近いたとえがいいな。看護婦の制服に興奮する性質の男が、「おたんこナース/佐々木倫子」を「実用」向けにできるかって感じ。

・だから、非常に不思議な感触。まあ、これでもコーフンするやつはするんだろうけどね。

・劣情を催さないエロティック?なんかよくわかりませんけどさ。

・ちなみに、桜日の丸って方がいますけど、彼は美大志望でして、一時期、美術学校に通っていて、ヌードデッサンもやったことあるんですって。
「チンコカチカチだったよ」っていってました。

・個人的にはもっと実録風のぶっちゃけ話かと思ってましたが、その推測ははずれました。でも、ソンをしたという気はありませんでしたね。
(19:25:21)

「鈍器降臨」古屋兎丸(メディアファクトリー)

「ダヴィンチ」という誰がどういった意味をもって購読してるのかよくわからん活字のバイヤーズガイドみたいな雑誌があります。そこで連載されていたものです。読者からエッセイを募り、そのエッセイにインスパイヤされた古屋兎丸氏が「返歌」のように4コマで返すというものです。かっちょいい言葉でいえば、コラボレーションですよ。
・見開きで右側に二段組で読者のエッセイ。左側に古屋氏の4コマを1pといった構成ですね。エッセイを読んで、4コマを読むといった構成です。

・このコラボレ具合がかなり密接で、不可分なものになってます。エッセイはそれだけでも通りますが、4コマのほうは、それだけ読むと意味が通じないのとかありますね。

・一応、古屋氏はデビュー作は4コマなんですよね。それを再びという感じでしょうかね。

・そして、そのデビュー作であり、たぶん、まだ代表作である「パレポリ」をホーフツさせるかのような、精緻な4コマですよ。「パレポリ」知らない方は、目からウロコだったんだろうなあと思います。1pを4等分してギチギチに描きこんでありますからね。

・で、読者のエッセイを受けた上で、ネタを膨らませたり、逆の視点で描いたりと、そのセッションっぷりがとてもおもしろいですね。細かい遊びなどもあります。
・エッセイのほうもおもしろいです。こういうの読むとこういうの書きたくなるなあって感じの。まあ、元も子もない表現させてもらうと、ちょっとスカした創作系のサイトの作文みたいなオモムキですかね。こう書いてみなさんの頭にパッと思い浮かんだサイトみたいな文章は入ってると思いますよ。

・おもしろかったです。再読には向かない感じですけど。4コマだけ読んでもおもしろくないし、エッセイだけ読んでもそうおもしろいわけでもないから、どうしても、エッセイ読んで、4コマ読んでってダンドリになるからね。時間がかかる。

・個人的には後半のほうにある「檸檬の町」「教え子」あたりがよかったかなあ。いろいろと考えさせられました。
(20:02:38)



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